Ⅸやナヌークからも逃げられるように〜まずはカンパニーを受け流す 作:日登
それは生後すぐのこと。
一度死を経験したことで、この世界の死に最も近い神様『Ⅸ』の存在を肌で感じたことで、ここがスターレイルの世界だと気づいた。
そしてすぐ、俺は……自分がどの「運命」を歩むべきか考えることにした。
––––「運命」。
それはスターレイル独自の異能設定。
ほら少年漫画でも念能力とかチャクラとか、そういった独自の異能の設定があるだろ?
スターレイルの独自の異能設定が、「運命」だ。
ゲーム内での説明があまりにも回りくどく、一年以上毎日遊んでいた俺ですら完璧には理解できてないが……まあざっくり説明しよう。
………スターレイルの世界では「意志が強い」と、戦闘力が強くなる。
はいファンの諸君! いや運命は星神から承るものだろ、ってツッコミを入れたい気持ちはわかるが少し待って! 今から説明するから!
物語とかでよくあるじゃん? 主人公が「誰かを守りたい」って強く願った際に覚醒して超パワーを手に入れたり。
悪役が世界に絶望して、全てを壊してやる思った時に脳内に変な声が「力が欲しいか?」って囁いてきたり。
漫画やアニメなんかでよくある、覚悟による力の覚醒。
それがスターレイルの世界では実際にある。
……
……あるいは覚悟が決まりすぎた存在が、意思の力やら奇跡やらで先ほど述べた星神になったり。
……まあ殆どの人は、その星神本人から力を分けて貰えることはない。ただし、神ってのは強大だから、信仰して覚悟を決めるだけでも漏れ出た力のおこぼれをもらえる。
で、心の強さ、覚悟の強さって言っても種類がある。
たとえば誰かを守りたいって気持ちと、守るものを失ったから復讐したい気持ちは全く逆のものだろ?
けど、護る心と、復讐する心、って強さの優劣つけられないじゃん? だから、それぞれ別の神様が力をくれる。
そんな感じで、どの神様を信仰して、どの神様から力を貰うのかっていうゲーム要素が「運命」って訳だ。
で、知っているゲームの世界に転生して。赤ん坊の頃から強くなる方法を知っていれば、特訓するのがテンプレというものでして。
もちろん俺も自らの「運命」を決めることにした。
自分で新たな運命を切り拓いて、新たな星神になるルートも考えたが……確率低いし、そもそも星神には「自分の覚悟に逆らえない」っていうクソ重い
俺は素直に、神様に力を借りることにした。
……いつかカンパニーやら
はい、という訳でこの世界の神様を一部まとめて紹介しよう!
・【壊滅】の星神、ナヌーク。
→ムカつく世界をぶっ壊したい、破壊こそが芸術、って覚悟や感性のやつらに力を与える破壊神。
〈余談〉ゲーム内の文献によると、壊滅に美学を持っているらしく、金や性欲を満たすための破壊行為には全く見向きもしない。
幾千の世界を滅ぼした悪党であるが、イケメンで悲しい過去持ちのため意外とファン人気が高い。
・【巡狩】の星神、
→あいつに復讐したい、駆逐してやるこの世から一匹残らずっ、って覚悟に応える若神。
〈余談〉ゲームにおける「運命の適応範囲が広いほど星神が強くなる」というルールのせいで、復讐一筋の嵐は弱く設定されている。
ただし弱い神、若い神ほど、神から加護を貰える人数が多いため一長一短。
・【知恵】の星神、ヌース。
→ちょっと特殊な機械神。研究している学問やテーマが面白かったり、怠け者でも歴史上100人にも満たない天才だったりすれば、なんか加護を貰える?
〈余談〉正直、こいつは本当に加護を貰えるのかすら定かではない。
こいつと謁見した奴らって、宇宙でも指折りの天才とか、未来見えるツンデレ幼女とか、元から頭良くて強い奴らばっかりだから……。
・【豊穣】の星神、
→誰かを癒したい、不老不死になりたい、って願いを叶える豊穣神。
〈余談〉上記した【巡狩】の神の復讐対象がこいつ。
薬師は人を癒しているだけなんだけど。
死ねなくなった人間のほとんどが生き地獄を見ていたり、略奪行為をしたりするせいで善神なのか悪神なのか微妙なラインである。
・【虚無】の星神、
→この世の全ては無意味と信じている怠け者の暗黒神。
〈余談〉このスライムは自分から加護を与えない。
ただし、その神と同じこと(Ⅸの場合はこの世は無意味だと信じること)を行うことで漏れ出た力を利用する、という他の星神にも共通する「運命」の授かり方は可能
本来、その方法で手に入れた力は弱いはずなのだが……その方法を極めて、擬似的に神から力を賜ったレベルの強さに達した美人もいる。
特に「死」に近づいた人間であるほど、虚無の運命を極めることができるらしい。
・【存護】の星神、クリフォト。
→何かを守りたい、という強い意思を認める琥珀の巨神。
〈余談〉この神自体はめっちゃ良いやつ。
世界を守るために世界を滅ぼす神や怪物と戦って、いろんな存在を守るために防壁を築く、星神の中でも数少ない手放しで褒められる神様。
………な、の、だ、が、
今敵対している『スターピースカンパニー』って【存護】の部下なんだよなぁ。
その人が優しくても、周りの人まで良いとは限らないのだ。
ごめん、全部書いていたら文章ダレるから他の神は省くわ。
あ、【不朽】【純美】【秩序】【繁殖】【開拓】の神に関しては既に死んでいて加護を貰えないから候補から外させてもらう。
この星に産まれた一人として【純美】の星神イドリラ様は信仰しているが、それはそれとしてスタレ世界は過酷だ。弱いと何も守れない。
一人が複数の「運命」を歩むことができるのは本編の主人公が証明しているため、俺は【純美】の他にも信仰させてもらうとしよう。
で、もう結論。
数ある運命の中で、俺が選んだのは【神秘】だった。
【神秘】––––この運命は、何かを隠したい、確定した過去や未来を変えたいという想いから力を引き出す。
その道を極めていくと、確定した世界の真理すら覆し、現実改変すら可能になる。
現実改変の異能ってロマンがない?
この運命を選んだのはそのロマンもあるが、それ以上に自分が転生者だという事実を家族に隠したかったから。
今でこそ、この家族ならそれでも受け入れてくれそうとは思うが、やっぱりバレるのは怖い。墓場まで持って行くつもりだ。
生後数ヶ月でなく、もう少し成長して星の魅力を知ってからなら【存護】を選んだかもしれないが時既に遅し。
【神秘】の運命を歩もう。さて、どんな能力が手に入るかな。とワクワクしながら
手に入った能力は、とても微妙でした。
スタレの「運命」ってちょっとロマンありますよね。
自分の人生振り返って、俺ならこの運命かな、いややっぱり…って妄想できて本当に楽しい。