DRAGON BALL Z Re:Son Gohan   作:ナムルパス

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第14話 悟飯VSキュイ

ナメック星第13区域──

 

緑色の大地に、砂埃が舞う。空はいつも通りの濁った翡翠色。だが、今、その空の一角から鋭い気配が降下してきた。

 

「……来る!」

 

悟飯が声を上げると、すぐさま数体の戦闘員が上空から姿を現した。

中央には、青白い肌をした痩躯の宇宙人──キュイが浮いている。

 

「やれやれ……本当にいたとはな。地球人と……サイヤ人のガキが!」

 

キュイの口元が吊り上がる。戦闘力スカウターがピッと音を立て、数値を計測する。

 

「ほう……ガキのくせに、戦闘力2万近いだと……? だがオレ様には到底及ばねぇな!俺の名はキュイだ、相手をしてもらえて光栄に思えよなぁ」

 

「……油断するなよ悟飯。思ったよりあいつ強いぞ」

 

クリリンが言葉を低くした。

 

だが悟飯は、静かに前に出る。風に翻る道着。ピッコロの形見であるそれを正し、真っ直ぐにキュイを見据える。

 

「……キュイさん。あなたたちのやっていることは、あまりに酷い。罪もない人を……ナメック星の村を滅ぼすなんて」

 

「ククッ……フリーザ様に逆らう者は皆殺しだ。それが宇宙のルールさ」

 

悟飯は拳を握った。

 

(……この男、地球にいたならクリリンさんでも十分に勝てる。けど、油断はしない)

 

脳裏に浮かぶのは、転生前の記憶──前世では武道家として修羅場をくぐり抜けてきた。

そして、今世の悟飯としても、ピッコロと修行し、サイヤ人襲来を経て数々の死闘を越えてきた。

 

(ここで退くわけにはいかない。皆を……守るために)

 

「クリリンさん、下がっててください。僕がやります」

 

「悟飯……!」

 

キュイはクツクツと笑いながら、掌に気弾を作る。

 

「じゃあ見せてもらおうか、サイヤ人のガキってやつの力をよ!」

 

キュイが飛び出した。直線的な突進。その軌道は速いが、読める。

 

(遅い)

 

悟飯は回避と同時にカウンターを叩き込んだ。肘打ちがキュイの顎を打ち抜き、空中で体勢を崩させる。

 

「がっ……!」

 

そのまま悟飯は、続けて連撃を浴びせた。拳が三度、腹部を穿ち、蹴り上げが顎へ。

 

「がはっ……な、なんだ貴様っ……ガキのくせにっ!」

 

キュイが必死に気を放つ。周囲の岩場が粉砕されるほどのエネルギー波。

 

だが、悟飯はそれを正面から打ち破る。

 

「魔閃光っ!!」

 

黄金の閃光が一直線に伸び、キュイの気弾を呑み込んでいった。

 

「う、うわああああああっ!!」

 

爆発音。衝撃で空が震える。

 

クリリンが、思わず呆然とした顔で言う。

 

「すげぇ……あの悟飯が、キュイってやつを圧倒してる……。まるで、別人みたいだ……」

 

デンデも驚きの表情を浮かべていた。

 

「彼の気が……優しいのに、とても強い……」

 

爆煙の中から、傷だらけのキュイが現れる。

 

「ぐっ、くそっ……なんでだ、こんなガキに……!」

 

「……やっぱり、あなたたちは地球には来れなかった。あの時の、あの厳しさを、あなたたちは知らない」

 

悟飯の目は、冷静だった。そこにはもはや子どもの怯えも、ためらいもない。

 

「──これで終わりです」

 

悟飯は一気に間合いを詰めると、全身に気を纏って、渾身の一撃を放つ。

 

「これが……今の僕の力だァァアアアアッ!!!」

 

ドォォン!!

 

キュイの体が吹き飛び、遥か遠くの大地に叩きつけられる。その場で爆発し、跡形もなくなった。

 

沈黙。

 

クリリンとデンデは、ただ呆然と立ち尽くしていた。

 

「……悟飯。お前、ほんとに……悟飯か……?」

 

クリリンの声に、悟飯は小さく微笑む。

 

「……はい。でも、ちょっとだけ違う悟飯です。僕は……地球に転生してきたんです」

 

「て、転生……?」

 

「昔、別の世界で生きていた記憶があるんです。戦って、生きて、護ってきた──そんな記憶が」

 

悟飯は、青い空を見上げた。

 

「でも、今は悟飯として……地球と、仲間を護るために、ここにいます」

 

クリリンは驚きつつも、力強く頷いた。

 

「……そうか。よく分かんねぇけど、お前は悟飯だ。誰よりも優しくて、強いやつだよ」

 

悟飯は少し照れたように笑った。

 

その笑顔に、デンデもまた安心した表情を浮かべる。

 

 

その頃、ナメック星の別区域では──

 

フリーザの艦隊が次の村に接近していた。

 

「ドドリアさん、ザーボンさん。念のため、スカウターをフル稼働で探索してください」

 

「フン、面倒だな……」 

 

「了解しました」

 

「時間が掛かっても構いませんよ。いずれすべては私の物になりますから」

 

フリーザは口元に微笑を浮かべる。

 

 

一方その頃、宇宙船の中では──

 

「あと少しでナメック星か……!」

 

ベッドの中から起き上がる悟空。

 

「カプセルの回復機能、すっげぇな。体も気も、完全に戻ってる!」

 

彼の戦闘力は、すでに地球での数倍以上。ナメック星での戦いを前に、気を高める。

 

「待ってろよ、みんな……すぐに行くからな!」

 

 

ナメック星では──

 

悟飯、クリリン、デンデの三人が最長老の元へ向かう旅を開始していた。

 

その途中、悟飯は一度だけ振り返る。

 

(キュイを倒せた……でも、これからもっと強いやつが来る)

 

(僕は、もう逃げない……)

 

風が、ナメック星の空を吹き抜ける。

 

悟飯はその中で、静かに決意を新たにしていた──。

 

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