環太平洋連邦召喚   作:ちんすこー

8 / 8
私の好きななろう作家(書籍はだしてない)に甲殻類という方がいます。
今回はこの方を少し意識して書きました。

あと、これだけ更新が遅れたわけですが、保存していたデータが吹き飛んでいて萎えまくってたからです。


7.対ロウリア戦争 前

中央暦1639年 4月12日

《クワトイネ及び連邦、ロウリアと戦争状態に突入》

 

 

『私にできたのは、苦楽を共にした仲間が、高速の礫と空から降る彗星に、引き裂かれるところを見ることだけだった』

これは、ロウリア東方討伐軍の生存者が後に語った言葉である。

彼の言う礫とは小銃と軽機関銃から放たれる6.6mm弾と重機関銃から放たれる12.7mm弾のことを指す。彗星とは60mm、80mm、120mmの迫撃砲弾と155mm榴弾、さらに大量のロケット弾のことを指す。

近代兵器から続々吐き出されるそれらは三次元空間を制圧していくようにギムを狙うロウリア軍に迫り、それを完膚なきまでにズタズタに引き裂いだ。

6.6mm弾にハチの巣にされるならまだマシで12.7mm弾以上の攻撃を受けた場合はスプラッシュ映画よろしくミンチみたいな何かになった。迫撃砲弾や榴弾を受けた者はよくて爆風で大気と混ざり合うか酷くて、地面にシミのような何かを残すしかできなかった。

ロケット弾を受けた者はさらに悲惨で大量の炸薬で付近の者は灰になり、ある程度離れていても大量の破片にズタズタにされた。

 

連邦陸戦隊クワトイネ派遣群がロウリアに対して攻撃を開始したのは中央暦にして1639年4月12日の午前11時であった。

この時、ロウリア東方討伐軍から派遣されたパンドール将軍率いるギム攻略隊は途中にあり、ギムに取り付く前であった。しかし、クワトイネ派遣群司令の堀越陸戦隊中将はギム攻略隊が分離した時点で攻撃を決意し、ギムからの距離が5キロに迫った地点で最終警告を発し、無視されたため総攻撃を開始した。

最初の攻撃は歩兵が携帯する小型迫撃砲で、それに続き多数の大型迫撃砲弾と榴弾がギム攻略隊は吹き飛ばした。

その頃、空からは150騎のワイバーンが迫っていたが、連邦の主力戦闘機である75式多目的戦闘機、通称天風*1とそれに追随する75式無人戦闘機、通称鉄風*2から放たれた空対空ミサイルを前になすすべなく吹き飛ばれるか、重力に導かれ地面と情熱的な接吻を交わした。

眼前の脅威を全て排除した連邦陸戦隊クワトイネ派遣群は、直ちにロウリア王国に対して反攻作戦を開始した。

 

ロ号作戦である。

 

反攻作戦開始から僅か2時間後には堀越中将が直接指揮する7万の陸戦隊が、後方に展開していたロウリア東方討伐軍主力と接敵、これに対し前述の通り現代装備で身を固め、情報革命すら成し遂げた軍隊は情け容赦のない膨大な火力を投射し、完全に破壊した。

陸戦隊第2空中機動旅団がヘリボーンで東方討伐軍の後方を遮断し、陸戦隊第1装甲旅団が側面を押さえ、包囲が完了する1時間と30分後には、30万人はいたはずの東方討伐軍は負傷者を多数抱えた10万にも満たない敗残兵の集団となった。

これ以上の戦闘は虐殺であるとし、堀越中将は包囲が完了次第、攻撃を中止、陸戦隊はロウリア東方討伐軍の武装解除に取り掛かった。この時、陸戦隊がロウリア軍に対し降伏を勧告しなかったのは、降伏を申し出るはずの司令部を緒戦で吹き飛ばしたからである。

 

降伏し武装を解除されたロウリア軍は負傷して動けないものを除き、陸戦隊から温かいレーションを貰うと、一緒にスコップを渡された。

ロウリア軍がスコップを何に使うのかと不思議そうに見ていると、陸戦隊の兵士は事も無さげにロウリア軍兵士の亡骸を指さし処理するように指示した。

陸戦隊はロウリア軍捕虜が作業を開始したのを確認すると、管理は現代戦訓練が未了で前線に出すことのできないモイジ将軍の率いるクワトイネ公国軍西部方面騎士団に丸投げしてロウリア王国領内に浸透侵攻を開始。

