不可能男との約束   作:悪役

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馬鹿な………また全裸が!?

そんな! また全裸が!?

ちくしょう………全裸かよ!?


配点(二人目の全裸が)


欧州覇王

 

アデーレは機動殻の中で、どうしたものですかねぇーー、と思った。

 

 

 

ルイ・エクシヴ

 

 

太陽王という字を持ち、後に欧州覇王となるルイ14世を襲名した人で、総長連合の年鑑を見れば、神の血を引いた半神との事らしい。

一応、父が六護式仏蘭西出身ではある為、地元………というには自分は生まれも育ちも武蔵なので、語弊があるが、まぁ、ニュースを追っていたくらいはしていたのだが

 

 

 

まさか全裸だとは…………

 

 

ああ、おとうさん。自分、どうなっても王様が全裸になっていたんですかねぇー、と半ば現実逃避をする。

 

 

 

・剣神 :『つまり─────ネイトの全裸崇拝は地元補正か…………』

 

・銀狼 :『ご、誤解を生みますわその表現! そ、それに崇拝しているのは全裸ではなくえっと! そう王の在り方! 王としての在り方ですの!』

 

・●画  :『つまり───全裸の在り方ね』

 

・労働者:『分かってしまった事を言わなくていい』

 

・〇べ屋:『まぁ、人の趣味なんて多種多様だよねぇ、特殊なんてよくあるよくある─────重要なのは売れるか売れないかだから』

 

・約全員:『直接的だな!!?』

 

 

外道の会話が何時も通り過ぎる。

というか武蔵で全裸に視慣れ過ぎる弊害ではないだろうか。

正しくこれ、病原菌。

迷惑ですねーー、と思っていると、近くにいた副長もおいおい、という顔で

 

 

 

 

「アデーレ見ろよ─────奴ら、全裸に跪いているぞ」

 

 

危険な質問を、と思っていると向こうの人たちから貴様……!! という言葉と共に

 

 

「我々に現実を見せるな! 辛いんだぞ!」

 

『そうだ! 嫌になるから武神でコラ貼り付けて現実を変換している事実を思い出させるな………!!』

 

「そうよ! 危うく番屋にコールしそうになっているのを我慢するこの忍耐力………! 24時間私達は試されているのよ………!!」

 

 

などとエライブーイングが帰って来た。

すると周りの人間が少し俯いて

 

 

「そうだよな…………見るに耐えねえ全裸が外を闊歩していたら気分悪くなるよな…………」

 

「…………最近、あれを見ると"なぁんだ"で直ぐに対応して、その後に、"いや、俺、おかしいだろ"って酷く冷静になった時、辛いよな…………」

 

「…………普通、ああいうのを取り締まる為に法ってあるんだけど、最近は政治家担当は寒いギャグ放つだけ放って、全裸咎めてくれねえもんなぁ…………副王と副長だけだよなぁ………」

 

 

いかん。うちの総長連合と生徒会の支持率にもダメージが。

しかし、恐ろしい事に完全事実のダメージなので、これ、否定したら事実隠蔽か、現実を見ていない痛い奴になるしか無いのではないだろうか。

 

 

 

あ、でも総長と副会長にヘイトが………!

 

 

総長は自業自得だが、副会長はどうしよう。

どうしようもないですね。

 

 

・貧従士:『副会長! 副会長! もう冷たいギャグを言わないって公約出来たりしますか!?』

 

・副会長:『何を言うバルフェット─────私はこれまでの人生でそんな事をした覚えがない』

 

・約全員:『………………そんな馬鹿な……………………』

 

 

機動殻の中でくっ……………と呻く結果になってしまったが、とりあえず奔獣に寒いギャグは通じないとかいう防御システムを組み込めるかどうかを検討してみよう。

そうやって馬鹿な事をしているとそこで、向こうの全裸がふっ、と何か笑い

 

 

 

「ふっ……………何やら朕の威光に異を唱えているようだが…………朕の全てに祝福するような光に嫉妬かね? 武蔵副長」

 

「いや、服を着ろ」

 

 

ばっさりと向こうの発言を切り捨てた副長に敵味方関係なくおお、と思わず頷く結果になるが、やれやれ、という風に全裸は首を振り

 

 

「君は太陽の光は常に雲に遮られておくべき、などと言うのかね? 否、太陽は常にあるがままであるが故に、世に光差す物────そちらの紛い物と違い、朕は真性だ」

 

「し、真性自ら言いやがったなテメェ……………!? 恥はねえのか!?」

 

「あるわけがないだろ? 朕が朕である事に一体、何を恥に思う必要があるんだい?」

 

 

これは確かに真性だ…………と皆と一緒に俯く。

 

 

・未熟者:『…………おっかしいなぁ。全裸である事を除いたらすっごいいい言葉だったと思うんだけどなぁ……………』

 

・十ZO:『とんでもなく大きな欠点はそこらの美点を埋め尽くすもので御座るな…………』

 

 

ですよねぇ、と思うが、そこでアデーレは気付く。

 

 

 

あれ? さっきからこういう馬鹿騒ぎには絶対に乗る人からのリアクションがありませんよ?

