ゼルダ「リンク……リンク……その挙動は何なのですかリンク」   作:お前の母ちゃん終焉の者~!

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思い付きで雑に作ったので粗が目立つかもしれません。


リンク……リンク……??

 ────今は昔。荒廃した今日から、百年も過去の話。

 

 ハイラルにおいて栄華を誇った大国、ハイラル王国が滅亡した。

 太古の昔より伝わる厄災は、一夜にしてハイラル全土を終焉に導いたのだ。

 備えていたつもりだった。古代兵器"神獣"と、それを手繰る四人の英傑。

 地平を埋め尽くす無人兵器と、退魔の剣を携えた剣士。封印の力を持った姫巫女。

 …………出来損ないも混じっていたとは言え、対策は万全にしていた筈だった。

 

 だが、結果は違った。厄災の狡猾さを、甘く見ていたのだ。

 

 初めに、国家中枢であるハイラル城を掌握された。

 その次に、城内へ配備されていたガーディアンを鹵獲、運用を開始。

 各地に待機させていた神獣へと魔の手を広げ、英傑達を殺害。

 結果、退魔の剣の騎士は敗北。無才の少女を庇い、深手を負った。

 全ては私の責任。私のせいで、百年前、ハイラル王国は滅亡してしまった。

 

 けれど、まだ。────まだ、希望は残されている。

 

 回生の祠。古代シーカー族が残した遺物。ハイラルに残された最後の希望。

 妖しく光る浴槽の中心で、規則的な呼吸を続ける少年の姿を私は()ていた。

 名を、リンク。かつての私の騎士。退魔の剣を携えた、元勇者の少年。

 かつての戦いで負った致命傷を治癒する為、彼はここで百年の眠りついていた。

 …………そして今。彼の肉体は完治している。起こすのならば、今だろう。

 

"──────目を覚まして…………目を覚まして、リンク"

 

 私の声に応えるように、彼はゆっくりと目蓋を持ち上げる。

 治癒液が引いていくと同時、緩慢に起き上がった上体。

 混乱したように周囲を見渡す瞳は、彼がここに運び込まれるまでの記憶を失った証。

 …………分かっては、いた。あの日、私の騎士でいてくれた彼は、もういない。

 罰だろうか、などと私が考えていれば、彼は即座にシーカーストーンへと走り出した。

 百年間も眠っていた割に、意外と目覚めが良いんですね、この人。

 

"それは、シーカーストーン………永き眠りから覚めた貴方を、導くでしょう"

 

 前方の扉が開く。彼は迷わず────近くの壁へと走り出し始めた。

 

"…………? ………………??"

 

 リンク? 壁に突撃するようにして走り込んで一体何を?

 真下に向かって望遠鏡機能を使ってど────リンク!? どこに行ってるのですかリンク!?

 今壁をすり抜けましたよね!? こう、スルッと、落っこちるみたいな具合に!

 というかそこはどこなんですかリンク! 回生の祠の横の空洞なんて初めて知りましたが!?

 何ならその空間出れるんですか!? 明らかに出口とか無いですよね!? リンク!?

 

 私の混乱の絶叫など聞こえない様に……事実聞こえていませんが……何故か冷気のある空間で、何故か指をしゃぶりながら、彼は壁面(?)をよじ登っていきます。

 

 そして、入った時と同様に、臆面もなく大地をすり抜け、不明な空間を抜け出しました。

 呆然とする私を置き去りにするように、勢いそのまま、彼は一直線に走り続けます。

 雪山を。裸で。寒さに震えながら、指をしゃぶりつつ。

 そうして彼が足を動かした先に見えてきたのは、赤ボコブリン達の住処でした。

 …………な、なるほど。一刻も早く魔物を倒したい気持ちが逸ってしまったのでしょう。

 

 血の気の多かった彼なら有り得…………リンク? 明らかにバレてますよリンク?

 回収出来たモノは鍋の蓋とボコ槍だけですか────え、逃げるんですかリンク!?

 一度態勢を立て直すとか、そういう逃げ方じゃ無いですよねコレ! ガチですよねリンク!?

 盾サーフィンで優雅な逃亡~じゃないですよ!? 何しに裸で突貫したんですか!? 

