これって超次元サッカーなのかよ……   作:チョコミント

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天馬って「キャプテン」と「神童キャプテン」の2パターン呼び方あったよなぁ……?と思いちょこちょこ一期を見返してました。鬼道の練習メニューをサボるそこのDF二人、ちょっと裏来いよ。あっ、輝くんはいいからね?


第四話より上はねぇだろ!!

「お疲れ様でした!」

「あっ、天馬……!」

「ごめん信助! 俺ちょっと用事があるから! また明日!」

 

 ここ最近、天馬は練習が終わると足早に河川敷に通う日々を過ごしていた。

 そよかぜステップの進化を目指し、ひたすらカラーコーンに対してドリブルを仕掛け続ける。しかし、練習を繰り返して成長を実感する内にまた新たな課題が頭に浮き上がってくる。それは自分のシュートで点を取れるかどうか。

 現状、天馬の必殺シュートであるマッハウィンドの威力は剣城のデスドロップはおろか、錦の伝来宝刀にも及ばないだろう。相手を抜いたとしてもその先が無ければ武器として完成されているとは言えない。

 

「そよかぜステップV2!」

 

 以前青峰と対決した時よりもキレの上がったドリブル。だが、これでもまだ届かない。息を切らしながら再びカラーコーンに向かっていく。

 

「やってるな、天馬」

「あっ、キャプテン……」

 

 階段からゆっくりと降りてくる神童。皆に隠れて特訓という行為が何だか悪く感じてしまい、天馬はばつの悪そうな顔をする。そんな天馬に神童は優しく笑いかけた。

 

「ほら、息が切れてるぞ」

「……すみません、いただきます」

 

 スポーツドリンクを手渡され、ベンチに座って飲めと促された天馬。乾いた喉に冷たいドリンクが染み渡り、気持ちよさそうに息を吐いた。

 

「お前のドリブルのキレもだいぶ上がったみたいだな」

「ありがとうございます。……でも、これじゃまだ届かない」

「次の相手の帝光中には、お前の知り合いがいるんだったな。もしかしてそいつに向けた特訓か?」

「はい。……大輝は、サッカーがつまらないって言ってました。自分に敵う相手はいないんだって。だから、俺が追いつかなきゃいけないんです。大輝にサッカーの楽しさを思い出させてあげたい。また笑顔でサッカーをしているところが見たい……」

「天馬……」

 

 今の天馬にはいつもの爽やかさがない。思い詰めた様子でボトルを握る姿を神童は自分と重ね合わせていた。

 

「……まるで、あの時と逆だな」

「え?」

「本当のサッカーがやりたい、でもフィフスセクターに逆らう勇気なんて無い。そう思い詰めていた時に、お前と円堂監督が俺を引っ張りあげてくれただろ」

 

 神童は転がっていたボールを掬い上げると天馬に言った。

 

「今度は俺が助ける番だ。俺も特訓に付き合う」

「キャプテン……」

「……お前もどうだ、剣城!」

「えっ、剣城!?」

 

 天馬が振り返ると、階段の上から二人の様子を見ていた剣城が降りてくるのが見える。

 

「気づいていたんですね」

「ついさっきな。お前も天馬の様子を見に来たんだろ?」

「剣城……!」

「……そんな目で見るな、やめろ、寄るな」

 

 天馬の顔を手で抑えつける剣城。仲が良いのか悪いのか、その様子を見て神童は思わず吹き出す。

 後から来た二人の為のウォーミングアップとして、三人はジョギングから始める。並んで走っている内に天馬が先行しスピードが上がっていく。二人もそれにつられてスピードを上げていき、最終的にはジョギングからダッシュに変わっていった。

 そして、楽しそうに競う三人の姿をどこか懐かしいものを見るような目で眺めている男が一人。

 

「……変わらないな、雷門は」

 

 在りし日の光景、共に切磋琢磨し困難を乗り越えた戦友達との思い出が過ぎる。

 

「あの三人なら、あの技を……」

 

 ゴーグルに夕日が反射し、煌めいた。

 

 

 ◇

 

 

「ふわぁ……ねんみぃ」

 

 雷門との試合当日、青峰は盛大に欠伸をしながら家を出た。天馬との約束通り遅刻しないように早起きした結果だ。

 学校からバスに乗ってスタジアムへ向かう。通学路をとぼとぼと歩いていると、彼は突然違和感を感じ始めた。靴紐が緩んでいるわけでも、バッグを忘れたわけでもない。

 

「……止まった?」

 

 前から歩いていた老人が次の一歩を出す寸前で固まっている。後ろを向くと、同じ学校の女子生徒が躓いて転んでいる瞬間で停止していた。ここ最近で一番のスプリントをし、女子の背後に回る。

 

「水色っと」

 

 そして何事も無かったかのように歩き始める。

 

「スタンド攻撃、それとも時間停止モノか。……はっ、まさか俺が時を……!?」

「違いますよーだ」

「あ?」

 

 原因を考えていると突然女の声が聞こえてきた。瞬間、飛来するボールを察知し蹴り返そうとする。

 

「……!?」

 

 だが、青峰は突然動きを変えた。その場から飛び退き地面にバウンドしたボールをトラップする。

 

「あら、返されると思いましたのに。買いかぶりだったのかしら」

「……誰だ、てめぇ」

 

 青峰はボールを蹴った主の姿を建物の上に確認していた。水色の髪の少女がふわりと降りてくる。

 

「こんにちは、青峰大輝さん。私はベータ。あなたからサッカーを奪いにきちゃいました」

「サッカーを奪うだ?」

 