 

 

そう思い、何となく副長の方を見ると

 

 

 

 

「おいおい────こっちの紛い物の全裸って……………これの事かい?」

 

 

 

あ? と声に振り返る副長の動きを見届けながら、アデーレは周りの皆と一緒に叫ぶ。

 

 

 

 

「い、何時の間に総長! あ、後珍しくふ─────」

 

 

 

くを、と言おうとした言葉は何時の間にか副長の傍に生えた総長の手にある制服を見て止まる。

あれ? 服ですよね、でも総長、服を着ている。二重制服? また馬鹿な事を…………と即座に思考するが、その思考の正しい解答が、次の瞬きで発覚した。

 

 

 

 

総長の隣にいる副長がパンツを残して脱がされていたからだ。

 

 

 

敵味方関わらず真顔で結果を見つめる中、密かに留美さんが即座に激写をする為に表示枠を取り出しているのが、中々だが当の本人は馬鹿が隣に発生した事を注視している為、真実の確認に遅れている。

だが、それも数秒の猶予。

何してんだ馬鹿の顔は、何かさみぃな、という顔になっていく副長は無意識的に自分の体を見て、瞬間的に固まりつつも、成程、と笑みで頷き─────音速突破のアッパーを総長にぶち込んだ。

顎にメキリ、という擬音が響くくらいの見事なアッパーと共に空を飛んでいく総長をおーー、と見ていると副長は何時の間にか取り返した服を着ようとしている。

案外、脱ぎネタに反応する人では無いのだ。浅間さんの脱ぎネタには勢いよく反応するが。

やれやれ、という動きは、しかし再び止まる。

 

 

 

 

何故なら、残ったパンツに膝立ちで手にかけている巫女がそこにいたからだ。

 

 

 

「…………留美。何をしている」

 

「─────シュウさん。これは防御策です」

 

 

ほほぅ…………と至極真面目な顔で即座に反論する巫女に半目で見下ろしている副長。

自分達、今、何をしていたんでしたっけ…………と思うが、深く考えるとちょっと胃の辺りを擦る事に。

 

 

「いいですか? 今、シュウさんは総長さんに簡単に服を取られたのです。これは由々しき事態です」

 

「成程、論は間違ってねえな─────だが、最後に残ったパンツを奪う理由にならねえな」

 

「いえ、だからこれ以上盗られないように責任をもあいた!!」

 

結構な唸りを上げて放たれたデコピンが留美さんの額に炸裂するのを見届ける。

うぅ……と額を押さえる姿は同性視点で見ても普通に可愛らしいのがまた。

 

 

・●画 :『おっかしいわねぇ…………キャラを直さなくてもありのままを使えば十分に生きるキャラになったわ。副長のヘタレっ振りがより目立つけど』

 

・留美 :『あ、書く場合はそのままにして下さいね? 予約は既にしているので、ついでに初回特典で制服、私服、水着、全裸をくれたらとっても嬉しいです』

 

・●画 :『その率直さに免じて、サーヴィスしてあげるわ。後でアドレスを送って』

 

・銀狼 :『智! 智! 負けてる! めっちゃ負けてますわ色々と! 今なら手が空いていますから副長にズドンしたらどうですの!?』

 

・あさま:『それで一体何に勝つんですかっ!?』

 

。金マル:『ヘタレ具合かな』

 

 

 

第三特務、厳しいですね……!!

 

 

と表示枠の速度に付いていけなかった事にうーーん、と唸っていると

 

 

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! スカイダイビングから帰宅帰宅ゴーホーム! 俺のハウスは親友の腕の中! 中!? 俺、親友の中が魂の故郷!? 俺、親友の腕の中を出し入れするのか!? 正にソウルフレンドだな! 繋がる広がる巡り合うーーーーー!!」

 

 

 

何やら服を着ている全裸が発狂して落ちて来た。

何を言っているのかさっぱりわからん。

向こうの人たちからも半目で見られるので、武蔵メンバーは全員俯くしかない。

太陽全裸は何故かY字ポーズを取って、下半身を左右に振り始めた。

全裸の芸風はやはり、同レベルなのか、とこちらも半目を向けると向こうも俯いて逃げた。

とりあえず、結構な速度でわざわざ足を広げ、落ちてくる総長を、副長は服を全て着直して、両の拳を握って笑顔を浮かべ

 

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

怒涛のラッシュが総長の股間を襲った。

 

 

 

※ ※ ※

 

 

点蔵は酷く惨い自業自得の結果を見た。

 

 

 

30…………いや、40? ぐらいやったで御座るなぁ……

 

 

音速突破の股間ラッシュ。

股間だろうが、一切容赦のないラッシュは嫌な手応えと共に男としての崩壊を得てしまったのではないだろうか。

周りの男連中は自分も含め、腰が引けているので、やはり共通の見解だろう。

シュウ殿はシュウ殿でとりあえず地面でピクリとも動かないトーリ殿の服で両手を拭いている。

そして、即座にトーリ殿を放り捨てて

 

 

 

