残光の旗   作:∀キタカタ

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ふたたびの、悪夢(1)

  一

 

 捨てるか、直すか、微妙な古びかたをしていたザクだった。

 ケリィのようなジャンク屋にでも引き取らせるかしたかったが、ドックが空く。そう思って引っ張ってきた機体だったが、結局、陽動に使った。最もいい、使い方だったと言える。

 旧式のザクは隠蔽したヴァルヴァロの陽動として、連邦にしてみれば意味が分からないとしか思えない程の暴れ方をし、乗っていたクルトはザクマシンガン一丁を撃ちまくり、弾が切れればヒートホークを振り回し始めた。このままフォン・ブラウンを破壊するだのガンダムを出せだのとわめき散らし、要望通り、テスト飛行中だったガンダム試作一号機ゼフィランサスの、宇宙戦仕様フルバーニアンに一蹴されたようだった。

 騒ぎ方は、期待以上だった。あれでもシーマ麾下で揉まれた男だ。騒ぎ方は分かっている。そのぐらいしなければ帰る場所がなくなるということも、分かっていただろう。そのまま連邦に投降するような真似は、しない。ただ助かりたいのなら、それが一番、簡単なやり方だったが絶対にそれはしないとシーマは半ば確信していた。「シーマ様」という若干、不本意な呼ばれ方がその確信の裏付けになっていて、それもまた、シーマには、違う形の、不本意なものを覚えさせてもいる。

「月での騒ぎは困る、と申し上げましたものを」

 自室内だった。

 通信モニタで、オサリバンが鼻で笑っていた。シーマは苛つきはしている。どんな部下で、自分が何を命じたとしても、兵を一人失ってはいるのだ。あれでも、妙な色気さえ出さなければ、失わずに済んだモビルスーツ乗りだったのだ。

 ヴァルヴァロの回収が済み、離脱。そこまで、あのザクで時間を稼げていれば、クルトを本当に許してやってもよかったが、出来ないに決まっていたのも、分かっている。だが死ね、と言って殺した訳でも、なかった。落とし前、をつけてくれねば、示しが付かないというだけだ。そういう内情を見透かしたような、オサリバンの物言いは、何処か上からものを見ているかのようで、やはり不快だった。

「ぶたれたいのかい、オサリバン? 月でなきゃあ、いい、なんて勝手な言い草ってもんさ」

「デラーズ・フリートの決起が、月でそれほど騒ぎになっていないのは、我が社の都合にもよりますからな。ゆめゆめ、ジオンに与するのみなどと思われませんよう。黙認させているのは、私なのですから」

 アナハイム社に吸収された、ジオニック社関連の開発者が、まだ所々にいる。思想信条で排除するには惜しく、現場に回されている。アナハイム社が、連邦とジオンの双方にいい顔をしたがるのは、社是ではなく、現場の意思統一が図られていない、というだけだ。図りようも、なかった。

 連邦だ、ジオンだと言っても、分かりやすい諍いでしかなかった。

 企業一つのありようで、戦争など起こさなくても、世の中は容易く混沌とする。ましてや、地球人類とも、スペースノイドとも言いがたいような、月の住人がやることなら、ますますその有り様は、組織よりも個々人の有り様が浮かび上がり、複雑な文様を形作り描いていく。

「……いつもいつも焦らしまくるもんだね。お前がどういうやり方で女を抱くのか、分かる気がするよ。そういうのも私は、嫌いじゃあない。けどね、差し出すものは、差し出して貰わないと、私もよがってばかりは、いられないんだよ」

「こちらもなるべく早く、供与いたしたいとは思っておりますがね」

 新型モビルスーツ。せっついてはいるが、まだ、受け取っていない。

 シーマの中に珍しく焦りがある。あのゼフィランサスの装甲。あれこそ、悪夢だ。悪夢を振り払うには、改良したていどのゲルググマリーネでは、足りなかった。

「これが連邦なら、すぐなのだろう?」

「珍しく、お急ぎのようで。しかしそれは詮無いことでしてな」

「急がなければ、祭りに乗りおくれちまうのさ。尻に火を点けて欲しいのなら、月にコロニーでも落としてやろうか?」

「ご冗談を」

 オサリバンのこともシーマは嫌いではなかった。というかシーマは、好き嫌いなどでそうそう物事を判断したりはしない。ただ、本当に最後のところで、好きか嫌いかで決めてしまうようなところもある。好きだから見逃す、嫌いだから追い込む、そういう単純な、ものでもない。

