ヴァルヴァロとゲルググが一機、ザンジバル級から発艦する。ヴァルヴァロは、ゲルググに合わせて、少し速度を落としているようだった。じきに、先行するだろう。どのみち、ゲルググは目付役でしかないのだ。
ここでケリィの使いどころが出来たのは偶然で、余り好ましい偶然ではなかった。
このまま放っておくと、アルビオンの索敵網に、ザンジバル級が引っかかる。躱すのは造作もなかったが、そうなると接触を図っている方の連邦をも袖にすることとなる。アルビオンも狙って動いたわけではないだろうが、前回の交戦も、アルビオンが『茨の園』を索敵網に偶然、入れる可能があったからだ。
何かを、持っている。運が転がってくる。そういう相手だった。
運はまず連邦に味方する。ではその連邦と、接触を図った場合は、どうか。
シーマは少し楽しげになっていた。向こうの腹が本当には読めないように、向こうもこちらの腹は、読めまい。読ませる、訳がない。そうなれば連邦とジオンである。相対すれば戦わずには済まない。
どこまで、化かし合うか。お互いに、お互いが必要なものは持っている。あとはどれだけ余計にかすめ取れるかだ。
いる。大きい。ザンジバル級より、一回り以上大きな巨体。
連邦のバーミンガム級である。
モビルスーツの積載能力は有していないという。その分、砲撃火力は無数に用意されている。艦隊戦のみに特化しており、この距離でやり合えば、火力での削り合いならば先にザンジバル級が轟沈する。
モビルスーツを展開しても、みな、撃墜されるだろう。
次の観艦式では、連邦の、この手の艦が無数に集まって来る。ガトーはその真っ只中に、たった一機で突っ込まなければならない。全身が肝のような男でなければ、絶対に出来ない。任せられもしない役目だ。
相手はグリーン・ワイアット観閲艦隊司令。大将である。
その階級にある者との取引は、シーマにとっても初めてであった。袖には、したくない。大将自らが裏取引に応じるていどのものは、シーマは用意してある。そしてワイアットも、そうだろう。そうでないなら、送り狼にでもなるまでだ。
「……罠ということはありませんか、シーマ様」
「こっちを罠に嵌めてどうすんだい。むしろ向こうが警戒してるだろうさ」
「しかし、観艦式の大将自らとは」
「向こうも余裕ぶってる割にゃあ、必死なもんさ。それにこいつは、出来る限り上のやつに直接届けて初めて、意味があるんだ。中途半端に下のもんを経由させたら、余計な真似をされて自分の階級すら危うくなる。ワイアットってなそれが分かる大将閣下ってこった。私らの少将閣下は、どうだかねえ」
交信記録は当然残せない。あくまでアナログに、直接会うしかない。
だがシーマとワイアットが直接会う意味は、あまりない。お互いが、それなりのものを、その権限のうちで交換出来ればそれでいいという話だった。
しかし直接会ってはみたい。流れがあれば、そうしてもいい。
交戦開始の通信が入った。ケリィは巧く、アルビオンの動きを攪乱しているようだった。物見のゲルググが、とても邪魔など出来ないと伝えてくる。するなとは言ったが、自覚してくれれば、尚更いい。
「いい買い物をした。そうは思わないかい、コッセル」
「完全に敵モビルスーツ部隊ごと止めておりますな。凄まじい」
モニターに交戦映像が映し出されている。コッセルが納得したのなら、他の部下も納得するだろう。ヴァルヴァロは攪乱に努めているが、少しは相手を墜とせそうな気もした。ケリィもやはり、ガトーと同じく実直に過ぎるのだろう。だが、シーマに足りなかったタイプの部下でもある。
「こちらのムサイ級、バーミンガム級と、接触します」
「こちらからの伝令を出せ。ザク一機でいい。こちらは中佐だ、大将閣下に先に接触させては無礼というもの」
それに、都合というものがある。
仮にだが何かの拍子に、この接触という記録が出たとして、それはデラーズ・フリートの艦が何かしらの接触を試みてきただけだと言い訳させてやらねばならない。こちらは、なんとでも言い訳が出来る。官僚制度に凝り固まった連邦と違い、こちらはデラーズが納得すれば、それで良い話だった。