「─────さて歌うか」

 

 

と、剣をマイクスタンドに見立てて、突然狂うから全員が副長を止めにかかって何とかなった。

しかし、太陽王はこちらの光景をどう見たのか。

やれやれ、と微笑みを浮かべながら

 

 

「やれやれ…………上がそんなにフリーダムだと場が混沌として仕方がないね、武蔵」

 

「お前だあああああああああああああああああ!!!」

 

全員で口を合わせて突っ込む中、点蔵は気付いた。

それは今もポーズを決め込んでいる太陽王の背後から一人の女性が近づいて来た事だ。

改造制服を着こなした長髪の少女がのしのし、という感じで太陽王の背中に近付き

 

 

 

「なげぇんだよ、馬鹿。とっとと先進めろ」

 

 

と、背後から足を振り上げ、つま先が諸に股間に突き刺さった。

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

向こうの全裸の股間を蹴る女、毛利・輝元の紹介とのお惚気シーンを流された後、ルイ・エクシヴはようやく話題に入った。

 

 

 

 

曰く、これ以降六護式仏蘭西は歴史再現の遵守について、時勢と解釈において執り行う

 

 

 

それはすなわち、解釈という言葉を利用して、歴史再現という絶対遵守の法を無視するという宣言。

引いては─────関が原に置いて敗軍の将となる妻の毛利・輝元を、松平を二重襲名する事で叶える事も出来るという宣言であった。

ふん、と思わず鼻を鳴らす。

手段はともかくその気概に関しては悪くはない。気に入った。ぶった斬ってやりてぇ。

大言壮語の傲慢を吐いた太陽王もだが、その横でその大言壮語を大言とは思わずに、受け止めている女もその態度には気負いもなければ、不可能と思っている節も無い。

こういう輩は折れねえからやり甲斐がある。

馬鹿が何やらじゃんけんやら何やらで向こうをかき回しているが、これに関してはどうでもいい。

 

 

 

 

何故ならこちらの選択肢に譲るというのはねえからだ。

 

 

 

それを、きっちりとトーリの言葉を正純が代弁したから、もう特に言うも見ることもねえと思って、欠伸をしていると

 

 

 

 

「武蔵副長も同意見なのかい?」

 

 

と、何故かこちらに水を向けられた。

あ? と思い、つい聞き間違いかと思って向こうの全裸を見るが、あっちは特に不思議な事を聞いたわけでもない、という感じでこちらを見るだけ。

おいおい、と思わず周りも見るが、トーリがくねくねして踊る以外は全員がじっとこちらを見ている。

だけど、留美は動画を撮るな。

とりあえず、トーリの股間に一度蹴りを入れてから

 

 

 

「俺に聞いてどうすんだ。うちの王はこいつだこいつ。ついでに政治家はあのヅカ。で、俺はただの刃だ」

 

「えぇーーーーーーー!! ただの刃がエロゲをしているんでしゅけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

隣で不屈に叫ぶ馬鹿の股間を黙って蹴り潰しながら

 

 

「エロゲは別だ。男だからな。よくぶつかって事故で胸を掴んだ、とか風で見えたパンツを見ていない、とかみっともなく言い訳する野郎がいるが、俺は真っ向からはい! 掴んだ! 気持ちよさそうだから!! はぁ! 見るに決まっているだろパンツだぞ!! と言う素直な純情少年だからな」

 

「それは純情じゃくなて欲望だ!!」

 

 

やかましい。

男が思春期拗ねらせて何が悪いと言う。

エロに興味を持って、女性の胸や尻に目を行く現象などなぁぁぁぁぁぁぁぁにが悪いと言うのだ!!

うむ、と頷いているとふっ、と太陽王は笑い

 

 

「成程─────君は立派な犯罪者だな」

 

「な、なにぃ…………!?」

 

全裸で光輝いている男に犯罪者と呼ばれるのは流石に来るものがあるが、しかし直ぐに取り直し

 

 

「その全裸は犯罪じゃねえって言うのかよ!! ついでに無駄に解像度を上げちまったゴッドフレスコも!!」

 

「何を当たり前な─────朕が服を着なければ、それこそ末世。太陽を失くした民が不安を得てしまうだろう。脱がない君では朕の生き様を理解出来ないのさ」

 

大体、と一度間を置かれた俺はお、おぅ…………と合いの手を入れていると

 

 

 

 

 

「最強最強とか言っているが────────たかが服を着ている人間が言うとは…………実に甘い話だ」

 

 

 

 

・剣神 :『あっれ!? あっれ!? あっれぇ!? 最強って、あれ!? マジか!!?』

 

・あさま:『シュウ君! シュウ君! 落ち着いてください! 最強云々のあれは完全な出任せですから!! ──────キャラは負けていますが』

 

・金マル:『まぁ、三流チンピラ口調で勝とうっていうのは少し虫が良すぎるよねぇ』

 

・83  :『オウ。キャラで勝てなかった場合もカレーですネー』

 

・あずま:『カレーってそんなに万能な力を持っているの…………?』

 

・剣神 :『くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 味方はどこに消えやがったあああああああああああああ!!』