 クルトの処断が、そうだったのではないか。ああまでしないと、部下に死ねと言っているに等しい処断が下せない。そもそもクルト一人をケリィのところに行かせたのは、どうせああなる、という判断からだった。死なせたくないのならば、最初から、行かせなければ良かったのだ。

「……あのアルビオンとかいうの、目障りでね」

「たかが連邦の、強襲揚陸艦が、一艦ですぞ」

「その一艦が墜とせないから、お前を煽っているんだよ、オサリバン」

 正確には、ゼフィランサスを墜とせない。あの機体が鍵だった。前回は、ろくな性能も出せていないどころか、地上戦用のジャイロ設定という、幾らでもたたき壊せるような有り様だったというのに、シーマがあれだけ食らいついても、出来なかった。

 今は、宇宙戦用に再設定され、フルバーニアンで機動性も極端に底上げされている。前回の有利など、ほぼ全て帳消しにされている。それを見られたのも、良かった。無駄に死んだのではない、とクルトに言ってやりたくもなる。

「……私もモビルスーツが一機、揚陸艦一艦の話でそうそう、身を賭けられなくてね。それでなくとも、ずっと危ない橋は渡っている」

「デラーズ・フリートは皆、そうでしょう」

「私の橋は、デラーズ閣下より一層、細いんだよ」

 シーマの渡る橋は細い。だが、渡り切れれば、勝ちだった。

「星の屑作戦とやら。順調のようで」

「そうだね。今のところ、問題はないさ。儲けただろう?」

 デラーズの演説で株価が極端に上下した。オサリバンは、かなりの利益を上げたはずだ。ついでのような話だったが、シーマも利益には預かっている。シーマ艦隊を養うには、金がいる。元手の資金をそのまま突っ込むのもいいが、こういうことは他人にやらせて、多少の利益を享受する方がいい。商いは軍人の本分ではない。シーマも、自分に桁外れの商才があるとは、思っていない。

「アナハイムも大変そうじゃないか。南極条約違反の機体を造っていたとかで」

「造っておりませんよ。テロリストの、たわごとですな」

「それで押し切る心算なのかい、アナハイムは」

「しばらくは、そうですな。現在、調査中とのことで。連邦の上層部からも何とかしろと、せっつかれておりますが、上が無責任に言うだけ言うのは、どこも同じかと」

 テロリストの、たわごと。

 実際に、ガンダム開発計画は公のものではない。デラーズが、奪ってきたと主張しているサイサリスも、本当に存在するかどうか、世間では誰も分からないのだ。ジムでも拾ってきて、べたべたと適当にそれらしい、ハリボテの装甲を被せ、これには核弾頭が積まれてある、と言っ張っているだけ、という解釈も、世間には通ってしまうのだ。たわごとで済ませられる余地は十分にある。

 連邦が、本当に問題ごとを避けたいのなら、そんなに持っていきたいなら好きにしろ、と言っても形だけならいいのだ。どのみち、サイサリス一つで戦況が変わるわけでもない。ゼフィランサスまで奪われたというなら、少しは焦ったかもしれないが、それでもたかがモビルスーツの話だ。

 問題は、Mk82核弾頭なのだ。南極条約が守られていたか、が焦点なのだ。大義さえ立てばそれだけでも、潮目は変わる。

「……重ねて念を押しておきますが、南極条約などという曖昧な条約であっても、そもそも破ってはおりませんし、試作二号機サイサリスなど、我々は全く、存じ上げません。そういうことにしていただきたいものですな。そこだけをご理解いただけていれば、いいのです」

「安心しな、私だってその辺りのことなら理解している」

「そうですな。ではこれで。星の屑作戦の成就、願っておりますぞ」

 悪趣味な冗談とともに、通信は切れた。

 畳んだ扇。神経質に、いじり回している。

 何も、存在しない。公式にはだ。このまま、身を潜めることも出来る。ずっとそうしてきた。三年、それだけを、やってきた。耐えきれずにやめるか、続けるか。待機命令はいつまでなのか。