その場に残された捕虜たちは人生で一番おいしい軍用食を食べ終えると昨日まで同じ釜のマズイ軍用食を食べていた仲間の亡骸と呼ぶのも烏滸がましい、有機物の塊を吐き気を堪えながら処理した。

もちろんその途中で精神的に参り反抗する者もいたが、そのような者はロウリアから侵攻されようとしていたクワトイネ公国軍西部方面騎士団によって適切に処分された。

 

陸上で殺戮紛いな戦いが起きている頃、海上でも大きな動きがあった。

 

 

 

 

 

◇

 

 

 

 

西暦2025年 4月13日

《ロウリア王国 王都ジン・ハーク周辺海域》

 

「技術差はあっても人間考えることは同じか……」

 

ロウリア王国の首都であるジン・ハークの周辺海域に展開している陸戦隊第1艦隊の旗艦霧島*3の艦橋にいる藤兼 和徳(ふじかね かずのり)陸戦隊少将は呟いた。

彼に任された任務は2個水陸両用旅団をジン・ハーク北の港に上陸させることだった。

それに際し、上陸の邪魔になる4400隻のロウリア海軍を破壊することが必要であり、北の港に固まっている状態で攻撃しても浮遊物が邪魔になり、どうしたものかと頭を悩ませていた。

そんな時に、ノコノコとロウリア海軍が港から出港したという情報が入ってきたのだ。

 

「少将、海軍からロウリア艦隊は譲ってくれと」

「海軍がか?こっちの神嵐級の方が適任だろう。連中はそんなに常陸級のレールガンを使いたいのか?」

「恐らくは」

「まあ、海軍は親みたいなものだ。譲ってやろう。ただ上陸に関しては我々の指揮下に入ってもらう」

「では、そのように伝えます」

 

去って行く通信士の背中を一瞥して藤兼少将は艦橋から覗く水平線を見る。

陸戦隊に入ってから何十年と見てきた水平線よりも倍はある水平線、それがここが地球とはことなる惑星であることを伝える。

意識せずとも見える、水平線にポツポツとある黒い点は海軍から送られてきた対ロウリア任務艦隊で、その陣容は大型空母2隻、護衛空母2隻、原子力攻撃巡洋艦1隻、巡洋艦6隻、駆逐艦18隻の堂々たる艦隊だった。

その艦隊から速力を上げて徐々に離れるのは恐らく常陸級原子力攻撃巡洋艦と数隻の駆逐艦。日がそろそろ水平線に隠れようとしている時間帯だから、会敵は明日になるだろうが海軍さんは随分と張り切っているようだった。

 

「通信士、艦隊各艦に通達、海軍が道を開けてくれる精々遅れないように、と」

「了解しました」

 

4400隻とはいえ、相手はよくてガレオン船の、連邦の漁船にすら負けそうな船。そんなものに現代技術で武装した海軍が全力で攻撃するという、藤兼少将は敵のはずのロウリア海軍に少し同情した。

 

 

 

◇

 

 

 

中央暦1639年 4月13日

《ロデニウス北西海域》

 

「美しい光景だ」

 

クワトイネの経済都市であるマイハークを一路めざし出航したロウリア海軍4400隻の大艦隊を見て、それを指揮するシャークン提督は思わず感嘆の言葉を漏らした。

実に6年の歳月を得て、列強パーパルディアの援助も得ながら、あらゆる努力の末に完成した大艦隊は間違いなくロデニウス大陸最強。もしかしたら文明圏国家にすら勝てるかも知れない。

そうシャークンが思考したところで、そう言えば文明圏には魔導砲なるものがあることを思い出し、くだらない妄想に蓋をした。

 

海面を埋め尽くすのは全てがロウリア海軍の船で、それを連邦軍が見たならば『船が9、海が1』とでもいったことだろう。

だが、そうなる前に連邦軍による攻撃は始まった。

 

「何だあれは」

 

何十年と海軍に勤め遠方に目を凝らしてきたからこそわかった変化、普通の雲とは違うまっすぐと伸びた雲が一直線にこちらにやって来た。

クワトイネのワイバーンか?

