ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜 作:モノイクロ
現在、利用しているライナと
そうなった経緯は、ライナの大事な祖父母の形見であるバイオリンを黒四円が取り返した事のお礼と彼女が彼に惹かれたから。
「き・きれいになったよね? におわないよね?」
風呂場から出たライナは脱衣場にある洗面所の鏡を見ていた。
顔と体を凝視し、髪や脇の匂いなどを嗅いだりと余念のない、徹底的な最終確認がなされる。
「だ・大丈夫! 大丈夫だよ!! 大丈夫な筈だよ!!! というか大丈夫であって!!!」
何度も何度も自己暗示の言葉を繰り返しながら、体や濡れた髪をタオルで拭き取り、この館で用意してくれている、バスローブに身を包んだ。
(ふぅ…準備完了…。
大丈夫だよ! 1回だけだけど、私だって経験者なんだし!)
その経験も1回のキスと避妊有り1発だけの擬似本番で短いモノ。
(要は男の人のアレと繋がればいいだけでしょ! 楽勝だよ!)
破られた痛みも感じないほどに緊張していたのが彼女だ。
「はじまっちゃえばどうとでもなるよ!」
なにもせずに仰向けに寝転び、終わった頃に我に帰った彼女の初体験。
もう、はっきりいって、未経験みたいなもんである。
しかし、そんなことは関係なし。
空元気をだして、勢いのままライナは黒四円の待つ、プレイルームへと向かうのであった。
〜〜〜
「あ・上がりました〜///。」
「…ぅん? あ・ああ。」
モジモジと照れながら風呂から上がってきたライナに気付く黒四円。
少し瞼が落ち、ぼーっとした所を見ると彼はうたた寝をしていたらしい。
(な・なんで、そんなにのほほんと出来るの!?
わたしはこんなにドギマギしてるのに…なんか複雑…!)
彼のその余裕に少しムッとするライナ。
「眠いの? 長風呂し過ぎかなー?」
「ああいや、今まで濡らした手拭いで拭くか川の水で水浴びしかした事なかったから、湯に浸かるなんてした事なくてな。
湯浴みは最中もその後も心地良いものだな…眠気が出る。」
(あっそういうことか…。)
その理由を聞き、それではしょうがないと彼女は思えた。
「これならまた入りたいもんだが、風呂に入るのなんて、金が掛かるのだろうな。」
「そんなことないと思うよ?
この街にあるか分からないけど、わたし達が馬車に乗せてもらった港町に公衆浴場だってあったし。」
「なに? 風呂は金持ちしか入れないんじゃないのか?」
「あはは、そんなことないよー。
確かに家庭にお風呂を設置するってなったら大金が掛かっちゃうけど、公衆浴場は国が運営してるんだから、1回500〜700
「本当か!? うーむ…。」
そんな他愛ない話が色々と続く。
Café Mokuや朝ご飯を共に摂った時のように…。
和やかな時が…
「それでその街のこだわりコーヒー牛乳が美味しくてね〜。 旅してたらお風呂入らないことなんて多々あるけど、その街に留まった時だけは毎日お風呂に入りに行っちゃってたよ。
浴場キレイだし、コーヒー牛乳はそこでしか飲めないからついついね…。
お風呂上がりのコーヒー牛乳は最高なんだよ!」
「おお…! 俺もこの地に慣れてきたら行ってみるか。」
「絶対行くべきだよ! コーヒー牛乳は甘さが強いけど、クロまる君も気にいるよ。
いっぱい喋っちゃった…ちょっとごめんね。」
その後、2人は1時間ほど楽しくお喋りをし、主によく喋っていたライナは喉を潤す為にサービスで置いてある水を一杯飲んだ。
「俺も貰えるか?」
「はーい。」
彼女がグラス2杯に水を注いでいる間に黒四円は彼女の側にまで行く。
「はあ、おいし。」
グラスに入れた水を半分飲み、良い笑顔のライナ。
黒四円が注いでくれたグラスを手に取りつつ彼女を見る。
「そうか。 …大分、固さが取れてきたか?」
「ん?」ゴクゴク
「いや、婆さんの宿やここの近くまで来始めたら、口数減ってたからよ。」ゴクっ
「…!? そ…そうだった?」
「ふぅ…。 ああ。」
水を飲み終えた黒四円は、グラスを置き、横目で彼女に話しかける。
「最終確認だが、本当に良いんだな? 礼としての夜伽の相手。」
「………!」 ゴクゴク!