 

 

何時だって現実は大敵だ、と舌打ちしながら、あいつらとりあえずしばき倒す、と誓う。

誓った後はとりあえず、首を回してコキコキ慣らして、相手を見る。

 

 

 

 

六護式仏蘭西

 

 

 

太陽王や毛利・輝元は元より未だ健在の三銃士は大国の特務として十分な力を持つ自動人形だ。

それだけでも脅威なのに騎士達による武神団に、自動人形。

更には異族部隊とファンタジー要素が盛りだくさんである。

武蔵にもそれらが無いとは言わないが、極東は非武装且つ政治に関われるのは学生である間だけ。

性能も人も全く足りていないのだ。

松平と後に覇者となる歴史を持っているから、ある意味まだマシなレールを使えるかもしれないが、それでも前途多難な先しか見えないのは馬鹿ではあるが、トーリ程馬鹿では無いので理解はしている。

 

 

 

強大で強敵。

 

 

その事実を一切の虚飾なく受け止め──────しかし、それを湧き上がる怒りと好感の奇蹟のコラボレーションみたいな感情と共に、笑みを浮かべて告げる。

 

 

 

 

「─────まぁた悪役になっちまうなぁ」

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

はっ、と笑う全裸の夫を、毛利・輝元は見た。

隣から見えるエクシヴの顔には嘘偽りのない微笑が形作られている─────が、これは私も同様だろうなぁ、と内心で苦笑する。

何せ明確にお前ら全員、叩きのめすなんて言われたら、馬鹿だろうが天才だろうが、流石に痛快だ。

 

 

 

 

「小気味いいじゃねえか」

 

 

 

毛利・輝元の襲名をしている以上、やはり極東に対して考えることが無い、とは言えない。

何れエクシヴの愛人を全員襲名するつもりではあるが、それで毛利・輝元としての歴史再現を疎かにするつもりはない。

しゃあねえ立場にいるとはいえ、やっぱり一極東人としてちゃんとしてくれよ、という思いが浮かんでしまうものだ。

無論、これは大国にいる人間の余裕と思われても仕方がない感想だ。

武蔵は非武装の上に、学生は若い奴らばっかりだ。

色々奪い取っている側が言うセリフじゃねえかって思い、空に浮かぶ漂泊の船を何時も見送っていた。

 

 

 

 

だが、そんな国が、船が、人が唐突に世界征服を謳いだした。

 

 

吐いたのは武蔵副長の隣にいる今は服を着ている馬鹿だ。

当時はそれこそ馬鹿故の向こう見ずさかと思ったが…………今、隣で笑っているエクシヴからしたらそれは違う、と告げられた。

 

 

 

 

「馬鹿である事もそうだが─────何より、武蔵総長は作りたいのだろう。彼曰く、夢が叶う国を」

 

 

 

勝ち筋も、道も作る事も出来ない王だが、ゴールの形だけは明確に作る無能の王。

 

 

 

 

俺には何も出来ねえ。だけど、オメェらは出来る。

 

不可能は俺が持っとくから、お前らはやれるだけやれよ。

 

 

 

何とも愉快な形の王道だ。

王の在り様の変革…………というより変異か。

 

 

 

馬鹿げた話だよなぁ…………

 

 

武蔵総長は気付いているのか。

他の奴らがやってくれるっていうのは無論、王からの信頼だが、それに必ず応えてくれる、というのがどういう事なのか。

 

 

 

「…………ったく」

 

 

戦場で美談のような惚気話を聞かされるとは思いもよらなかった。

こういう敵もいるんだな、と隠し切れない笑みを浮かべていると

 

 

 

「─────Tes.。武蔵諸君。君達の挑戦。欧州覇王がしかと聞き届けた」

 

 

格好つけやがって、とつい言いそうになるが、本心ではそれでいい、とエクシヴの態度に納得する。

そうだ、あたしらは欧州の覇王になるのだ。

歴史再現だとか、聖譜がだからじゃねえ。

あたしたちの意思が覇王への道となり、先となるのだ。

その覇王に対して征服をするという挑戦者が現れたのだ。

ならば、自分達が返す返答は傲慢ただ一つでいい。

今だけは虚栄の己は黙り、覇王としての傲慢と共に、告げればいいのだ。

 

 

 

 

 

「存分に挑むがいい武蔵─────朕は君達の挑戦を覇道の礎とさせて貰う」

 

 

 

 

 

 

互いが互いの覇を唱え終わった後、留美はそのまま再び開戦するかと思い、鯉口を切っていた時、両者の間を縫うように声が解き放たれた。

 

 

 

 

「待てよ」

 

 

男性の声だと思うのと同時に、私を含め、全ての者が声がした方角に振り替えるとそこにはやはり、一人の男性が立っていた。

浅黒い肌を晒し、サングラスをかけ、無手でこの戦場に一人現れた。

それもP.A.Odaの制服を着崩し─────ズボンに4という刺繍が縫われている事実に目を細めた。

彼はそのままズボンのポケットに両手を入れたまま、無遠慮にこちらに向かってくる。

 