しかし、ワイバーンは雲なぞ作らない。

 

果たしてそれが何なのか、シャークンは悠長に考えていたが、それは現代戦では致命の行為であった。

 

丙型75式多目的戦闘機から落とされたそ(・)れ(・)は、コンピューターで計算された通りに機体から落とされ、計算通りのルートに進んだ。

地上からの距離が130mとなった地点でそ(・)れ(・)は内に秘められた破壊の力を解き放った。

滑空爆弾型の改造されたそ(・)れ(・)、全ての爆弾の父とすら呼ばれる物、正式名称を73式燃料気化爆弾*4はTNT換算で44tの熱量を放出し、木で出来たロウリア艦を燃やし、吹き飛ばした。

ドイツ機甲師団を吹き飛ばすことを目的に開発された73式燃料気化爆弾は現代どころか、近代、近世すら届いているか怪しいロウリア海軍を容赦なく破壊し、破壊を免れた周辺の船もあまりの熱に一瞬で船体に火が付き、さらに離れた船も73式燃料気化爆弾に揺らされた海面に引き込まれて沈んだ。

 

「な、なにが起きた……」

 

運よく破壊から免れたシャークンは突然の轟音と眩い光に思わず怯み、何が起きたのかとても把握できていなかった。

そして、目を開き眼前に映る光景に絶句した。

 

「どういうことだ……」

 

多数の燃え盛る船と船底を見せひっくり返る船、船体が傾斜しそろそろ沈みそうな船。そして、快晴の空に向かって伸びるキノコ雲とそこに隠れた船。ただ、全てに言えることはどの船もまともに戦闘できる状態でないといえることだけだった。

破壊の残り香であろうキノコ雲は確認できるだけで8つ、それだけで一体何隻が沈んたのかわからない。少なくとも4400隻の内、千近くが沈んだことは直感的に理解した。

 

そして、破壊の混乱がやまぬうちにさらなる破壊がやって来た。

 

「あれは、島?違う、動いている!船なのか!!」

 

最初の内はかなり近くにあると思われたその船は計算してみれば何と6キロも離れているではないか。

シャークンはそれが先程の破壊と同じであることをすぐさま理解し、本国のワイバーン部隊を応援に呼ぶとともに、直ぐさま引き返すように指示しようとした。

しかし、それは叶わなかった。

 

巨大な船、常陸級原子力攻撃艦の電磁加速砲から水平に放たれた砲弾はロウリア艦隊に戦列を水平線に消えるまで貫徹し、一直線に破壊した。

 

破壊の宴はなおも止まらない。

*1:
本機は西暦2015年に正式採用された第5世代墳進式戦闘機である。

2000年代初頭においても連邦はドイツとの技術ギャップを完全に埋めるには至っておらず、1998年にドイツが第5世代墳進式戦闘機、Fw602コントーレを実用化し採用すると未だに第4世代++で満足していた連邦軍、特に空軍は酷く動揺した。そこで連邦全軍が総力を結集して策定されたのが空軍T計画であり、それは十数年の歳月を得て完成した。

空軍T計画はドイツとの航空機技術ギャップを完全に埋め超えることを目指した野心的な計画で、その性格が本機に強く影響を与えている。

本機はステルス性能こそFw602に劣るが、その神髄はそこではなく無人機の管制にあった。同時に3機の無人機を管制できる能力を設計段階から備えており、ステルス性能のために削られた搭載能力を補うどころか、従来の戦闘機をはるかに越えていた。さらに推力変更ノズルによりドイツ機では到底できない複雑な軌道も可能となっている。ただし、海軍仕様のものは機体の大きさを縮小するため推力変更ノズルが除かれている。

なお、一般形が甲型、垂直離陸型が乙型、海軍仕様が丙型となる。

 

要目

発動機 ターボファンエンジン2基 合計推力26t

全長 21.9m  全幅 14.6m (丙:全長 16.1m  全幅13.4m)

最高速度 2500km/h (丙:2500km/h)

作戦行動半径 3100km (丙:2450km)

