思い付いた物を、書いていきます。
迷宮で、ロキシーが慰めていなかったら……そんなシチュエーションになっています。
俺は、クズだ。
「父さん、俺……」
無くなった左腕。それ以上に欠けた心。
「俺、どうしたら……」
初めての迷宮、初めてのヒュドラ。
そして、初めての絶望。
パウロの火葬が、ルーデウスの乾いた瞳へ。
「……」
欠けた心は、涙で満ちる。
ルーデウスとロキシー、二人が交わることは無かった。
どれだけ歩いただろう。
砂漠を見つめ、土魔術で道を作り、転移魔法陣で帰った。
ずっと、下を向いて、俯いてた。
無意識だった。声が聞こえて、初めて顔を上げた。
「ルディ、おかえりなさい……」
「シルフィ……」
綺麗な白い髪、随分と伸びたなぁ。
お腹も、大きくなった。
声の主は、わざわざ俺なんかを迎えに来てくれた『俺の最愛の人』
笑顔がとても可愛い。俺の、お嫁さん。
「シルフィっ……」
俺は、残った右腕で抱きついた。
この為にあるんじゃないかと錯覚するほど力強く、優しく。
離れたくないって、一生懸命抱きついた。
俺の体重を受け止めるシルフィ。
彼女は、文句一つ言わずに優しい声色で話しかけてくれる。
「うん、ルディ。寒かったでしょ?アイシャちゃんが火を焚いてくれたんだ。一緒に入ろ?」
妊娠中で辛い筈なのに。
フラフラな俺を支えて、家の奥へ。
「大丈夫だよ。ボクは、どんなルディでも大好きだから……」
この言葉が、俺の耳に、甘く溶けて行く。
溶ける言葉。俺は、それを聞いて、ほんの少しだけ、自分自身を許せた気がしたんだ。
「父さんは、パウロ・グレイラットは……」
ロキシーに救われなかったルーデウス。
重い口が、ゆっくりと開く。
「死亡した」
ノルンは泣いた。
泣きながら、ルーデウスに言葉を置いていく。
「兄さんは、頑張ったんですよね?」
「……」
彼は、何も答えなかった。
事前に迷宮へ。何度も、何度も潜っていたら、結果は変えられたのかもしれない。
彼は、ルーデウス・グレイラットは、後悔に焼かれていた。
『頑張った』なんて、口が裂けても言えなかった。
「ここからは、私が話します」
リーリャの言葉。
泣いているノルンへ、彼女は順を追って説明してくれる。
本当は俺の役目なのに、口が乾いて、言葉が出ない。
そこからは、他人事のように時が進んでいった…
アイシャがリーリャに甘えて、皆が帰っていく。
火がパチパチと音を立て『あの時』を思い出させる。
そう、パウロを火葬した『あの時』
部屋には、家族だけが残った。
黙る俺を他所に、シルフィが口を開く。
「ノルンちゃん、アイシャちゃん、ごめんね?ルディと二人にしてくれないかな?リーリャさんも……良いですか?」
「……はい」
部屋には、夫婦だけが残った。
「……」
「……」
部屋は、とても静かだった。
何かを話すでもなく、するでもない。
しかし、愛情は確かだった。
「ルディ?はい、お水」
「要らない」
俺は、冷たく断った。
シルフィは心配してくれたのに、俺は、本当に最低だ。
(きっと、幻滅されただろうな)
苦笑いするルーデウス。
瞬間、柔らかい感触が触れた。
その正体は、シルフィの、最愛の人の、小さくも柔らかい胸。
「いつもは、ルディにギュッとされちゃうから……今日は、ボクにさせて?」
「シルフィ。優しくしないでくれ。俺なんかに、優しくしないでくれよ……」
俺の言葉。シルフィは微笑んでいた。
俺に元気になって欲しい。ただ、それだけを呟いて。
「俺なんかにじゃないよ。ルディは、ボクの大切な旦那さんだから……」
優しい言葉が、俺の乾いた心に染み渡る。
右手を彼女の太腿に置いて、目を瞑る。
温かくて、心地良い。
俺の涙は少しづつ止まっていって、その代わりに、俺の口からは、ポツポツと言葉が溢れていく。
「俺は、何も変えられない。守れない……」
大切な物から目を背けて、やり直した気になって。
結局、何も出来ない。
そんな気持ちが、募っていく。
「最近、悪夢を見るんだ」
守りたい者。ノルン、アイシャ、クリフ、ザノバ。
そして、シルフィ。
そんな人達が、俺を庇って死んでいく。
「皆が、シルフィが死んだらって思うと、凄く怖いんだ……」
「……」
シルフィが、どうしようもなく好きだから。
大切な物を手放したくない。
俺は、愛しの人に手を伸ばす。返ってきたのは、優しい声色。
「ボクも、転移事件で両親が亡くなったんだ」
「……」
彼女の言葉に、俺は俯いた。
その理由は、怒られると思ったから。
情けない、弱いって、お前は母親は死んでいないだろって。
そう怒られると思ったから。
でも、その通りだよな。彼女に比べたら、俺は恵まれている。
俺は、彼女の敬意と自身への自責の念を込めて、ゆっくりと言葉を放つ。
「シルフィは、強いな……」
「ううん、ボクが立ち直れたのは自分の力じゃない」
言葉と同時。
シルフィは、俺を抱く力を強めて。
「アリエル様が居て、ルークが居て……そしてね?何より……」
瞬間、俺の唇が奪われた。
彼女の顔が、少し微笑む可愛い顔が、俺の視界を覆った。
彼女の唇。愛しの人の唇は、凄く甘い味がした。
「ルディが居たから、ボクは立ち直れたんだ」
