DRAGON BALL Z Re:Son Gohan 作:ナムルパス
「いいだろう。貴様とオレの勝負……どちらが“真のサイヤ人”か、決めてやる!」
その瞬間、空気が震えた。
ベジータの気が、一気に開放される。
悟空も界王拳の気を高め、応じる。
今、地球の命運を賭けた最終決戦が始まろうとしていた。
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夜空に浮かぶ月が、赤く染まっていた。
山々が連なる大地が、気の衝突によって鳴動する。ベジータと悟空――地球に残された最後の希望と、最悪の脅威が激突していた。
「界王拳……三倍だッ!!」
悟空が爆発的な気を放ち、ベジータに迫る。その動きは、常人にはもはや認識すらできない。
「フン、その程度か!」
ベジータも気を高め、正面から拳を合わせた。拳と拳がぶつかり合った瞬間、大気が震え、衝撃波が地面を抉る。
「クソッ、さすがだな……ベジータ……!」
「フン、貴様ごときがこのオレに追いつけると思ったか……!」
二人は空中で激しく拳を交え、斬撃のような連打を浴びせ合う。光の残像だけが空に浮かび、実体は目で追えない。
地上で、それを遠くから見つめる少年がいた。
「……ピッコロさん……」
悟飯の目には、涙の痕があった。
ピッコロが、自分を庇って死んだ――その記憶が、脳裏を焼いて離れない。
(……まだ、戦いは終わっていない。ピッコロさんの想いを、無駄にするわけにはいかない)
悟飯は立ち上がり、拳を握りしめた。
⸻
空では、悟空とベジータの戦いがさらに苛烈さを増していた。
「界王拳……四倍ッ!!」
限界を超える力が、悟空の身体を蝕む。だが、それでも止めない。目の前にいるベジータを倒さなければ――地球は滅びる。
「はああああああっ!!」
悟空の渾身の拳が、ベジータの頬を打ち抜いた。弾き飛ばされたベジータは、遥か彼方の岩山に激突し、大爆発を起こす。
だが――
「ハッ……やるじゃないか、カカロット……!」
煙の中から、ベジータが浮かび上がった。身体中に傷を負いながらも、その瞳には決して折れぬ闘志が宿っていた。
「だがな……そろそろ、終わりにしてやるよ……!」
ベジータが腕を組み、空を見上げる。
「まさか……!」
悟空が気付くより早く、ベジータの気が変化し始めた。
「これが……サイヤ人の本当の姿だ……!」
ベジータが小さな装置を取り出し、地面に投げつけた。
「人工満月(ブラッツバスター)……!!」
空に突如、青白い満月が浮かぶ。それは大猿化のための“月光”を人工的に生み出す装置だった。
「ま、まずい……!」
悟空の警戒が現実になる。
「くっくっく……さあ見せてやる、オレの“真の力”をな……!」
満月の光を浴び、ベジータの身体が膨れ上がっていく。
骨が軋み、筋肉が肥大化し、衣服を引き裂きながら、巨体へと変貌していく。
「ぐおおおおおおおっ!!!」
咆哮が夜空を揺らし、そこにいたのは――巨大な大猿と化したベジータだった。
⸻
「ば、化け物かよ……!」
悟空が唖然とする中、大猿ベジータが咆哮とともに拳を振るう。その一撃だけで、山が崩れ、大地が陥没する。
「ちっ、あんな化け物とどう戦えってんだ……!」
悟空は必死に回避を繰り返すが、ベジータの攻撃範囲は広大すぎる。
(界王拳……四倍でも、ダメか!?)
「ふん、どうしたカカロット! 貴様の力はその程度か!」
大猿ベジータの口から放たれたエネルギー波が、大地を一閃した。悟空は間一髪で避けるも、余波で吹き飛ばされる。
「ぐっ……!」
「フン、地球ごと消し飛ばしてやってもいいんだぜ?」
悟空は立ち上がると、傷だらけの顔で苦笑した。
「……まだだ。まだ終わっちゃいねえ……!」
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その時、別の気配が現れる。
「悟空っ!!」
空から舞い降りたのは、クリリンだった。その隣には、尻込みするヤジロベーもいた。
「クソッ、何だよあれ……あんな奴とどう戦えってんだ……!」
「ヤジロベー! 隠れてていい、今は悟空の援護を……!」
悟空はクリリンに叫ぶ。
「クリリン! ヤジロベー! あいつの尻尾だ! あれが弱点なんだ!」
「尻尾……!?」
「オレが時間を稼ぐ……その間に、なんとか尻尾を斬ってくれ!」
クリリンは頷き、ヤジロベーに目を向ける。
「おいヤジロベー、お前の刀、まだあるだろ?」
「お、おいオレにやらせんのかよ!? 死ぬって!」
「頼む……地球の命運がかかってる!」
ヤジロベーは震えながらも、唇を噛み締めた。
「……チッ、まったくよぉ……やってやるよ!」
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悟空は大猿ベジータと交戦し続け、消耗しながらも時間を稼ぐ。
その間、ヤジロベーは岩陰をこっそり移動し、ベジータの背後を取る。
「今だ……!」
ヤジロベーの刀が、一直線に振り下ろされる!
「ぐおおおおおおっ!!!」
断末魔の叫びとともに、ベジータの尻尾が斬り落とされた。
巨体が一気に収縮し、ベジータは元の姿に戻る――その体はボロボロだった。
⸻
地面に倒れ込んだベジータを見下ろし、悟空が息を切らしながら立っていた。
「終わりだ……ベジータ……」
だが、ベジータは起き上がり、なおも闘志を燃やす。
「まだだ……まだ、オレは負けていない……!」
クリリンが悟空に近づき、気を込めた気円斬を構える。
「悟空、こいつを殺す! こんな奴、生かしておけない!」
だが、悟空は手を伸ばして止めた。
「やめろ、クリリン……オレは戦いで殺すことはしたくない……こいつには、また戦いに来てほしい……!」
「悟空……!」
クリリンは一瞬、迷ったが――気円斬を消した。
ベジータは悔しげに顔を歪めながら、手元のリモコンを操作し、宇宙ポッドを呼び出す。
「……今回は、引いてやる……だが次は……必ず地球を滅ぼす……!」
宇宙ポッドが上空に現れ、ベジータを収容すると、轟音とともに飛び去っていった。
⸻
戦いは、終わった。
地球は、守られた。
だが、その代償はあまりに大きかった。
ピッコロの死。
天津飯、ヤムチャ、餃子の死。
そして――悟飯の心にも、深い痛みが残った。
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崩れた大地に、夜明けの光が差し込む。
悟空はボロボロの身体で横たわっていたが、その顔には安堵の笑みが浮かんでいた。
悟飯が、その傍に座り、空を見上げて呟いた。
「……これが、オレたちの“はじまり”なんだな」
クリリンがそっと頷いた。
「そうだ。ここからが、本当の戦いの始まりだよ」
やがて、遠くからブルマの乗ったホバークラフトが姿を現す。
彼らの新たな戦い――それは、“ナメック星”という名の星で、再び始まることになる。