ゲルググマリーネに、シーマの望む改造を施すには、それなりに資金がかかったが、金の問題ではなく、こちらの意を汲むための費用なのだ、という意志が伝わって来る。アナハイム社の開発担当は、政治も何も関係なく、依頼された相手の要求を満たそうとする。
シーマは潤沢な資金は確保していたが、それも、それなりだ。無駄に使っていい訳ではない。
気まぐれに、宇宙に出る訳ではない。少しでも、動かしておきたい。それは敵がいる場所でなくては、ならなかった。肌がひりつかなけば、動きを本当には、操作できていないのだ。
死。それを賭けて、機体を従わせる。
アクシズにねだるのではなく、取引として、月からこのゲルググマリーネを得た。シーマは、常に取引で物事を考える。他人に頼ろうとも、甘えようとも思わなかった。そんな隙を見せていれば、それこそ、死ぬ。
バーニア。点火する。ゲルググマリーネの、赤紫と砂色に塗られたツートーンカラーの機体が吹っ飛んでいく。専用機だからといって、一色で塗りつぶすなど、風情がない。
ただの、ゲルググマリーネよりも、当然速い。要求したバーニアの微調整も俊敏に利く。高性能であったが、シーマの手足とならないのであれば、旧式のザクにも劣る。それなりには馴らしてあるとは言え、それでもまだ足りなかった。
余りにも反応が早く、軽い。出力が、緩やかではなく、いきなり発生する。戦場で、最も求められる性能だが、並のパイロットでは、操作しきれない。やれることが増えた分だけ、やるべき操作手順も増える。それを無意識に組み立てられるかどうかだ。
新しい機体には、誰しも、まず機体に支配され機体に要求される。
専用機、などと言えば聞こえがいいが、突出した腕前を持つパイロットに合わせて、再調整と性能特化を加えている、癖の強くなった機体というだけでもある。
それを、いかに組み敷くかだ。それが早いか遅いかが、パイロットの適正と才能ということになる。そして世の中には、乗った瞬間から、新しい機体を手足のように扱える者すらいる。シーマは流石に、その領域にまでは、達していない。ガトーは、少しは踏み入っているだろう。それを素直に、シーマは認めていた。
先行させたゲルググ五機は、まだ、敵の防衛を突破出来ていない。向こうはジムキャノンを数機、出して来ているようだった。相手の火力が、多い。部下たちの乗る、旧式のゲルググでは、回避行動の手間が多くなる。
歯がゆい。そう思った。苛ついていたが、それをも楽しんでいた。
デラーズの演説。まだ続いている。
「……話すことには事欠かないだろうねえ、何せ三年分だ」
笑った。デラーズの演説は本題に入っている。
強奪した、ガンダム試作二号機。サイサリスを画面に晒している。核攻撃を目的として造られたモビルスーツを晒し、自らの正当性と、一年戦争の続きをやろうという意志に、力を与えようと画策していた。
シーマは笑っていた。南極条約をしつこく盾に取るデラーズの、恐らくは虚言。南極条約自体、曖昧模糊としたまま、まだ議論が続けられているのが現状だ。一年戦争終結と同時に無効化した。あるいは、休戦であるからそれはまだ有効だろう。そしてまた別の者はジオン公国と結んだ条約を、ジオン共和国にも適用すべきかと、混ぜ返す。そもそも当たり前のことだが、どちらかの敗北と勝利で反故にされるとも、書かれていない。
デラーズは、その曖昧さに強打を仕掛けている。
なんとも、手間をかけることだ。大義名分が、それほど必要か。
デラーズには、必要なのだろう。シーマには必要のないことであった。言い訳、をしているだけではないのか。自分のやろうとすることに、他人に語って聞かせなければならない言葉を連ねることが、それほど必要なのか。
ジムキャノンと、ゲルググが、絡み合っている。もう、視認可能な距離にいる。