 き、軌道修正! リンクの様子がおかしいです、取り敢えず塔へ誘導しなくては…………!

 

"……リンク……リンク。シーカーストーンの、マップに示された場所へ向かうのです"

 

 彼は確かに私の言葉を聞き届け、跳び上がるように走り出した。

 よ、よかった。ちゃんと今成すべき事を分かってくれ………………リンク? リンク!?

 時の神殿のガラスを、割るでもなく貫通したのはどういう原理なのですかリンク!?

 あと、宝箱から手に入れた弓と転がっていた壺で何をするつもりですかリンク??

 なんで矢と壺を同時に持った状態で弓を引いて────何故それで飛行するのですかリンク!?

 明らかに世界の理を無視…………なんでお尻を振ると加速するんですかリンク!?!?

 

 私の困惑も届かないまま、ものの数秒で、彼はジャ・バシフ(リモバク)の祠へと辿り着きました。

 

 …………もうこの際、何故落下しても痛がる素振りすらないのかは問いませんが。

 残念ながら、シーカータワーを起動しなければ、祠も起動しないのです。

 祠そのものの機能が休止している以上、シーカーストーンがあっても…………リンク?

 いくら祠の壁に向かって盾サーフィンを繰り返しても、壁は…………リンク? リンク!?

 ヌルッと不可壊の壁を貫通しないで下さいリンク! なんでそう壁を抜けたがるのですか貴方は!? 

 というか、仮に壁を抜けたとしても祠の機能は…………リンク!? イケるんですかリンク!?

 さも当然のようにエレベーターで降りて行かないで下さいリンク! 導師的にアリなんですかこれ!?

 

 祠は自身を起動したと勘違いしたのか、蒼白い輝きを放ち始めます。

 実を言えば、私には、この中で起きた事を()る術がありません。

 この中で起きた事の全ては、試練を課す導師と、それを打ち破る彼の二人だけのモノ。

 私の力が及ばない場所。私にできる事は、ただ武運を祈…………え、もう出てきた。

 まだ一分も経っていませんよリンク? そんなに簡単だったのですか?? 何したんですか??

 

「ふぉ~っふぉふぉ~い!」

 

 不意に。陽気な声と共に、パラセールで彼の傍へと立った人影がありました。

 正体を隠したお父様。突如起動した祠に異常事態を悟り、様子を見に来たようです。

 しかし、これは困りました。リンクには既に、飛行手段と落下ダメージ無効化手段があります。

 パラセールなどではとても交渉には…………え、欲しいんですかリンク? 本当に??

 明らかに滑空以上の移動手段がありますよねリンク? 本当に何故…………?

 

 い、いえ。まぁ、好都合です。このまま克服の証を────リンク? リンク!?

 

 一瞬目を離した隙に現れたビチビチ跳ねる魚たちと宝箱は何ですかリンク!?

 何故ツルギゴイだけ取るのですかリンク!? あと宝箱は回収しないんですかリンク!?

 というかリモコンバクダンを手に何を…………それでも飛行できるんですねリンク!?

 ────って、アレ、アレ塔ですよリンク! すぐ横通りますから寄って…………いかないんですかリンク!?

 凄まじい速度でマ・オーヌ(マグキャ)の祠に着きましたが…………もしかしてまた壁抜けするんですか!?

 あれ導師とか怒らないんです!? いや、そもそもなんで起動を…………!?

 

 私が混乱している横で彼は祠へとめり込み、そして一分もせずに帰って来ました。

 

 流れるように台地の壁上へ行き、またもお尻振り飛行法へ。

 徒歩であれば数時間とかかるやもしれない距離を、一瞬にして詰めていきます。

 …………半裸の男性がお尻を振って加速する、という部分に目を瞑れば、優秀な移動手段なのかもしれません。

 暫くして、始まりの台地東部、ワ・モダイ(ビタロ)の祠のほぼ直下の森で、彼は停止しました。

 幾本か生えていた針葉樹をスルスルと登り、頂上へ。

 

"………………??"

 

 あの、そこから飛び降りたら危な────リンク!? 大丈夫ですかリンク!?

 なぜ急にリモコンバクダンで自爆したんですかリンク!? 岩場に身体打ち付けてましたよ!?