随伴させているムサイ級を一艦、前に出している。ザンジバル級とバーミンガム級の会合は星の海でも目立ちすぎた。ある程度の距離は空けて、ザク一機が発艦している。
「……シーマ様、一機、抜けて来ます、こっちへ」
焦った声がシーマの耳に刺さってくる。ヴァルヴァロの攪乱を抜けて、一機だけ、こちらに迫ってくるモビルスーツがある。
「ヴァルヴァロが、レズナー少佐が漏らしたのか?」
「あれは、おかしいです、あんなもの止めようがありません」
既にケリィは部下に庇われてさえいる。それだけが救いだった。抜けてくる、一機。凄まじい速度だった。モビルスーツ小隊とアルビオン一艦を単騎で止めているケリィを責める謂れはない。一機だけ、異常なやつがいるだけだ。
ガンダム試作一号機ゼフィランサス宇宙戦仕様フルバーニアン。
凄まじいとしか言いようのない速度で、まっすぐにこちらへ向かってくる。シーマ艦隊の全砲門を向け、あらん限りの火力を叩き付けたが、すべて外れている。機動力が桁違いだった。
「シーマ様、このまま懐に、あれが入って来たら」
「おたつくんじゃないよ」
怒鳴った。バーミンガム級の動き。もうそれを待って動くしかない。こちらから出来ることは、何とかゼフィランサスに砲撃を当てることぐらいだが、艦砲射撃が当たるとは思えない程に小さく、そして早い。
飛蝗か、とシーマは吐き捨てた。
バーミンガム級が反転する。ゼフィランサス一機で取引はご破算になった。
大将自らが敵艦隊と友好的な接触を図ったなどと、喩え強襲揚陸艦が一艦にであれど思われるべきではない。ゼフィランサスがここに来てしまった以上、伝わってしまう。ケリィが足止めしているアルビオンの連中だけなら、誤魔化せただろう。そのためにケリィを出したというのに、ゼフィランサスという異常な機体がここに来ているのだ。
シーマはムサイ級に後退せよと指示を出そうとしたが、遅かった。
バーミンガム級が圧倒的な砲撃を既に浴びせている。
相手の砲撃は、ザンジバル級ではなく近づいてきたムサイ級に目がけて放たれていた。完全に、相手との接触行動に入っていたムサイ級には、敢えて空けていた距離によってバーミンガム級は爆破に巻き込まれる心配などなく、思うさま砲を使える。ムサイ級は為す術もなく貫かれ、目の前で轟沈した。ザクなど当然、話にもならず消え去っている。
交渉だけだということで、痛みきったザク一機のみしか、モビルスーツは乗せていない、ムサイ級だった。それだけが救いと言える。
シーマは扇が折れるほど握りしめていたが、仕方がなかった。
あのゼフィランサスさえ、来なければ。他のジムカスタム程度なら、仮にヴァルヴァロの攪乱を抜けられても、ここに間に合っていなかった筈なのだ。
バーミンガム級が離れていく。
シーマの繋いでいた、何本かの糸のうち、かなり太い一本の糸が切れた。切られたのだ。あのゼフィランサス一機に。
「……レズナー少佐にはそのまま抑えろと、伝えろ。あの飛蝗はこちらで処理する」
飛蝗が一匹。邪魔さえ入らなければいい。潰せる。
「モビルスーツを出す気はないよ、私は。砲撃で撃ち落とせ」
そもそも、出しても無駄だった。ゼフィランサスにどのモビルスーツを当てても歯が立つわけがない。艦隊の火力でなければ、あの装甲には意味がない。ヘタに味方のモビルスーツを絡ませたら、却ってそっちの方が撃ちにくくなる。
強いて挙げれば、ケリィを引き戻して、ヴァルヴァロをぶつける、ぐらいで勝機は見えるが、どう考えても、あのまま抑え込んでくれて貰った方がいい。時間が、足りない。懐に入られたら、このザンジバル級は間違いなく沈む。
配下のムサイ級を、全て押し出した。
ゼフィランサスを近づけさせなかった。
撃ち落とすというより、近づくなという防御行動に近い。初戦でゼフィランサスにやられた、やたら滅多な砲撃を、今度はこちらが繰り出している。あの時は、何の因果かこちらが一機、それで墜とされた。ただの偶然でだ。