横合いから、ビームマシンガンをぶつけてやったが、躱された。早い。敵が、やる。雑兵ではなかった。それが分かった瞬間、ジムキャノンの砲撃が、ゲルググマリーネの二枚重ねにした盾を打ち砕いていた。
舌打ちが漏れた。
当たり所が悪かった。
そういうことはまま、ある。だが二枚重ねにまでした盾を、いきなり打ち壊されたのは、幸先の悪い不運のようで、シーマを苛立たせる。
まぐれだ。うろたえて撃っただけの、うろたえ弾。問題ではない。
自分に、言い聞かせた。すぐに落ち着いた。
ビームマシンガンで、こちらも相手の盾を弾き飛ばしてやる。
シーマの戦い方は、機体の機動力を生かし、横合いから、相手の左手を潰すものだ。保持する盾を奪う。マニピュレーターも兼ねる、モビルスーツの手は、繊細な造りで、弾が掠っただけでも不具合を起こす。近接戦にもつれ込めば、まず盾そのものを蹴り飛ばすなりして、捻る。
盾自体の把手には、さすがに自壊機能がある。正面からならばともかく、強く捻れが加わえられれば、把手の方が破断され、手を破壊するまではいかない。しかし盾はどのみち、失われる。そして丸裸になった相手を、ビームマシンガンの連射で、蜂の巣にし撃墜するのだ。
右も潰せば、相手の攻撃力もかなり奪えるが、そちらに執着はしない。実際、今、やりあっているジムキャノンには、手とは関係のない武装が、肩に乗っているのだ。盾を奪う。それだけで、良かった。思うさま相手を撃てれば、それでいい。撃ち合いになる乱打戦は望むところだ。相手の攻撃など、機動力で躱し続けられる。
シーマは、このやり方を、他のパイロットが採用しているのを、見た事がない。
モビルスーツの盾自体、基本的にはよく割れる。割れることで、衝撃を散らしてもいる。だから、二、三度ほど、命を拾う、というような使い方をすることが多く、交戦中に、ずっと身を潜められている、という代物ではない盾の方が多いだろう。
シーマが、ゲルググマリーネの盾を、二枚重ねにしていたのも、守りではなく攻めのためだ。強く、ぶつかりに行くためだ。旧式ザクの右肩にある、分厚い装甲に、使い方は似ている。
だから、まず相手の盾を奪う、というのが正しいやり方なのかも、分からない。これが自分のやり方だ、と思っているだけだ。初めてのモビルスーツ戦から、生き残るたびに考え抜いて、身に付けてきた戦い方だった。
今は、このまま撃墜するのだ、とまでは、相手に執着はしなかった。モビルスーツの撃墜は、優先事項ではない。盾を飛ばしてやったのは、意趣返していどのことだ。
最優先すべきは、モビルスーツ部隊が構築する防衛線の、突破。それは容易い。一気に、相手の隊を抜く。一度崩れてしまえば、背後からゲルググを、雪崩れ込ませられる。
抜けた先。目の前にいる、別の敵。うろたえ弾どころか、モビルスーツ自体の動きがうろたえている。新兵。そういう動きだ。自分が、やるような相手ではない。既にゲルググが一機、自分の後から続いている。二機、三機と入り込んでくるだろう。
モビルスーツなど、幾ら撃墜しても仕方がない。
三艦、来ているのだ。艦の方を、最優先するのは当たり前だった。
足下に、その三艦が視認できる。ペガサス級一艦。サラミス級が、二艦。バーニア。よく動いている。自分も、よく動かせている。目に入る三艦を、好きなように、このゲルググマリーネ単機で墜とせそうな気さえした。
「……よりどりみどり」
呟いていた。一気に距離を縮める。このゲルググマリーネには、それが出来る。アナハイム社のメカニックは拘りが強い。だからやはり、動きが速い。全ての挙動が、反応がいい。吸収されたジオニック社の社員も混ざっているのだから、ジオンの機体を預けられても、気の利いた改良はなされているだろう。
それだけに、馴れが必要なのだ。動きに対する、馴れ。性能が良ければ、それだけパイロットの技量も必要とされる。今はまだ、このゲルググマリーネは奔馬のようで、気を張っていなければ、シーマの手にすら余る代物だった。