 というかアレってあんな風に人を吹っ飛ばせる威力のモノじゃ無い筈ですよねリンク!?

 もしかしてですがリンク! 今のを使って祠をクリアしたりして無いですよね!? リンク!?

 え、本当にやったんですか!? よく導師は克服の証渡してくれましたねリンク!?

 シームレスに壁を抜けて祠内部へ行かないで下さいリンク!? リンク!!!

 

 …………やっぱり一分もしない内に彼は戻って来ました。クロです、この人。

 

 彼は白々しい無表情で近くの岩をビタロック(停止)させ槍で何度か叩き、直上へ飛ばしあげました。

 ………………あ、今のは正しいシーカーアイテムの使い方でしたね。

 明らかに邪道な立ち回りしか見ていなかったので、混乱してしまいました。

 そうですよね、シーカーアイテムの使い方は、リモコンバクダンで木を吹き飛ばしたり、その切り株とバクダンを利用して空に浮く事…………ではありませんよリンク!!

 虚しくも私の声は届かず、彼の行く先は最後の祠であるトゥミ・ンケ(アイスメーカー)の祠へ定まっていた。

 

 はぁ。まさか、シーカータワーを起動することなく祠巡りを終わらせ………待ってください?

 

 私、百年前に祠が起動しなくて困ってるって話しませんでした?

 彼は今、記憶という記憶を失っている筈です。あるのは本能と、手続き記憶のみ。

 という事は、何ですか? 困ってる私を横目に、"あー、この壁抜けれるなぁ"とかを本能で考えてたって事ですかリンク!?

 リンク!? 聞いていますかリンク!? なんで若干気まずそうな顔してるんですか!?

 聞こえてますよね私の言葉!? 確かにあの時の私は態度が悪かったですが、そこまでしますか!?

 ────あ、いよいよですねリンク!? 正面から壁を通り抜けだしましたねリンク!?

 逃げないで下さいリンク! 貴方にはこれから私からお小言が…………ぐっ、行っちゃいましたか。

 

 しかし。出てきた所を狙い撃ちにするだけです。覚悟しておいてくださいねリンク…………!

 

 そして、予測通りと言うべきか。彼は一分も経たずに彼は祠から出て。

 けれど私の言及は、空から降って来たお父様によって遮られてしまった。

 私がお父様に対して抱いている感情は複雑ですが、今日ほど敵意の乗った日は有りませんね。

 …………暫くして時の神殿を示した老人は消え、後に残ったのは半裸で寒さに震える彼だけ。

 憤る気力もなくなり、お尻を振りながら時の神殿跡地へと向かう彼を()ることにしました。

 

 日が暮れるよりも早く神殿跡へ辿り着き、不明な方法で着地の衝撃を消した後、彼はお父様に相対しました。

 

「──────我が名はローム・ボスフォレームス・ハイラル」

 

 語られたのは、百年前に起きた厄災と、彼自身の事。

 記憶の不確かな彼に語れば、錯乱してしまいかねない内容なのは間違いないでしょう。

 ………………尤も。彼の起床後の様子を見るに、杞憂だったようにも思えますが

 お父様が指し示したのは、カカリコ村。インパがまだ存命ならば、力になってくれる。

 記憶を取り戻す手がかりとするのも良い、どちらにせよ、彼に王城は早すぎますから。

 

「では。頼んだぞ、リンク…………」

 

 お父様が消えるのと同時、彼はパラセール………に、手を付けることなく、いつもの方法で移動を開始しました。

 

 相変わらず凄まじい速度で────あれ、カカリコ村はそちらの方向ではありませんよリンク?

 そちらにあるのは平原の塔か、若しくは………………王城(こっち)に向かってるのですかリンク!?

 嘘ですよねリンク!? 迷いの森に用があるとかですよね!? 本丸(ここ)じゃないですよねリンク!?

 流石に無理ですよリンク!? 貴方の肉体は百年前よりも非常に衰えていて…………聞いて下さい!?

 リンク!? 完全に城の圏内に入っちゃいましたよリンク!?

 こんな速度で来られるとは思わなくて、城内の空間が歪んじゃってますよリンク!?