武装 30m機関砲1基

   各種誘導兵器及び爆弾を7.9tまで搭載可能

   (ステルス性能を殺してウェポンベイ外にも装備する場合は11.5tとなる)

*2:
本機は西暦2015年に正式採用された無人自律型戦闘機である。

75式多目的戦闘機と同じく空軍T計画の下、設計製造された。

本機は無人であるため本来飛行士のためのあらゆる機能が除かれていて、機体の大部分をウェポンベイと発動機関連が占めており、その搭載武装の量は機体の大きさに見合わないものである。

75式多目的戦闘機の設計を流用しているものの、コスト削減のため機体の大きさは一回り小さい。ただ、敵に対しての認識誤認のためステルス機能は敢えて控えめにしており、レーダー越しには75式と全く同じに見える。

 

要目

発動機 ターボファンエンジン1基 合計推力15t

全長 15.8m  全幅11.5m

最高速度 2370km/h

作戦行動半径 2800km

武装 30m機関砲1基

   各種誘導兵器及び爆弾を7.7tまで搭載可能

   (ステルス性能を殺してウェポンベイ外にも装備する場合は8.6tとなる)

*3:
金剛型指揮艦四番艦。

金剛型指揮艦

本艦は西暦1999年から2003年までに9隻が建造された艦隊指揮艦である。

本艦は急速に進む軍事情報革命に対応するために建造された艦で、見た目は巡視船に毛が生えた程度の武装しかなく、それ以外は多数の種類のアンテナやフェイスドアレイレーダーで固められており、中には巨大な統合指揮システムを内蔵している。

常陸級原子力攻撃巡洋艦とほぼ同時に開発が開始され、常陸級及びその他多数の戦闘艦の戦闘システムと接続することで、仮想空間に現実世界よりもはるかに巨大な演算能力を付与することを期待され設計された。

その考えは一部で成功したものの、通信能力の限界から完全な達成は困難とされ、純粋な指揮能力のみを付与された。

連邦海軍の保有する1000隻にも及ぶ巨大な艦隊を完全に指揮するには当時では陸にある連合艦隊司令部のみで、状況が1秒単位で変化する現代戦においては不適合とされた。

本艦は陸に上がった連合艦隊司令部の代わりに前線にて艦隊及び航空隊を指揮する。

何事にかけて司令部を船に乗っけたがる旧大日本帝国海軍を思い出させる船である。

 

要目

全長 207m  全幅 25m

基準排水量 13440t

搭載機関 艦船用第3世代原子炉1基

     艦船用高出力ガスタービン2基

最大速力 27ノット

最大搭載機数 ヘリコプター2機

武装 57㎜両用砲1基

   艦対空ミサイルシステム1基

   対空20㎜ガトリング砲1基

*4:
本爆弾は西暦2013年に正式採用された燃料気化爆弾である。

日独冷戦を確定させた第二次中東戦争は連邦軍最大のトラウマだった。満を持して送られた第7機甲師団と3個の歩兵師団は、ロンメル率いる中東派遣軍を前にズタズタに引き裂かれほぼ一方的にひき潰された。

この時、派遣された旧大日本帝国陸軍が見たのは、砲弾と航空機の傘に支えられた津波のようなドイツ戦車で、これ以降の旧大日本帝国軍と連邦軍はいかにしてこの鉄の津波を食い止めるかに腐心することになる。

当初は戦術核による防御が期待されたが、代理戦争という血みどろを前にそのような考えは吹き飛び、その代わりに導入されたのが燃料気化爆弾である。

それ以降、旧大日本帝国軍と連邦軍は燃料気化爆弾の開発に邁進し、その究極系こそが本爆弾である。

 

要目

重量 7.1t

TNT換算 44t

破壊範囲 300m




原作のロウリア艦隊っていつ出港したんでしょうね?
25日にクワトイネは察知できたようですけど、スパイでもいたんでしょうか?
自分の勝手な解釈ですが、きっと開戦と同時に出航していてクワトイネはその侵攻の途中で警戒艦で気づいたということにしてます。
日本もクワトイネが気づいた時には、艦隊の派遣を決定していて、その日の内に観戦武官を受け入れていたので、結構感度高い解釈だと思います。
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