残りの水を飲み干してグラスを置き、赤面し、目を伏せつつもコクリとライナはうなづく。
「そうか…それじゃあ。」
「きゃっ!?///」
彼女を横抱きで持ち上げ移動する。
キングサイズのベッドの中央で彼女を寝かし、覆い被さる。
「あ/////。」
「うーむ…普段着の上からでもわかってはいたのだが、凄い乳だな…。
桃や瓜なんか比較にならん……つきたての餅?」
「ううぅぅ〜〜〜///// 変な例えやめてぇ〜…///。
大き過ぎて変かなって、ちょっと気にしてるんだからーーー///。」
「良いじゃないか。」
恥ずかしさで手で顔を隠すライナに黒四円は彼女の胸に顔を埋めた。
「ひゃあ!///」
不意にそんなことをされてしまい、驚く。
「女性の魅力のひとつ、変でもなんでもない。
ん…柔くて暖かい…。」
グリグリと顔を擦り付け、感触を楽しむ黒四円。
少しずつ彼女の着ているバスローブが乱れていく。
「んっ…/// クロ…まる君…///。」
口に手をやるライナ。
「ん? どうした?」
埋めた顔を上げ、ライナをジィっと見つめる黒四円。
「あの…その…お礼だから、こんなこと言うのは違うと思うけど…///。
優しくしてください………///。」
「優しいかどうかは分からんが…気持ちよくは出来ると思う。」
「あっ…♡」
そのまま彼女の首元に口づけをし、情事が始まる。
しばらくするとライナは、途中から自分が何をされているのか分からなかった。
揉まれ、舐められ、摘まれ、齧られ、抱かれ…。
息が出来なくなるほどの快感を与えられ、しばらく止められると再び襲いくる魔性の技術。
薬でも盛られたかと思いたくなるほどに自分の体が過剰に反応し、甘く狂ったように声が出る。
黒四円が触ってくる箇所はどこも触られたら気持ち良くなる箇所。
彼は彼女がどこ触ったら反応示すか目ざとく察し、タイミングを見て愛でられる。
後半は視界がぼやけ、頭がチカチカとしていた。
最後に彼の口から、1発目だ…という言葉を聞くと共に彼女の意識は遠くへと向かっていったのだった。
ーーー
「んん………ぅん?」
空が薄らっと明るくなりかけている午前5時前…。
自然と目が覚めてしまったライナ。
彼女が寝ていたのは1週間近く泊まらせてもらっていた友人宅の一室。
豪華に飾り立てられた部屋ではなく、素朴で見覚えのある安心する空間。
「あ…れ? なんで?」
夢でも見ていたかと思い、寝ぼけた頭でキョロキョロとあたりを見回した。
自分のバイオリンやあの時着ていた衣服が整えられて、元々置かせてもらっていた荷物の横に置かれていた。
「ん?服?」
それを見て、ふっと自分は何を着ているのか確認する。
ふかふかと手触りの良い着心地はアカレンガに置かれていたバスローブ。
やはり、昨日起こったことは現実なのだと彼女は思う。
しかし、これはあそこで貸し出している備品なのだが…。
「…………っ!!!???」
しかし、なぜ着ているかよりもそのバスローブ見た瞬間に顔が真っ赤になる。
寝起きでまだ、鈍っている思考も徐々に起き始め、彼との情事を思い出してきた際には一気に覚醒した。
「ああ…うう///
うううぅぅーーー!!!/////。」
ベッドに座っている彼女はくの字になり、恥ずかしさで悶え始める。
(えっ!?えっ!?えぇっ!? わたしわたしわたし、どうなってたっけ!?///。
クロまる君に胸やお股を本格的に触られはじめて…どんどん、なにかがこみあがって…耐えられなくなってきて…/// それが何度も何度もきて…///。)
思い出せば思い出すだけ自身の淫らな醜態を思い出し、顔から火が出るような気持ちになる。
「だってだってだって…初めてシた時、あんな感覚こなかったもん…!///
とにかく、緊張して、ちょっと痛いって思ったぐらいで…///。
それをあんな…あんな…! 痺れて痛くもあるような感覚だったのにもっとして欲しくて…///。
息苦しくて辛かったのに不思議な満足感と多幸感がきちゃって///。
あんなの知らない!/// 経験したことない!!!///」
あの時の感覚を思い出し、昔した初体験はなんだったのかと疑問を持ってしまう。
(すっごい恥ずかしい声出してた気がするし、表情も凄かった気がする!///。)
大きな快感のせいでうろ覚えの彼女だが事実そうであった。
後半は、涙だらけで目線を上にあげ、舌を垂らしながら、呂律の回っていない、まるで獣のような甘い喘ぎ声を上げていた。
第三者には決して見せらない乱れきった姿。
「ああぁぁぁーーーーー!/////。」
そんな姿を好きな人にいきなり見せてしまい、後悔するライナ。
ベッドの毛布に顔をうずめて、しばらく悶え始める。
そして、落ち着くまでに1時間。
目もすっかり覚めているライナは、とりあえずベッドから出る。
「うぅ…なんかフワフワする…///。」
達しすぎたり、腰が抜けたりしてたからか、疲れているのにスッキリとした異様な感覚にライナは不思議がる。
