Rebellion Fight of traitors 作:A.K
まあ、どうなるかは分からんがな
「そういえば一夏の心って見えないんだよな」
整備室でターレスが呟いた。ターレスは既に今回は参加出来ないことを提出しているので、早苗の機体を整備していたのだが、出力調整が本社でなければ不可能なので早苗も参加を辞めた。
「さとりさんから聞いた話の事ですか?」
「そうだ。幻想郷に来た時にさとりが一夏の心を見たんだが……さとりの能力が暴走して発狂したのは覚えてるな?」
「覚えてるわよ、あの時の怯えようは酷かったもの」
その時のことを覚えている天子が話に入ってきた。この話はさとり妖怪の特性である第三の目の力で何があったかなどを調べようとした結果、原因が不明だが一夏の心に触れた瞬間能力が暴走、無機物から有機物の全ての感情を取り込んだ事により発狂したという事だ。
1ヶ月程で回復はしたが、一夏の心は見れない・・・否、触れることすら危険で感知不可能と判断されている。
「そうそう、私はまだ機体が来てないから打鉄でやるわよ」
「そうか、じゃあ頑張れよ」
「あの
「天子も落ち着いて……!」
このままじゃ音声制限がかけられそうな発言を仕掛ける天子を、簪が止める。
「これじゃあ殆どのみんながリタイアだね」
「私やターレスさんと幽香さんにお空ちゃんと勇儀さんなどの他に、フランちゃんとブロリーさん、凱さんが参加不可能ですからね」
不参加のメンバーの殆どが機体調整が間に合わない等の理由で不参加になった。
「俺もやりたかったなぁ……」
「仕方ないよ、ブロリーも私も機体整備がまだ途中なのを忘れてたんだからさ」
残念そうな顔をしてフランは菓子パンを頬張る
「全く阿呆ブロリーめ、ハァーハッハッハ!!」
「クズがぁ……」
「おいおいおい!?ブロリーこっちに来るなよぉー!?」
「ぐえっ!?」
「クソマァッー!!」
「ふぉおお!?」
ベジータを血祭りにあげるために突撃するブロリーだったが、途中で幽香や勇儀達を踏みつぶしサッカーボールの如く蹴りあげてまとめて岩盤に叩き込んだ。
「凱はどうして参加を辞めたの?」
整備を終えて調整も完了した霊夢が、ブロリーから避けた獅子王凱に声を掛けた。
「いくら小型化して殺傷力を減らしたとしても、××✕✕✕×の出力を完全に再現して危ないから辞めたんだ。ファイナルフュージョン・プログラムとガオーマシンも完成しているんだけどな」
凱の専用機……否、”勇者王”はISとは違い敵対対象の破壊が目的なのでパイロットが乗ってるようなISは、全身を”素体”を纏って使うIFと違い勇者王の攻撃に耐えられないのだ。
「アムロは何を使うんだ?」
「オレは……オレがパイロットとしての始まりを導いてくれたアイツを使──────」
突如、爆発音と共に地震が起き学園が揺れているのを感知した。アムロは直ぐに原因を考えた。おおよそだがその原因となるのは……今戦闘をしている彼しかいなかった。
「まさか一夏なのか?」
アムロは嫌な胸騒ぎを覚えてアリーナに向かった、一丁の銃を腰のホルスターに入れて。
「一夏、お前は……!」
「一夏に何があったのさ!?」
お燐が後ろから来る。だが同時に前からどす黒い邪悪とも読み取れるほどの怨念を感じ取った。
「...分からない、だがヤバイのだけ分かるんだ!」
アリーナに着いたアムロとお燐が見たのは、ピクリとも動かなくなった織斑秋人とその両腕を天に掲げた一夏の姿だった。
血があちこちに飛び散り、アリーナの至る所が溶けてなくなり、地面は黒く焦げて粉々に吹き飛んだ後も見られていた。
全ては数分前、一夏は織斑秋人と戦闘を開始したことが始まりだった。
「織斑一夏……破黒……出るぞ」
一夏が破黒を纏って現れた。背部飛行ユニットを必要とするISとは違い、機体各所のスラスターと反重量ユニットやPICを使い飛行していた。
「遅れてくるんじゃないよ、落ちこぼれが……」
秋人が蔑むように見る。纏うのは織斑千冬が使っていた白式だった。しかし、その両足と腕には砲身やブレードが見えていた。
「なぜこんな短時間で修復ができたんだ……?」
「恥さらしなんかに、教える義務があると思ってるわけ?」
試合開始の合図が始まると共に、互いに距離を詰めた。
破黒は左腕に外付けしたナル光線砲を撃ちながらも、量子変換していたダガーナイフを取り出した。
それに対して白式は、接近戦ブレードを展開しながら突っ込んで来るだけであった。単純な動きなのでナル光線砲が左足に直撃する。