今度はこちらが総出で、狙いを定めて放っている砲撃が全く当たらない。
たまに、ひとつくらいの運が転がり込むことはないのか、とシーマは歯がみした。
「くそっ、あいつ、艦の陰に入りました」
部下の声。
ヤマアラシのトゲのような連続砲撃を流石に躱しきれなくなったのか、ゼフィランサスは轟沈されたばかりの、ムサイ級の陰に入っていた。退避行動を取るというなら、こちらも、その隙にそうするだけだ。
「反転するよ、モビルスーツ隊は準備しろ、離脱するまで、足止め。墜とそうなどと思うな、絶対に敵わんと思え。時間を稼ぐだけでいい」
「シーマ様、レズナー少佐は」
「適当に引き返せと伝えろ、あの男なら、機は読める」
ヴァルヴァロならば、ゼフィランサスよりも移動速度は速いはずだ。そうは言い切れないが遜色はないだろう。こちらが完全に、戦域を離れてからでも、追いつく。それまで、アルビオンの連中を足止めしておいて貰わなければ、ならなかった。こんなところに、ゼフィランサスと合流されたら、それこそザンジバル級と雖もひとたまりもない。
「抜けて来ます、もう一機」
「……厄介なのが来たな」
機体性能の突出したゼフィランサスは、仕方がない。抜けてくるもう一機は、純粋にパイロットの腕だけで、ケリィの攪乱を抜けて来ている。遅い。ジムカスタム。だが遅く見えるだけだ。ゼフィランサスの接近速度が、異常だっただけだ。
ゼフィランサスは、大破したムサイ級の陰に隠れながら、たまに発砲してくる。それだけならば、モビルスーツを繰り出しての足止めは、出来そうだった。パイロットの腕というより、完全な場慣れが出来ていない。恐らく、向かってくるジムカスタムは、上官だろう。上官の指示を、待ってから動くことにしたに、違いなかった。
無視して突出すれば、もう一艦、ムサイ級を墜とせていたものを。
多少の場慣れはしたが、まだ新兵の域を少し出た、という程度の相手。
そんな相手に、いいようにされているのが、腹立たしかった。
繰り出したゲルググの小隊が、ジムカスタムも相手にしなければ、ならなくなっていた。ザンジバル級が、ムサイ級を引きつれて離脱するまでの、時間稼ぎ。また何機か失うはめになる。ジムカスタムに絡んでいくゲルググが、ゼフィランサスに、撃ち落とされているのが分かった。
部下は相手がジムカスタムならば、と思って挑んでしまう。そこを狙い撃ちにされている。
ジムカスタムは、自分を囮に使えと指示したのかもしれない。
「……有能じゃないか、目障りだね、そんなのが敵にいるのは」
立ち上がった。ゲルググマリーネを用意させた。
機体の暖気が間に合うかどうか、微妙なところだった。格納庫の中で、苛ついたまま服を脱ぎ、下着姿でノーマルスーツに着替えていた。全員、目を逸らしている。知ったことではなかった。
ゲルググマリーネに乗り込み、ヘルメットを被る。まだ部下は、足止めには成功しているようだった。
「シーマ様、間もなく、交戦宙域を抜けます。レズナー少佐を戻せば、完全撤退可能です。相手は追って来られません」
こちらは艦だ。全力で走らせれば絶対にモビルスーツでは追えない。
「……念には念をだよ。あのバケモノを甘く見るんじゃない」
ゲルググマリーネ。発艦した。盾など、もう持ってはいない。相手は二機で、揉み合いにはならないであろうし、何よりも、アルビオンの連中相手には、あの盾は縁起が悪いという気がした。
囮役のジムカスタムには、構ってはいられなかった。部下を狙ってくるゼフィランサスを、更にゲルググマリーネのビームマシンガンで、撃ちまくる。通じない、筈がなかった。前回とて左腕は撃ち飛ばしたのだ。真っ正面から当てられれば、幾らガンダムと雖も破壊できる。
ゼフィランサスさえ封じれば、ジムカスタムの一機、くらいは墜とせる。
やられっぱなしなのが、癪だった。
