ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜   作:モノイクロ

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35のお話

 

 

 

 

 

クワール街・ギルド役所。

 

 

 

 

 

「エリエさーん? もう、子供がおやつを食べる時間なんだけど?」

「…。」

受付所の奥にある、ギルド員達が事務仕事などをしている作業場では、ついさっき出勤してきたエリエが先輩の女性ギルド員に説教をされていた。

 

説教と言っても嫌味の含んだ、憂さ晴らしに近いもの。

恒例の出来事であり、今回の標的はエリエかと皆が確認し、エリエがキレた時に始まる彼女との罵り合いがどうなるかと皆が楽しみながらチラ見している。

 

「正直、今日は来ないかと思っていたわよ?

 そんなに仕事が面倒なら辞めれば良いんじゃないかしら?

 あなたなら、私みたいな、 “ババア“ と違って、稼ぐ手段なんていっぱいあるんじゃない?

 ヤラシイ、貴方にピッタリな手段が…ねぇ…?」

ババアという台詞を強調し、嫌味をたっぷりに込めて嘲笑する彼女。

 

エリエはこの人と言い争いになった時に年齢関係のことで散々煽り散らかしている。

歳を取ると共に外見にも影響が出始めて気にしている女性にとってそれは禁句であり、それを言ったエリエは彼女に相当嫌われている。

 

「稼ぎがあるんなら、ギルドで働く必要もないんじゃない?

 まあ、アンタも歳食ったら安くなっていくでしょうけど、ギルドの仕事をこんな気ままにやられたら…。」

「あの…。」

「あ?何よ?」

「遅刻してすいませんでした…仕事します…。」

そう言って、軽く頭を下げるとエリエは受付所に向かった。

その行動に皆は軽く驚いており、先輩の方は面食らい、5秒程静止していた。

 

 

 

 

 

 

 

今日のエリエは様子がおかしく、ここに来るまでずっとボーッとしていた。

受付所に付き、作業者の対応やその他の雑務をこなすこと3時間…。

 

仕事が一旦落ち着き、受付前のイスに座り、台に顔を伏せる。

(ふぅ…仕事してたら段々…なんか、いつも通りに戻れそうになってきた…。)

呆けが取れた彼女。

仕事以外の事に考えを割く余裕がうまれてしまい、彼女の頬がほんのり赤みをさしていく。

「〜〜〜っ!///」

顔を伏せたまま、手を頭にやり、悶えはじめる。

エリエは昨晩の事を思い出していた。

モモと2人で黒四円の相手をした夜のことを…。

 

 

 

はじめに彼女達は、2人掛かりで攻めていた。

彼も体を反応させ、良くなっていると思っていた。

そして、変わり始めたのはモモが彼に愛撫を頼んだ時であった。

エリエは、別に彼に良くして貰おうと思ってなく、早く果てさせたくて奉仕を続けていた。

 

しかし、少ししてモモの様子が変わり始める。

最初は頬を紅潮させ、感じていたが余裕もあり、軽口もたたいていた。

しかし、その余裕も徐々に消え去っていき、愛撫の最後には悲鳴のような艶やかな声をあげて横たわっていた。

 

モモは自分なんかとは違い究極に色欲魔である。

彼女が男を行動不能にさせた話を何十回と聞かされたことはあっても、させられたという話は聞いたこともなかった。

 

それを唖然と見ていたエリエに黒四円は何食わぬ顔で今度は自分がしようと言ってきたのである。

彼女は断ろうと思ったのだが性の興味というのは恐ろしく、実際はどうなんだろう?という興味が少しばかり出てしまい、彼女の断りの返答を曖昧にさせ、流されるがままに、彼の魔性の技を味わわされた。

 

その部分以外、エリエはよく覚えられていない。

しかし、快楽に支配された思考で彼のモノを受け入れた事。

そのまま、乱れ、甘い声をあげ、ねだっていた事。

恐ろしく情けない緩みきった女の姿をあの男に見せてしまったという事実だけはなんとなく理解していた。

 

 

 

(あああぁぁぁーーー!!!///。 最悪!最悪!最悪!最悪ぅ!

 よりにもよって、あんな奴にイかされて…トばされるなんて!!!///。

 しかも、起きたらアイツ居ないし! どんだけスカした野郎なのよ!? ほんっと腹立つぅ!!!)