 

 

「おい親友。オメェ、今日一日だけでキャラ被りが二人も出てんぞ」

 

「い、言いやがったなテメェ…………!」

 

 

いえ、シュウさんはオンリーワンです。

他のチンピラ口調はあっても、二番煎じという事でいいと思います。

だが、それはそれとして男の歩みは一切迷いなくこちら─────否、サングラスに隠された視線は間違いなく武蔵総長とシュウさんを見ていた。

その事実を理解した時、ようやく口を開いた。

 

 

 

 

「武蔵総長。武蔵副長─────お前らに用がある」

 

 

名指しを受けた二人は一度首を傾げ、しかし直ぐにお互いを見て

 

 

「おいトーリ─────あいつ堂々と俺ら二人に告白しに来たぞ」

 

「ああ…………俺、男から同時告白なんてされるの初めてだぜ…………」

 

「仕方がねぇ…………役職として一応、上のテメェに機会は譲ってやる…………!」

 

「じゃあ役職命令でオメェ、俺の代わりにホモって掘られて来て下さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」

 

「貴様ーーーーーー!!!」

 

 

総長の襟をつかんでガクガク揺らしているが、総長は笑うだけで堪えてないからシュウさん、負けてます、それ、ギャグ的に負けてますと言いたかったが、二人の芸を無視して男は二人に向かう。

 

 

 

 

「英国じゃあ利家(トシ)が世話になったようだな」

 

 

英国、トシで思い浮かぶのはやはり、同じP.A.Odaに所属して、且つ五大頂、六天魔軍の4番の片割れ、前田・利家を思い浮かべられる。

ならば、やはりこの男性は

 

 

 

 

「六天魔軍の4番………! 佐々・成正…………!?」

 

 

大国にして強国のP.A.Odaにおいて中核をなす六天魔軍の一人がここに立っている意味を唾と一緒に飲み込む。

しかし、そんな中、総長とシュウさんは一切、緊張感がないまま、しかしようやくシュウさんの方が気づく。

 

 

 

 

「ああ。テメェ─────六人揃ってようやく俺の半分軍の奴か!!」

 

 

 

何時ものシュウさんクオリティで何よりだ。

そう思って笑顔でうんうん、と頷いていると何故か六護式仏蘭西の三銃士のアンリから信じられない物を見る目つきで見られたが気にしない。

後で熱田神社勧誘パンフレットを叩き付けておこう。

サブリミナル効果も利用した3分で熱田神社に入りたくなるパンフレットだ。

3分後には見事に何かを斬りたくなる危険人物が生まれてしまうので、使いどころを間違えると大惨事なのだけど、これも布教の為である。

お陰でこれで人が増えたのだから問題ないです─────何故か後から悲鳴を上げて逃げようとする人がいましたけど。

ともあれ、シュウさんの挑発に近い言葉に、しかし佐々・成政は特に気にする事無く、一度、鼻を鳴らし

 

 

 

 

「─────見る目のねえ依怙贔屓の神がよく吠えやがる」

 

 

 

瞬間。

 

 

 

シュウさんは大地を蹴飛ばし、割り砕け、浮き上がった長さと厚さ、共に五メートル程の岩塊を、佐々・成政相手に蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

岩がどうなるかを見届ける間もなく、両勢力は行動を再開した。

武蔵勢は逃走に入り、六護式仏蘭西は追撃の形に入る。

佐々・成政という例外が来ても、関係ないと言わんばかりにそれぞれの攻勢に出る中、唯一武蔵勢の中で逃走に入らない者がいた。

 

 

 

 

『シュウ君…………!?』

 

 

わざわざ表示枠で幼馴染が注意喚起を行ってきたが、今回ばかりは聞く気は無い。

まぁ、そうは言っても六護式仏蘭西の軍勢を相手に一人残る、というわけではない。

何故なら目の前で俺が蹴り飛ばした岩塊を拳一つで粉砕する存在がいるからだ。

 

 

「ま、そんくらいはやるよな」

 

「はっ─────舐めくさるなよ餓鬼が」

 

 

拳に付随するように浮かび上がる相手の表示枠を見ながら、身体強化…………の割には派手だからもっと別のもんか、と思いながら剣を背負う。

 

 

「狙いは俺かトーリなんだろ? なら馬鹿よりも最強の方に負けた方が土産話になるだろう?」

 

「テメェ如きが俺に勝てるとでも?」

 

 

 

・●画 :『あんたら喋っているとどっちかわからないわ』

 

 

やかましいツッコミを空いた手で破壊しつつ、その手で来いよ、と招きつつ

 

 

 

「たかだか小物に負けている程、暇じゃねえんだよこっちは」

 

 

 

「…………」

 

みしり、と佐々・成政が踏んでいる地面が軋む音が聞こえる。

表示枠が佐々の全身を守るかのように立ち上がるを見守りつつ、背負っていた刃を下ろし、何時でも動けるように全身から力を抜く。

3秒後に唐突に自分の背の方から太陽が発生したかのような熱量を感じたが、俺が気にする事でもなければ心配する事でもない。

どうせ殺しても死なない馬鹿連中ばかりなのだから。

 

