ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜   作:モノイクロ

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6のお話

 

 

 

 

 

黒四円とライナが話しながら歩き、目的地の宿屋が見えてくる。

 

「へぇ~…中々大きい宿屋さんだね。」

「そうだな。

 所々、ボロそうなのが少々、不安だが…。」

「もう…それ、宿屋の中で言わないでね?」

「わかっている。」

2人は扉を開け、中へと入っていった。

 

 

宿屋の名前はポベロンと看板に書かれていた。

建物自体はライナの言う通り、2人が素通りしてきた宿屋よりかは断然デカい。

しかし、立地としては回りにたいして何もなく、店の左方向に行けば住宅街などがある程度だった。

外装も所々、塗装が剥がれており、倒壊しなければそれでいい程度の補修などがされているぐらいであった。

 

 

ーーー

 

 

「こんばんは~…。」

ライナが先頭で宿屋の扉を開け、少しおびえた様に挨拶をする。

しかし、受付のカウンターには誰もいなく、また返事も返ってこない。

 

「あれ? もう、受付終わっちゃったのかな?」

ライナが不思議がり、受付所の奥にある部屋を見つけ、今度はその方に向かって挨拶をしようとすると…。

 

「シンニュウシャ! シンニュウシャ!」

「きゃあ!?」

 

その奥にある部屋から鳥がライナ達の方へ来るとその上をグルグルと回りながら飛んでいる。

 

「シンニュウシャ! シンニュウシャ!

 オババ! オババ!

 シンニュウシャ!」

「へ~、この土地の鳥は喋るのだな。」

「え、いや、ペペラインコって言って、この土地よりも南東の方にいる愛玩できるモンスターで…ってそうじゃなくて!?

 スゴイ、誤解されるようなこと言われてる!?」

 

「シンニュウシャ! オババ! オババ!」

「やめて! インコさん!

 侵入者じゃないよ!私達!」

「やかましいよ!!! 鳥公!!!」

騒いでいるとペペラインコが出てきた部屋から大きな怒声がでて、その部屋から1人の女性がこちらに来た。

 

 

60代手前といった所であり、長いであろうロングの銀髪は後ろで1つ結びにされており、服装は茶色い皮のズボンとブーツ、灰色のシャツに黒の薄いロングコートを羽織り、前髪は邪魔なのか、古く錆びついている花の髪留めをしている。

165前後とそれほど高くない背丈ではあるが、まだまだ健康なのか腰は曲がっておらず、体を真っ直ぐにして立っている。

鼻が高く、狩猟鳥のように鋭い眼付きをしており、気が強そうなのが見て取れた。

 

 

「なんだい、客かい?」

不審そうにジィっと二人を見ながら訪ねる女主人。

 

「はい、そうなんですけど…。」

「よそ行きな。」フゥー…

ライナは質問に答えるが女主人はコートの裏から葉巻を取り出し、受付の隣にある灯かり様に置いてあるランタンの蝋燭から葉巻に火を付け、吸う。

そして矢継ぎ早に二人にそう言った。

 

「えっ…そんな…。

 もう、部屋ないんですか?」

「いんや。

 泊まりたいなら都合はつけられるよ。」フゥー…

「じゃあ、なぜなんだ?」

「なぜってアンタら、ウチは、やり部屋なんて貸さないよ。

 なんで、アタシが男女の発散の後始末なんてやらなきゃなんないだい。」

「なに?」

「お前さん、女を買うのは良いが…場所代の分もこれからは考えんだね。

 ほら、盛るんなら他所に行った行った。」

あっち行けと手を払うって追い返そうとする女主人。

 

2人は顔を合わせ、この女性は誤解していると気づく。

黒四円は腕を組み、深く溜め息つき、ライナは…。

「わ・わた・わたし…わたしは!

 娼婦なんかじゃありません!!!」///

顔を真っ赤にして、受付台をバンっと叩いた。

 

 

〜〜〜

 

 

「いや~あっはっは!

 悪いね~嬢ちゃん、こんな時間に男2人で今から宿、探してるからうっかりね。」

「うぅ///」

「こいつ買う金すら無いからな、俺は。」

「お金出してもわたしは買えません!!!///」

少し茶化しただけの黒四円だったが大声で突っ込みを入れるライナ。

「こらこら、他の客もいるからちょいと静かにね。」

「あっ…うぅ、ごめんなさい…///」

「そんで、横のアンタだね?

 今晩、ウチに泊まりたいのは?」

「ああ、そうなんだが…金はほとんどない。」

スパっと言い切り、黒四円は懐から有り金をすべて見せる。

 

「400かい…しけた額だね~。」

「ビンボウニン! ビンボウニン!」

「鳥畜生にまで言われちゃ、立つ瀬がないな。」

嘲笑しながら黒四円はそう言う。

 

宿屋の女主人は悩んでいる様子だった。

流石に無理かと思い始め、小さく息をつく黒四円だったが…。

 

 

「あ・あの! お願いします!