 ジオンの残党と呼ばれる者たちは、ずっと待機命令を守っている。休戦協定も、あくまで休戦なのだという緊張感の中で、ずっと、待ち続けている。待ち続ける限りは残党など、存在しないも同然だった。

 アクシズがいた。アクシズがある限り、待機に皆、耐えられていた。今はまだアクシズが動くべきときではないのだ、と自分を納得させることが出来た。なければ、単に敗残兵が漂っているに過ぎなくなる。

 デラーズは、切歯扼腕の三年を待ったかもしれないが、シーマは半年も待たなかった。一年戦争終結から早々に行動を開始し、地球圏と月軌道内で、せわしなく物資と情報の交換と、時には収奪を繰り返し、シーマ艦隊の独立独歩を成し遂げ、そして他の残党部隊よりも深く、潜行していた。

「……女の三年は、男の三年より長いのさ、遥かにね」

 呟く。扇。通信ボタン。押している。

「レズナー少佐を部屋に呼んどくれ。話がある」

 短く返答があり、切れた。

 珍しくアクシズに連絡し、ケリィを少佐に昇進させた。こういうのは、段取りというものを踏んだ方がいい時もある。別に、アクシズをないがしろにしてはいないという、意思表示もしておく方が、都合は良かった。

 入って来たケリィは、尉官の服を着ている。それでも階級章は少佐だった。

「すまないね、うちには佐官の服がないからね。服だけアクシズにねだるのもねえ」

「いえ、恐縮しております、ガラハウ中佐。しかし、寝耳に水で」

「居心地が悪いかい?」

「居心地の良さは、求めておりません」

 居心地は、悪いはずだ。シーマ艦隊の新参者が、いきなり少佐なのだ。シーマに次ぐ階級となれば、実質、副艦長でもある。そういう存在が、今のシーマ艦隊には必要なのだ。

「しかし私に戦艦の指揮など、執れません。学びはしますが、間に合うかどうか」

「間に合わなくても、構わないよ。どうせ私がいなけりゃなくなっちまうんだ」

 それでも、シーマが自ら出た場合に、留守居はしなければならない。後方からの支援支持も出さなくてはならないだろう。

「いいんだよ。私に必要なのは、私をきちんと中佐と呼ぶ部下なのだから」

 ケリィまでシーマ様などと呼ぶのであれば、階級などわざわざ上げていない。部下たちが納得したのは、ケリィが適度に、シーマと距離を取って、礼節を示しているからだ。馴れ合い所帯になっていた緩みは、部下たちも自覚はしていたのだ。

 だから、クルトのような奴も出て来る。

 クルトと引き換えというなら、ケリィは充分以上だった。ヴァルヴァロもある。

 そう思わなければ、やっていられないという気持ちも、ある。

「……それにまあ、ガトーとも話がしたいだろう。私らはなかなか本隊と接触しないから機会もそう造ってはやれんが、階級が同じなら、また、俺、お前、で話が出来るだろうしねえ」

「お心遣いと受け取って、よろしいのですか、中佐」

「こう見えて面倒見はいいのさ、私は。……それはともかくだ。デラーズ閣下がぶっ放す前に、我々としてもやることがある。星の屑作戦の概要は、覚えたな」

「勿論です」

 連邦が旧ソロモン宙域で、大規模な観艦式を行うという。

 デラーズがことを起こすのは、その時だった。かき集めるだけかき集めた残党兵力をそこに叩き付ける。まともにやったら、殲滅されるだけの自殺行為でしかない。しかもデラーズは、わざわざ、事前に自らの存在を明かし、ガンダム試作二号機サイサリスを奪ったと公言し、これに南極条約違反を突きつけている。

 その上で、観艦式を襲撃しようというのだ。

 連邦の宇宙戦力が、殆ど全て集まるような式典である。大小問わず、艦という艦を並べる示威行為としての祭典。デラーズの演説をただのたわごとにしてしまうには、意にも介さずこれを強行してしまうのが、連邦としても得策だったに違いない。

