ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜 作:モノイクロ
クワール街で営業している一軒の娼館。
そこの1部屋を借りたカルに連れられたエリエはソファに座り、待機していた。
(ふーん…割と大きな部屋……手持ちがあるっていうのは嘘じゃなさそう。)
部屋のグレードを見て、彼の懐事情を理解するとエリエは、カバンから小さな小瓶を取り出した。
これは彼女の手口である。
この街に来た時に警備隊やギルドの上司達に体を売ったので彼女の身体はもう、綺麗とは言えないだろう。
しかし、よく知りもしない男性に抱かれる事などやはり気色の悪いものである。
なので彼女はこうして、何種類かの睡眠薬を一服盛り、手や○股でした後、もしくは最中に相手は眠りに落ちるのでそのまま前払いで頂いた金を持って退散という風にして本番を免れている。
報復などもされかけそうになったが、警備隊との関係をここに来た時に構築して、後ろ盾を築いておいたので、そう言った被害は彼女は未だ0であった。
(今度、モモの紹介で金を払うだけでトラブルから守ってくれるっていう、街の古株ギャングファミリーとの繋がりも出来て、もう最近は警備隊のクズ共も相手してないんだけどね。
簡単にヤらせると思うなよ…獣共が…!)
悪巧みな笑みを浮かべながら、部屋にサービスで置いてある酒を2杯のグラスに注ぎ、片方に睡眠薬を5滴ほど垂らした。
この量なら飲んで10分程で相手は眠ると考え、エリエは睡眠薬が入っていないもう一方の注いだグラスの酒を飲んだ。
「いやぁ〜! 待たせてごめんね〜エリエちゃん!」
カルは少し用事を済ませてくると言い、エリエにこの娼館の場所を教え、後から別々にこの部屋で合流するようにしていた。
そして、カルが部屋の扉を開けて声をかけてくる。
「全く、用事ってなんな…の………?」
すると彼とは別に5人程の男性がカルと一緒に入って来ていた。
「いやーごめんごめん、この人達、散らばっててさあー。」
カルは悪い笑みを浮かべる。
明らかに全員、カルよりは歳の離れた上のおっさん達であった。
「はっ…? いや…なんなの…?」
「んー? この人達、俺が入ってる作業者グループのメンバーの人達ぃ。
今日の女、当てがってあげたんだよ。
いや〜、良い小遣い稼ぎになるよ〜〜〜実際。」
「はぁ!?」
「まあ、良いじゃない良いじゃないエリエちゃん。
プレイ料金はさっき俺が言った分しか出さないけど…嫌なことあって忘れたいなら、このおじさん達が気持ち良くしてくれるって! 多分…。」
「ふ・ふざけんじゃないわよ!?
なんで、アタシが父親ぐらい歳の離れたおっさん5人を一気に相手にしないといけないのよ!?
いくら貰ったってお断りよ! 帰るわ!」
さっきまでの酔いもすっかり醒め、エリエは荷物を持って帰ろうとするが…。
「おいおいギルドの嬢ちゃん? はいそうですかって言われて通してもらえるとでも思ってんのかい?」
「はっ?帰るに決まってんでしょ?
どきなさいよ、アタシに無理矢理手ぇ出したらどうなると…。」
言い終わる前に塞いだ男がすかさずエリエの頬を平手で殴った。
「っ!?」
「知るか!!! どうなるってんだよ!?」
「いやっ…!」
そのまま、1人2人と彼女の体を掴み、強引に部屋の奥へと戻っていく。
「前々からこいつの態度が腹立たしくてしょうがなかったんだよ!!!」
「ああ、俺なんか前に薄汚えオークって言われたんだ! 勘弁ならねえ!」
「むぅ…アイツが連れて出て行ったわしの娘も、今この娘ぐらいになっているのか?」
「なんだよ、急にしけた話を…?」
「いやいや、やっぱりわしが育てて、自分で使うか娼館に売り捌けば良かったかと思ってな。」
「はっはっはっ!なるほどな! そいつは面白え!」
「はなせぇ!!!
このクソ野郎共ぉーーー!!!!!」
「犯せ犯せぇーーー!!! 全員、目標5回だぞーーー!!!」
「「はっはっはっ!」」」
「おーーーしゃーーー!!!」
「先ずは俺だーーー!!!」
「やだやだやだやだあああーーー! 離してぇーーー!!!」
「あーエリエちゃん? その人等が済んだら俺の相手もしてねー?」
「っっっ!?」
群がる中年男達の力強さやカルの容赦ない発言にエリエは絶望を感じ始める。
女性1人に対して、カル以外は50代近くではあるが現役で力作業や戦闘を生業にしている作業者の男性5人。
エリエも多少習い事で護身術を心得ているが5人でいきなり押さえつけられては為す術もない。
部屋のベッドで仰向けに寝かされ、両腕や両足を押さえられた。
「さーて、じゃあ、さっさと素っ裸にしていきますか。」
「いやあああぁぁーーーーー!!!!!」
服の胸元に手をかけられる。
(クソっ!クソっ!クソっ!!! もう、こうならないように上手く立ちまわってたってのに…!
