Ⅸやナヌークからも逃げられるように〜まずはカンパニーを受け流す   作:日登

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気分転換に書いたので、一旦更新します

マジでルパード揃わねえ……


ここまでやる必要ある!?

 

 

 ついにスウォームがやってくる。

 

 カンパニーが呼び寄せたらしい。ねえクリフォトさん、これって本当に存護だと思いますか?

 

 

 その数、まあ確実に億匹は超えているだろう。

 

 

 あ、もちろんザイちゃんの力で、一気に殲滅はできません。

 

 ここでザイちゃんに頼ったら、カンパニーにⅨ召喚する時期をサイコロで決めてズラしたり、他の星への侵略も同時に阻止したり、そのほか諸々の隠蔽工作がぜーんぶパァ!

 

 故郷とⅨの関係性が広まるし、あまり頼りすぎると均衡やら存護が怒ってきそうだし、使えない。

 

 ザイちゃんが使えるのは、実質2つの能力だけ。

 

 地球文明の俺たちの星の軍では、全宇宙を滅ぼしかけた虫どもに対抗できるはずもなく。

 

 こちらの戦力は俺と、ヒル兄ちゃん、ザイちゃんだけです。

 

「………坊主。最終確認だ。同時に、上書きできる数は、成長したりしてねえか?」

 

「ぜんぜん。同時に3種類。『祝福』は同時に一つまで。上書きできる効果範囲は、街一つ分が限界」

 

「そして相手の規模は、街一つなんてゆうに超えて星一つ分と……。ホーリーベイベー、負け戦じゃねえか」

 

「巻き込んじゃいけないし、逃げても責めないよ? ヒル兄ちゃんには復讐もあるんでしょ?」

 

「舐めんな坊主。相手が強いからって挑むことを諦めるキュートな性格なら、カンパニーへの報復なんて初めてねえよ」

 

 互いに軽口を叩きながら笑う。

 

 映画とかで、戦場で今から死にゆく兵士たちがジョークを言い合うシーン……本当の戦場だと冗談なんて言える心の余裕なんてないと思っていたが……。

 ここまで後がないと、少しでも心を楽にしたくなるんだな。

 

 

 ま、負ける気はないけどね!

 

「社員は全員()()()()()()捕縛したが………課長クラスの余裕を見るにまだ札を残してある。カンパニーは間違いなく坊主の能力をすぐに妨害してくる。効果が切れた瞬間に再展開しろ、0,001秒以内に」

 

「りょーかい。弾丸の貯蔵は充分?」

 

「おうよ。分裂銀貨とスウォームの残骸を組み合わせた特注だ。解放すると無限に分裂するぜ?」

 

 

 

 –––––そして、戦いが始まる。

 

 

 

 

 初手、敵のメモスナッチャー。

 

 

 

 

 

 

 俺たちの記憶が奪われる。

 

 

 

 

 

「はいバーン!」

 

「なぜ、なぜだ!? なぜミームの私に肉体がある?!」

 

 

 はずだった。

 

 

 メモ・スナッチャー。

 皆さんお馴染みの、記憶の泥棒である。

 

 

 肉体を持たず、そのため特殊な方法でないと認識すらできないそいつらは、不意打ちには適任だったのだろう。

 

 俺たちに気付かれず、俺たちが今やろうとしていることや戦い方などの記憶を奪い去るつもりだったのだろう。

 

 

 –––––メモスナッチャーは、現実世界に肉体が()()()()()から、気付かれないと慢心していたのだろう。

 

 

 存在しない、メモスナッチャーの肉体なら。

 

 

 ––––俺が、能力で上書きできる。

 

 

 

 ピノコニー編2章のロビンの死についての会話パートで、アベンチュリンによって、ガーデン……メモスナッチャーの所属する勢力とカンパニーの繋がりは明かされている。

 

 一応、警戒しておいた。

 

 自分の半径数百メートルに()()()()()()()を上書きするようなフィールドを展開しておいて、一応警戒しておいた。

 

