ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜   作:モノイクロ

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7のお話

 

 

 

 

 

「じゃあ、部屋は2階の24号室だよ。

 部屋の鍵は先に泊まってるのが持ってるよ。

 

 あと、騒ぎを起こしたら叩き出すし、物を壊せばその代金はきっちりと払ってもらうからね。」

「ああ、わかった。

 感謝する。」

黒四円が返事をした後、マラリアは奥の部屋へと戻っていく。

鳥公のフラッペも鳴いて飛びまわりながら、彼女の方について行った。

 

 

 

「それじゃあ、わたしも泊ってる友達の家に帰るね。」

「ああ、今回も世話になったな、ありがとう。」

「わたしの方が助けられたんだしこれくらいはね。

 あっ、それと…///。」

ライナはもうひとつ彼に何か言いたいことがあるようだが、頬を赤らめて、両指をモジモジとし始める。

 

「なんだ?」

「ええっと…明日の朝だけど、なにか作って持ってきてあげようかなーって思って。」

「弁当ってことか?」

「うん。

 今晩の食事でもって思ったけど、またあんな目にあって迷惑かけちゃ悪いし…。

 君はお金も受け取って貰えないし…。

 だったらせめて、明日の朝だけでもなにか食べるものにありつけた方が良いかと思ったんだけど。」

「なるほどな。」

「うん、これも嫌?」

余計なお世話かと思い、不安そうに上目遣いをしてくるライナ。

「いや、頼む。」

断ろうかと頭のよぎったがその表情を見た黒四円は断ってもなにか別の提案をされると思い了承した。

 

「ほんと!? よかった!

 今日、友達に料理を振舞うから、それを詰めて明日、持って行って上げるね!」

「わかったわかった。

 じゃあ、明朝、さっき通った広場でいいか?」

「うん! 料理の腕はそこそこだけど楽しみにしててね。」

「ああ、わかったからもう帰れ。

 日も昇ってなくて暗い、さっきよりも面倒な目にあうぞ?」

「そ・そうだね。」

「送ろうか?」

「ううん、今度こそ大丈夫だよ。

 駆け足で真っ直ぐ早く帰ります!」

「そうか、じゃあ、また明日。」

「うん、おやすみなさい!

 クロまる君!」

お互い別れの挨拶を済まし、ライナは宿屋の出入り口から出て行き、黒四円は言われた部屋へと向かった。

 

 

 

ーーー

 

 

 

(二十四は…確かこの字だったな。)

2階に上がり、自分の部屋番号を探し、見つけた黒四円。

陽ノ本では字が違うが異国の知識もある程度取り入れていた彼は、数字の識別ぐらい難なく出来た。

 

ドアノブにかけ、開けようとする。

「そういえば、先客がいるんだな…。

 誰かいるんだよな!?

 失礼するぞ!」ガチャ

「え!? ちょっ!? んだよ!?」

「…。」

中に入ると若い男がベットで横になっていた

片手に女性物の下着を握りしめ…。

 

「邪魔したか…、続けるんなら続けてくれ。」

「いや、出来るか!!!」

中に入り、続きを促す黒四円だったが男はツッコミを入れ、それをすぐに片付けた。

もう少し遅かったら更に粗末な場面に出くわしたかと考えると黒四円は早く来てよかったと思った。

 

 

ブツブツと文句を言ってる男は歳は若く、16~7辺り。

身長は160㎝前後と小柄であり、白髪で天然パーマ。

 

 

「クソがよー…入るときはノックしろよな。」

「のっく?」

「あ? 扉叩いて確認すんだよ。

 そんなことも知らねーのか。」

 

色々と多感な年齢であり、黒四円にみっともない瞬間を見られたからか、苛立ちと恥ずかしさを出しながら文句を言う青年。

 

言葉遣いの汚さと常に不満に満ちた目。

荒れたこの街で生きていくとどうなるかというのがこの青年を見れば、1発でわかる。

 

「そんな風習があるのか?

 悪いな陽ノ本(ひのもと)にはそんな礼法はないんでな。

 大陸の知識も読み書きぐらいしかまだ、頭に入ってなくてな。」

「陽ノ本って東方の小さな島国か?」

「ああ。」

「まあ、アンタがどこから来たなんてどうでもいいんだがよ…。

 ったく、白けちまったしオレはもう寝るぜ。」

そう言うと青年はベットとベットの間にあった雑嚢袋(ざつのうぶくろ)を自分に近づけ、黒四円に背を向けて横になる。

 

「ああ、おやすみ。」

黒四円はベットの向かい側にある、テーブルに自分の唯一の持ち物であるギルドカードの入っていた封筒を置く。

 

「・・・。」

その様子を相部屋の青男は一瞬だけ見るがすぐに目を閉じる。

黒四円は部屋の灯かりを消し、もう一つのベッドに寝転がりそのまま就寝した。

 

 

 

~1時間後~

 

 

 

「…。」Zzz

(…こいつ寝たか?)