「……ガトーの乗る試作二号機サイサリスが、そこを核攻撃し、そして残存兵力を殲滅する。そういう作戦だと、伺っております」

「ま、大体、そんなところさ」

 Mk82核弾頭を、どれだけ効果的に使えるかだった。サイサリスの機動力と、ガトーの手腕が問われる。巻き添えがあっては、意味がなかったから、ほぼ単騎で、観艦式の真っ只中に、突っ込まなくてはならない。

「……そこらの残党もデラーズに合流したがってるし、アクシズも可能な限りは兵を回すと言っているが、あくまで後方支援。かき集めた、義勇軍みたいな残党の方はアテにしても仕方ない。結局、めんどうなところは、私らの役目ってことになるのさ。そうは言っても難しいところは、代わりに任せてるからお互い様さね」

「加えて頂き、感謝しております、中佐。ご下命とあらば身命に代えて」

「観艦式の掃討なんてのに力を割いても、仕方ないと思わないか、少佐。ガトーが一人、うまくやれなかったら、こっちが負ける戦だよ。これで撤退でもしてみな。デラーズ閣下はいい恥さらしだ。しばらくジオンは、表に顔も出せなくなる」

「しかし、ガトーなら。サイサリスも凄まじいばかりの出来と聞いておりますし」

「デラーズ閣下には二の矢って発想がないのさ。まっすぐなんだか、余裕がないんだか。まあ両方かね。それとも、三年で焦れすぎたか。なんでもいい。私らは勝手に、二本目の矢になっておくんだよ。その辺りを知っておいて貰いたくてね」

「何かお考えがおありですか? 私に、何かご下命があれば」

 ケリィが、逸っているのもシーマには分かる。

 実戦で自分とヴァルヴァロを試したい。それはシーマが、専用機としてゲルググマリーネを得たときと同じ気持ちだ。モビルスーツ乗り、の気持ちが分からない、シーマではない。

「……アルビオンとかいうのが目障りになりそうでね」

「例の木馬型ですか。こちらに絡んでくると?」

「こっちがレーダー網に引っかけてんだ、向こうも寄ってくるだろうさ」

 ケリィの顔が曇ったような気がしたが、それを詰める気は起きない。話の腰を折るだけで、雑談だというならともかく今は軍事作戦の指示をしているのだ。

「来たら、攪乱して貰う。勿論、機会があれば、墜としてもいいが、あくまで挑発でいい。じきにその時が来たら、指示を出す。分かっていて貰いたいのは、私が少佐に期待しているのは、撃破撃墜が目的じゃないってこったね」

「挑発、ですか」

「その程度でいい。そしてこれも、先に言っておく。うちの部下は私に意見しようなんてのはいないが、少佐は何か言いそうだからな。少佐には、それを期待しても、いるんだが。……これからこの艦は、連邦の艦と接触を図る」

 ケリィは答えに窮したようだった。少し、言うのが早すぎたかとも思ったが、最初が肝心だとも、シーマは思った。シーマ艦隊のややこしさに、馴れて貰いたかった。ガトーのところになど預けられていたら、ケリィはただのモビルスーツ乗りとして、頭数の一つにしかならなかった。

「まあ、政治の話さ。別にその場で相手を撃ち落としてやったっていいが、そんなことをしたって何にもならない。見境なしに食いついてたら、却って飢えるってもんさ。とにかく、その時に、アルビオンのことは任せる」

「了解いたしました、中佐」

「何機か随伴させてもいい。必要なら」

「攪乱目的でしたら、単騎で。しかし出来るなら、距離を取って、一機。戦闘には参加しないという目付役で」

「見せつけてやろうって腹かい?」

「見て貰わねばならん立場でしょう、私は」

「だからっていい格好しようなんて思わないことだね。男ってな、そういうことをしがちだろうしねえ」

「努力するだけです」

 話は終わった。ケリィは下がらせた。また、シーマは一人になる。

 自分が二人、必要になる。そういう局面では、ケリィはそれなりに、アテに出来そうだった。完全武装のヴァルヴァロと、それを完璧に操れる男。敵の撃墜にさえ拘らせなければ、それでいい。エースパイロットと呼ばれるほどになるモビルスーツ乗りは、撃墜に拘って命を落とす。