 その隙を突いてモリブリンを不意打ちして武器を入手…………騎士道はどこ行ったんですかリンク!?

 

 あ、今ようやくガノンが侵入に気が付きましたよリンク! 厄災の動揺が伝わってきますリンク!!

 

 混乱する私達を他所に、彼は指をしゃぶりながら探索を続けます。

 隠し部屋から、プルア達調査隊の物資である古代兵装の矢を発見したり。

 恐ろしく危険な黒リザルフォスに騙し討ちを決め、武器を奪ったり。

 近くの料理鍋へ、おもむろに矢で火を点け、突如魚を焼き始めたり。

 

 リンク…………リンク…………私はもうキャパオーバーで──────リンク!?

 

 シームレスに壁抜けするのはやめて下さいリンク! 一体どこに居るのですかリンク!?

 最早盾サーフィンすら使いませんでしたねリンク!? というか王城の壁でも出来たんですねリンク!? 

 もしかして百年前も、"お、あの壁抜けられるな"とか考えてたんですかリンク!?

 あの鉄仮面の下で!? そんな愉快な事を!? 一体どんな感情なんですかリンク!?!?

 正直私は貴方の事が分からなくなってきていますよリンク!!

 

 

 その後も彼は不意打ちと強奪と拾い物を続け、ついに本丸へと辿り着きました。

 

 

 ………………本当にここまで来てしまったんですね、リンク。

 入る場所が正面からでない事には、まぁ、この際ですから目を瞑りましょう。

 しかし、何故弓を構えながら小刻みに位置調整して…………あ、放ちましたね。

 その動作にワンテンポ程遅れて、風のカースガノンが神獣/ヴァ・メドーから召喚されました。

 百年前のモノよりは弱体化しているとはいえ、あのリーバルを打ち破った相手。

 

 如何にリンクと言えど、油断はできな────なんでこんなに頭ガクガクさせてるんでしょうか?

 

 分からないですが、凄く痛そ………………リンク!? 風のカースガノン死んじゃいましたよ!?

 え!? 今ので終わりですかリンク!? 何もしてませんでしたよねリンク!?

 リンク!? リーバルは一体どんな顔をすればいいんですかリンク!? 冗談ですよねリンク!?

 百年前とはほとんど別物とは言え、首ガクガクさせてたのに負けた事になるんですよリンク!?

 何事もなかったかのように水のカースガノン戦に移らないで下さいリンク!? リンク!?

 

 続いて行われた水/炎/雷のカースガノン戦ですが、彼は無傷で事を終えました。

 

 質量と手数。あの戦闘の中で、戦いに疎い私でも分かる事は、それだけでした。

 大剣の鋭さと重さに物を言わせた、遠心力の攻撃。見た目こそ単純、故にこそ凶悪。

 自身が大きく力を分け与えたモノが、尽く倒された状況に焦ってなのか。

 胡乱な繭が躍動する。彼を外敵と認め、私の封印を食い破らんと有形のカタチへ。

 ………………厄災は、未だ不完全のまま、常世に復活を遂げようとしていました。

 

"リンク………ごめんなさい、私の力ではもう──────ガノンを"

 

 厄災が、産まれ落ちる。玉座の間が落下する。

 蜘蛛にも似た怪物と相対したのは、半裸で指先が涎まみれの少年。

 最悪なのは、この戦場。リンクの異常行動は、何らかの段差が鍵になっているのは、私でも分かる。

 平坦な足場。高い天井。当然のことながら、神獣たちによる支援も期待できない。

 孤立無援、まして一度でも直撃を食らえば命の保証はない、絶体絶命の状況。

 

 リンク、如何に貴方であったとしても、この局面は────あれ、普通に圧倒してませんかリンク!?

 

 的確に相手へ損傷を与えながら無傷ですよねリンク!?

 上等な武器を惜しげもなく使っているのも要因でしょうが、ガノンに何もさせてませんよリンク!?

 あ、ま、待ってくださいリンク! そのビームは…………弾き返せるんですかリンク!? それ本当に鍋の蓋ですか!?

 リンク!? 仮にも世界を滅ぼす厄災ですよリンク!? こんなあっさり勝てて良いんですかリンク!?