麾下のゲルググ。目の前で、爆散した。ジムカスタムがかなり、やる。ゼフィランサスを封じ込めている間に、単独でゲルググを墜とされていた。かといってジムカスタムに関わり合えば、またゼフィランサスを自由にさせる。
苛立ちながら、ビームマシンガンを連射した。ゼフィランサスに、当たれば。まともにさえ、当たれば。だがそれは最早、腕前の話ではない。偶然の領域だ。シーマは当たりを引くまでクジを引こうと連射している、というだけだった。
やはり何度も、当てている。だからゼフィランサスの動きも、封じ込めている。
相変わらず、異常な装甲だった。
自分がゲルググマリーネで出なかったら、繰り出したモビルスーツ小隊が、ザンジバル級を巧く逃がせていたかすら、怪しい。
野太い光芒が星の海を突き抜けていく。
メガ粒子砲。ヴァルヴァロ。こちらに、戻って来ている。モビルアーマーだ。ゼフィランサスよりもやはり、早い。アルビオンの連中と、ザンジバル級の距離が、充分に離れたと判断したのだろう。急行したヴァルヴァロは、こちらからの指示も待たず、迷うことなく、ゼフィランサスに襲いかかる。クローのついたアーム。いつもは収納されているが、展開させると、赤い色も相まって、まるで巨大なザリガニのようだ。
飛び抜けながら、そのアームでムサイ級の残骸を、かっ攫っていく。ゼフィランサスが隠れていられなくなる。いや、ゼフィランサスはもう隠れている気がない。ヴァルヴァロの動きに食いつくように、バーニアに点火し飛び去っていく。
光条が二本、星の海で何度も交錯し続けている。
ジムカスタム。部下のゲルググは、全て撃破されている。こちらに向かって来ているが、満身創痍だった。
ゲルググマリーネ。ジムカスタム。ここにいる、ただの、二機。
「……シーマ様、頃合いです。戻ってください」
「すぐ戻る」
通信。切断した。変更する。連邦のチャンネル。
「聞こえるか、連邦のパイロット。こちらはシーマ・ガラハウ中佐だ。名乗れ」
「……サウス・バニング大尉だ。お前のことなど知らんが、ジオンの中佐だというなら、こちらはしがみ付いて自爆でもするしかなくなるぞ」
「その、いつ爆発するかも分からない有様の、イカれたバーニアの機体で出来るもんかい。……まあいい。大尉か。部隊長ぐらいは張れているんだろう。例の頭のおかしいガンダムと、アルビオンの連中に下がれと伝えろ。代わりに、いいことを教えてやる」
「……何を企んでる」
「色んなことを企んでるさ、そりゃあ。とにかく、あの轟沈したムサイ級、よく調べてみるんだね。ひょっとしたらいいものが残ってるかもしれない。いつだって、連邦は運がいいからねえ」
大将に渡すべき予定だったが、それが大尉でも仕方がない。
そもそも、残っているかも怪しいのだ。それでも目の前のジムカスタムは、最早パイロットの腕だけで、シーマのゲルググマリーネを、どうこう出来るような有り様ではない。ヴァルヴァロの攪乱を抜けて、部下らのゲルググを撃破までしたが、自身も半壊している。
「ではまた、その機会があれば、いずれな。バニング大尉」
ゲルググマリーネ。バーニアに点火し、離れていく。回線をザンジバル級に再接続した。状況は悪い。貴重なモビルスーツ部隊も墜とされ、ムサイ級に至っては、一艦が轟沈。シーマ艦隊の戦力は半分以下になっている。だがヴァルヴァロの存在とケリィの腕で、まだ、星の海を自力で泳げる算段は残っていた。
追跡はなかった。
ザンジバル級の手前で、後ろからケリィが、ヴァルヴァロで合流してくる。
「……どうだったい、少佐。あのガンダムは」
「バケモノですよ。こっちは当たれば勝ちって時に、当たらないんですから」
「当てても、勝てないよ、きっと」
ヴァルヴァロのメガ粒子砲。それなら墜とせると思うのが普通だった。
あのゼフィランサスが、普通ではないのは、嫌というほどシーマは分かっている。
「……まあいい、ご苦労だった。役目は充分に果たしている。部下の連中も、お前が誰で何なのか、分かったようだしねえ」
「恐縮です」