 それにまだ、シーマには月から新型が回ってきていない。そうなると、どうしても、ゼフィランサスが出て来たときが気にかかる。相手は宇宙戦仕様に改装したフルバーニアンともなれば、次は不利になったとしてもそうそう、こちらを離脱させてくれるとも思えない。

 モビルアーマーであるヴァルヴァロなら、全力離脱をモビルスーツごときが阻める筈がない。出来るとしたら、モビルアーマーのようになったモビルスーツ、という不気味な代物を仮定するしかなかった。あるいは、ガトーのサイサリスが、それか。

 地球。月。かつてソロモンと呼ばれたコンペイトウ。そしてアクシズ。

 シーマは四つを見ている。そしてそれぞれにいる勢力を見ている。

 デラーズは、何処まで見ているのだろう。この辺りのすり合わせをしたことは、ない。しない方が、いいだろうとも思っている。少将が相手では、どうしても意見を譲る素振りを、自分は見せるだろう、とシーマは思った。

 ジオンの中興。デラーズという男の、志。

 少なくともデラーズは、大きくことを動かし始めている。あの男の意思で、志の下で、星の海が波打ち始め、やがて大きな渦となる。それはシーマには為しえないことには違いなかった。

 部屋を出た。司令室に向かう。

 毛皮の乗せられた椅子。いつものように腰を降ろし、扇で肩を叩いてみせる。最初はわざとやっていたが、もう自然と、こんな所作が出てしまっている。

 傍にコッセルがいる。巨躯で、まるで尉官の制服には合うサイズがない、とでも言うように袖を破き、胸を晒している。コッセルも、最初は冗談で、そんな格好をしたのかもしれない、とシーマは思っている。

 シーマの所作も、コッセルの服も、今では当たり前になっていた。

 こういうところが、馴れ合い所帯なのだろう。良かれ悪しかれという部分はある。ケリィのような人間を引き入れておくと、やはり緊張感は戻る。ケリィは自分が副官として、艦隊司令など出来ない、と言っていたが、どのみちそれはコッセルがやる。

 ケリィには他のことなどさせず、ヴァルヴァロという機体を操っていて欲しかった。ただ、それだけではない、とケリィに釘を刺しておくのも悪くはない。意外に、才能を発揮するかもしれないのだ。シーマ艦隊に人材が増えるのは、歓迎こそすれ避ける理由はない。

 それで、古株の部下と巧くやっていければ、尚、いい。

「間もなくです、シーマ様。いますかね、連邦のやつら」

 コッセルが呟いた。コッセルには、ケリィより多く、情報は伝えてある。飛び抜けて有能な部下には違いなかった。モビルスーツよりも、艦隊指揮に才能がある。ただ、時々、シーマを庇いすぎる動きをみせる癖があった。シーマを救うためなら、乱戦の最中でも帰投のためにガイドビーコンを光らせかねない、そういう部下だ。そういう辺りも、ケリィなど混ぜておけば、落ち着くのかもしれない。

「いるともさ。女狐らしいからね、私は。同じ狐の匂いは分かるんだ」

「レズナー少佐は、出撃準備が整ったようです」

「送り出せ。アルビオンの位置は、大体の見当はついているんだろう。ついでに、目付でゲルググも一機着けておやり。いいかい、目付だ。レズナー少佐がやることの、邪魔をすることを禁じる」

「……見せて貰いましょう、少佐の実力を」

「ヴァルヴァロの実力でも、あるさ」

 ケリィを余り持ち上げないようにそう言った。




小僧ども、週一の更新、その秋(とき)がまたやってきたぜ。本来、原作ではこうなってない、というものをなるべく原作に近づけてみる。そうするだけでも楽しいものだ。そうすると、裏を書く、という楽しいことにもなる。原作から乖離させてしまったところを裏で帳尻合わせをするというのは本当に楽しいものだ。二次創作をギリギリまで一次に近づけていく。それもまた二次創作の楽しみ方だろう。書いている俺は、とても充実しているぜ。本来なら、一次で蹴られるような展開も二次ならやれるというものだ。そしてそこに誇りと志を常に持て。原作に甘えるな。戦うのだという意識を、常に宿せ。そうすることで見えてくるものもある。小僧ども、まだまだ物足りないぜ。
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