 

「██████████──────!!!」

 

 ガノンが燃えるような何かを纏う。ここから本気、という事でしょうか。

 この先はリンク、幾ら貴方でも────リンク!? 殴り倒してますねリンク!?

 何故グルグルした後に剣を地面に叩きつけると装甲が剥がれるんですかリンク!?

 リンク!? これを繰り返すつもりですかリンク!? いや勝てるのなら正しいのですけど!!

 こう、なんというか、百年間の宿業的な、エモーショナル的なのあるじゃ無いですかリンク!?

 あ、終わりますリンク! 厄災が明らかに弱っていますリンク!! グルグルで終わりですリンク!!

 

「███████──────!?!?」

 

 肉体を保つ事すらできず、瘴気を舞い散らしながら厄災が四散します。

 螺旋を描く邪気は、宙へと浮かび上がり。そして、ハイラル大平原に集積しました。

 私の力で、今一度彼を厄災の元へと呼び寄せる。…………きっと、ここが決着でしょう。

 

"ガノン。遥か古代に生まれ、幾度滅ぼされようとも復活を繰り返す、憎悪と怨念の権化"

 

 割れた蹄。全身を覆う…………否、全身が怨念で象られた魔獣。

 悪意と殺意に満ちた角と、完全に理性を失った咆哮が大気を震わせて。

 復活を諦めない妄念から暴走した姿。世に放てば、百年前を超える悲劇を生んでしまう。

 ────絶たなければなりません。例え、この力の全てを枯らせたとしても。

 勇者が携える事によって真価を発揮する、束ねられたハイラルの希望。"光の弓矢"

 

"今、貴方にどれだけの力と記憶を取り戻せているか、私には判りません…………"

 

 でも、私は貴方を──────貴方の勇気を、信じています!

 

 これが最終決戦。今、世界の命運が、彼と私の手の中にあります。

 リンク、ガノンは全身を怨念で………………リンク!? 何ですかその腑抜けた顔は!?

 今から因縁の決着ですよ!? 何"完走した感想ですが~"みたいな顔をしてるんですかリンク!?

 ここで失敗してしまえば、貴方の旅路を否定する事にも繋がってしまうんですよリンク!?

 …………む、急にやる気を出しましたね、リンク。結構な事ですが。

 

 私がこれから怨念を抑え────リンク!? もう既に全部撃ったのですかリンク!?

 

 仕事が早すぎませんかリンク!? ならこれも…………展開してすぐ撃ちましたねリンク!?

 の、残りいち……………ゼロ箇所になりましたねリンク! これで致命的な隙が出来る筈です!!

 直後、魔獣ガノンの額が裂け、巨大な目玉が露出されました。

 私の直観と、巫女としての全てが、アレをガノンの中枢であると告げていました。

 刹那──────寸分の狂いもなく。彼の手によって、ガノンの核は砕かれました。

 

 ガノンによる拘束も解け、私は百年ぶりにハイラル平原へと降り立ちました。

 最早ここにあるのは、ハイラルへ満ちていた怨念の受け皿、器のみ。

 まして、それすらも数刻の後に跡形もなく消え去ってしまうのだから、救い難く。

 百年の宿業。災禍の魔獣。抱いた感情は、憐憫だけでした。

 ガノンに許された悪足掻きは、最早。私の中の残り火にさえ抵抗できないような有様で。

 

 意外なほど、あっさりと。私の手、たった一度の破魔で、決着しました。

 

 背後には、彼が居ます。半裸で、指が涎塗れで、お尻で加速する彼。

 私がずっと見守って来た彼。…………確かに私はリンクの運命や苦難や戦いを見てはきましたが。

 なんというか、こう。想定されていなかった運命と苦難と戦闘というか。

 彼が目覚めてからの二十四時間弱で、私の百年の常識が音を立てて壊れていくような旅路でした。

 ────けれど、どこか、不思議と。私は、貴方がハイラルを救う事を、疑いはしなかったのですよね。

 

「ありがとう、リンク。ハイラルの勇者──────私を、覚えていますか?」

 

 

「しらない」

 

 そうでしょうね!!!!!!!!!!

 

 




後編は気が向いたら書きます。
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