 

 

………………あ、留美は少し心配だがなぁ……………─────辻斬りしていないか

 

 

 

笑顔で人を斬るのに躊躇わない巫女なのだ。

時たまあの切れ味のある綺麗な微笑は俺も怖い。

その笑みのまま、愛を告げてくるのだから本当にどうしようもない。

 

 

 

 

もっといい男を探せよ…………いい女なんだから…………

 

 

俺みたいなろくでもない邪神じゃなくて、もっとマシな奴を探せばいい。

梅組の男は絶対に止めるが、それこそハクとかそういった奴らに目を向ければいいのに、と思うが

 

 

 

……………他人の事を言えた義理じゃねえよなぁ

 

 

ろくでもない邪神だと思いながら、別のいい女を見ている時点で説教する立場でもなければ、そもそも柄じゃねえ。

平和な日常のような思考をしつつ、刃を握れば、即座に今までの思考を捨てれている自分に苦笑しながら、敵の殺意を浴びる。

奴さんの顔が裂けるような笑みを浮かべているのを見て、おーー、おーー、いーー顔しやがって…………と同じ笑みを浮かべる。

その笑みの真意はただ生意気な俺を上から叩きのめしてや(・・・・・・・・・・)()、という殺意。

そこらの一般生徒がやったら即叩きのめしている顔だが、P.A.Odaで六天魔軍の一人で襲名者であるというならばむしろ俺を相手にそれくらいの顔と実力を示してくれなければ、それこそぶった斬りたくなるだろう。

 

 

 

 

勝者として君臨している癖に、実際は歴史にあやかっているだけのクソかよ、と。

 

 

 

そう思わずに済んだのは僥倖と言うべきか、厄介なと言うべきか。

でも、あの程度の挑発に乗ってくるとは。何か際どいワードでもあったのだろうか、と思っていると

 

 

 

 

「─────百合花ぁ!!」

 

 

叫びと共に物凄い速度でこちらとの距離を一歩で詰め切った。

空気抵抗の壁を越えた拳が、もう既にこちらの腹を狙って発射されている事を知覚する。

速い。

初速のみで言うのならば、二代や宗茂に迫る所を超す速度。

攻撃力という意味でも、この拳の圧を見る限り、凄まじいモノを感じる。

その上で腹という避ける事を考えれば、一番難しい所を狙ってくるものだからやってくれる。

故にそれに対応する為に体を動かそうとするが、その前につい笑みを浮かべてしまいそうになり

 

 

 

……………………れ?

 

 

─────浮かべる事が出来ない事に気づく。

 

 

いや、それどころか手足や指、舌すら動かない。

 

 

 

─────術式か!?

 

 

思考だけは止まらない事を感じながらも、このチート臭い能力を感じると個人のみで成立する力ではない事だけは確かだ。

何故か目の前の佐々・成政の動きは止まらないが、サングラスに隠された目も少しだけ開かれているのを察知するとこいつの能力ではないのはやはり確かだ。

しかし、今はそんな事は問題ではない。

問題は今、届きつつある拳に対して、俺の体が動くことが出来ないという事であり

 

 

 

当たり前だが、奇跡など起こさず、拳は諸に腹へ突き刺さった。

 

 

ゴキッ、と骨が幾つか砕ける音と擬音にはならなかったが、何かがひしゃげるような感覚を得つつ─────己の肉体が吹き飛ばされるのを他人事のように知覚した。

 

 

 

 

 

 

 

「強かじゃのぅ」

 

義経はIZUMOで起きている武蔵と六護式仏蘭西の戦争を見ながら、素直な感想を呟いた。

吹き飛ばされた熱田が土煙で見えなくなっているのを確認しつつ、先程の流れを読み解く。

 

 

 

 

「アレは確か、六護式仏蘭西の聖譜顕装の聖骸の賢明(コルプス・プルデンティア)じゃったかのぅ」

 

 

表示枠に映る毛利・輝元が何時の間にか円盤に似た翼を広げているのを見つつ、その名を口に出す。

能力は…………………なんじゃったっけ? まぁ、所詮、儂の器を相手にすれば脆く崩れる代物じゃろうから、特に覚えておく必要がないな。

ともあれ、今のタイミングを見る限り、六護式仏蘭西は武蔵という国を潰す事より、否、武蔵を倒すためにまずは熱田を打ち落とす事を狙ったという事だろう。

 

 

 

「若い癖に随分と機を読むではないか」

 

 

武蔵という国を良く分かっている。

別に武蔵の柱が熱田だ、とは言わない。

どちらかと言うと柱を構成している一つ、という物である、と思っている。

─────その代わり、構成としてはかなり大きな、という前置きが付くが。

副長である以上、当然だが、やはり武蔵における鬼札とされている存在だ。

あの少年が打倒されれば、それだけ衝撃は浸透する。

無論、それで崩れるような気風ではないが

 

 

 

「あの全裸はどこまで頼っているかのぅ……………」

 

 