 どうか、一晩だけでもこの人を泊めさせてもらえないでしょうか!?」

 

泊まる、当の本人は諦めていたのに、それよりも勢いよく女主人の前に出て、交渉したのはライナだった。

 

真剣に見つめあう女性2人。

そして、女主人の方が口を先に開いた。

 

「随分のこの男に肩入れするじゃないのさ?

 惚れてんのかい?」

「そうじゃないだろう。

 こいつ変わっているんだよ。」

「なんだいそりゃあ?」

質問を答えたのはライナではなく、黒四円であり、その回答に女主人は珍妙そうな表情をしている。

 

「この女とは馬車で相乗りになったんだが、わざわざ自分の故郷帰りを一旦延ばして、俺に色々と指南してやると言い、一緒にこの街で降りたんだ。

 危険な街って知っているのに、変わった女だよ。」

「むむ…

 そんなに変わってる変わっているって言わなくても…。」

不満をぼやくライナだったが、構わず黒四円は話を続ける。

 

「こんな変わった女なんだから、好いた嫌った関係なくこの子は人を助けたよ。

 素直に尊敬できるよ、こういう性分の人間は…。」

「なるほどね…。」

黒四円の話を聞き、葉巻を吸う女主人。

その表情は感心をしているようでもあるが、甘すぎる性格のライナを愚かしいともとれる…そんな曖昧な気持ちなのだろう。

 

「そんな尊敬だなんて…///。

 クロまるくんだって手持ちのお金ほとんど使ってわたしを助けて、変わった人じゃん。」

「借りっぱなしなのは性に合わないだけだ。」

「なんだい? あんた、金持ってたのかい?」

「ん? ああ…。」

「それがなーんだってこんなしけた金額になったんだい?」

「それは、わたしを助ける為に…。」

金を持っていたのに今はない黒四円の懐事情に疑問を持った女主人。

何故、金がなくなったのか、ライナはその経緯を話す。

 

 

〜〜〜

 

 

「ってことなんですよ。」

「そうかい。

 そうゆうことかい。」

話を聞き終えた、女主人は葉巻を吸い終え、灰皿に吸殻を押し付け火を消す。

 

「ったく、お互い変わってる変わってるとか言っていたが、アタシに言わせればどっちもどっちだね。」

呆れたように2人を見る女主人。

葉巻の煙とため息を同時に出すように煙が彼女の口から吹かれた。

ライナは不思議そうに首を傾げ、黒四円はフンっと鼻息を鳴らし、腕を組む。

 

「まあ、この街では珍しいお人好しだよアンタらは。」

「そうかい。

 それで、結局、文無しは泊まれないのか?」

「そうだったね、いいよ。

 その余り金、全部払えば、泊めてやるよ。」

「ええ!? いいですか!?」

世間話の付き合うのにうんざりした黒四円。

どうせ無理だと思い、さっさと本題に入り、断られて去ろうと思っていたのだが、その思いとは裏腹の回答が返ってくる。

 

ライナは嬉しそうに驚いた。

黒四円も声こそ出さなかったが、目を見開き驚いてる様子。

 

「ああ、この街ではあまり聞かないおもしろ人情話を聞けたからね。」

「サケノサカナ! サケガススム!」

「やったー!!!

 良かったね!クロまるくん!」

「ああ、理由はなんであれ、ありがたい。」

「ただ、断っておくが生憎、今日は満室でね。

 知らない奴と相部屋になるがそれでも構わないね?」

「屋根の下で寝れるんだ、それでいい。」

黒四円は、有り金をカウンターに出し、女主人はそれを手に取り、金額を確認した。

 

「はい、毎度。

 アタシ…マラリア・グレゴリオが経営する宿屋•ポベロンにようこそ、小僧。」

 

少ない支払い金を握り締め、半笑いに挨拶をするマラリア。

ペペラインコも彼らの上を飛び回り、ラッシャイっと何回も言い飛び続けた。

 

 

 

 




◇ちょい記載 設定のお話


ポベロンの宿泊料金には定価があり、昔は看板とカウンター付近に記載されていましたが、年月と共に文字がはげていき、料金もマラリアが自由に決めていくにつれ、料金の記載は無くなった。
元々の料金は800Y。
この世界の宿泊費の相場は、1000〜2000ぐらいの為、かなり安い。
マラリアが気分と客によって料金を決める様になってからは、相場以下それ以上になる事もしばしば。

ポベロンで飼っているぺぺラインコの名前は、ペラッペ。
しかし、喋り過ぎ、マラリアを怒らせては鳥公とよく呼ばれる為、自分に付けられた名前をトリコウだと思っている。
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