青年はチラっと黒四円が寝たことを確認する。

今寝返りをうち、青年のほうに顔を向け、横向きで寝ていた。

 

(ヘヘッ…マヌケ顔して寝てらあ。

 あの封筒の中身…金だろ?)

静かに起き上がり、さっきテーブルに置いた封筒を手に取ると、音が出ないように青年は自分の布袋にサッと入れ、部屋を出ていく。

 

(あの汚い格好見る限り、奴隷船から逃げ出した奴隷か陽ノ本には島流しの刑ってのがあるんだったな…ってことは罪人かなんかだろうが、どっちにしても間抜け野郎だぜ。)

ニヤけながら一階に降りていき、ポベロンを出ていく青年。

 

(封筒の膨らみからして、対した額じゃないだろうが、今日稼いだ分と合わせりゃ…娼館で遊ぶぐらいの金は出来たろう。

 だったら、あんなボロ宿で寝泊まりなんて冗談じゃねーや!)

気分を上げ、青年は夜の街へと消えて行く。

 

 

~~~

 

 

(行ったな…。)

黒四円は、同室の青年がいなくなったことを再度確認するとベッドから起き上がり、手に隠し持っていた物を確認する。

 

使い古された革袋で作られており、中身には現金。

さっきの男の財布である。

 

(まさか、あんな簡単に()らせてくれるとはな…。)

 

黒四円は寝返りをして、青年の方を向く。

そして、立ち上がって背を見せた時に彼が持っていた雑嚢袋の中からスッたのだ。

寝たふりをし、油断をさせ、感触・音・気配、全てを消し、やられたことにも気付けない青年。

 

忍者とは敵城に忍び込み、重要な密書や隠蔽物などの奪還。

簡潔に言えば、泥棒行為などの任務もある。

警戒態勢をとっていた巡回兵の腰にぶら下げた南京錠の鍵を幾度もその時バレずに盗ってきた黒四円にとってはこの程度の事、造作もない事だった。

 

「結構入ってるな。

 

 しかし、あの封筒…。

 さっきマラリアのばあさんからもらった記録様に使う予定だった白紙を中に入れてただけなんだが…あの男、中身も見ずに持っていくとはな。」

 

封筒に金とギルドカードを入れていたがライナを助ける為とここに泊まるために使っているので当然一文無しでギルドカードは上衣の内側にしまっている。

しかし、彼はまたお金を入れるか違うことにでも使おうととっておき、マラリアが受付台でメモ用紙に使っていた紙を数枚貰い、それをあの封筒に入れていた。

そのおかげなのか青年は慌てて、部屋をすぐに出ていき、黒四円に財布を盗られた事にも余計に気づけなかった。

 

「怪我の功名だな。」

含み笑いしつつ、黒四円は内側から鍵をかけ、外の空気を吸う為、窓を開ける。

 

 

 

この宿の近くの道は真っ暗闇だが、向こう側を見てみると灯かりがついている。

 

(陽ノ本の遊郭街が在る地でも夜になれば人が動き出したりしてたな。

 この街の人々も昼夜が逆になり、昼間は休み、夜に活動し始めているのか…。)

外の街景色を見ながら思案する黒四円。

 

自分も夜の街に遊びに行くのか…。

馬鹿みたいな存在でその日暮らしなのだがどこか楽しそうな人生を歩む人間になるのか…。

逆にこんな人種が集まる街だが真面に働き、堅実な人生を送るのか…。

それとも…。

 

「昔の…忍のように…。」

 

空を見ると薄く雲がかかり、真ん丸なお月さまがそれを纏い霞んで見える。

 

(任務の待機中とかにぼんやりと暇つぶしに見てたが…綺麗だな…。)

しばらく、感傷に浸った後、黒四円は窓を閉め、再びベッドに横になり、目を閉じる。

 

 

 

 

 

(あの世ってものがあれば俺は確実に地獄行き…。

 死んだら、あの世で何千、何万かっての責め苦を味わうんだろうな…。

 だったらせめて、後どれくらいお天道様は俺を生かしてくれるのか知らねーが、その間ぐらいは好きに生きさせてもらうぜ…。)

 

 

 

 

 

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