「っ坊主! 宇宙船に乗れ!!」

 

「わかってる! すぐ発進して!」

 

 

 そのおかげで危機を防げたが、最悪の情報が出てきた。

 

 ここで神秘を剥がされると、俺たちには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そして、今この場にいるガーデンの連中が一人とは限らない。

 

 

 だから、あえて狭い船内に逃げ込んだ。

 

 

「っ解除された!」

 

「喰らえハニーども! お前らの大嫌いな、ミームウイルスだ!!」

 

 

 解除された瞬間、その隙を突かれぬように。

 

 

 

「アイエエエエエエエ! ニンジャ、ニンジャなんで!?」

 

 

 なぜ急にパロディ? ……と思ったが、これスタレの原作ネタだ。

 

 

 知らない人のために補足しておこう。

 スタレ原作、本編で普通にニンジャスレイヤーという別作品のパロディネタをふんだんに盛り込んだキャラを登場させているのである。

 

 

「……あのー、ちなみに他のウイルスはなかったの?」

 

「1番強力なのがこれだったんだよ。俺の知り合いに、脳みそをミームウイルスに汚染されたやつが居てな。乱破っつー小娘なんだが、なぜかそのウイルスが強力でな、これなんだ」

 

「………すぅ。じゃあ、こいつ宇宙に放り出しておくね!」

 

「おうよ。どうせミームだ、蝗害だろうと死にはしねえ」

 

 ああ、こんなところで巡海レンジャー同士の繋がりを見られるとは……供給ありがたい。

 

 

 メモスナッチャーは、情報生命体だ。

 

 だからこそ、パソコンのようにウイルスに弱い。

 

 原作でも、とある映画監督がそれによって脅されていた。

 

 

「狭い船内をミームウイルスで満たせば、坊主の能力を解除されてもメモスナッチャーに襲われねえ」

 

「でも、これで戦略の幅は一気に狭まった」

 

 

 あーくそ。

 本来なら【知恵】の運命の反響で、一掃できたのに! あれは俺自身しか上書きしてないから、効果範囲もクソもなく、どんなに遠くにいる敵だろうと適応できたのに!!

 

 ………どこにいるか分からないメモスナッチャーに、一方的に解除されてしまう。

 

 だったら、

 

 

(原作再現––––運命切替【巡狩】!! 『光越す制勝の帝車』!」

 

 

「ヒル兄ちゃん、砲撃お願い!!」

 

 『光越す制勝の帝車』––––それは模擬宇宙に出てくる【巡狩】の星3祝福。敵を倒すと、自身の火力を更に上げて、時間経過なしでもう一度行動できるという優れ物。

 

 その効果を現実にすると、どうなるか。

 

 

 ––––敵を1匹倒すごとに1000分の1秒だけ、()()()()()()()()()()()

 

 

 

 一瞬で景色が変わる。

 

 瞬きした後に俺が見たのは、全体の半分以上の敵……軽く5000万匹以上のスウォームが爆散する光景だった。

 

 

「? ああ殲滅やめると戻んのな。ホーリーベイベー、マジで時間停止できんのかよ……。この効果変更するんじゃねえぞ!」

 

「大丈夫! これの発動中は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 

 時が止まるなんて無法だって?

 

 スタレ世界って、時を巻き戻したり、的中率100%の未来を見たり、一時だけなら時間を止める秘技があったり、割と時間系能力者が多いんだよね。

 

 というか、この祝福で時間停止可能ってことは、ロビンやゼーレ、飲月2凸も時間停止可能ってことだ。

 ……ゼーレのスタールイファントム。なんで分身してるのかって思ったけど、あれ再現バフで時間停止してたんだ……。

 

 

「ひやっほおおおお! 蝶とともに散れっ!!」

 

「バカ言えありゃ蝶じゃなくてカブトムシだろうが! あと、嬢ちゃんはどこ行った!?」

 