ナル光線砲はトランスフォーマーの1人である、アルマダスタースクリームに作り方を習って作り出したものだ。特性としては電気的特性物質を分解し、機械にダメージを与えるという機動兵器などのハイテク機器には最大の驚異となる。
元はナル光線キャノンだが、スタースクリームのものとは大きさが違うのでこの名前にしたのだ。
「左足に何を当てた!?なんにも動かないぞ!」
「屑野郎に教えるとでも?」
互いに接近戦を繰り返すも、一夏からしたら何の苦にもならなかった。
「スタースクリームの剣の方が数倍早い!」
空中での戦闘のプロであるアルマダスタースクリームの剣の速度と破壊力の方が驚異だった。何しろ極東支部のメンバーではトランスフォーマーは歴戦のプロのレベル、それと比べると何の驚異にもならなかった。
「なめんなこの恥さらし者が!」
白式の両腕の指先から出た黄色の液体がナル光線砲に当たると、ナル光線砲はドロドロに溶けてしまった。
「まさか・・・酸!?」
「僕の邪魔をする奴はみんな溶けちゃいなよぉ……!」
誘爆寸前のナル光線砲をパージして、距離を離すも幾つかが当たり頭の装甲が無くなってしまった。
「その目……気に入らないなぁ!!」
右脚部から圧縮された酸がレーザーのように発射され、一夏の右肩から左脇腹にかけて切り裂いていた。
「ッガァ...!?」
「その頭も消えろぉぉぉぉ!!」
動きが止まった一夏の頭に酸の塊が直撃、溶けた装甲の上から近接ブレードが突き刺さり一夏は地面に血と脳髄を吹き出しながら落ちていった。
そこは闇。何も映さない常世の闇。嘆く歌も飲み干し無に帰る黒の中で一夏は仰向けに倒れていた。
「俺は……何のためにアイツと戦ったんだっけ?そもそも……オレの目的は何だったけ?あの時決めた約束……何だったけ?」
一夏は戦っている間に鈴や弾や数馬たちが殺されたあの時に、何かを決心していたのを思い出したのだが何故か思い出せないでいた。
悩めば悩むほど傷口から溢れ出す血が四方に広がり続けた・・・するとどこからか声が聞こえてくる。
”汝の復讐に何を望む?”
声が聞こえる、大人の女の声だ。俺が望む復讐に何を望むかを問われた。今ならわかる、この機体に載せたツインコアの片割れだろう。
「自らの過去との因縁を終わらせるために……明日へと進む為に……俺は復讐を成す」
”マスターの意志を確認しました。現時点の単一使用能力を解除・・・絶対に・・・大切な人を忘れないで”
最後に聞こえたのは自分と同じくらいの少女の声だった。それに現時点の単一使用能力と言っていたがまだ本当の力ではないようだ。
気がつくと足元がドロドロとした何かに飲み込まれ更に引きずり込まれた。同時にこみ上げてくるのはあの時の怒りだった。
「そっか・・・俺は・・・思い出したよ」
怒りに飲み込まれる中で自分がなんのために力を手に入れてきたのかを、改めて 認識した時目の前が真っ赤になった。
「何で潰れないんだよこの頭!?」
秋人は目の前にいる一夏の頭を何度も何度も近接ブレードで突き刺し、輪切りにし、首から切り離したりしたが瞬時に再生することに対して恐怖を感じた。
アリーナの地面には未だに吹き出す一夏の鮮血が降り注ぎ、真っ赤に染め上げていた。
心臓を破壊してやろうと考えた時に、一夏の口が動いたのを見た。
「…ワ...……フ…………リティ……」
既に致死量の血を吹き出したのに未だに生きている一夏に、恐怖を感じていた。
「・・・ぼそぼそウゼェんだよぉおおお!?」
恐怖を払うために大声で叫びながら一夏を離し、接近戦ブレードの切っ先を一夏に振り下ろした瞬間、地面が爆ぜ、巨大な黒くドロドロとした粘液上の液体に白式は飲み込まれていった。
「ワンオフアビリティー…...《奈落ノ焔粘塊》」
次の瞬間白式を飲み込んだ液体は、瞬時に赤熱化し膨張……爆発四散した。
「そうだ、俺がやりたかったのは……はっ……はは!そうだよ!復讐だよ!俺を殺そうとしたあの街の人間を!男も!女も!殺す!全て!」
一夏が知りもしなかった単一使用能力《奈落ノ焔粘塊》は心の闇を受け入れ、開放することで使用可能になる特殊条件下能力である。
その特性はナラク・ニンジャの不浄の炎とデスドレインの「アンコクトン・ジツ」を足したようなものだった。但し……シールドエネルギーを半分消費して展開される。
「そうだよ……そうだったよーーーギャーハッハッハ!」
続けて爆発が連鎖する。
一夏は思い出したのだ己が復讐する相手を。
