(ッ…!?なんでだ!?なんで奴の…アーランクルの傷が癒えてるんだ!?回復魔法?いやそれなら僕のパンチを食らう前にやらなきゃおかしい…!クソッ!奴のトリックの見当もつかない……!!だけど一つだけハッキリしてることがある…それは───)
「今お前を殺せばトリックもクソもないよなぁっ!!!」
大きく拳を振り上げたリクトはそのまま地面を蹴り、瞬く間にアーランクルの懐に入る。そして────
「Godリーラ:ドラゴmeaninGゥ!!!」
アーランクルの土手っ腹を殴りつけるとともに拳に溜まりに溜まった魔力を全て放出させた。
その衝撃の強さは触れていない瓦礫を塵へと変え、吹き飛ばされたアーランクルの速度は音速を超えた。
だがこの大技を使用したリクトの左腕の魔力オーラは完全に消え失せ、彼の額からは脂汗が滲みゼェゼェと息を切らしている。
(溜めた魔力を全部消費するから一から溜め直すデメリットはあるが、この技を喰らって死ななかった生物はいない…今までの討伐レベルSの魔物達でさえ一撃で葬ってきた!ガルシアを眠らせるために右腕は残したけど、クソ…反動で頭がふらつく……)
未だに辺りを破壊し続けるガルシアの元にヨロヨロと歩み進めようとするリクト。しかし───
「オイオーイ!左腕のオーラ消えてるけどもしかして魔力消えてんのか〜?」
聞きたくない声がまた聞こえてきた。ギョッとした表情のリクトが声の方向に目を向けると血塗れであるが五体満足のアーランクルが立っていた。
「アアアアアアアアアアア!!!!!!なんでだよぉ!!なんで消し飛んでねぇんだよ!!!死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死んでくださああああああああい!!!!!!!」
何度も生き残るアーランクルに恐怖すら覚えたリクトは残る右腕でラッシュを繰り出し確実な殺害を試みる。
しかしアーランクルは風に揺れる柳のようにしなやかに避けるとソッとリクトの右腕にしがみつき、そして────
ガブゥッ!!!
「ぎぃっ!!?ぐ…!う……ぁ…?」
アーランクルに拳を噛みつかれ、思わず悲鳴が漏れ出るリクト。だがそれも束の間、痛みよりも強い脱力感に襲われる。
「なん…で…?僕の…僕の魔力が……抜けていく…。ま、まさかお前は────」
リクトが言い終わるか終わらないのタイミングで暴走したガルシアの魔力弾がアーランクルを襲う。
巨大な魔力弾がアーランクルに被弾した瞬間、音もなく彼の身体に飲み込まれ、そして跡形も無く傷が癒えたのだった。
「そうさ…俺もテメェの言うような転生者って奴だ。どんな魔力でも吸収し自分の力に変換できるチート……Killギリスって名前だ。さてと─────」
「ひぃっ!?」
リクトはこれから訪れる最悪の未来を想像してしまい後ずさる。
「な、なぁ!ガルシアは返すし、街の誹謗中傷も鎮火させる!!だからここは見逃してくれよぉ!!」
「ダメだ、信用できねぇ」
「そ、そうだっ!僕以外の転移者の情報全部話す!!奴らは初見殺し集団だから聞いて損は無い!!!」
「別にいらねぇ」
「それじゃあ君の下僕になって降りかかる火の粉を一手に引き受ける!!もちろん君達の秘密は墓まで持っていく!!!」
「もう間に合ってる」
「クソがああああぁぁ!!!!!お前らなんてすぐに他の転移者達が嗅ぎつける!!!あの悪魔達に目をつけられたら最後、地獄の逃亡生活が待ってるさ!!!せいぜい苦しみ抜いて死───ッ!!?」
背中に氷柱を突っ込まれたかのような悪寒とともにリクトの怨嗟の声がピタリと止まる。振り向かずともリクトは気づいた。いつの間にか無差別破壊を止めていたガルシアが静かに巨大な魔力弾を生成していたことに。
「それじゃあ、いただいた魔力は返すぜ……Killギリス:バーレスクouT」
「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️ーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!」
「───────たすけ」
巨大な魔力と魔力のぶつかり。そして辺り一面を眩い閃光が覆い尽くした。
今日はここまで!
次は最終回です!
明日も20時から投稿しますので見ていただけると嬉しいです!