悔しさと恥ずかしさを感じながら、エリエは頭を抱える。

 

 

現在、彼女の年齢は18であるが、学生時代もブランド店勤務時にも夢追い人だった彼女は恋愛をしている暇もなかった為、健全なお付き合いなどはなく、いきなり体を売るような男性経験から始めてしまった。

 

誰にでも喧嘩腰の態度をとるが、男性には特に強気に当たっていたエリエ。

そんな彼女が最近、出会った男性。

憎まれ口を叩きまくり、嫌いという感情を全面的にアピールしていたのに見返りを求めず助けられ、あろうことか自分の乱れた女性の姿を見せてしまったのだ…。

 

 

「アイツゥ〜〜〜………!/// 今日も来るだろうから、見かけたら絶対に文句を…!」

彼女のプライドは昨夜、数多のヒビを入れられたのだろうがそこはタフなこの娘。

精神に熱を入れ、溶かしてくっつける…。

はたから見たら、そんなイメージを見せれるような、そんな様子を感じられた。

 

 

「おう。」

「っ!? ア・アンタ!?」

すると受付を挟んで、エリエの目の前に黒四円が現れる。

 

「依頼達成、確認してくれ。」

「っ〜! 何、平静でいてんのよ!!!」

台を叩き、怒るエリエ。

昨晩、自分の恥辱の姿を見るだけ見たというのに彼は普通に話しかけてきたのである。

数時間単位で採取依頼を受けにきたり、ラージローチの死骸袋を持って来ていた、あの時のように…。

 

「相も変わらずの大声だな、お前さんは…。」

「アンタが叫ばせてんでしょうが!?

 昨日あんな事したのに…そのスカした態度…! ムカつくのよ!!」

「ああ…昨晩、もう一人のギルドの娘と共にやった…。」

「声に出すな!!!」

 

先に騒ぎ、他の人達がこちらを注目している中、黒四円はそのようなことを言いかけるのだ。

周りは「え?」っと驚きながら彼らを見ており、エリエはすぐに彼の口を閉じさせる。

 

「アンタね〜、少しはそういうこと言うの自重しなさいよ…。」

「なぜだ? 周りの者もお前達が体を売って稼いでいることを知ってるんじゃないのか?」

「確かに知られてるけど、気に入った娘が別の奴に抱かれたなんて聞けば気に入らないもんでしょ?

 アタシはともかく、モモはあっちの稼ぎの方でも人気でリピーターもかなり要る。

 アンタはまだ、この街では新顔みたいなもんでしょ?

 チンピラ、ゴロツキの習性なんてどこも似たもんだし目を付けられると面倒よ?」

「そうか…わかった。 助言、かたじけない。」

 

いつも怒鳴ると思っているエリエがわざわざ小声にして、アドバイスをしてくれた。

黒四円は素直に頭を下げ、感謝の言葉も告げる。

 

「な・なによ…///。 別にアンタのこと心配してとかじゃ…///。」

「ん? なんだ?」

「もうなんでもないわ…。

 何? 採取依頼の納品物? じゃあ、確認して報酬持って来るから待ってて。」

 

黒四円が持っていたギルドが貸し出しているカゴを受け取るとエリエはそそくさと奥へと向かう。

 

 

 

 

「はい、各種食用ハーブの採取依頼の報酬よ。」

「ああ、すまない。」

「バジルの葉の質がイマイチだったけど、依頼主の納得のラインは越えてると思うから大丈夫だけど、もう少し状態を見なさい。

 後、オレガノの葉の採取量が多かった。 向こうもそれは多く欲しがっていたから、追加が出てるわ。」

「そうか、わかった。」

 

「ん。」

「え?」

「それ、依頼書でしょ? 受理印押すから渡しなさいよ。」

「…ああ。」

「うげ…次は森クモの討伐依頼受けんの? しかも、全長30センチ以上のモノを3体って…。」

「そのまま育つと人も食い始めるだろうな。」

「キッモー………。 特記事項に追加報酬のこと書いてないんだから、余計に討伐してこないでよ?」

「場合による。」

「はあぁ〜〜〜……そっ…。 はい、ハンコ押した。」

「どうも。

 ……。」

「何よ?」

「いや…まともに対応してくれたなと。」

「あっ?なに?イヤミ?」

「いや、悪い。」

 