ワイアット大将に渡すはずだったものは、多分、当たり前に考えたら失われている。それが残っているのが連邦の運だとして、このあと、どうなるか。
『星の屑作戦』の作戦概要。
かなり細かく、配備まで分かる。最終目的でさえも、分かる。あれが知られれば、ガトーとて単騎でそう、巧く核弾頭を撃ち込めるかどうか。代わりに貰えた筈のものは、相手が大尉ていどでは望むべくもない。そしてあの情報は、一部隊のレベルでは手に負えるものではなかった。
グリーン・ワイアットぐらいでなければ、手に負える代物ではない。
デラーズ・フリート内でも全容を知る者は少ない。デラーズが、情報を抑えている。シーマが知っているのは、アクシズから渡されたからだ。アクシズも、こすい真似をする。そう思ったものだったが、自分も言えた義理ではない。気持ちよく志だの大義だのと述べられるデラーズはいい気なものだとも、思う。
その裏で、どれだけの人間が手間をかけさせられているのか、分かっているのか。
そして手間をかけさせられたというのに、シーマに報酬はなかった。ムサイ級と子飼いのモビルスーツ小隊をいいように墜とされただけ、手痛い失態でもある。
いいように、アクシズにアゴで使われている。
今更だ。ずっとそうだった。だが馴れてはいない。馴れてやるものかという、反抗心も薄れることはない。腹いせを常に意識してしまう。
あのバニングという大尉に運があれば、それなりに、腹いせぐらいにはなるだろう。デラーズの勢いを削ぐほどの効果があるかどうかは分からないが、シーマ・ガラハウの名は覚えさせた。
商いで、互いの名前も知らぬのでは話も出来ない。
アルビオン隊が何処の指揮下にあるのかを調べさせる。すぐに分かった。一番上まで辿れば、地球軌道艦隊司令官のジョン・コーウェン中将麾下。楽しくなってきた。切り替えたこっちの筋書きも、悪くなかった。
コーウェンはガンダム開発計画の責任者だった。そこまで、分かる。
ワイアットから乗り換えを検討するのに、やぶさかではない相手と地位だったが、他人に託したラブレターが果たして本当に届くかどうか。宛名すら書いてはいないのだ。それでも届けば、また別の糸を手繰り寄せられる。
連邦には常に運がある。ならば、その運に少し乗せてみるのも、悪くはない。
アナハイム社のオサリバンは「南極条約違反の機体などない」と言い放った。デラーズの下にあり、ガトーが搭乗していて初めて見えてくるのが、試作二号機サイサリスだ。それすらもない、と言い放ってしまえる。同じように、星の屑作戦もまた、相手の器量次第で、幾らでも形が変わる。なくなってしまうものでもある。
かつても、そうであったではないか。
連邦のレビルが圧倒的に上から、絶対的に指示したから、そもそものV作戦が通りガンダムという存在が、生まれたのだ。だから、今がある。どれだけ作戦が正しいか、効果的か、そんなものは上にいる人間に、どれだけの裁量があるかに左右される。
それぞれに落とし所がある。それぞれの心中は分からない。だがひとまず、自分はしくじったのだ。それを、補正していくしかない。
あの、サウス・バニングという大尉。あの男は、運を拾うだろうか。拾ってくれれば、こちらにも何かと都合はいいのだ。連邦には、運がある。だが個別の兵にまでそれがあるとも限らない。戦争なのだ。
またいずれ。そう言った。戦場でそれは、別れの挨拶をしたのではないか。
シーマは、そう思った。
小僧ども、また更新だ。今回はコッセルが出たぜ。みんなが大好き、何故か制服を破って着ているなんだかよくわからん奴だ。それとシーマを掛け合わせてみた。またケリィの活躍も描いている。しみんな大好きバニング大尉もいるぜ。ケリィは原典では既にいない男だ。ケリィをいかに話に食い込ませるか、それに腐心した心算だ。原典ではもう退場したケリィを先の展開に混ぜてみる。その辺りに書き甲斐というものがある。このまま進めていく。この先の展開にも期待してくれ。小僧ども、まだまだ物足りないぜ。