やりたい放題に殺戮と略奪を行ったロイヤルネイビーは、何もかも奪い尽くし、土地の価値は死にました。
海軍の将として歴戦だったロイヤルネイビーの首領通称海賊女王も、これほどの勝利を重ねたことはなく、それが却って大きな足枷となってしまっています。
アイーシャとアンゼルが任されたのは、その後始末。
やり方を好きにさせたのは、海賊女王らしい采配だと言えます。
集まった人間達が、砦だった場所に立てこもって、必死に身を守っている。
賊を一目見て、そう思った。
そもそも孤立した地形に百人以上がいる。生活のための物資だって、ろくに手に入らないだろう。
それでも近くに川があること。
荒れているが森もあること。
それらもあって、どうにか持ち堪えているようだ。
この近くの駐屯地のロイヤルネイビーは、此処を陥落させる事が出来ないというよりも。
降伏をさせる事ができないのだろう。
出来るだけ殺すな。
そういう命令が新たに来た。
そして海賊女王の命令は、ロイヤルネイビーの面々には絶対だ。
何よりも、自分らがやり過ぎた結果、略奪しても金を使う場所がないし。街を丸ごと奪い尽くした結果、何もかもが死に絶えた。
それにようやくバカでも気付いたのかも知れない。
ともかく、アンゼルと手分けして、砦を見て回る。外からこっちには気付いているようだけれども。
しかけてはこない。
アンゼルが戻って来て、一度距離を取ろうと言う。
魔法使いが混じっていると。
それについては、わたしも察知していた。
スポリファールにも、少数は魔法使いがいた。
皮肉な事に、貴族にはほとんどいなくて。
いたとしても子供のうちにさらわれて、貴族の家に売り払われるのが常だった。売り払われても貴族の嫉妬を浴びて殺されたり、或いは死ぬまで孕み袋にされるだけだったようだが。
だから魔法使いは、「賢者」の末裔の国であっても身を隠すしかなく。
独力で魔法を身に付けたとしても。おおっぴらには使えなかったというわけだ。
あの飯炊きのおばさんを思い出す。
あの人だって、熱魔法が使えるから、伯爵の屋敷から逃げ出したのだものな。
伯爵にそれを知られたら、あの訳が分からないわめき声を浴びせられながら、殺されていてもおかしくなかった。
他の貴族も似たようなものだったのだろう。
スポリファールで、貴族は金持ちで優秀で心も優しいのだろうとか話している同僚を見た事がある。
呆れて声もでなかった。
まあともかくだ。
こんな状態で、やっと魔法使いは表に姿を出す事が出来るようになった。それもまた、事実だった。
一度アンゼルと合流してから、陣屋に戻る。
スポリファール式の報告書を書いたことがあるので、それに沿って報告書を作り、大尉に提出する。
砦にいる人間は131人。子供と老人がおよそ半数。戦えそうなのは四十人ほど。魔法使いが一人いて、リーダーになっている。
それらを報告すると、大尉殿は驚いていた。
「凄腕だと聞いていたが、此処まで詳細な情報を挙げて来るとは」
「風魔法が得意なもので。 人間がどれくらいいるかを調べるのは得意です」
「そ、そうか」
「交渉はこれから始めますが、問題はわたし達が条件を出すとして、兵士達がそれを守るかでは」
そう告げると。
大尉は黙り込んで、しばし考えた。
咳払いすると、どうしたらいいと聞いてくる。
まあ、海賊女王の権威が後ろにあるとは言え。それでも会話が出来るだけ、カヨコンクムにいた賊どもよりはましか。
アンゼルが、指を折りながら提案する。
いや、脅迫に近いか。
「まず奴隷として使っている人を解放する。 陣屋を移す。 街を復興させるのに軍が手を動かす」
「お、おい」
「それくらいしないと、相手は信用しないでしょう、 それでやっと相手が交渉のテーブルに着くかどうかの状況になります」
アンゼルは殺戮が大好きだが、タチが悪いことに頭がしっかりいい。