笑顔などは一切なかったが、ここまでエリエが喧嘩腰にならず、応対してくれたことがなかったので黒四円は若干、違和感を覚えていた。

それを口に出してエリエに伝えたが、一瞬、機嫌が悪くなったのを感じ取った黒四円はすぐに退く。

 

「ふん! 今日はまあ…やる気っていうの? そういうのが乗っただけよ。

 今度ムカつくことしてきたら、いつも通りに対応するわよ?」

「そーかい。」

「………でも、怒るのも疲れるから…。」

「?」

「その内…減ってくかもね…///。」

「ふっ…そうか。」

エリエが照れながらそっぽを向き、そう言う。

 

彼女の中で少し何かが変わった予感がした黒四円は笑う。

それが少し良い方に変わった気がしたのだから。

 

「じゃあ、俺は行く。」

「あっそ…ご勝手に。」

黒四円はエリエに背を向け、ギルドから出ようするが…。

 

 

「コクシさ〜ん!♡」

「うぉっ!?」

現在時刻は18時過ぎ。

夜間勤務である、モモが今出勤して来て、受付所に黒四円を発見し、そのまま抱きついてきた。

 

「あっああ、昨日のもう一人の…。」

「モモですよ〜、覚えておいてくださいね〜。」

「わかった。 何か用か?」

「んん〜♡ コクシさんが居たから抱きついた、それがご用ですよ〜♡」

 

飼い犬か猫のように頭を擦り付け、甘えてくるモモ。

周りはその様子を見てきて、男性のギルド員や利用者の一部が恨めしそうに黒四円を見ていた。

恐らく、彼女のサービスを受けた者達だろう。

だが黒四円はそんな状況など気づかず、甘えてくるモモに対し、少し戸惑った表情をしている。

 

「コクシさん…昨日の夜…本当に良かったです…♡

 モモ、初めてでした…あんなにおかしくなる程の快感を味わったこと…♡

 そして、浮いてる様なあの感じ………。」

「そ・そうか?」

「ふふ♡ フワフワの世界にはモモが連れていかれちゃいましたね///。

 コクシさん? また、モモと一緒の気持ちいい事しましょうね?♡」

「わかった、また金が貯まったらな。」

「ん?そうですね〜…。 確かにお金を貰わないと他の人に悪いですからね〜。

 で〜〜も〜〜…♡ コクシさんなら…基本無料(タダ)で良いですよ〜♡」

 

潤んだ甘い瞳で笑いながら黒四円にそう言うとモモは頬に口付けをした後にまたっと手を振りながら、ギルドの奥へと向かっていった。

 

 

無料(ただ)って、そういう商売だろう? そんな事したら儲けなくないか?」

「あっ?知るか。

 後、アンタ、完全に目ぇ付けられたからね?」

 

エリエに疑問をぶつけてみたが、別の問題を指摘され、黒四円は辺りを見てみる。

彼女の言う通り、黒四円に対しての向けられている敵意、越えては殺気などが先程と比べて多く感じられた。

 

「何故だ?」

「うっさい、死ね。」

「えっ?」

エリエも先程と違い彼をゴミを見る様な目で一瞥し、ギルドの奥へと引っ込んでいった。

 

「何故だ…?」

誰も返答しないのだが、黒四円はぼそりっと質問を呟き、少し考え込む。

 

しかし、どれだけ考えても今の彼では決して答えを見つける事など出来ないのであろう…。

 

 

 

 

 

 





◇ちょい記載 設定のお話


黒四円のアレが上手い理由としては、忍時代に仕込まれたからです。
知識を詰め込まれ、潜伏先で女中を垂らし込んだり、女性捕虜に口を割らせる際、苦痛よりも快楽に弱い相手もいた為、そういった相手に実践し、技術が上がっていきました。

昔は忍仕事の一環。
そして、様々な思惑や負の感情に当てられながらしていた為、何も感じず思わずでやっていました。
しかし、女遊びが好きだった参暗刻にその遊びを説かれたことを大陸に来て思い出し、今では結構楽しいらしいです。


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