シルフィの瞳に、俺が映る。
酷い顔だ。痩せこけていて、見窄らしい。
だけど、大切なことに気付けた。
「ボクも、ルディにとって、そんな存在になりたい」
何年、何十年掛かっても。
ルディは、ボクが元気にしてみせる。
あぁ、本当に、俺には勿体無い。
「シルフィ。俺、絶対に守るからっ」
「うん、ボクもルディを守りたい」
彼女には、何度も救われた、支えられた。
今回も、これまでも救われてばっかりだ。
あぁ、なんていうんだろう。可愛くて、幸せで、本当に、彼女が大好きだ。愛情が止まらない。
「シルフィエットさん、これからもお願いします……」
「ふふっ、ずーっと一緒だよ?」
その日は、シルフィと添い寝した。
恋人繋ぎで、抱き合って。
えっちは出来ないが、何度も呟いた。
『好きだ』
この言葉を、何度も、何度も。
だからかな?この日、俺の頭に、悪夢は、やってこなかった。
ー三日後ー
「ノルン、剣の練習するか!」
「はい!」
庭で、木刀がぶつかる。
少しだけ元気になれた俺は、元気に剣を振り回していた。
「ルディも、ノルンちゃんも頑張って〜」
元気に剣を振るっていた俺。
しかし、この言葉と同時。俺は、剣を投げ捨てる。
向かう先は、もちろん……
「シルフィ!寒いと身体に障るから。ささっ、中に入って」
「えぇ、ルディの剣もっと見たかったのに」
「そうしたら、中でやるか……」
「ふふっ、そんなことしたら家具が壊れちゃうよ?」
あぁ、なんて可愛いんだろう。
俺の頭は、シルフィのことでいっぱいだ。
俺の顔は崩れていて、それはそれは酷い物だったと思う。
「シルフィ?冷えるから、これ着ててくれ」
俺は、自らが羽織っていたローブを脱いで。
シルフィの肩に、そっと掛ける。
「え!?ルディが寒くなっちゃうよ!」
「良いから、良いから。シルフィが寒くないのが一番!」
「もぉ、ルディったらぁ……」
庭に広がる幸せ。
彼女も、えへへと笑ってくれた。
「兄さん!剣の練習は!?」
「一旦休憩だ!」
「そう言って!昨日もシルフィ姉さんとイチャイチャして終わったじゃないですか!」
「うっ……」
痛い所を突かれてしまった。
でも、シルフィが悪いのだ。うん、可愛すぎるのだ。
俺は、お嫁さんを抱っこして、半ば強引に家の中へ。
「ふふふ、ルディ?お腹の子に話しかけてみて?」
「……お腹の子?」
ニコニコなシルフィエットさん。
うぅーん、どんな言葉を掛けようか。
しばらく考えた俺は、シルフィのおでこにキスを落として、意を決する。
(よし、決めた!)
少しずつ、やり直そう。そんな思いを乗せて……
「俺は、君のお父さんになるからな……」
返ってきたのは、お腹を蹴る振動。
我ながら良い言葉だ。彼女のおかげで、そう思えた。
「そうだよぉ〜。優しくて、えっちなお父さんだよ〜」
「ちょっと!シルフィ!?」
「あ!ルディ!また反応したよ!」
先ほどよりも、力強く蹴る我が子。
俺の言葉よりも納得したのかなぁ。
はぁ、最後まで締まらないな。
こんなことで、一家の大黒柱になれるのか。
不安は残る。しかし、俺は笑った。
シルフィの肩を撫でて、赤く染まった彼女を見つめて。
(まぁ、大丈夫だろう……)
根拠の無い自信。
シルフィとなら、何処までも行ける気がした。
「それで、父さん!シルフィと約束したんですよ!」
ルーデウスの前には、お墓が一つ。
そこに刻まれる名は、一つしかない。
『パウロ・グレイラット』
僕の……いや、俺の父さんの名前だ。
「いーっぱい子供作って!あの家をギュウギュウにするんです!」
お酒を注いで、お墓に置く。
それだけの行動に、何故か涙が込み上げた。
「出産して、休憩して。あぁ、シルフィとの子作り楽しみだなぁ」
シルフィ一筋な俺は、父さんとは違う。
だけど、確かに俺は、パウロの息子だ。
「父さん!少しだけ待っててくださいね!」
大きな声、空元気なのかもしれない。
しかし、俺が息子であることに気付けた。
このことは本当に嬉しくて、大切なことだ。
「シルフィへの純愛と!これからに!」
グラスを高く持ち上げて、大きく笑う。
そして、天に向かってこの言葉を……
「乾杯!」
夕日が、グラスに反射した。
綺麗な反射光。
その光は、何かを祝福するように、すごく、すごく、綺麗だったんだ。
恐らく、次もシルフィとの関係になるかもしれません。
ゆっくりと投稿していきます。
良ければYouTubeやってます!下にリンクを貼っておきます!
https://youtu.be/on2VsvDNiDU?si=uvrCW9ep0Pj1-Ve5
見たいのは?
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ルーデウスとロキシー
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ルーデウスとシルフィ
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ルーデウスとエリス
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その他