DRAGON BALL Z Re:Son Gohan   作:ナムルパス

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第9話 死闘!悟空VSベジータ

「いいだろう。貴様とオレの勝負……どちらが“真のサイヤ人”か、決めてやる!」

 

その瞬間、空気が震えた。

 

ベジータの気が、一気に開放される。

 

悟空も界王拳の気を高め、応じる。

 

今、地球の命運を賭けた最終決戦が始まろうとしていた。

 

 

夜空に浮かぶ月が、赤く染まっていた。

 

山々が連なる大地が、気の衝突によって鳴動する。ベジータと悟空――地球に残された最後の希望と、最悪の脅威が激突していた。

 

「界王拳……三倍だッ!!」

 

悟空が爆発的な気を放ち、ベジータに迫る。その動きは、常人にはもはや認識すらできない。

 

「フン、その程度か!」

 

ベジータも気を高め、正面から拳を合わせた。拳と拳がぶつかり合った瞬間、大気が震え、衝撃波が地面を抉る。

 

「クソッ、さすがだな……ベジータ……!」

 

「フン、貴様ごときがこのオレに追いつけると思ったか……!」

 

二人は空中で激しく拳を交え、斬撃のような連打を浴びせ合う。光の残像だけが空に浮かび、実体は目で追えない。

 

地上で、それを遠くから見つめる少年がいた。

 

「……ピッコロさん……」

 

悟飯の目には、涙の痕があった。

 

ピッコロが、自分を庇って死んだ――その記憶が、脳裏を焼いて離れない。

 

(……まだ、戦いは終わっていない。ピッコロさんの想いを、無駄にするわけにはいかない)

 

悟飯は立ち上がり、拳を握りしめた。

 

 

空では、悟空とベジータの戦いがさらに苛烈さを増していた。

 

「界王拳……四倍ッ!!」

 

限界を超える力が、悟空の身体を蝕む。だが、それでも止めない。目の前にいるベジータを倒さなければ――地球は滅びる。

 

「はああああああっ!!」

 

悟空の渾身の拳が、ベジータの頬を打ち抜いた。弾き飛ばされたベジータは、遥か彼方の岩山に激突し、大爆発を起こす。

 

だが――

 

「ハッ……やるじゃないか、カカロット……!」

 

煙の中から、ベジータが浮かび上がった。身体中に傷を負いながらも、その瞳には決して折れぬ闘志が宿っていた。

 

「だがな……そろそろ、終わりにしてやるよ……!」

 

ベジータが腕を組み、空を見上げる。

 

「まさか……!」

 

悟空が気付くより早く、ベジータの気が変化し始めた。

 

「これが……サイヤ人の本当の姿だ……!」

 

ベジータが小さな装置を取り出し、地面に投げつけた。

 

「人工満月(ブラッツバスター)……!!」

 

空に突如、青白い満月が浮かぶ。それは大猿化のための“月光”を人工的に生み出す装置だった。

 

「ま、まずい……!」

 

悟空の警戒が現実になる。

 

「くっくっく……さあ見せてやる、オレの“真の力”をな……!」

 

満月の光を浴び、ベジータの身体が膨れ上がっていく。

 

骨が軋み、筋肉が肥大化し、衣服を引き裂きながら、巨体へと変貌していく。

 

「ぐおおおおおおおっ!!!」

 

咆哮が夜空を揺らし、そこにいたのは――巨大な大猿と化したベジータだった。

 

 

「ば、化け物かよ……!」

 

悟空が唖然とする中、大猿ベジータが咆哮とともに拳を振るう。その一撃だけで、山が崩れ、大地が陥没する。

 

「ちっ、あんな化け物とどう戦えってんだ……!」

 

悟空は必死に回避を繰り返すが、ベジータの攻撃範囲は広大すぎる。

 

(界王拳……四倍でも、ダメか!?)

 

「ふん、どうしたカカロット! 貴様の力はその程度か!」

 

大猿ベジータの口から放たれたエネルギー波が、大地を一閃した。悟空は間一髪で避けるも、余波で吹き飛ばされる。

 

「ぐっ……!」

 

「フン、地球ごと消し飛ばしてやってもいいんだぜ?」

 

悟空は立ち上がると、傷だらけの顔で苦笑した。

 

「……まだだ。まだ終わっちゃいねえ……!」

 

 

その時、別の気配が現れる。

 

「悟空っ!!」

 

空から舞い降りたのは、クリリンだった。その隣には、尻込みするヤジロベーもいた。

 

「クソッ、何だよあれ……あんな奴とどう戦えってんだ……!」

 

「ヤジロベー! 隠れてていい、今は悟空の援護を……!」

 

悟空はクリリンに叫ぶ。

 

「クリリン! ヤジロベー! あいつの尻尾だ! あれが弱点なんだ!」

 

「尻尾……!?」

 

「オレが時間を稼ぐ……その間に、なんとか尻尾を斬ってくれ!」

 

クリリンは頷き、ヤジロベーに目を向ける。

 

「おいヤジロベー、お前の刀、まだあるだろ?」

 

「お、おいオレにやらせんのかよ!? 死ぬって!」

 

「頼む……地球の命運がかかってる!」

 

ヤジロベーは震えながらも、唇を噛み締めた。

 

「……チッ、まったくよぉ……やってやるよ!」

 

 

悟空は大猿ベジータと交戦し続け、消耗しながらも時間を稼ぐ。

 

その間、ヤジロベーは岩陰をこっそり移動し、ベジータの背後を取る。

 

「今だ……!」

 

ヤジロベーの刀が、一直線に振り下ろされる!

 

「ぐおおおおおおっ!!!」

 

断末魔の叫びとともに、ベジータの尻尾が斬り落とされた。

 

巨体が一気に収縮し、ベジータは元の姿に戻る――その体はボロボロだった。

 

 

地面に倒れ込んだベジータを見下ろし、悟空が息を切らしながら立っていた。

 

「終わりだ……ベジータ……」

 

だが、ベジータは起き上がり、なおも闘志を燃やす。

 

「まだだ……まだ、オレは負けていない……!」

 

クリリンが悟空に近づき、気を込めた気円斬を構える。

 

「悟空、こいつを殺す! こんな奴、生かしておけない!」

 

だが、悟空は手を伸ばして止めた。

 

「やめろ、クリリン……オレは戦いで殺すことはしたくない……こいつには、また戦いに来てほしい……!」

 

「悟空……!」

 

クリリンは一瞬、迷ったが――気円斬を消した。

 

ベジータは悔しげに顔を歪めながら、手元のリモコンを操作し、宇宙ポッドを呼び出す。

 

「……今回は、引いてやる……だが次は……必ず地球を滅ぼす……!」

 

宇宙ポッドが上空に現れ、ベジータを収容すると、轟音とともに飛び去っていった。

 

 

戦いは、終わった。

 

地球は、守られた。

 

だが、その代償はあまりに大きかった。

 

ピッコロの死。

 

天津飯、ヤムチャ、餃子の死。

 

そして――悟飯の心にも、深い痛みが残った。

 

 

崩れた大地に、夜明けの光が差し込む。

 

悟空はボロボロの身体で横たわっていたが、その顔には安堵の笑みが浮かんでいた。

 

悟飯が、その傍に座り、空を見上げて呟いた。

 

「……これが、オレたちの“はじまり”なんだな」

 

クリリンがそっと頷いた。

 

「そうだ。ここからが、本当の戦いの始まりだよ」

 

やがて、遠くからブルマの乗ったホバークラフトが姿を現す。

 

彼らの新たな戦い――それは、“ナメック星”という名の星で、再び始まることになる。

 

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