DRAGON BALL Z Re:Son Gohan 作:ナムルパス
ナッパの怒声が響く。地面が揺れ、荒野に立つ戦士たちを襲う重圧が強まった。
すでに天津飯、ヤムチャ、餃子は命を落とし、Z戦士の戦力は大きく削がれていた。クリリンと孫悟飯は満身創痍のまま、なおも立っている。ピッコロは二人の前に出て、ナッパを睨みつけていた。
「まだやる気か、緑ヤロー」
「もちろんだ。てめぇのような野蛮な奴に、地球はやらせねぇ」
ピッコロの声には疲労が滲んでいたが、決意は揺らがない。彼の背後では、悟飯が歯を食いしばって拳を握っていた。
「……オレも戦います、ピッコロさん」
ピッコロは横目で悟飯を見る。
「悟飯……。わかってるな。奴に突っ込むのは自殺行為だ」
「でも……仲間が……天津飯さんたちが……。オレ、ああいうの、もう嫌なんです。失いたくない」
その目は少年のものではなかった。憑依転生者――武道家としての魂を宿す者の覚悟がそこにあった。
「ふん……なら、後ろは任せたぜ」
ピッコロが微笑むような顔を一瞬だけ見せた。
すぐさまナッパが踏み込む。大地が砕け、砂煙が舞う。
ピッコロとナッパの拳が交錯した。激しい衝撃波が辺りを包み、クリリンと悟飯は吹き飛ばされそうになりながらも耐える。
「くっ、化け物かよ……!」
ナッパの拳がピッコロの脇腹を貫いた。血が飛び散る。
「ピッコロさんッ!!」
「まだ……まだだぁあああッ!!」
ピッコロが残った力を振り絞ってナッパに一撃を叩き込む。だがナッパは一歩も退かない。返す拳がピッコロの胸を貫く。
「ぐっ……は……ッ」
ピッコロが膝をつく。悟飯が駆け寄ろうとするが、ナッパの視線が鋭く向けられる。
「次はてめぇだ、ガキィ!!」
ナッパが放ったエネルギー波が悟飯を襲う――その瞬間。
ピッコロが立ち上がり、悟飯の前に立ちはだかった。
「……てめぇには、指一本、触れさせねぇ……ッ!!」
轟音が鳴り響いた。ピッコロの身体が悟飯を守るようにして、爆炎に包まれた。
「ピッコロさぁああああああああん!!!!」
爆風の中、ピッコロのボロボロの身体が地に倒れこむ。悟飯が駆け寄り、震える手で彼を支える。
「なんで……なんでこんな……! オレ……オレ……ッ!!」
「バカ……泣くな……お前は……泣く子供じゃねぇ……戦士だろ……悟飯……」
ピッコロの声はかすれていた。血に染まった口元から、最後の言葉が吐き出される。
「お前と過ごした時間……悪くなかったぜ……。オレにも……守りたいもんが……できちまった……ってわけだ……」
悟飯の目から涙が溢れる。
「ピッコロさん……っ……ありがとう……」
ピッコロの息が止まる。
地球の神――神様も、遠くカリン塔の上でその命を感じ取り、静かに目を閉じた。
「ピッコロ……」
そして、神様の消滅により、ドラゴンボールもまた石と化した――。
⸻
「くそっ、ナッパめ、無駄に時間をかけやがって」
空中で腕を組むベジータが呟く。
「さっさと終わらせろ! ガキの相手に何を手間取ってる!」
ナッパは嘲るように笑いながら、今度はクリリンへと狙いを定めた。
「次はお前だチビ! もう逃げ場はねぇぞ!」
その時、遠くの空に、ひとつの気が迫る。
「……ッ!?」
ベジータの表情がわずかに変わる。
「この気……来たか…カカロット! 」
ナッパも気づいた。
「おう!やっと来やがったか」
空の彼方から、ひと筋の光が落ちてくる。まるで流星のようなその飛来――それは、一人の戦士の到来を意味していた。
「待たせたな、みんな――!」
悟空が、ついに戻ってきた。
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そのころ、岩陰に潜んでいたヤジロベーは、恐怖でガタガタと震えていた。
「う、うわぁ……な、なんてこった……とんでもねぇ奴らだ……お、オラには無理だってばよ……」
それでも、仲間たちが戦っている様子をこっそりと見守る彼の眼には、どこか焦りのような感情も浮かんでいた――。