だからこういうことを即座に考えるし、具体的な案として提出することも出来る。
故に暴れ出したときの被害が尋常では無い。
シリアルキラーは異常者だからバカ。そんな風に考えている手合いは、文字通りアンゼルの好餌なのだ。
「奴隷は手に入れた財産なんだぞ。 それを手放すのか。 なんのために命の取り合いをして、此処を抑えたと思ってる」
「では、ここをいずれは手放す事になるでしょうし、何より女王陛下の怒りを買うでしょうね」
「ぐっ……くっ……」
真っ青になって俯く大尉。
本当に怖れているのがよく分かる。
敬語で接しているが、アンゼルは笑顔をずっと崩していない。面白くて仕方が無いと言う表情だ。
本当に、どうしようもない人だな。
わたしはそう思う。
「分かった。 ただ俺たちは征服した側で勝った側だ。 奴隷は新たに得た資産で、そもそもパッナーロでもやっていたことだ。 女王陛下に、それらの説明を受けた書状を貰ってきてくれ。 悪いが、そうでないと兵士も俺も納得できんだろうな」
「分かりました。 アイーシャ、戻ろう」
「はい」
まあこれくらいの手間だったらどうでもいい。
ともかく、一度海賊女王の所に戻る事にする。
戻りながら、軽くアンゼルと話す。
「相手は階級も下なのに、敬語で喋るんですねアンゼル」
「上からだと、こっちが新参だと色々と面倒だし。 あっちが階級は下でも先達だから、こうやって接するのが正しいんだよ」
「ずっとわたしは下っ端だったので、知りませんでした」
「まあそうだろうね。 ともかく、さっさとやっておこう。 港町にまで戻れば、多少の海の幸くらいは食べられるでしょ」
だといいのだが。
あの港町の惨状を見る限り、復興なんて進むとは思えないが。
ともかく、さっさと海賊女王の所に戻る。
移動中に木の板を使って、それで報告書を追加する。
今後のためにも。
投降すれば奴隷にしない事。
街などの復興は軍が協力する事。
それらの命令は、海賊女王から取り付けておく必要がありそうだった。
海賊女王に面会すると、明らかに情事の後だった。大量に美男子を侍らせているし、気分次第でいつでも行為に及んでいるのだろう。
裸のまま横になって気分が良さそうだった海賊女王だが。
わたし達が戻ってきたのを見て、即座に身を起こしていた。
裸の上にコート一枚だけ羽織ると、報告書に目を通す。体中傷だらけで、この人がどんな人生を送ってきたのかよく分かる。
そしてケラケラと笑っていた。
「随分としっかりした報告書を書いてくるじゃないか。 私の部下には文字さえかけないで将官にまでなっているのがいるくらいなのにさ」
「恐縮です」
「ふむ、これくらいは最低しないと駄目か。 多分これは、私が真っ先に守らないと駄目だろうな」
「そうなりますね」
法というものは。
社会の上にいる人間ほど、厳格に守られないと意味がない。
そんな話を、スポリファールで聞いた。
そうしないと誰も法を守らなくなる。
王様は法律なんて守らないんなら。
一番偉い人が法律そのものであって、だったら強い奴は何をしても良いって事になる。
そういう思考を皆が持つようになると、賊だらけ汚職だらけの国となる。
海賊女王はそれを理解しているようだった。
ただし、侵攻作戦では、明確に判断ミスをした。
その結果が、この荒れ果てた地獄の現出だが。
旧パッナーロがどんな地獄だったかは、わたしが身を以て経験している。アレの方が良かったなんて、口が裂けてもいわない。
だが、あれよりマシになれば。
今のスポリファールが抑えている地域のように、何もしなくても民が逃げ込んでくるだろうに。
荒くれの部下を暴れさせることが、最大の破壊力を発揮するコツ。
そう知っているからこそ。海賊女王は判断を誤ったのだろうが。
