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「ね、ねぇアーランクル…いったい何が起こってるの…?」
俺達の故郷が滅んだあの日。思い出したことで使えるようになったチート、Killギリスで魔力を吸い上げるとガルシアは再び眠りに落ちた。
そしてアイツを背負い村から逃げ去ってる最中に目覚めたガルシアの第一声がそれだった。
まさか…何も覚えてねぇのか…?
俺は言葉をつぐんだ。ビビリだが誰よりも優しいガルシアにありのままを告げるべきか…?いや…きっと、いや…絶対に罪の重さに耐えかねて壊れてしまう。だから俺は言ったんだ。
魔物の大群が村を襲った。生き残ったのは俺とお前だけだ、と。
アイツに無差別殺害の真実を知らせちゃいけねぇ。そして万が一、アイツが自分のチートを知ってしまえばあの夜の真実に気づきかねない。
幸い、俺が近くにいればKillギリスの魔力吸収でガルシアのチートが発動することはない。そして吸い上げた分の魔力は俺の力を上げに上げてくれるからそれを利用して冒険者への道を選んだ。
Killギリスでガルシアのチートは発動しないとはいえ、確実を期すために俺は行く街々で魔力低下の薬を買い込み毎日ガルシアに飲ませた。もちろん薬の効果は偽ってだ。
その甲斐あって今までチートが発動するなんてことはなかったがそのせいで自分は落ちこぼれだといつも沈むガルシアを見て、心が痛まないことはない。
俺さ、もう二度とお前を死なせないためならなんだってやるよ。
ガルシア……いや、『
生前の俺……小鳥遊青葉の人生は暗闇そのものだった。
親父の事業が大失敗して3億もの借金を抱えたのが高校1年の頃。しかもヤバい筋から借りて自転車操業してたもんだから会社が潰れてからは夜逃げ同然であちこちを転々と逃げ回る生活。
食うもんに困った俺は雑草でもダンボールでも食えるもんはなんでも食い漁った。そんな生活で自暴自棄になった俺は暴力の道に逃げ、ズルズルとグレていったっけな。
何度目かの転校だったか、高校2年の春に俺はアイツに出会った。生前のガルシア……来栖莉緒に。
莉緒は明るく真面目で成績優秀スポーツ万能友達も多く、そして何より正義感の強い奴だった。見知らぬ人間のポイ捨てにも食ってかかるような奴が粗暴な不良に目をつけるのも無理ない話だろう。
学校のルールがどうたらで何度も衝突してると顔見知り以上の関係になり、気づけばいつも一緒にいる仲となったある日の莉緒の一言は今でも耳に残ってる。
「今まで言わなかったんだけど、青葉っていっつもお昼ご飯食べないよね?何かあったの?」
莉緒に情を持ち始めた俺は惨めな家庭環境を知られたくなかったから「うるせー」とその場を濁した。
だけど数日後、どこから嗅ぎ回ったのか莉緒は「なんで言ってくれなかったの!?」とボロボロ涙を流しながら叫んだが「お前に知られたところで何も変わんねえよ」と突き放した。
お前だけには知られたくなかった。今までの奴らみたいに同情だけされたくなかったからもうコイツとの関係は終わりか…と少し悲しくなった。
だけど莉緒は違った。俺に隠しちゃいるが、どうやらあちこちで金策に走って得た金を俺の親に渡してるらしい。
だけど所詮は学生。焼け石に水でしかない金額があってもなんの助力にもならない。莉緒の金は現実逃避した親父の酒代に消えるだけだった。
何の救いにもなってないのに昼夜問わず駆けずり回るアイツの姿は見るからにやつれていったし、もうこれ以上見てられなかった。
そして運命のあの日が来た。
その日俺は学校帰りにすぐさまバイトに直行しようとした莉緒を呼び止めた。
「なに、青葉?もうバイトの時間だから何かあるなら後にしてk「気づいてねえと思ってんのか?」……え?」
「俺に隠れてこそこそバイト代やらまわりに借りた金を親に渡して借金返済してるつもりだろうが、あんな端金あったって迷惑なんだよ」
「いや…でもそんなこと────」
「もう我慢の限界だ。テメェみたいな馬鹿女に付き纏われると反吐が出る。これ以上関わるなら……殺すからな」
「あ、青葉………」
これでいい。俺にさえ関わらなければ莉緒は幸せになれる。クソッタレな俺の人生に莉緒を巻き込むことだけはしちゃいけねぇ。
後ろで喚く莉緒をよそ目にその場を去ろうとした時
キキイイイイイイイイイィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!
突如スリップしたトラックが俺の眼前に迫った。避ける暇も無く、最後に見た光景は必死の形相で俺に手を伸ばそうとした莉緒の姿だった。
そしてクソ女神に一方的に転生させられた俺はガルシアが初めて暴走したあの日に小鳥遊青葉としての記憶を思い出し、そして確信した。
目の前のガルシアこそが転生した莉緒なのだと。
生前の莉緒とはまるっきり性格も反対だし何をやってもダメダメな奴ではあるが、それでもコイツは俺を…小鳥遊青葉を助けてくれた奴なんだ。
だからこそ今度は俺がコイツを助ける番なんだ。
小鳥遊青葉が来栖莉緒を突き放した選択、そしてアーランクルの故郷が滅んだ日の選択、そして莉緒の記憶が戻らねえようにする選択……どれも間違ってたかも正解だったかも未だに分からねぇ。
だが俺がこれからすべきことは分かってる、それは────
「ね、ねぇ……もうドーメルの街を離れちゃうの…?せめて看病してくれたリクトさんにお礼言わないと……」
「あぁ〜?あのガキは王都に戻ったってよ。ったく、無人の屋敷でグースカ寝てるテメェを連れ戻しにきたら魔物の襲撃にあって……どんだけトラブルメーカーなんだガルシアさんよぉ?」
「うっ…ご、ごめん……」
「まぁ、んなことはどうでもいい。また稼ぎたいことだし次はアジュラの港町に行くぞ!」
「う、うん…!」
ドーメルの街を背に俺達は歩み出す。いつの日かガルシアがガルシアとして幸せに暮らせるように安住の地を求めて旅立つ。その過程を邪魔する奴らは誰だろうが全員ぶっ飛ばす。
お前への恩返しはまだまだ返しきれてねえんだ、これからも付き合ってもらうぜ?大好きな莉緒。
最後まで見ていただきありがとうございます!
久しぶりにオリジナル作品書きましたが難しいですね汗。
これからも色んな作品投稿すると思いますので見ていただけると嬉しいです!