ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜 作:モノイクロ
アニメや漫画、ゲームなどをしている内に自分も何か話を作ってみたくなり、小説を書き始めてみました。
稚拙な文章と妄想全開の作品ですが、目にとまり、少しでも読んでくだされば、ありがたいです。
「無事に
荷馬車に揺られ、澄んだ青空を見上げながら一人の男はボソッと呟く。
背丈は175㎝。
20になったばかりの男性である。
「何か言ったかい、おにいさん?」
すると男と同じ荷馬車に乗り合わせた女性が質問してきた。
その男性と歳はそう変わらなく、髪は肩幅より長いタンポポのような薄い黄色。
荷馬車を乗り合わせる時によろしくと少しの挨拶をした男にたいしても愛想の良い顔で微笑むのはまるで少女のよう。
野原に生えている緑色の草。 それは彼女の瞳と同じ色であった。
吹いた風で優しく、穏やかに揺れる草のような気質を持っていると男は思った。
「いや、独り言だ、気にするな。」
「え~気になるよ~。」
男はほっといてくれという思いを込めながら返答したのだがこの女性は、そんな思いはなんのその…。
質問の返答をつめてきた。
「…」
男は少し身構えた。
とある事情で自分の素性を探ってくる者には常に警戒をしなければならない状況に彼はいた。
大きく体勢を変えてはいないが、瞬時に飛び退けぞる為に自分の足に意識を向け、相手の全体を見る。
何かしてくるのを見逃さない様に…。
「ちょっとちょっと、そんな怖い顔しないでよ!
なにもしないよ!?」
「そういう判断は俺が決める事だ。
なぜ俺について聞こうとする?」
「それは、人の人生を聞くのが趣味なんですよ、わたしは。」
「は?」
予想外の返答が返してくる女性。
男は一瞬、あっけにとられてしまった。
「ほら、さっき私達がいた港。
あそこにも何百、何千って人がいてさ…世界にはもっと、もーーーっと…亜人種とか高い知性を持ったモンスターとかも合わせるとどれだけいるのかわからないじゃない?」
「まあ、そうだな。」
「そんなにたーくさんの人達がいるけど、皆んな1人1人にね、物語があるんだよ?」
「物語?」
「そう!
1人1人に外見、性格、思想とかがあって、その人達が自分の人生を歩んで生きてる…その人が生きた人生を記憶してそれが思い出になってたら、それって本に書いてあるような立派な物語だと思わない?」
彼女は目を輝かせながら男に力説する。
自分の好きなものを誰かと共感したい…そんな期待に満ちた思いをのせて。
「そしてわたしは、そんな面白い物語を詩にして、メロディを付けて、みんなに聞いてもらってるのですよ。」
フンスと胸を張り、そう語る女性。
(何が面白いのかわからん趣味とモノの見方はともかく、この女…恐らく嘘をついてなさそうだ。)
男は少し警戒心を下げる。
(まあ、陽ノ本出て、10と数日…。
向こうは俺の事を探してるかもしれんというだけだ。
仮に探してるとしても国外に出てるんだ…先回りされてる事なんてない筈だ。)
まだ、そこまで自分が切迫詰まった状況ではないと思い、男は行き過ぎた警戒を緩める。
(まあ、追手でないにしろ、身包み剥がしかもしれんし、ある程度の警戒でいいだろう。
まあ、生憎こちとら文無しのすかんぴん…売れる物があったらこっちが聞きたいぐらいだ。)
自分の懐事情は切迫が詰まっているなと彼は心の中で失笑し、女性に話を振った。
「なるほどな。
旅芸人の類いといった所か。
しかし、歌うのはともかく音を鳴らすとは? 見たところ
「持ってるよー、これ!」
すると、彼女は自分の隣にあった、白いケースを取り出し、中を見せる。
そのケースには、美しくコーティングと装飾がされ、手入れも行き届いたバイオリンが入っていた。
「えへへ~すごいでしょ!
私の自慢の持ち物のひとつなのですよ。」
「確かに見事に
「バイオリンって言って、このボウを使って、弦同士を当てて引くんだよ。」
取り出したバイオリンで音を奏でる女性。
綺麗な音色があたりに響き、心地よくしてくれる。
「見事。」
「えへへ~ありがとう。」
聞いたこともない音なのだが、女性の技術も良かったのかその音色は男の耳と心に少し刻まれた。
「やっぱお兄さん東の人だね。
多分、
あの島国の出身、ちがう?」
「…さっきの鼓や三味線のくだりか?」
「まあ、それが1番だね。
私も音楽やってて色んな楽器の本読んで、その楽器を知ったけど、その楽器を使ってる人って、この中央大陸では見た事ないもん。」
「そうか。」
「後はおにいさんの服装も。
それって和装だっけ? 東の人の特徴だよ。
何か地味で目立たない格好だけど。」
女性は男の服装を見る。
上衣も野良袴も目立たないような紺色であり、夜になれば見失ってしまいそうな姿である。
「そうだろうな。 でも、俺からしたらお前さんのそのヒラヒラした格好もおかしく見えるがな。」
「えー!普通だよ!?」
彼女の服装は、緑色のワンピースの上にアジアンなポンチョを羽織ったいた。
靴は茶色いブーツ。自由な風を思わせる吟遊詩人のような風貌だ。
「こっちの国ではこんな服装の女の子、なんていっぱいいるんだから。
可愛いでしょ?」
「知らん。」
「うぅ…なんて素っ気ない…。」
女性は涙目になるが男は興味なく、馬車の外を見つめる。
「ちなみにおにいさんは何処に行く予定なの?