「分かった。 すぐに布告を出せ。 まあ、奪った金目のものまでは返さなくてもいいし、死んじまったもんはどうにもならないがな。 売り払った奴隷は、回収出来るだけ回収しろ。 まあ他国に売られたのや、本国に売られたのは回収出来ないだろうが」
「よろしいのですか」
「私に逆らおうってのか?」
「い、いえ。 そのお言葉だけで充分かと思います」
コート一枚でほぼ素っ裸のまま胡座を掻くと、海賊女王は大量にある髪を掻き上げる。
美しいかも知れないが、それ以上に野性味しかない。今も裸を部下に見られてなんとも思っていないようである。それも情事が終わった直後の裸を。
最強生物故の余裕というよりも。
これは単に、色々頭のネジが飛んでいるだけ。
つまりやっぱりこの人は、わたし達の同類なんだな。そう、確認するばかりだ。
ともかく半日もしない間に書状が出る。
そして、それらは早馬で各地に飛ばされたようだった。
急いでわたしもアンゼルとともに陣屋に戻る。
大尉はすぐに動いた。
不満そうな顔をしていた兵士達が、女王陛下の指示だという血相を変えた大尉の顔を見ると、即座に動く。
わたしも手伝うか。
「土木関連は魔法を使えます。 手伝いますよ」
「分かった。 頼む。 お前等、転がってる焼死体は集めておけ。 それと荒らした墓とかは綺麗にしろ。 焼いた家からまず片付けて、出来るだけ建て直すぞ。 それくらいしかできないだろうが」
わたしが石材を浮かせて、それを順番に運んで行く事。
木材を空中で加工して、柱を中心にぶっ刺す様子。
それらを見て、兵士達は度肝を抜く。
アンゼルも屈強な兵士十人分の働きをして、てこを使ってやっと動く物資を、体だけで余裕で運んでいた。
数日、そうやって焼き払った街を復旧する。
砦に篭もっている賊も、それを見ている筈だった。
復興が始まると、後の動きは速い、
海賊女王という圧倒的な強さを持つボスがいて、初めてなり立つ組織なのがロイヤルネイビーだというのはよく分かった。
そして命令次第では、多分これはちゃんとした軍としても機能するのだろうと言う事もである。
ただ、働いていて、不満の声は聞こえる。
「せっかく手に入れた奴隷だったのにな。 金品はそのままで良いって話だったけれどよ」
「女王陛下の指示だ。 諦めろ」
「確かに女王陛下だけは怒らせたくねえ。 それも、賊が降参しなかったら、いずれ怒るだろうしな」
「くそっ。 なんのために陸まで来て、戦ったんだろうな」
ぶちぶち文句を言っている。
こういうのが重なると、流石に海賊女王への圧倒的な服従も揺らぐんだろうな。そう思いながら、石材を加工する。
石材を熱して冷やして、一部を脆くして、其処に水を入れる。その水を高速振動させて、高熱にし。
石材をパカンと小気味よい音とともに割った。
石材にくさびを打ち込んで水を掛けることで、砕く事ができる。
これは古くから実際に使われている加工法らしい。
わたしはそれを応用しただけ。
だが、兵士達は、既にわたしに対する視線を変えていた。それでいい。鬱陶しいのに絡まれなくて済む。
大尉は目的が出るときちんと行動し始める。
兵士達を指揮して、街の復興を精力的にやっている。侍らせていた女達もしっかり解放したようだ。
解放された奴隷は、最初に出来た家を貰う。
元々住んでいた人間なんて、殆ど生きていない。ある家に入れば、それでいいのだろう。
半月もしないうちに街が目に見えて復興してきたので、わたしとアンゼルが砦に向かう事にする。
わたしが風魔法で、砦に声を届ける。
「交渉に来ました。 開けて貰えますか」
返答は矢だった。
それを空中で魔法で止め、へし砕く。
砦に人間達が、どよめきの声を上げていた。
前は大量の矢を射掛けられると対応できず、隣にいた人間を守りきれなかったりした。今も矢の勢い次第では無理だろう。
