機動戦士ガンダムGQuuuuuuX/ARMORED CORE6 スカーフェイス・ウィッチ   作:キサラギ職員

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Life in Ash/ウォルター

 

 大気圏に突入するザイレムの船体は燃える隕石のようで、衝撃波と炎が渦巻き、ACの衝突音が戦闘の激しさを響かせる。

 ウォルターはコックピットで限界警告を無視して敵に集中し、出力限界のACで弾丸を放つが、かつて指揮した621が巧みに回避する。

 

「一度生まれたものは、簡単には死なない……」

 

 ウォルターが呟く。621はイレギュラーとして覚悟を超える力を持ち、ザイレムの炎が激化して船体が崩壊する。621は冷静に正確な攻撃を繰り出し、ウォルターのACを撃つ。システムが警告を鳴らす。

 

「コーラルを焼けば、仕事は終わる……」

 

 ウォルターの冷たい声が通信に響き、熱を帯びる。かつて従った621は自由で恐ろしく正確なイレギュラーだ。

 

「稼いだ金で……再手術して、普通の人生を……」

 

621のライフルが命中し、エアが叫ぶ。「ウォルター、このままじゃ…!」621のブレードが一閃して機体を切り裂く。

 

「……621……」

 

ウォルターの声がかすれ、かつての友、現在の敵を呼ぶ。ACが爆発し、ザイレムの甲板で燃え上がる。

だが、炎の中からコーラル兵器を構える機体が現れ、ウォルターの戦意がみなぎる。

 

「使命を……友の遺志を……」

 

ザイレムが崩壊し、破片が大気圏で燃える。621は銃を下ろし、隣に輝きを見る。

 

「そうか……621……お前にも友人が……」

 

「ウォルター!レイヴン、行きましょう!」エアが叫ぶ。

 

 ウォルターは重力に引かれ、業火に飲まれる。最後の数秒で思考を巡らせ、闇に沈む。

 

 

 

 

 しかし、生きていた。

 代償は大きい。足を失い、コーラルの汚染により著しく、寿命が損なわれた。

 じきに滅び去ることになるだろう。

 けれど彼のかつての仲間が設計した機体は優秀だった。オート機能で地上まで無事に連れ帰ってくれたのだから。

 

「一度生まれたものは、そう簡単には死なないか……皮肉なものだ」

 

 死に損なってしまった。自殺する気は毛頭なかったが、生きている理由も薄い。

 『改築』が進んでいるバスキュラープラントを見上げる。いまはあそこでコーラルとの共存をするために研究をしているのだろうが。果たしてそう上手くいくだろうか。決定的なブレークスルーがなければ、待っているのは破局だ。

 備えなければならない。621と、友人を信じていないわけではない。だが、彼は科学者だった。感情と、理論を区別できる人間だ。

 監視者たちの結社。『オーバーシア』の再結成をしなくてはならない。例えそれが621と相反することになっても。

 しかし多くの駒を失いすぎていた。もはやハンドラー・ウォルターたった一人に近い状況だった。

 そこで見つけたのが、この女だった。

 裸に剥かれた女性が試験管型の治療ポッドの中で直立姿勢のまま浮いている。ぴくりとも動かないが、口に装着された呼吸装置がその生存を証明していた。顔は半分が、腕と背中が焼け、それでも生きている。

 名称不明。機動兵器らしきもののパイロット。

 その機動兵器は、大きかった。通常のACがよくて13m程なのに、18m近かった。そして設計データ通りならば核融合炉を搭載しているようなのだが。

 

 (あの設計は知らん。そしてあの謎の粒子発生装置……あれは、既存のテクノロジーではない)

 

 謎の粒子発生装置。あれは既存の素粒子では考えられないものを発生させるようだった。科学者としては非常に興味深い。素粒子には、まだ発見されていない欠落がある。と主張されてきた古典的物理学上における答えになりうる装置があるのだ。

 だが、それを応用できるかは全く別の問題であろう。

 売り払うには惜しい。暫く手元に置いておくべきであろう。

 

「起きたか」

「………」

 

 その女性が目を覚ましたのはしばらく経ってからだ。火傷の痕跡痛々しい彼女だったがこれ以上の処置は望めない。あらゆるものを失ったウォルターからすればすでにギリギリだ。

 

「ジオンね?」

 

 話がかみ合わない。女性はジオンの非道さを一通り常識でしょとでも言わんばかりに説いた後、同じような口調で連邦なる組織も批判した。まるでヤケクソみたいなものいいだった。

 

「所属、そんなはずは………」

「家族はいるのか」

「………思い出せないの」

 

 だが、記憶は断片的に失われていた。ジオンと連邦は思い出せても、所属していたのがどちらだったか、

 

「まず言っておくが――――」

 

 歴史についてレクチャーする。

 西暦。形骸化した国家群。企業連。惑星管理機構。ルビコニアン。

 聞けば聞くほどに話がかみ合わないことに気が付いたのか、女性の表情は見るかに萎んでいく。

 

「そんなの、まるで違う世界にやってきたみたいじゃないの……」

「あるいは遠い未来か。少し乗って来た機体を見せて貰った」

「あの白いの?」

「ああ。あれに乗っている装置を実験したが既存のゲージとは異なるデータを出した。未知の新素粒子を発生させられる可能性が高い」

「ミノフスキー粒子ね………遠い未来とは言うけれどズレを感じるわ。まるでもう一つの未来にでもいるみたい」

「機体のメーカーも、存在しないものだった。あれだけのものを作れる工房か何かなど考えるのもバカバカしい。あれは大量生産された一機なのだろう」

「そんな気がする、そんな気はするけれど……ごめんなさい、思い出せないの」

 

 あり得ない状況、ありえない状態。だが機体は現実のものとして存在しているし、女性の記憶が確かなのもそうだった。

 まるで女性だけこの世界に落ちてきたようではないか。

 

「………ゼクノヴァ」

 

 女性―――シイコには心当たりがある。あの光、もしかしてゼクノヴァが起きたのではないか? しかし言ってから、首を振る。そもそもゼクノヴァとは?

 言葉を交わす程、不可解な点と納得がいく点が出て来る。

 一通り話すと、部屋の外から車輪に台車がついたロボットが入って来る。

 

「コーヒーでよかったか?」

「いただくわ。ああ、名前は思い出せるわね。シイコ。シイコ・スガイ。あなたは?」

 

「ウォルター。ただのウォルターだ」

 

「シイコ・スガイ。行き場がないのならば、俺と来い」

 

 

 

「お前に意味を与えてやる」

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