Killギリス   作:ていん?が〜

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エスコート

「…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…チッ」

 

 街の大通りを歩きながら誰にも聞こえない程度に舌打ちを繰り返すアーランクル。表情には出してないが、彼は今とても不機嫌であり今話しかけられたらその人物をぶん殴ってやろうという不穏な考えすらあった。

 リクトのレッドドラゴン討伐により今この時も町中の人間から後ろ指を指され続けているが、不機嫌の理由はそれではない。

 

(どこ行きやがったんだよ…ガルシア……)

 

 今朝、宿に戻るとガルシアの姿が消えていた。そこから数時間、街中を探し回るアーランクルだが彼女が見つからない苛立ちが募るのに対し時間は無常に過ぎ去るばかりだった。

 

(クソ…こんなことなら昨日のうちに『()』を買い貯めておくべきだった!あと少しで正午……早く見つけて飲ませねぇと『()()()()()()()()()()()()』)

 

 アーランクルの苛立ち、そして焦りが最高潮へと達ようとしたその時

 

「おっ!リクト様に負けた腰抜けの兄ちゃんじゃねえか!」

 

 聞き覚えのある声が聞こえたので思わず振り返ったアーランクルの目が捉えたのは、昨日ギルドでリクトに突っかかっていた大男だった。

 アーランクルはその下品な大声に更なる苛立ちを覚えるも、彼と絡んで時間を溝に落としたくない思いから崩れかけた作り笑顔を取り繕い

 

「……こんにちは、確か等級Bの冒険者であるロックさん…でしたね?冒険者の大先輩である貴方にお声をかけていただき光栄です。光栄なのですが、生憎用事がありますので────」

 

「オイオイつれねぇなぁ!!そんなんだから『()()()()()()()()()()()()()()()』んじゃねぇのか!?こんな臆病者は放っておいて酒でも飲みに行くか……っと?」

 

 大男ロックから紡がれる嘲笑の言葉の勢いは突然として落ちた。なぜなら空気が一瞬張り詰めたように感じたから。

 まるで討伐レベルSの魔物と遭遇したかのような緊張感。冷や汗がタラリと頬をつたい落ちようとした時、踵を返そうとしたアーランクルが突如ロックに声を投げかけた。

 

「ロックさん、先程は失礼致しました。お詫びと言ってはなんですが美味しいお酒のあるお店を知ってるので一緒にいかがですか?」

 

 ロックから見てその柔和な態度は変わっていなかった。しかし言ってることがコロコロ変わってることへの疑念により裏があるだろうと勘ぐるが

 

(敢えて乗っかってやろうじゃあねぇか)

 

 等級B冒険者ロック、通称巨岩のロック。ランクこそ等級Aのアーランクルに劣るが対人戦では等級Aの冒険者に匹敵するポテンシャルを持つ男だ。魔法を出される前に肉弾戦に持ち込めば勝てる見込みは充分ある。

 

(不意打ちしようがなんだろうが華奢な優男に負けるほどの筋肉は持ってねえのよ!)

 

 ギラギラとした目でアーランクルの後ろ姿を睨みつけるロックはこれから訪れるであろう暴力の機会を今か今かと待ち侘びつつも彼の後ろを着いて行った。

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