取り敢えずは完結目指します!
よろしくお願いします!
---ああ、これは夢だな。
今より少し低い視点と、すっかり寄り付かなくなって久しい、郷愁を誘う町並みを見てそう思う。
しかし・・・何よりも強くそう感じさせる存在が、目の前に存在していることが、ハッキリとこれは夢なのだと訴える。
・・・そう自覚しているのに、夢特有の感覚で”僕”の口は過去の台詞を吐き出す。
「ねぇっ!待ってよ、
「もうっ!普段から鍛えてないから、スタミナが足りないんだぞ!それに、急がないと遅刻するでしょ?ほら、頑張れ♪頑張れ♪」
「くっ!男の意地を出す・・・!!」
「あははっ♪そうそう♪君の格好いいところを、私に見せてねー?」
一つ年上の幼馴染みであり、僕が高校進学を機に告白して交際する事になった彼女・・・「
告白した際に、実は紅姉さんも僕の事を好きだと聞かされた。
関係が壊れるのを恐れて想いを伝えられなかったらしく、実は両想いだったと知って、二人抱き合い嬉しくて泣いた。
まだ気恥ずかしくて、なかなか名前で呼べずに未だに「紅姉さん」呼びではあるが、彼女は「ゆっくりでいい」と優しい笑みでそう言ってくれた。
どうにかこうにか、ギリギリ校門を潜り抜けて昇降口に辿り着き僕は荒い息を整えながら、隣に立つ彼女を見る。
視線に気付き、こちらを見て微笑む彼女は息一つ乱してはいなかった。
「ギリギリだけど、なんとか間に合ったね?今後は寝坊するなよー?」
「ぜぇ・・・う、うん・・・ぜぇ・・・気を付けるよ・・・」
「・・・もう、仕方ないなぁ」
「ぜぇ、はぁ・・・。え、姉さん?何を・・・」
「ちゅっ・・・。これで元気出して、一日頑張ってね♪」
「は、はぃぃぃ~・・・!がんばりましゅっ!!」
「くすっ♪じゃあまた、お昼休みにね?」
年上の余裕なのだろうか、僕はいつも彼女にリードされていた。
それが情けなく感じつつも、現状に甘えている自分がいた。
この頃は、色々と葛藤していたな・・・なんて、夢の内容に俯瞰した視点から過去の自分達を見ながら、青い感情を思い出す。
そう思っていると、場面が切り替わる。これは・・・。
「将来の夢?」
「そうそう!---君は、将来どんな仕事がしたい?」
「僕は・・・まだよく分かんないな」
これは確か・・・彼女が高校三年生になり、卒業も迫ってきていたある日の事だったと思う。
「紅音は進学して、大学で教員を目指すんだっけ?」
「うんっ!小さい頃からの夢だから、どうしても叶えたいんだ!」
「紅音なら絶対になれるよ。皆に慕われて、誰からも頼りにされてて、人のために一生懸命になれる紅音ならさ」
「ふふっ♪ありがとう♪・・・でもさ、私が何でそんなに頑張れるか知ってる?」
「それは紅音の性格とか、気質とか・・・そんな感じじゃない?」
「むぅ・・・。そ・れ・も・あ・る・け・どっ!」
「えぇ・・・?なんで拗ねるのさ?」
「拗ねてないっ!ニブチン彼氏の察しの悪さに、呆れてるだけですぅーっ!」
「やっぱ拗ねてんじゃん・・・」
本気で察しのついていない僕に、彼女は一つわざとらしい特大のため息を吐いた後、こう言った。
「・・・---君が、ずっと隣で私を見ててくれたからだよ」
「・・・僕が?」
「そうっ!君にはどう映ってたか分からないけどね?私が悩んでたり、苦しかったり、諦めそうになってた時に君が隣で、私を君という太陽がずっと照らしてくれていたの・・・。そう気付いたのが何時だったかは、忘れてしまったけど・・・君への恋心はその時からずっと私の原動力になってる・・・。
---綺麗で、眩しくて、でもどこか・・・儚い。
---そんな笑顔の君に、この時の”私”はなんて応えたのだったか・・・。
---白んでいく視界の中で私は、ぼんやりとそう思った・・・。
『---先生!先生!・・・ヒノワ先生っ!!』
「ん・・・。アロナ・・・?」
『先生!よかった・・・どこか、具合が悪かったりしませんか?』
「えっと・・・別に変わったところはないけど、どうして?」
『だって先生!仮眠を取ると言われて眠ったかと思ったら、魘されて、涙まで流してたんですよっ!?心配しちゃいますっ!』
「涙・・・?」
アロナにそう言われて、目元に触れると確かに濡れていた。
『本当に大丈夫なんですよね?先生・・・』
「・・・うん。私は異常無しだよアロナ。少し・・・そう、少し懐かしい夢を見ていただけだ」
『そう、ですか・・・』
なおも心配そうに見つめてくるアロナの頭を、安心させるように撫でる。
それから私は、シャーレの窓越しに青空を眺める。
夢で見たのと同じように、青く澄みわたった空を。
今日も変わらず、人々を照らしている太陽を・・・見る。
---何故だか今日は、そのどこまでも青く澄みわたる空が・・・・・・酷く、不愉快だった。
シャーレの先生:天道ヒノワ(日輪)
誠実で、どこまでも生徒達のことを一番に考え、例えその身を犠牲にしてでも他者のために命すら賭ける・・・。
そんな彼の周りには、彼を慕う人々が多く集まる。が、一部の人からはそんな彼にどこか言い知れぬ歪さを感じており・・・。
先生には昔、結婚直前までいった恋人がいたらしい。なぜ結婚しなかったのかは、頑なに口にしない。