「ザイちゃんなら今、虚無との同化で疲れて虚無空間でぐったりしてるけど」

 

「今すぐ叩き起こせ! もうすぐ燃料切れだ!!」

 

 ………ただし、この作戦も無限に続けられる訳ではない。

 

 そう、燃料だ。

 

 俺たちは宇宙空間にいる。

 当然、宇宙船で移動しながら戦っている訳だが、それには燃料が必要になる。

 

 そして時が止まったとはいえ、止まった中で動いている宇宙船の燃料の消費スピードは、変わらない。

 

「ザイちゃん起きて! 出番だよ、燃料補給よろしく」

 

「早くしろ! 俺たちシチューになんぞ!!」

 

「待って……。神様と同化するのって、解除すると後で一気に疲れがくるの……ダルい、力入んない」

 

「ごめん。でもお願い、止まった時の中でも動けるのって、倒した本人以外だとザイちゃんだけなんだよ!!」

 

「マジでやべえ。もう赤ゲージ!!」

 

 

 と、ようやくザイちゃんは動き出す。

 

 虚無空間………虚無がどこにでもつながっていることを利用したアイテムボックスである。

 

 どこでも使えて無限に広がり、おまけに中は完全に時間が停止しており肉類が全く腐らないという便利機能まで付いている優れ物だ。

 欠点など、虚無への完全耐性なしに使うと消滅するくらいしかない。

 

 

 ……俺たち、全員が必須の存在だ。

 

 俺は時間停止のバフが使えても、敵を倒せない。

 

 ヒル兄ちゃんは敵を高速で殲滅できるが、時間停止がないと数億匹の虫が分裂するより早く、つまり1秒に5000万匹以上の敵を殲滅などできない。

 

 ザイちゃんは気軽にその力を使えないが、時間停止程度では止められない虚無の神様である彼女がいなければ燃料補給が成り立たない。

 

 誰が欠けても成り立たない、三位一体のパーティー。

 

「なあ嬢ちゃん、確かこの燃料も、坊主がⅨの一部を上書きしたもんなんだよな? ……てことは、嬢ちゃんの一部みたいなもんなのか?」

 

「ザイでいいよ。うん。あ、でも私みたいに意識は芽生えないから、安心して」

 

「いやそれも聞けて安心だけどよ。虚無の上書きって嬢ちゃんの力削られてるってことだろ? にしては文句言わねえなあ、と思ってよ」

 

「まあコウちゃんになら力削られても文句ないけど……むしろ逆なんだよね。ヒルオージさんは、『運命の拡張』って知ってる?」

 

「ああ。確か『自分の運命が世界に与える影響力がデカくなると、その分だけ星神が強くなる』って概念だろ?

 目の前の虫どもの親玉、タイズルスが、宇宙中で虫どもを繁殖させまくったせいで、【繁殖】の運命の影響力と総数がデカくなって、連鎖的にタイズルスが無限に強化されてったみてえに」

 

「そ! つまりそれと同じ。本来ならこの世の〈存在しないもの〉しか司れなかったⅨが、コウちゃんのおかげで〈存在するもの〉まで司れるようになった。だからコウちゃんが上書きするほど、Ⅸの司る運命が拡張されて、強くなる!」

 

「ほーう」

 

「しかも、【虚無】の存在する方の側面を司っているのは、私の人格だからね! 無断で、虚無を上書きされようものなら、これ以上は私が虚数エネルギーで邪魔するか、Ⅸや私との繋がりを断ち切るかできるの!」

 

 時間が止まっている間、そんな感じのやりとりがあったらしい。

 

 そしてピンチに気づいたのは、近くにザコのスウォームが減ってきて、時間停止の条件が解除された後だった。

 

 

「待って待って、ヤバい! 巨大真蟄虫が分裂し始めてる!!」

 

 

 一撃では絶対に倒せない敵が、体力新品の状態で増えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




感想、評価ありがとうございます。

一瞬だけですが、日刊ランキングで5位にきた時はほんとビビりました。
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