「……オサリバンのやつは、私も試したいようだねえ」
笑った。アナハイム社の、窓口役の男の名。当然、表の窓口ではない。
試作機も実験機もパイロットを試す代物だ。そうでなければ、量産に移行できない。全体の戦力向上に価値がない、と判断されれば、どれだけの高性能機であろうと、開発のレールからは容易く外されるだろう。試作機などに乗る人間は、全てがテストパイロット扱いで、フィードバックされる情報は最適化され、削られ、そして別の機体へと転化される。
好きなだけ、データを取らせてやる。そう思うと加速が乗った。
あとに続く部下のゲルググ。気にしていられなかった。
バーニアの性能もあるだろうが、全体の重量も加味された、この機体は、適切なバランスを持って改良されている。加速を乗せるまでの時間が、明らかに短い。比べものにならない、という訳ではないが、この速さはシーマを昂揚させた。
サラミス級に取りつき、艦橋を一撃で破壊した。懐に入られた艦など脆い。このゲルググマリーネなら、懐に入るのは容易い。
サラミス級など、どうでも良かった。ペガサス級。アルビオンと言ったか。それなりの打撃を与えたら、見逃してやろうと思った。ビームマシンガン。銃口を、指し示すようにまっすぐに、アルビオンに向けていた。
「手加減はしてやる。動くなよ、そこを」
肉薄する。背後で轟沈した艦など、忘れていた。もう一艦のサラミス級にはゲルググが取り付いている。すぐに、沈めるだろう。
アルビオンから、モビルスーツが一機。白い。ガトーが手こずったという、ガンダム試作一号機、ゼフィランサス。それぐらいは、ここで自分が墜としてやろうと思った。楽をさせてやると言った手前もある。何より、獲物を掠め取られたガトーが、どんな顔をするかに、興味があった。
敵の、ビームライフル。射線が乱れていた。
何だ、とシーマは判断に迷い、いったん、離れた。どう見ても、ゼフィランサスはふらついている。宇宙に、馴れていないのか。いや、パイロットのせいというよりも、機体のジャイロ設定が地上戦仕様のまま、設定を変えられていないのだ。
焦って、適当な機体を繰り出してきたのか。だが嫌なものも、シーマは感じた。
理屈ではない。肌。ひりついている。ノーマルスーツの下で、体中に嫌な気配が這い回ってきている。部下のゲルググが、突っ込んでいったときに、やめろ、と言いそうになった。簡単に撃破できる相手に見えたが、そう見えるというだけだ。
パニックに陥って、引き金をガチャ引きしているだけの、乱射。
そうとしか見えなかった。ただ、ビームライフルを、振りまわしているだけだ。だが、シーマの目の前で、ゲルググ一機が撃ち抜かれ、撃破されている。赤子のような動きをしていても、相手はガンダムなのだ。舐めてかかっていい相手では、ない。
機体を一機、失った。独立独歩のシーマ艦隊では、一機といえども、容易く失っていいものではない。
油断などしているからだ。パイロットの部下が死んだことよりも、機体を失ったことに、苛ついていた。それを、冷たいとは思っていない。自分も、ここにいるのだ。ザンジバル級の艦橋に、いるままであったなら、少しは気を遣ったかもしれない。
やはりガンダムの火力は、鬱陶しい。ここで墜とすべきだった。ペガサス級の処理は、そのあとだ。だが優先するほどのことか、というほどに、ゼフィランサスの不安定な動きは続いている。部下は、こんな奴に墜とされたのか、とシーマは不条理な気分になっていた。機体性能どころか、単に火力負けしただけのことだった。しかも、偶然の運、のようなものでだ。連邦には、そういうところがある。一年戦争でも、そうだった。
先ほどの、二枚重ねにした盾を撃ち割られたのも、不運だった。
幸運。それが連邦には常に味方するのだ。ジオンが負けたのは時の運だと、シーマは今でも思っている。それはやはり、不条理だった。