馬鹿過ぎてある意味、読み辛い全裸を思い出すが─────そもそも童である前提を思い出せば……………有り得るかもしれんのぅ、と思う。

 

 

 

「良いのですか義経様」

 

 

そんな風に思っていると佐藤兄弟がステレオでそんな事を聞いているから何がじゃ、と問い返すと

 

 

 

「その武蔵副長が今、重傷を─────」

 

「なんじゃ。そんなもんか─────勘が鈍っておるぞ馬鹿が。ああ、兄とか弟とか無関係にな。押し付けるな」

 

馬鹿二人が横で殴りあうのを見切ってから表示枠を見る。

一つ、鼻を鳴らしながら、今だ土煙が晴れず、熱田は未だ現れないのを見る。

確かに今の一撃は加護を持っている熱田であっても重傷だろう。

肋骨三本に、内臓一つか二つが破裂寸前といった所か。

剣神ではあっても異族でもない体だ。

普通なら、間違いなくそれで戦闘不能だろう。

 

 

 

 

()だから(・・・)

 

 

 

そんな普通を享受できるような真っ当な生き方が出来るなら、今頃もう少し賢くなっているだろう。

そう思った瞬間に風が吹いたのか、ずっと晴れなかった土煙が一気に剥がれ────そこには二本足でしっかりと立ちながら砂埃を叩いて払っている剣神の姿があった。

その馬鹿みたいな負けず嫌いの姿に苦笑しながら

 

 

 

 

「膝などついておられんよなぁ? 世界最強になると誓ったのだから」

 

 

 

他者からは狂気と呼ばれ、事実、狂っているかもしれない渇望を抱いて疾走し続けたのだ。

たかだか重傷を負った程度で屈する正気など当の昔に捨てただろう。

今、奴の脳内にある思考があるとすれば

 

 

 

「─────舐められたままなど、許せぬだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

佐々・成政は目の前で何事もなく動く武蔵副長を見て、歯噛みしていた。

六護式仏蘭西の思惑に乗る形になってしまった事自体は怒りを感じるが、過ぎた事を考え続けるほど、成政は戦争を経験していないわけでは無い。

だから、けりを着けるために、俺自身の手で武蔵副長を討ち取るつもりではあったが

 

 

 

野郎……………!!

 

 

武蔵副長は晴れた土煙の中心で立って、土埃をはたいていた。

それだけを見るとまるで無傷、と思うが、そんなわけがない事は成政が一番理解している。

若いとはいえ一国の副長として挑んだが故に、最初の一撃はジャブのつもりで撃ったせいで致命的にする事は出来なかったが、それでも肋骨を三つ、内臓の幾つかをひしゃげさせた手応えは得ていた。

なのに、武蔵副長の動きはそんなダメージを得ているような感じでもなければ、庇う様子すら見せない。

 

 

 

「舐めてくれる……………!!」

 

 

その仕草が挑発にならない、と考えて鈍感を気取っているなんて言わせない。

間違いなく奴は─────俺の一撃を受けて、尚、俺に勝っていいのはお(・・・・・・・・・・)()じゃねえ、と誇示している。

これ程、殺したくなる生意気さは柴田先輩を除いたら皆無だ。

百合花─────本来は治療に使う筈の癒使を身体強化に転用した術式は何時でも使えるよう展開している。

武蔵副長の口元が細やかに小さく、しかし素早く動いているのは未だ聖骸の賢明(コルプス・プルデンティア)の影響下にあるのだ、と理解しながら向かおうとし

 

 

 

「あ?」

 

 

武蔵副長が唐突にこちらに視線を向けたと思ったら─────一瞬、世界が闇に包まれる。

思考が加速する。

幻覚ではないと即座に感じ取る。

術式と幻覚の差異など知らんが、何となくそう思っただけだ。根拠なんてどうでもいい。

そう言うとトシと不破はうるせぇが知った事じゃねえ。

益体のない思考はとりあえず、そこらに放り捨てて、その闇を見る。

 

 

 

 

何だ………? タンバ先輩みたいな劇場術式みたいなもんか? 

 

 

 

そう思い、周囲どころか見える世界全てに警戒を強めようとして

 

 

 

「ああん?」

 

 

またもや唐突に、闇が払われた。

闇であった時間は僅か一秒か、それ以下レベルだったが、幻じゃねえという結論と何故、解いたのだ、という疑問が浮かぶが、即座に武蔵副長に意識を絞り込もうとし

 

 

 

 

「やるぞ─────思いっきり殴る」

 

 

 

目の前に高速で飛び込んできた拳の一撃が成政の額に直撃した。

 

 

 

 

 

 

留美は今、一瞬包まれた闇と、負傷を押して高速で佐々・成政を吹き飛ばした少年の姿を見ていた。

 

 

 

「独り言をいいます。今のは……………」

 

 

留美は熱田・シュウという少年についてなら例え、彼が好いている少女にすら負けないと思っている。

だって、私は一度たりとも好き、という言葉を遊びに使った事なんて無いし、彼が望まないからしないけど、もしも彼が命が欲しいと願ったら喜んで差し出すのは前提条件である。

