DRAGON BALL Z Re:Son Gohan   作:ナムルパス

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第13話 ベジータとの停戦協定

ナメック星の大地に、重く沈んだ沈黙が広がっていた。

 

クリリンと悟飯の眼前には、ベジータ――かつて地球を恐怖で塗り潰しかけた男が、涼しい顔で立っていた。

 

「よう……久しぶりだな、カカロットのガキに、地球人」

 

その口元は僅かに吊り上がり、嘲るような笑みを湛えている。だが、その目は笑っていなかった。険しく鋭い光を放ち、獲物を見定める獣のような警戒と戦意を帯びている。

 

悟飯は、冷静に一歩前へ出る。

 

「……ベジータさん。あなたもドラゴンボールを探してるんですね」

 

「フン……言い回しが随分と大人びてんな。さすがはカカロットの息子ってとこか。……いや、それだけじゃないか。貴様どこか異質だ。まるで……別人のような」

 

クリリンが悟飯をチラリと見るが、言葉は挟まない。悟飯は軽く頷き、続けた。

 

「俺は“悟飯”だけど、ちょっとだけ違う。……それでも、地球の仲間を守るために戦うって気持ちは変わりません」

 

「ハッ、どいつもこいつも“守る”だの“正義”だの……気取ったセリフを抜かしやがる。だがまあいい。お前らにひとつ忠告しておいてやる」

 

ベジータの気が膨れ上がる。周囲の岩肌が微かに震え、ナメック星特有の緑空が脈打つようにうねった。

 

「ここにいるフリーザの手下ども……ヤツらの力は、地球での戦いとは比べものにならん。迂闊に近づけば、命を落とすぞ」

 

悟飯は眉をしかめた。

 

「フリーザ……それが“奴ら”の名前?」

 

「そうだ。フリーザは宇宙の帝王だ。貴様らの想像を遥かに超える化け物だ。オレは……その下で長年戦ってきた。だが今は違う。アイツは消すべき敵だ」

 

「……ということは、敵の敵は味方、ってことになるのか?」

 

クリリンがやや皮肉混じりに言う。だがベジータは、真顔のまま応じた。

 

「オレはお前らと手を組む気はない。ただ、今ここでお前らを殺すのは得策じゃないってだけだ。フリーザを倒した後なら、好きなだけ相手してやる」

 

悟飯はしばし思案するように黙り――やがて一つ頷いた。

 

「いいでしょう。その時が来たら俺も全力で戦います。でも今は仲間を守るために――俺は戦う」

 

「クク……いい覚悟だ」

 

ベジータはその場を離れ、別方向へと飛び去った。

 

残されたクリリンが息を吐き出す。

 

「……まったく、どいつもこいつもサイヤ人ってのは、やたらと気迫だけは凄いな……」

 

「でも……気を抜けない。あの人は本気で“敵”になったら、迷いなく俺たちを殺すはずだから」

 

悟飯の声に、確かな警戒と、微かな決意が滲んでいた。

 

 

一方――

 

ナメック星の別の大地。三人の異様な気配を感じながら、デンデというナメック星人は草陰に身を潜めていた。

 

遠くに見える三つのシルエット。鋭い角を持つ巨躯、冷酷な瞳、そして異様なまでに整った顔立ち。

 

「ドドリアさん、ザーボンさん、探し物は見つかりませんね」

 

低く、不気味な声――フリーザの声が響く。

 

「ですが、近くに戦闘力の高い個体が複数……。この辺りには間違いなくナメック星人の村があるようです」

 

「なるほど……ならば、移動して確かめましょう。七つのボールをすべて揃えた時、願いは叶う……。そのためには多少の犠牲も仕方ありません」

 

デンデは、震える身体を抑え、気配を押し殺す。

 

――“あの者たち”は、絶対にこの星にいてはいけない存在だ。

 

地球の戦士たちが来ているとすれば、希望はまだある――!

 

デンデは意を決し、飛び立った。

 

 

数時間後。

 

ナメック星第5区域、神殿跡地近く。

 

クリリンと悟飯は、集落の跡を見つけていた。

 

「ここ……ナメック星人の村だった場所か?」

 

「うん。……でも、誰もいない。まるで全滅させられたみたいに……」

 

悟飯が呟いたその時――背後から声がかかった。

 

「君たちは、地球人かい?」

 

振り向くと、デンデが立っていた。小さなナメック星人の少年。気は低いが、その瞳には確かな意志が宿っていた。

 

「ボクはデンデ。ナメック星人だよ。君たちに……会いたかった」

 

悟飯が膝をつき、穏やかに問う。

 

「どうして僕たちのことを?」

 

「神様……あなたたちの地球の神様が、昔この星にいたナメック星人なんだ。大長老様に教わった。優しい気を感じたから、きっと助けに来てくれるって……!」

 

クリリンと悟飯は視線を交わす。

 

「やっぱり……神様の出身地ってこの星だったんだな」

 

「デンデ。よければ、君の知ってることを全部教えてくれる?」

 

「うん! でも……ここは危険だ。どこか安全な場所へ移動しよう!」

 

三人は低空飛行で、岩陰の小峡谷へと飛んでいく。

 

 

その頃、宇宙船で遅れてナメック星へ向かう男がいた。

 

「チッ、あいつら先に着いちまったか……!」

 

ベジータとの激闘で満身創痍だった体を、カプセルの中で完全に治療し、今、ナメック星へ急ぐ孫悟空。

 

「みんな、無事でいてくれよ……!」

 

悟空の表情は、決意と焦りに満ちていた。

 

 

一方、フリーザの本隊は、次の村を襲撃していた。

 

「答えろナメック星人。ドラゴンボールはどこだ?」

 

フリーザの命令で、ドドリアが老長の襟首を掴み上げる。

 

「……断じて、お前たちに願いは叶えさせん!」

 

「そうかい。ならば――死ね!」

 

ドドリアが気を放ち、村人が次々に消し飛ぶ。

 

その光景を遠目に見ていたベジータは、拳を握りしめた。

 

「くっ……あのやり口、変わっちゃいねえな……!」

 

かつて自らも加担していた蛮行。それを見てなお、怒りを覚える自分がいる。

 

「ふん……オレはフリーザとは違う。もう二度と、あんなやり方には従わん」

 

 

デンデは、悟飯とクリリンに言う。

 

「ナメック星には七つのドラゴンボールがあってそれを集めると“どんな願いでも一つ”叶えられる。でも、その力を使おうとしてるのがフリーザなんだ……!」

 

「地球のとは、違う神龍なのか……!」

 

「ドラゴンボールを作ったのは……最長老様っていう、ナメック星の偉い人。ご存命なんだ」

 

悟飯が真剣な目で頷く。

 

「だったら、僕たちでフリーザより先にドラゴンボールを集めて、仲間を生き返らせよう!」

 

クリリンも頷いた。

 

「そうだな。ピッコロも天津飯も、ヤムチャも、餃子も……みんな、まだ死んだばかりだ。チャンスはある!」

 

デンデの表情に希望が灯る。

 

その瞬間――

 

空が鳴った。

 

「……来る!」

 

悟飯が叫んだその時、空から数体の戦闘員が降りてくる。

 

「やれやれ……こんな所に地球人がいるとは。これは報告しなくてはな」

 

青白い肌に小柄な体。キュイと呼ばれるフリーザの部下の一人。

 

「くっ!」

 

悟飯が前に出る。

 

「ここで逃げるわけにはいかない……!」

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