だが、あんな手作りの弓矢の矢だったら、なんぼ撃ち込まれても今ではなんら脅威にはならない。
それくらいの修羅場は潜ったのである。
「乱暴はしたくありません。 交渉の席を設けてはくれませんか」
「貴様等、あの海賊共の手下か!」
砦の上に、髪を振り乱した男が出てくる。
口から泡を飛ばしていて、いかにもな形相だ。
まあ、それはそうだろう。
ロイヤルネイビーがやらかしたことを考えれば。これくらい恨まれているのが普通である。
戦争だから。
それで割切る事が出来る人間なんて、そうはいないだろう。
戦場の跡を見て、よくそれが理解出来た。
「正確には雇われています。 このままだと、いずれこの砦の中で餓死しますよ」
「巫山戯るな! 最後の一人まで」
「まて」
静かな声が掛かる。
声からして、例の魔法使いだ。
アンゼルはちっと舌打ちしていた。仕掛けて来るようだったら、斬って見せしめにするつもりだったのだろう。
アンゼルらしい。
いずれにしても、入ってくるようにと言われて。
砦の汚い扉が開かれる。
内部は地獄だ。
不衛生極まりなく、異臭が全域からしている。ただこれは、旧伯爵領でもそうだった。ここだけ旧パッナーロのままだな。そう思う。
出て来たのは、ローブを着込んだ老人だ。
わたしはローブを取る。
最近は赤い髪が炎のようだと良く言われるようになった。
容姿なんぞ何の意味もないと自分では思っているが。容姿で相手を決めつける相手には有効だという考えもあると、アンゼルに言われている。
そこで、髪は丁寧に処理して、ツヤを出すようにしている。
今では肩先を越えて伸びている髪だが。
まあ洗うのは魔法でやってしまうので、そこまで苦労はしていない。
それとわたしの瞳は更に赤くなってきていて、これは魔法の影響らしい。
賊には死神といわれていたわたし達だが。
わたしの方は、炎の悪魔とか、炎の悪役令嬢とか言われていたらしい。
この悪役令嬢というのは例の時代に持ち込まれた古語らしく、意味はよく分からない。ただ、そう名乗っていた奴が何人かいたそうだ。
いずれにしても、それで相手が怖れてくれるなら安い。
「貴方が指導者ですか」
「あ、ああ」
「まずは話から始めましょう。 此方でも出来るだけの事はします」
席を用意して貰う。
枯れ木のような老人は、魔法使いとしてはわたしよりだいぶ腕が下だ。これは一目で分かった。
ただ魔法は才能に依存するもので。
しかもこの人、スポリファールみたいな、その才能依存部分をある程度克服できるノウハウがある場所での教育を受けていないだろう。
老人になっても魔法が使えている事。
体を壊している様子もない。
それだけでも大したものである。
フラムが憎悪と魔法の才能で自分を焼いてしまって、今では生きていないだろう事を思えば、なおさらだ。
書状を出す。
降伏すれば命は保証する。
奴隷にもしない。
家屋などの復旧はロイヤルネイビーで行う。
奪った金品は兵士達の士気にもつながるから返せないが、国内にいる奴隷は先に解放している。
以降は略奪をした兵士は死刑とする。
民として田畑を耕し、街での生活を行え。
それが書状に書かれていることだった。
老魔法使いが、呆れ気味に言う。
「この国は無能で傲慢な貴族共に骨の髄までしゃぶり尽くされ、極貧の中にいた。 三国が同時に攻めこんできたとき、解放してくれるのではないかと期待するものもいた。 だが結果はどうだ」
まあ、その通りだ。
結果は見るも無惨な地獄絵図。
スポリファールの占領地ですら、戦闘に巻き込まれかなりの家屋が焼かれ、民間人も命を落としたという。
「その気持ちが分かるか」
「分かります」
「貴様みたいな毛並みがいいのがか」