「アリーナは誰もいないのかぁ……見ていた観客であの街の出身者がいたら消してやろうかと思ったが……目の前のカスでいいかぁ?」
破黒から伝わる情報で、白式がまだ生きてるのを確認した一夏は粘液を頭に纏わせ装甲に組み替えた。
「クソがァ……!」
白式の姿は一次移行したようで多少変わったが、それでも装甲の殆どが吹き飛んでいた。しかも紫色にも黒にも見える炎が常に全身を覆っていた。
「へぇ、一次移行したのか」
「そうだ、それに……これがある!」
近接ブレードは青白いレーザーブレードとなった。その姿は雪片と雪片二式の零落白夜そのものにしか見えない。
「三本目の雪片……雪片三式とでも言うべきだね。本来は姉さんが使った二式だったけど今の先生に奪われちゃったし、あの人が送ってくれたこれを使うことにしたのさ!僕は天に選ばれたんだよ!」
そう言いながら金色の光を纏いながら、突っ込んで来る。本当に話が合ってるならあれは零落白夜で合ってるだろう。が、今ならワンオフアビリティーの使い方も理解できる。
「「巻きつけ」そして「噛み砕け」」
一夏の言葉に従ったのか頭に付けられた黒い塊や、全身から放出され始めた黒い粒子が同じ様に黒い塊となり白式の両腕に巻き付いた。
そのまま両腕を覆ったと思うと、次の瞬間にはブチンとちぎれる音と共に両腕が無くなった秋人が落下していった。痛みでのたうち回るが、爆破を続ける。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!???ボクの、ボクの腕がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「デスドレインのアンコクトン・ジツと同じような力だな。まあ試合に使えるのは一回が限度か……「爆ぜろ」」
黒い粘液が白式を包み、盛大に爆発を何度か繰り返した。
「さて、そろそろやるか...」
一夏は爆破を止めて虫の息である秋人に近寄り、手刀を繰り出した。
手刀は絶対防御を貫き、白式を解除された秋人の頭を襲った。耳を引きちぎり目玉を抉り出し鼻を切り落とすその光景は悪夢的光景である。
「ギャアアアアアア!!!」
「耳、鼻、目玉、これ以外があれば何とかなるだろ?」
一夏の顔には笑顔が浮かんでいた。憎き人間の五感から視覚と聴覚や嗅覚を潰してやったのだ。
「これは復讐の始まりだ。まずは1人……お前から何もかも奪ってやる!次に織斑千冬……!そして……箒の成り代わりのケドラ……!」
壮絶な痛みで失神した秋人を見下ろしながら、一夏は奪った五感……目玉、耳、鼻を口の中に放り込み噛み潰した。
グチャリ、ブヂャ、ニチャ、ゴジュリ……聴くに耐えないおぞましい音を響かせながらそれらを飲み込んだ後、一夏は秋人や自身の血で出来た血の海に転がっていた、秋人の両腕を持ち上げて天に捧げ物を宣言するように叫んだ。
「俺は誓うぞ、俺から全てを奪ったあの街の人間とその一族全てを滅ぼす!!この血の海に誓うぞぉぉぉ……!!」
その叫びは地獄の亡者の如く、怒りに身を包んだ男の叫びだった。その叫びは学園の隅から隅まで響くほどの声でもあった。
「グゴォ……ヴォォォォォォォ!!!!!」
獣の如く叫び声を上げた直後、秋人の腕を天に捧げたままの形で一夏は失神。数分後にアムロたちが発見したのだがその光景に集まってきた者達の殆どが嘔吐し、恐怖で泣け叫ぶ文字通りの阿鼻叫喚の地獄となった。
何らかの現象でここに来るまでのアリーナの様子が、生徒や教師達の思考回路に流し込まれてきたのだ。有り得るのは神機使いとなった一夏の発する感応波の暴走。
強すぎる怨念が無差別に送り込まれたのだろうか……?それは誰も知ることは無いし分かることは無い。
翌日、集中医療室に搬送された織斑秋人と織斑一夏は来ることもなく、クラス代表決定戦は残ったメンバーで決められ代表は獅子王凱となった。
因みに秋人は日本政府が引き取ったそうだが、何らかの国家的権力を利用したのだろう……同時刻に篠ノ之箒の姿も学園から消えていた。織斑千冬は学園の地下著罰室に厳重に監視されている。
カンパニーの機体はカンパニーの機体同士なら問題ないがISだと危険だということであるが、安全面に特化しているのが獅子王凱の機体なのでこの結果に収まった。
まあ実体装備しかないのも選ばれた要因なのだが。
しかし一週間が経過したその日の朝、まだ一夏の姿はなかった。
憎しみの果に掴んだ力と誓い、一夏が目覚めたと聞き一同は行くが……その目に映るのは……
次回「虚無」
その日、彼の顔から感情は消えた