わたしはフリーリアって都市。
この荷馬車が荷物を届けてくれるからそこまで行くけど…。」
「そうか。
俺にあてはない…。
ただ、まあ、次の到着地で護衛してくれって言われてるからそこで降りようと考えてる。」
金品の類いを持っていない男。
荷馬車に乗せてくれるように頼んだ際、馬主が次の場所で荷下ろしする際と街に出る時までの護衛をしてくれるなら乗せていくという条件で男はこの馬車に乗せてもらったのである。
「え?次で?」
「なんだ、何かあるのか?」
「いや…何かっていうか…その…。」
言い淀む女性を不思議に見るが彼自身も馬主が見知らぬ相手に護衛を付けるぐらいなのだから何かあるだろうとは男も薄々感づいていた。
「止めといた方が良いと思うよ? 次の街はクワール街って言って、この国で一番治安が悪い街だよ。」
「物騒な所なのか?」
「うーん…私も近づかないようにしてたから何とも言えないけど…。」
彼女が今から着くクワール街について話す。
クワール街
治安が無く、国認可の警備隊があるにも関わらず、怪しい店が何店もある。
表の大通りに出ても喧嘩沙汰など日常茶飯事であり、もっとひどければその喧嘩してた片方の死体が裏に転がっているなどといった事もある。
一般人もその街に住んでいるが荒くれ者や賊、素性の怪しい人間などが圧倒的に多い為、一般の良識ある人間はまずこの街に残っておらず、居てもやむ得ない事情などで出て行かない人達がほとんどである。
「なるほどな…確かに普通の人間なら行かないな。」
「でしょ? だから…。」
「いや、今の俺には都合が良さそうだ。」
「え?」
男は少し笑う。
その笑いは嘲笑気味であり、自分に対してなのか…。
「まあ、どちらにせよ、こっちは文無しなんだ…。
荷馬車の主人に手間賃、一銭も払えん立場だからそんな土地でも行くしかないんだよ。」
「そんな…クワール街の次の街までの護衛とかでもダメなの?」
「クワールの街とやらで仕入れもするし、俺の腕もあの人からしたら不確かだ。
素性もわからんもんだし、向こうも長くいたくあるまい。」
他人事の様に男はそう語る。
見知らぬ人間に無償で親切をしようなどとはあまり思わないもの。
それに相手は商人、打算的な人間が多いものだと男は最初から思っていた。
「おーいダンナ! もうすぐ、クワール街に着きますぜ!
乗ったからにはしっかり守ってもらいますぜ!」
「ああ、わかった!」
馬主の大きいダミ声に男は嫌気が差すが頼みを聞いてもらった以上、働かねければいけない。
男は隣を歩いて周囲を警戒しようと馬車を降りようとする。
「ンン~…。」
「おい、どうした?」
すると女性は怪訝な顔をしながら何やら悩んでいた。
「よし! おにいさん!
わたしもクワール街で降りるよ!」
「はっ? 何故だ?」
「なんでって、見知らぬ土地…しかもそこには悪い人達がたくさんいるかもしれないんだよ?
少しでも助けてあげなきゃわたし、今日ぐっすり眠れないよ!」
「なんだそりゃ。」
どうやら彼女はあまりいないタイプの人間だった。
「まあ、お礼っていっても大した事じゃないよ?
ただ、あの街について何か教えてあげれたらいいなって思っただけ。」
「いや、それでも十分助かるのだが…いいのか?
礼はしたくても出来んぞ?」
「んー…。
じゃあ、お礼はあなたの物語を聞かせてもらうっていうのは?」
「断る。」
「ちぇ〜…。
まあ、大した事しないって言ったばかりだしね。
任せてよ!」
「フッ…そうか。」
馬車の扉に手をかけ、仕事を始めようとした。
「あっ、ちょっと待って、おにいさん!
やっぱり、前払いでお礼1つして欲しいな!」
「なに? だから、俺は…。」
「名前! それぐらい教えてよ。」
微笑みながらその問い掛けに男はほんの少し考えが彼女に向き合い、口を開く。
「
それが一応、俺の名だ。」
「コクシマルさんね。
私は、ライナ。
ライナ・ウィズ・サンフラワー。
よろしくね。」
「ああ。」
自己紹介を終え、黒四円は馬車から出る。
(変わった女だ…。
まさか、この国の女はあんなのばっかりって訳あるまい。)
もしそうなら呆れると思い、含み笑いながら、馬主の横に着く黒四円。
「あれが街の…正門か?」
「だった…っすね。
酷いもんでしょ?」
日はまだ出ていて、明るい。
門が開いていて、おかしいという訳ではないが、クワール街の門は違い、扉はすでに半壊し、何が入ってこようが不思議にもならない状態だった。
「警備隊がいると聞いてたが、門の周りに兵も立たせんとはな。」
「いや、いるんでしょうが、昼寝か仲間内で博打でもしてんじゃねーっすかね?
まあ、何にしても入ったら頼んますよ?」
「ああ、任せておけ。」
ふうっと息をつき、黒四円は気を張る。
(新天地での初仕事が危ない街での護衛。
しかも、丸腰…。
忍をやめて自由を手に入れても、俺の第二の人生、難儀な物語らしい。)
溜め息を吐き、黒四円は気を張りながらクワールの門をくぐるのであった。
最初のお話をここまで読んでくださり、ありがとうございました。
昔、小説家になろうというサイトで小説を投稿していましたが途中でやめてしまいました。
いつ投稿するかも、やめてしまうかもしれない作者ですが、これからもよろしくお願いします。
○あらすじにも少し記載していましたが元々、R18作品として投稿していました。
お気に入りに登録していただいていた方達には申し訳ないのですが、向こうの方は削除し、こっちの方に投稿していきたいと思うのでどうかよろしくお願いします。