とにかく、私服に着替えようと荷物の方へと行く。
「うん? 何これ?」
するとバイオリンケースの蓋の隙間に紙が挟まっているのに気づき、取り出してみる。
そして、そこには短く素っ気ない文章が綴られていた。
[またな、良い旅路を 黒四円。]
そのメモ書きを見て、ライナは頬が緩む。
「えへへ…クロまる君らしい。」
それを優しく握りしめ、また会ってくれる気でいてくれることに喜ぶ。
彼女はまだ、彼を深くは知らない。
たった3度しかあった事のない関係性。
素っ気ない態度で冷たそうに見えるがあの謎めいた魅力に惹かれた。
そして、ちゃんと人を思いやれる心も持っている事をあの騒動で知れた。
(また、会いにくるから。)
素っ気ないメッセージが書かれた紙を丁寧に折り畳み大事にバイオリンケースにしまった。
「ただいまー。」
「ええ!? フ・フレイヤちゃん!?」
そして、不意に1階の玄関から声がした。
時刻は午前6時過ぎ。
友人の早い帰宅を予想出来ずに、慌てるライナ。
とりあえず、彼女が部屋に来る前にバスローブから私服に着替えなければと焦る。
危険な街に降りたが忘れられない思い出の旅。
ライナの旅路のひとつの物語が今、終わったのであった。
ーーー
同時刻に黒四円は、街の外にある川へとやってきていた。
彼はそこで川魚を捕っていた。
黒四円は、情事の最中に失神してしまったライナを友人の家に運んだ後、ギルドで依頼を受け、納品物を収穫した後、ここでしばらく仮眠。
2時間近く寝た後に目が覚め、今、少し早い朝飯を捕っていた。
(これを食ったら、夜まで依頼をこなすか。
あの
そう思い返しながら焚き火の準備をする。
彼女が明朝には友人に護衛をしてもらって帰ることを知っている黒四円。
寝てしまったのならともかく、気を失ってはいつ目覚めるか分からず、彼女が時間までに友人の所に行けるのか懸念した彼は友人宅まで運べば、最悪その友人が後はなんとかしてくれると思い、運ぶことを決めた。
しかし、裸で運ぶのは流石にまずく、かといって彼女が着ていた衣服を上手く着せることも出来ない。
だが、バスローブなら両腕を通してサイドの紐を結んであげれば、簡単に着せてあげることも出来たのでアカレンガの従業員に買い取らせてもらった。
高級品かつ店の備品なので普通なら無理なのだが、マラリアの名前や彼の必死の頼み込みで何とかツケでということになってしまったのだが…。
(一日働き詰めたら返せる額だし、特に問題ないはずだが、とりあえずは急ぐか…。
婆さんの宿に泊まれば、今日は文無しになるだろうし…。)
焼き魚を食べ終えた黒四円は、焚き火を消して立ち上がる。
「あいつはもう、起きただろうか…?」
一夜交じり合った相手のことを思い返す黒四円。
この地に降りて最初に出来た知り合いの女性。
馬車でいきなり話しかけてきた時、黒四円は警戒してしまったが少し話す内に彼自身の心が穏やかになっていく。
Café Mokuや2日目の朝食にアカレンガで談笑した時は好奇心も旺盛であり、特に他者のことに関して興味深々であった。
性交の際、経験はかつての恋人と済ましていると聞き、遠慮なくさせてもらったがまるで生娘のような反応で可愛らしく、彼は初めて女性を抱いていて、愛らしいと思えた。
(また会うのだろうか…?)
ふとそんな疑問が出る。
自分は他者を欺いたり、脅したり、殺し続けたりする世界にいた。
そんな環境で育ってしまったため、小さい時は疑問に思わずにそれをやり続けてきたのだが、自身が成長し、潜入で町民や農民、忍とは違う世界で暮らす人々を見て自分のやっている事に違和感を感じ始めていた。
皆が懸命に生きていた。
国で治めている町などでは流血沙汰などほとんど無く、笑いながらも他者為に生きてる人が大勢いたのだ。
そんな人達を見ていると、その人達はとても輝いているように彼は見え、同時に自分はなんて暗い場所にいるんだろうと感じた。
(今更、陽の下を堂々と歩けるのか?)
そんな風に彼は思うがすぐに無理だと悟る。
そんな陽の下を堂々と歩ける人達を何人と殺してきている。
人質相手に敵方の情報を引き出す際にそいつの子供をダシに使い、自白させ、共に送ったこともある。
(数夜の奴らは粗方始末したが生き残りがいれば報復にもくる…どっちにしても深い仲になればあの子に迷惑がかかる。)
好き勝手に自由に生きようとしている彼だがツケは必ずやってくる。
この世では過去の鬼畜な行いに悩まされ続け、あの世に行けば自分は灼かれ続ける…それで自分のやった悪行の報いはようやくトントンぐらいにはなるかなと彼は勝手に思う。
(しかし…また…。)
そんな風に内心自身を自嘲気味に責めるが出来ることならと願う。
純情で明るくて優しい、向日葵のような彼女にまた…。
「会えるのかもな。」
そんな願いと確かな予感を持ちつつ、次の再会が楽しみにしつつ、彼は依頼品が入ったカゴを持ち、クワール街へと戻る。
陽が出始めた。
第弍の