デラーズの演説。まだ、執拗に続いている。不思議と、やかましいとは思わなかった。それなりに、デラーズには、演説の才能があるのだとシーマは思った。
ビームマシンガン。まずゼフィランサスの左手を横から潰し、盾を弾き飛ばした。こちらの連射は、的確だった。ゼフィランサスの挙動とは、訳が違う。連続して叩き込む。盾を失ったゼフィランサスが躱しきれずに、宇宙で踊っていた。
盾を失った左腕。砕けて千切れている。もう一発はメインカメラがあるであろう、頭部に命中する。これで、撃破。そう言いたくなったが、撃破出来ていない。それからも、何発かいいものを当てているが、ゼフィランサスは粘っている。
幾ら型落ちの武器とは言え、この距離で、ビームマシンガンをあれほど当てられて、まだ撃破に至っていない。
連邦のモビルスーツ、とりわけガンダムの装甲は厚く固い。噂にだけは聞いていたが、これほどとは思わなかった。そもそも、ガンダムは本来、最も重要視されるべきメインフレームなど、余り重要視されて設計されていない。重要なのは、あの装甲なのだ。希少なルナチタニウムから、造られているという、ガンダリウム合金製の、ほぼ無謬に近い装甲。
何発当てても、砕けないのではないか。そういう不安がシーマの胸中を過っている。二枚重ねにしていた、このゲルググマリーネの盾。運悪く、当たり所も悪かったとは言え、それでも砕かれていたのだ。命中するとはそういうことだ。その常識が、まるで通用していない。
だが、左腕は、奪っていた。まともに、最適角で命中さえ、させればいい。そうは思っても、あの不安定な挙動が、逆に狙いを付けにくい。
ゼフィランサスからの、反撃のビームライフル。当たりはしないが、やはり鳥肌が立つ。頑健な装甲。あの装甲だけは、アナハイム社を幾ら脅そうと、賺そうと、横流しされまい。ガトーが奪ってきた、ガンダム試作二号機サイサリスは、きっと、更に装甲が分厚い。あの男が乗るサイサリスとは、戦いたくなかった。通常兵器では、太刀打ちもできないだろう。
そして、あの強烈な火力。望み通りに改造した、このゲルググマリーネを御しきっていたとしても、油断をすれば、やはり死ぬ。そしてやはり、こちらのビームマシンガンは、相手の装甲を抜けない。何発、当てているのか、シーマには分からなくなってきていた。
何故、あれで墜ちない。何故だ、と繰り返し胸中で叫んでいる。余りにも不条理だった。実戦で、命がけで積み上げ、磨いてきた自分のやり方を、こんな形で、全て否定されているのだ。このゲルググマリーネに、もっと強力な火力が必要だった。アナハイム社に払う資金を出し惜しみしている場合ではない、とシーマは思った。ビームマシンガンにこれほど、不満を覚えたことはない。墜とせないのだ。
サラミス級。沈むのが見えた。そちらに気を取られた。気持ちの、緩み。
ジムカスタム。横から、突っ込んできた。ゼフィランサスを庇おうとする動きに無駄がない。敵軍パイロットの質にまだらがあった。それが巧い具合に緩急につながり、その分だけ、こちらの反応が遅れる。考えてしまう。それで、ゲルググマリーネの動きが鈍るのが癪だった。
ジムカスタムの動き。間違いなく、歴戦であった。新兵を交えた部隊の動かし方、というものを心得ている。それを把握した時には、後続のゲルググを見事に一機、そのジムカスタムに墜とされていた。都合、二機の損失は看過できない。ゼフィランサス。あと一押しで、墜とせていた。いや、墜とせなければ、納得がいかなかった。だが、その現状に繋がれる気は、シーマにはない。
シーマとて歴戦である。モビルスーツ乗りとして、中佐にまで上がったのだ。ガトーのように一年戦争のあと、アクシズに授けられた肩書きではない。
撤退。思った時には、部下にそう指示していた。
