ライファン[LIFE FANTASY]〜抜忍人生第弍録〜   作:モノイクロ

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8のお話[過去]

 

 

 

 

 

遡ること一年半前…。

東方にある島国、陽ノ本にある一つの領地・三嶋国。

中央地方にあり、この時、最も大きな領土を持つ国。

国主の三嶋・月太郎・重屏(みしま・つきたろう・じゅうへい)は破竹の勢いで領地拡大をおこなっていた。

 

 

 

ーーー 

 

 

 

「あん…。

 三嶋さま…そこは…駄目…。」

「ん~?

 そことはどこのことか…?

 口に出して言わんとわからんぞ?

「そ・それは///

 あっ!いやっ!!」

「ん~ふふふっ。

 いじらしい反応…。

 ほれほれ、口に出さんとやめてやらんぞ~。」

 

 

 

三嶋城。

その城の一室では国主・三嶋がひと晩の戯れをしていた。

その相手はまだまだ、うら若く、15という齢。

齢30近くの三嶋は自分と半分ぐらいの年齢の子を相手に随分と悦に入っている。

 

生まれた家が良く、贅を尽くした食事と何不自由なく快適に過ごせる住まい。

甘やかされ、思い上がり丸々とした豚のような体格の人間が育つのは遅い話ではなかった。

武芸を積まず、知識も蓄えずに傲慢に堕落した生活を続ける。

 

三嶋国がここまで大きいのは彼の野心家だった先祖達のおかげであり、三嶋重屏もその気性は受け継いでいる。

 

そしてこの男は、前の国主だった三嶋重茂(みしまじゅうしげ)、つまり自分の父親をある出来事で謀殺し、今の国主へと成り上がる。

その後に2つのの国盗り戦をおこし、その2つ共を偶然ではあるが勝ち戦でおさめており、2ヶ国の国盗りを成功している。

 

なぜ、突然このような大胆な行動に三嶋重屏は出たのか。

それは彼が城下に出てた時にすれ違った、卜者(ぼくしゃ)の一言から始まった。

 

 

天赦日(てんしゃび)という日がある。

それは年に7回来るというお天道様が全てを許す日であり、最高の吉日と言われている。

 

 

そのト者は三嶋重屏を目を見開いて見て、彼の護衛を押し除けこう言った。

「何んという事じゃ!?

 貴殿には天赦日が毎日のように来ておりまする!!!

 お・恐ろしい…! その天運が逆に恐ろしや…。

 天はあなたに何を赦し続けておいでなのか…?」

 

この時のト者は無礼千番であえなく斬殺されたが、三嶋重屏はその言葉が気になり天赦日の意味を知り、こう考えた。

「天が全てを赦してるとな?

 これはまっことに面白い…わしは天の生まれ変わりやもしれん…。

 なれば天下を手に入れ、もっとわしが愉快に暮らせる極楽をこの世に創ってみせようぞ!」

 

そんな短絡的な思考から彼の天下取りの野望が始まったのだ。

 

 

〜〜〜

 

 

「お楽しみの最中申し訳ありません。

 三嶋殿。」

「うおぉ!?

 …なんじゃ、忍の者かい。」

「驚かせてしまい申し訳ありません。

 数夜(すうや)忍衆の一人…壱黒道(いっこくどう)でございます。」

 

三嶋に片膝を付き、頭を下げている黒忍装束の男。

身長は190前後と大きいがやや細身の筋肉質な体格。

銀色の髪をひと束に纏め、両頬に大きな斬られた後の古傷。

そしてその瞳は何処までも冷え切り、何処まで真っ暗である。

 

 

 

「おお、幻夜じじぃの息子(せがれ)かい。

 で? 何用だ?」

「はっ…。

 次に戦をする歌山国...そこの和々城・城主 安佐馬・暖情・十兵衛(あさま・だんじょう・じゅうべえ)と城にいる雑兵の始末。

 間もなく完了致します。」

「おお!そうかそうか!

 和々の地の安佐馬は文武に優れた厄介者だからのう…彼奴が居なくなってしまえば、歌山の首も易々と取れるものよの〜。

 ひゃっひゃっひゃっ!。」

「左様でございます。

 なので、次の来たる合戦の時に備え、三嶋様のご意向を確認しておきたかったのですが…今宵、聞くのは無粋…出直しましょう。」

「まあ、待て待て。

 折角なのだからお前さんの相手も誰かにさせよう。

 此度の任務成功の報酬…それは幻夜の所に送るとしてこの報酬は今回、お主がここに来た幸運…おまけぞ。」

いやらしく薄ら笑いを浮かべながら誰か従者を呼ぼうとする三嶋。

 

「ありがたい申し出ですが…まだ、和々城落としの最中…。

 わたしだけその様な甘き時を味わってしまっては、下の者達に妬まれてしまいます。

 それに今回は大きな仕事だった故に父上や弟弟子、妹弟子との集いもありますのでわたしはすぐに…。」

「ぬぅ…そうか…。

 つまらんの〜。」

「お気を下げてしまったお詫びにこれをどうぞ。」

 壱黒道は懐から巾着を取り出し、三嶋に渡した。

 

「なんじゃ、これは?」

「我が妹弟子が製薬した、精力薬です。

 情事の最中ですし、良ければ…。

 では、わたしはこれで…。」

三嶋が薬を見ている間に壱黒道は姿はいなくなっていた。

 

 

「ふん…忍というのは、やはり薄気味悪い奴らよのう。」

本人が消え、急に悪態をつく三嶋。

 

(まあ、よいよい。

 なんだかんだで父上も使える駒を多く置いて逝ってくれたし…まだまだ、この国を大きくしてみせよう…。)

顎をさすり笑いながらそう考える。

そして、壱黒道から渡された精力剤を飲み干す。

 

 

「ぐっ…。」

「み・三嶋様?

 どうされましたか・・・?」

「むほおおおおおぉぉぉぉぉーーーーー!!!」

「きゃあ!?」

心配した女中だったが、三嶋は雄たけびを上げると獣のように女中に襲い掛かる。

 

 

 

「うおおおおぉぉぉぉーーー!

 おい!!!だれかおらぬかーーー!!!」

「はっ!

 いかがなされました三嶋様!?」

三嶋が呼びかけると従者が1人、襖越しに話しかけてきた。

 

「女じゃ…!!!

 今、集められるだけの女子(おなご)をここに集めぃ!!!」

「はっ? す・すべて…?」

「はようせんかぁぁぁーーー!!!」

「ぎょ・御意!!!」

そういうと従者は急いで行ってしまった。

 

 

「ぐははははぁぁぁぁぁーーーーー!!!

 見ておれよ世の阿呆どもーーー!!!

 わしはすべてを手中におさめてみせるわーーーーー!!!!!」

その咆哮のような言葉と共に三嶋は今宵、甘美な酒池肉林の宴を始まる。

 

自分のみじめな死に様と後世に決して語り継がれることのない人生など知る由もなく…。

只…今を楽しむのであった…。

 

 

 

 

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