ツケのように一気にくるなんて…!)
泣かないように目をぎゅっと瞑り、抵抗する為に歯を食いしばり力を入れる。
だが、無駄…。
流れに沿った今の定めは彼女の行いを目の前で嘲笑う男達と似たように冷酷に笑う。
(やだ…やだよぉ………。
お父さん…お母さん……誰か…助けて………。)
内の弱さが出てき、みるみると抵抗する力も抜けていくのだった。
(あーあ…おっさん共の汁まみれになるのか…。 終わったら、一回洗いに行かせるか…。)
空いた部屋の出入り口の前でそう考えているカル。
すると後ろに人影が…。
「なあ、どうゆう情事をしてるか知らんが…事の最中なら扉を閉めたらどうだ?
開けっ放しだから、丸聞こえなんだが?」
「ん?」
カルの後ろには
時間は少し遡り、15分前…。
モモの情事の提案に乗った黒四円。
しかし、モモはギルドの仕事があったので彼は彼女が上司に話をつけて抜けられるようにするから、数時間後ぐらいにまたギルドに顔を出してと言われた。
空いた時間に依頼をこなして時間をつぶしていた黒四円。
エリエが部屋で待っていた時にモモと合流。
彼女が提案したこの娼館に連れられ、両者部屋に入り、モモが先に水浴びをしている最中であった。
待ちぼうけしている黒四円は隣の部屋が騒がしいのに気づいた。
ボロい長屋のように壁が崩れていたり、薄い訳ではないのだが扉や壁が特別厚い訳でもない。
片方の部屋の扉が開いていたら音は漏れるし、それが大きければ余計に聞こえてしまう。
人の情事の最中の部屋に押し掛けるなんて気が進まなかったが大声が止まる所かバタバタと大きな物音まで聞こえてくる始末だったので流石に一言、言わせて貰おうと隣の部屋へと向かった。
それが偶然、エリエが襲われかけている現場の部屋であった。
「ん? なに、お前?」
「っ!?」
「いや、騒がしいから少し…ん?」
エリエは出入口を見て、黒四円は中を見る。
2人の目が合った。
(ウソ!? なんでアイツこんな所に!?)
「…。」
エリエが彼の存在に驚き、黒四円も彼女の状況を見る。
大勢の男に押し倒されて半裸になっている。
「おいおい兄さん? うるさかったのなら扉閉めるからさぁ~、もう出てってくんない?」
「コクシマルさ~ん?」
「おぉ!?」
身綺麗にして戻ってきたが彼がいなくなり部屋の外に出てきたモモ。
際どいというかほぼ見えている淡いピンクのネグリジェ姿で出てきたのでカルは目を見開いて凝視する。
「…なあ? 男六人に対して女一人だけか?」
「ん〜? ああ、そうだよー。
でも、もう1人追加しちゃっても良いかもねー。」
「んん~?」
カルは黒四円のことなど無視し、モモを口説き始めようとする。
「なあ!」
「ああー?」
「んだー!?」
「エリエ・ゼン…だったか?」
「っ!?」
「そうされてるのは合意のうえか?
だったら、去るが?」
「っっっ!違うわよ!!! 助け…!」
エリエが助けを呼ぼうとした瞬間に…。
「ぐげぇ!?」
「がっ!?」
「うおっ!?」
黒四円は間合いを詰め、ベッドの左右横で立って居た2人を1人は首に手刀、もう1人は顎に掌底で沈め、彼女の股の間で覆い被さっていた男の後ろの襟首を掴み強引に引き剥がして投げた。
「野郎!」
エリエの腕を押さえていた残りの2人。
1人はベッドからすぐに降りて、黒四円に掴みかかろうとしたがその腕を取って向かってきた方に力を一旦逃した後に逆方向に素早く肘打ちを顔面に入れ、あっけなく倒れた。
「うっ…くそっ!」
もう1人は携帯用に装備しているナイフを取り出し、そのままジィっと警戒しながら黒四円に近づいていくが…。
「へっ…? ひぃ………ああぁー…!」
右手に持っていたナイフが彼の肩に刺さっていた。
その男は蹲り、それを見下ろす黒四円。
彼は瞬く間に距離を詰め、腕関節に手を挟み、ナイフの握った拳部分を下からかち上げた。
結果、前腕が関節通りに曲がり、ナイフを持ったままの手が肩にいった。
サバイバルナイフのようなサイズだが致命傷になるような部位ではなく、加減もして深く刺さってないので命に別状はない。
「あっ…。」
「お・おいおい…。」
「えっ…えっ…?」
「わ〜! つよ〜い。」
その出来事は一瞬であった為、エリエは放心し、投げられた男は起き上がると唖然。
カルは何が起きたのか頭が追いついていなく、モモだけは呑気に拍手しながら感心していた。
「ちっ…!」
投げられた男は敵わないと判断し、すぐに部屋を後にして逃げた。
「ねぇ〜エリちゃ〜ん? だいじょうぶ〜?」
「えっ…? ああ、うん…大丈夫…。」
「良かった〜。 そんで、このイケメンさんどーする〜?