 青峰はベータの時代に合っていない妙な格好から、過去に日本を脅かした侵略者をイメージする。あんなのがいた世界だ、これも冗談とは思えない。

 

「で、どうやって奪うつもりだよ」

「……疑問に思わないんですね」

「思ってるに決まってんだろ。ただ、考えても無駄だって思っただけだ」

「ふーん。まぁ、テストの記録を見る限りじゃ頭が良さそうにも見えませんし、いいです」

「テストは関係ねぇだろうが!」

 

 すると、ベータはいきなり青峰に急接近しボールを彼の足元から瞬時に奪い返す。油断していたわけではない。ただ、彼女と青峰の間にはとてもじゃないが越えられそうにない壁が存在するという事実が彼にのしかかる。

 

「ここじゃやりずらいので、ちょっと場所を変えましょうか」

 

 ボールが青く光り、その光が青峰とベータを包む。次の瞬間には、二人は稲妻町の河川敷のコートに立っていた。

 

「ここは……ワープまで出来んのか。マジで映画みてぇだな」

「さぁ、あなたの大好きなサッカーの時間ですよ」

 

 今度は黄色く光ったボールは、ベータの放つ強力なキックを受け青峰に襲いかかる。まともに受けれる威力ではないと判断し回避すると、既に移動していたベータが更にシュートを蹴り込む。

 

「ぐっ……!」

 

 背中に激痛が走る。よろけたところに今度は腹にボールが当たり、青峰は吹っ飛ばされて仰向けに倒れた。

 

「ふふっ、やっぱりまだこの程度ね」

「……ってぇな、試合の日にこんな真似しやがって。もう許さねぇぞ、ブス!」

「……カッチーン」

 

 表情は笑顔のままだが、額に青筋を立てたベータは深く呼吸をする。そして、それは現れた。

 

「……来い、虚空の女神アテナ!」

 

 ベータの背後からオーラが噴き出し、二丁の銃を持った女を象る。サッカープレイヤーの気が具現化した存在。素質を持った者のみが扱えるその強力な力を、人々は化身と呼んでいた。

 

「行くぜ! シュートコマンドK02!」

 

 化身が両手の銃を発砲すると弾丸は飛翔するベータを追従し、彼女がシュートを放つと同時にボールに着弾した。爆発の中から飛んでくるシュートを、よろよろと起き上がった青峰は強く見据える。

 

「お陰様で眠気が覚めたぜ。ここでてめぇなんかに負けるわけにはいかねぇんだよ! うぉおおおおーっ!!」

 

 青峰の雄叫びに呼応する様に、彼の背後からも化身が現れる。右手に剣を携え激しい雷を纏う筋骨隆々の大男。その名は、

 

「闘神タケミカヅチ!」

 

 必殺シュートの構えに入る青峰、それに合わせてタケミカヅチも剣に力を集中させる。突き上げた剣に天から雷が落ち、青峰のジャンピングボレーと共に振り下ろした。

 

「雷霆破断!」

 

 化身シュート同士の対決によって起きた衝撃は、ベンチを吹き飛ばし草木を大きく揺らす。しかし、ベータのシュートの威力は収まらない。

 

「ぐっ……舐めんなぁああああ!!」

 

 突然、青峰は自身の身体に変化が起きたのを察知した。何処からか力が流れ込んで来る様な感覚。不思議だが全身に力が漲り悪くない気分だった。

 雷は更に勢いを増し、化身が雄叫びを上げる。形勢は逆転し、完全に振り下ろされた剣と共に蹴り返されたボールがベータに迫った。

 

「なっ!?」

 

 凄まじい速度で迫るシュートを避け切ることが出来ずに脇腹を掠り、ゴール裏にあった倉庫の扉が破壊された。蹴り返すことに全能力を注いだ結果、コントロールが効かなかったのだ。

 まさか本当に蹴り返されるとは思っていなかったベータが冷や汗をかいていると、彼女の身につけている通信装置に連絡が入る。

 

『時空の共鳴現象だ。パラレルワールド上の青峰大輝が互いに干渉し力を高め合っている』

「……では、この青峰大輝の力は未知数だと」

「あぁ。今回はここまでだ、帰還せよ」

「了解」

 

 ベータが手をかざすとボールが彼女の手元に吸い寄せられていく。

 

「……今回はこれで許してあげます」

「あ? もう終わりかよ。こっからが面白ぇとこじゃねぇか」

「ふふっ、まぐれに頼っているようじゃ先が思いやられちゃいますね」

 

 その時、コートに大きな影が差す。上を見ると巨大な宇宙船の様な物体が空から降りてきていた。

 

「うおっ、UFOか!?」

「それじゃあ、失礼しますね。また会いましょう、青峰大輝さん」

 

 青峰に背を向けて歩いていくベータ。彼女はふと立ち止まると振り返って指を差して言った。

 

「それと! 女の子にブスなんて、絶対言っちゃダメですからね!」

「……は?」

 

 それだけ言い残して彼女は姿を消す。同時にUFOも紫色の光を放って消えていった。一人その場に取り残された青峰はポカンとしたまま立ち尽くしている。

 

「……ったく、何だってんだ一体」

 

 どっと疲れが押し寄せ、その場に倒れ込む。このまま眠ってしまいそうだ。瞼が落ちてくる中、辛うじて目に映りこんだのは河川敷に設置してある時計。時刻は八時を指し示していた。

 

「……結局遅刻かよ」

 

 そう呟き、青峰は意識を手放した。




オリ化身とオリ必殺を遂にやってしまった……。
実はテスカトリポカと迷ってました。
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