見逃すしかなかった。機が熟していない。運。そういうものが、やはりこちらには味方しない。執着せず、シーマは引き下がっていた。拘れば、どう転ぶか分からない。ゼフィランサス一機と引き換えに、全てを失う気は、シーマには無論ない。
サラミス級二艦を轟沈。ゼフィランサスは仕留めきれなかったとは言え、大破させている。上出来だろう、と思うしかなかった。ガトーなら、ここでアルビオンまで、完全に沈めようとしていた筈だ。
それはやりすぎなのだ。連邦を本気にさせかねない。小競り合いていどのものなら、まだ腰を入れては来ないだろう。シーマがサラミス級二艦を轟沈させたのすら、本来はやりすぎなのだ。『茨の園』から目を逸らさせる。その程度で良かったが、そこはシーマの性格もある。やれるところまでは、やる。
だが本格的な戦争状態に入るには、もう少し、時間が必要だった。しかし、自分の意志として墜とさなかったのではなく、墜とせなかった、という悔しさは、うっすらと沸いて出る。
部下のゲルググも素早く、自分の後に従い、退いている。
デラーズの演説。まだ続いている。そのまま、三年喋り続ける気なのか、とシーマは笑う。
恨み言のように、デラーズは、三年待ったと、繰り返し何度も何度も、述べている。
三年か、とシーマは思った。一年戦争終結から、三年が過ぎている。デラーズはそれに、拘っている。拘りすぎれば、負ける。今の自分のように、引き際で退くことは出来るのか。突っ込んでいくのでは、ないのか。シーマには、それは出来ない。しようとも、思わない。当たり前の判断だが、そこに何処か、怯懦がある。それも、間違いはなかった。怯えることは何も恥ではない。しかも、こんなものは飾りのような怯えではないか。備えていて、間違いはない。ない方が、おかしいのだ。
ガトーのようなものは、怯懦を恥と思うだろう。
だから、大尉止まりだったのだ、ともシーマは思う。
三年か、とまたシーマは繰り返す。遠くなったアルビオンが、モビルスーツ収容のための、ガイドビーコンを光らせているのが見える。最初から、見逃す心算だったとは言え、その余裕がやはり、癪だった。
デラーズの演説は、やっと終わろうとしている。言いたいことは言えただろう。その間に、こちらは、ゲルググ二機を失っている。それもまた、不条理な思いがした。
ジーク・ジオン。
聞き慣れた言葉で、デラーズの演説は終わった。その言葉だけで、ジオンに属する者は誰もが動くことができる。身を捨てることさえ、出来る。
「……私には、とても出来ないがねえ」
自分を笑った。言葉一つで身を捨てられる。そんな連中が、少しばかり羨ましくもあった。
ザンジバル級に帰投する。ゲルググが三機、続いている。
敗戦か、という思いが過り、シーマはそれを振り払っていた。自分の戦場ではない。シーマの戦場はまた、別にある。それでも、モビルスーツ戦で、ということであれば、やはり敗北だろう、ともシーマは思った。
どうでもよくなってきていた。
相手とて、深手は負っているのだ。サラミス級と引き換えに、同じ数のゲルググを差し出したが、こちらが、サラミス級二艦を轟沈させ、ゼフィランサスを傷付けた分だけ、連邦の連中も負けたのである。
言いたいことを言い切ったデラーズだけが、この星の海で勝ったのかもしれない。
シーマは、そう思った。
小僧ども、今回で「星の海」の章は終わりだ。ここまでは下準備とも、言えるだろう。そして次からは、本当に俺が試されることとなるぜ。次章からこの物語は、少しずつ「俺の物語」になっていく。言わば次からが「私のガンダム」といったところだ。何が私のガンダムだ。お前のガンダムではない。それは連邦のガンダムだ。お前が開発資金を出したとでも言うのか。どうなんだ。まあそんなことは、どうでもいい。次章「フォン・ブラウン」からの物語に期待してくれ。小僧ども、まだまだ物足りないぜ。