だからこそ、分かる事があった。

 

 

 

 

世界が一瞬、闇に包まれたのも─────今、シュウさんの速度が上がった理由も(・・・・・・・・・・)

 

 

 

「……………」

 

 

そんなの知っている。

最初にあの世界を見たのは私達であり、本当に強かったあの人(・・・・・・・・・・)を知っているのも私達(・・・・・・・・・・)なのだ(・・・)

でも、だからこそ、それが哀しい(・・・)

 

 

 

 

 

誰よりも強くなれる人が強くなるには、誰よりもしたくない事をする覚悟をしなければいけないのだから───────

 

 

 

「……………」

 

思わず、酷く疲れた顔を浮かべてしまった。

それを即座に口で呟いて行動宣言しつつ、顔を両手で叩く。

私がそんな顔をする資格はない。

何故なら一番疲れているのはシュウさんで、一番覚悟を決めているのはシュウさんなのだ。

覚悟の質で劣っている私に出来る事は彼を支える事だけだと、それこそずっと前から誓っていたはずだ。

今、必要なのはシュウさんの泣き所の一つである武蔵総長を無事返す事。

だからこそ、今、危機に陥っているシュウさんに駆け付けず、殿の一人を務めているのだ。

そうだ。

 

 

 

私は馴れ合いをしたいのでもなければ、傷の舐めあいのような愛を得たいわけでもないのだ。

 

 

熱田神社が奉るはスサノオ。

風と剣と力こそが我らの繋がりであり、祈り。

故に私はあの人の力であり、手足であり、誇りであり続けよう。

 

 

 

 

何時か貴方が貴方の地獄を肯定出来るように…………

 

 

そう、心に誓い─────留美は彼から視線を切った。

何故なら知っているからだ。

 

 

どうせ、あの人は負けないと

 

 

 

 

 

 

熱田は振り下ろした拳を戻して、少し振りながら

 

 

「呆れるぜ。大した石頭だな」

 

 

熱田は殴り飛ばした相手─────佐々・成政が20m程先で額から煙を上げながら、しかし両の足で立っているのを見る。

あの瞬間、佐々・成政はとんでもない馬鹿のようで─────向かってくる拳に対して百合花とかいう術式を使って、そのまま頭突きをかましてきたのだ。

一切の恐怖も躊躇いも無いまま、頭突きをかましてきたからこそ向こうは20m押されるだけで済み、俺は八の石頭に苦笑する結果になった。

あそこまで躊躇いがねえのは、俺の拳に劣らない一撃を知っているのかもな、と思いつつ

 

 

 

「挑発するぜ─────おら、来いよ第六天。ラッキーパンチ一つ入れて、調子に乗りたい所だろうが安心しやがれ─────テメェにも、誰にも、俺から得れる勝利の余韻なんて──────」

 

 

 

 

 

欠片も許すものか─────

 

 

と、己に向ける殺意が漏れる。

それに気づき、直ぐに自制する。

最強の癖にあんな不甲斐ない一撃を受けたのは確かに憎悪するべき事だが、かと言ってそれで己の地獄を漏らすわけにはいかない。

俺はトーリと約束したのだ。

 

 

 

出来る限り、人は殺さない、と

 

 

だから、地獄は展開しないし、敗北も許さない。

その気概こそが最強たる証だと思っているし、スサノオに頼りきりなんて死んでも御免だ。

 

 

 

 

俺はスサノオの代理神だから最強なのではなく、熱田・シュウが最強だから最強なのだ。

 

 

 

だからこそ、ここで佐々・成政に俺は熱田・シュウに一撃を入れられる存在なんだ、なんて自信なんてものを覚えさせない。

テメェがここで得るのは俺には勝てなかった、という敗北感だけだ、とそんな思いで敵を見ていると

 

 

 

「気に食わねえな」

 

 

などと言ってくるので首を傾げる、と宣言した上で首を傾げると

 

 

 

 

「アバラ数本折れて、内臓幾つかひしゃげてる餓鬼の癖に─────まだ俺に負けるだなんて一欠けらも思ってねぇ、そのツラが気に食わねえ」

 

 

あーあー、成程、結構よく言われる。

まぁ、敵側の気分になったら気持ちは良く分かるのだが、かと言ってそれを否定するとそれこそアイデンティティクライシスという奴だ。死んでも止めない。

というわけでそういう事を言う奴には何時も俺は同じ事を言うのだ。

 

 

 

 

「言うぜ─────止めてみろ小物」

 

 

 

と吐いた瞬間─────向こうが一歩踏み出した後に、宣言する。

 

 

 

 

「やるぜ─────疾走開始だ」

 

 

 

 

 




ふぅ、書き終わりました。
これを書いている間に8回くらい消えたから、危うくストレスで死ぬところですが無事終了。
さて、余り長々というより読んで貰いたいので、とりあえず言いたいことだけ。


まぁ、幾ら何でもあの程度で六天魔軍で佐々・成政を倒すのは虫がいいという物。

まだまだ、こっからですね。


では感想・評価などよろしくお願い致します。
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