コクシマルさん、ボコる〜?」
「ひっ…。」
「戦意が無いなら何もせん。」
黒四円がそう言うとカルはホッと胸を撫で下ろす。
「そっ。
エリちゃんって確か、グレイツィアの人達にお金払っていく予定だったよね〜?」
「えっええ…、アンタに紹介されて会った時にそういう約束したけど…。」
「な・なんだと!?」
グレイツィアという言葉を出した瞬間、カルは大袈裟と思えるぐらいに驚いた。
「そっかそっか〜、じゃあ、次にお金払った時にこの事言ったら、しっかり仕返しもしてくれると思うよ〜? あの人達、味方には優しいから〜。」
「そう…。 じゃあ、次の支払いに色付けておいて、たっぷりと報復してもらおうかしらねぇ。」
「ま・ま・ま・待ってくれよ!? それだけは…!」
「うっさい! このクズ!!!」
半裸の部分を隠しながら、カルの近くまできたエリエは、腹に1発膝を入れるとカルはそのまま悶絶しながら蹲った。
(差しなら助けなくても良かったな…。)
「おお〜! ナイスなヒザ蹴り〜!」
「ふん!
それよりもアンタ等、なんでこんな所に?」
「え〜、もちろん、エッチする為だよ〜。
交代する時にコクシマルさんの事、誘ってたじゃん?」
「ああ、そうだったわね…この獣。」
ジトっとした視線を黒四円に送るエリエ。
「カッコつけて人助けしたのに、その後に女抱くとか…締っまんないわよねぇー。」
「そう言われてもな…金も払ったし…。」
「そーだよ、エリちゃ〜ん?
モモが待たしてる間に稼いでいて、あの時言った金額より多く払ってもらったし〜、
モモは黒四円の腕に抱き付く。
「あっそう! それはそれは良い人なことでー!」
「じゃあ、コクシマルさん、部屋戻ろ〜? モモ、張り切っちゃいますから〜♡。」
「ああ。」
「エリちゃん、待ったねぇ〜。 気をつけて帰るんだよ〜。」
2人が背を向け、隣の自分達の部屋に戻ろうとすると…。
「ちょ・ちょっと待ちなさいよ!!!」
エリエは大きな声を上げて2人を止めた。
「どうした?」
「助けれたのは事実…アンタの事はムカつくけど、恩を受けたままってのは嫌なの。
それがムカつく相手なら何倍もね。」
「何が言いたい?」
「〜〜〜っ/// 。 だからぁ!体で礼してやるって言ってんのよ!!!///。」
顔を真っ赤にしながら怒鳴りながら口にするエリエ。
「びっくりした〜。
えぇ〜〜エリちゃ〜ん?今晩モモがお相手するんだよ〜?
お礼ならお金とかで良いじゃ〜ん。」
「何言ってんのよ、アンタの紹介してくれる、グレイツィアってギャングだっけ? そいつ等に払う金が定期的に要るんでしょ?
服とかのオシャレに使う金も要るんだから、こんな奴に払って目減りさせたくないの!」
(着飾る為に使うのを一旦止めれば、こんな俺に抱かれなくても済むのでは?)
「もお〜〜しょうがないな〜…。 オッケ〜、参加を許可しま〜す!」
「それはどうも。」
「おい、俺の意見は?」
「はっ?何よ? 女の子2人に囲まれて気持ち良くなれるなら良いじゃない?
それとも、アタシの容姿に何かご不満???」
「いや、見てくれは良いとは思うが…。」
黒四円は心の中で態度がなー…っと付け加えるがエリエはフンっと得意そうな顔をする。
「なら、問題ないじゃない? 可愛いとは思ってくれてるって事なんだから。」
「うーむ…。」
「なら、チンタラしてないでさっさとアンタ等の部屋に行く!
さっさと済ましたいんだから!」
そしてエリエは、蹲っているカルを踏んづけて、黒四円達の部屋へと移動していった。
「礼をする人間の態度ではないな。」
「まあまあ〜。 エリちゃんもそれなりに経験積んでるから、気持ち良くしてくれますよ〜。
ほらほら〜♡ はやくイこ〜よ〜コクシマルさん♡
モモとエリちゃんで〜♡ フワッフワの世界につれてってあげますから♡」
「お・おう…。」
モモに手を引かれ、自分達の部屋に戻り、扉が閉められる。
この街の住人の夜の日常の一部…その桃色の前奏が行われるのであった。
◇ちょい記載 設定のお話
娼館という施設ではそこの館に在籍している、娼婦や男娼に相手をしてもらう事や情事目的の宿泊で訪れたペアが部屋だけを借すというサービスを提供しているのがこの世界の娼館という施設です
値段が高い程、部屋は綺麗で様々な付属サービス(高級酒などの配置etc.)が付き、娼婦達の質も良くなる。
情事の上手さはさることながら、ゲームや話術なども上手でそういう在籍娼は、店側も丁重に扱っている。
ちなみにクワール街でも高級感を大事にしている店舗は何軒かあり、前に黒四円とエリエが利用した店もそれにあたる。