「わたしはこの国の出身です。 幼い頃魔法の才があるからでしょうね。 東の方の辺境伯の家に売られました。 それから、魔法の教育とやらいうのをされて過ごしましたが、火の魔法だけは使えませんでした。 それで伯爵が暴れて、巻き込まれるのを怖れた使用人が私を捨てました」
ごくりと生唾を飲み込む老人。
この老人はこの国で貴族以外の人間が魔法を使えるというのが何を意味するか知っているだろうし。
何よりも、わたしと同じ運命を辿り、悲惨な末路を辿った子供もたくさん知っているのだろう。
だから、黙りこくった。
側で、あの威勢が良さそうなのが、嘘に決まってると叫んだが。
黙れと老人が一言いうだけで、静かになる。
老人の魔法で、此処にいる人間達がどれだけ救われたのか。
ただ、わたしは誰かを助けても、感謝なんかされた試しが無いが。それはこの老人が、何かしら感謝されるやり方を知っているのだろう。
ちょっと苛立つな。
まあいい。
ともかく交渉を続ける。
「今、街の復興を始めているのを見ていると思います。 この書状は、兵士達が神のように崇めている海賊女王陛下の書いたものに基づいています。 兵士達は、基本的にこの命令に逆らえません」
「……」
「何より、今だと今後の生活で得られるもの……街を復興したあとの商売などを独占できると思います。 利益という観点でも」
ぎんと音がした。
キレた男が剣をわたしに向けて振ろうとし。
それをアンゼルが余裕で受け止めたのだ。
屈強な体格の男が剣をまったく動かせないでいるのに対し、アンゼルは片手で余裕である。
男の方は筋力だけでやっているが。
アンゼルは体に魔法で倍率を掛けている。それも十倍や二十倍じゃない。
だからアンゼルは賊を瞬く間に皆殺しに出来るし、特務なんてやれる。わたしも今の剣は対応できたが。
アンゼルが対応する事を理解していたから、手を出さなかった。
「やめよジョアン。 この娘等がその気になったら、この砦など瞬く間に全滅するぞ」
「だけどよ親父! これだけ殺されたのに、利益だなんだでなびくと思っていやがるのが許せねえ!」
「とにかく剣を収めよ。 どっちにしてもそなたでは犬死にするだけだ」
「……畜生っ!」
離れて剣を鞘に収める男。
刺し殺すような目で見ているが。わたしは話が通じそうな老魔法使いに順番に話をしていく。
やがて、話を聞き終えた老魔法使いはぼそりという。
「それであんたは、そんな地獄みたいな人生をなんとも思わないのかね」
「思いませんね。 伯爵の家をいらないからって放り出されてから、どこも正直似たようなものでした。 今でも友達はいますけれど、家族やらなにやらはいませんし、作ろうとも思いません。 わたしは自覚していますが、多分壊れていると思います。 ただ、それを悲しいとも思いません」
「そうか。 ともかく、こっちも皆に話をする。 その上で決めて返答をするから、三日待って欲しい」
「分かりました」
アンゼルを促して、砦を出る。
砦に入ったことで、更に詳しく内部の状況を調べることも出来た。いざとなったら、防壁をそのまま崩壊させる事も、川をせき止めて水がいかないようにすることも出来る。ただしそれをやると、内部にいる衰弱した人間が確定で死ぬ。見た所、衰弱している人間はかなりいる。
赤ん坊に乳をやっている母親が、がりがりに痩せている。
元々この国では当たり前だった光景だ。
それがロイヤルネイビーの侵攻で、更に悲惨になった。
わたしもああいう母子はフラムの手下だった頃に見た事がある。
母子もろとも干涸らびて死んだのも。
だから、また戻って来たんだなと思う。
止められるのなら止めたいかと聞かれると、どうにか出来るのならしたいとも思うけれども。
あの海賊女王は慈母でもなんでもない。
全ての条件を呑むわけでもないし。
あくまで支配者であり勝者であるという姿勢は崩さないだろう。
これは難航するだろうな。
そう、わたしは覚悟していた。