記念の続き
×月♪日
あの日、確かに私の証明は失敗したのだが…ある意味では成功した。何故ならば、ゼーリエが普段の調子に戻ったからである
朝は遅く起き、髪は自分で整えない
料理は勿論せず、食事も運ばないと食べない
喜ばしい事だ。
しかし、一つだけ異なる点がある。
月の出る夜には、私と共に魔法…
この研究は
しかし一方で好みの魔法だと、何としても習得したい魔法だと言ったゼーリエは理論を改善したがり、心を読む魔法を使わずとも上機嫌だと分かる彼女の頼みを断れる訳がなく…最終的に第一人者である私との共同研究が始まった、という流れだ。
今までは一方的に教え合う仲だった。しかしこの研究は、好奇心のままに協力して一つの魔法を開発していたローガンとの関係を思い出させる…
とても、楽しい
◇月○日
ゼーリエとの研究に没頭しすぎて、時間感覚が恐ろしい程に狂ってきた。このままでは不味いので、研究の進捗を残すついでに日記を書いて修正する
前から再現しようと彼女が構築していた理論があり、それを元にできたおかげで早めに基礎が固まってきた。何度も
◇月◇日
今日は改善された
理論は完璧、失敗する筈が無かった。
失敗は、しなかったのだが…
輝きが鈍かった。
私のものには遠く及ばない光だ
側から見ていたが、魔力の流れも量も速度も完璧だった。原因を探らなければ…
☆月○日
原因が、わかった
魔法にとって最も重要な要素。
想像 だ
何故かは、分からない。ただ私と彼女では月の見え方が違う…のだと思う。研究は一時中断、今日からは想像を固める手段を探さねば
☆月◇日
話し合いの末、昨日から少し遅くまで起きてもらう事に。だいぶ眠たそうにしていたが、流石に抱っこしていれば目を開き月を共に眺める事ができた
研究とは違い、進捗がハッキリしないが…
北へ向けた旅、大陸中央への旅路は半ば程だ。時間なら幾らでもある
¥月・日
今日も共に月を見た。しかし少し異なる点もある、ゼーリエからの提案で私自身が
そういえば、今日は彼の誕生日だ。
誕生日の祝い、できることなど無いと思っていたが…月光ならば届くに違いない。これからは、毎年打ち上げる事にしよう
☆月◇日
気づけば、旅の終着点だった。今でも鮮明に覚えている殺人を犯した場所。もはや名残などなく、草木に覆われていたが…結晶で慰霊碑を建てた
ゼーリエ曰く死者は無に還るらしい。そう言ってはいたものの、私が死後の平穏を祈っていると何かを感じたのか、同じ様に手を組んで祈り始めた
旅は終わった。しかし、
かつて踏み入れた時に厳しい大地だと思い知ったが…その先の月は違う美しさを持っていた。その美しさは、きっと彼女の心に響く。故に、私達の足が止まる事は無かった
×月○日
ラオブ丘陵を越え、北の大地に足を踏み入れたが…
寒い!前回来た時に春であった事は最大の幸運だった様だ。北の冬は恐ろしい程に寒いと聞いていたが、ここまで寒いとは思わなかった。体を温める魔法すら貫通する途轍もない寒さに、この日記の記入すら寝袋に彼女と包まりながら書いている
私達両方が眠ると、不意に魔法が途切れて凍え死にそうなので夜は交互に起こし合いながら過ごす。今までで一番の危機かもしれないが…それを補って余りあるほどに、北の冬を照らす最も冷き暗月は綺麗だった
◻︎月○日
今までは、魔法のせいで良く作り直される地図など見ずに適当な旅をしていたが、この土地では死に繋がりそうだ
現在地は北部高原、ヴィッセン山脈。
寒さは更に厳しくなっていく
この寒さにも関わらず、何で私達は今だに北へと向かっているのだろう。
…この地では何かが誘っているのか、
或いは、その美しさを更に増す月に惹かれているのか
ゼーリエの月を見た時の反応は少しづつ変わっている。特に以前の旅から何かを掴みかけているらしい
◻︎月◻︎日
最近、天脈竜を見つけた。結構珍しい事なので、彼女を連れて背に乗ったのだが…想定外のことが起こった。何と、そこで見た月と私の月光が彼女の想像を完全にしたらしい。曰く、月の美しさが分かった、と
その後には金の長髪を揺らす程に上機嫌な様子で、共に魔法を研究する楽しみ、死者を弔う気持ち、天脈竜から見るこの世で最も美しい月…などなど、旅の中で私にとっての月を真に理解できた経緯を語っていた
どれも聞いていて友として嬉しく思えたが、その語りの中で一番嬉しかった事は…
友である私に、月光を贈ると言ってくれた事だ。
元々は私から贈る筈だったのに、こんな形になるとは思っていなかった。だが、友との繋がりとは時に不可解なものだ。私も、友である彼女に月光を贈ろう
明日は特別な日になる。
友人に恥じぬ月光をイメージしなければ
この世で最も高い場所、天脈竜の背の上。ここから見る月はやはり美しいが、以前見たものとは違う
この北の地にて、冷たい暗月が私達を照らしていた
空の星々も月と共に寒冷色に輝いている。この地の寒さ故の月なのか、暗月故の寒さなのかが分からない程に、綺麗だった。
ゼーリエも私も暫くはそんな夜空に見惚れていたが、気づけば同時に左手を掲げていた。覆っていく結晶は月光を吸い込み、魔力と混ざり始める
これに込めるは、亡き親友への想いではない。
今いる友人との確かな友情、この先の永き時を共にする決意と約束だ
私の碧に、冷色が混ざり始め
「「
いつもより輝いている様に見えた、鮮やかな碧色
だが、それだけではない。冷たい月光も空を染め…
やがて、二色の月光は衝突した
異なる月光は、しかし塗り潰し合うことは無い。
鮮やかな碧色と寒冷色。これらは混ざり合って一つの色をなし、暗き夜空を青空に変えた
己一人では決して見出せなかった、空色の月光。
それは…碧一色であった私の心すら染め上げていく
これで終わってしまうのが惜しく思えて、再度
「「
「「
………
「「
何度も何度も月光を放ち、その度に更なる美しさを求めて魔法を発動するが…もう、出なかった
魔力切れ
力が入らない体、しかし流れ落ちる金の髪が視界に入った。乱暴ではあるが抱き止め、小さい体の下敷きになって地面に倒れ込む
「馬鹿者め、魔力切れを起こすなど…」
「それはお前もだ。全く…せっかく魔力の消費を抑える改善をしたのに、使いすぎたら意味は無いだろう」
倒れ込み、おかしく思えて笑いあう。私も彼女も魔力切れだけは避ける様にしていたのに、そんな事も忘れてしまったのは滑稽にすぎたのだ
笑いあった後は、寝そべりながらも互いに空を望む。言葉は不要だった
何故なら、空を染めた月光が…一人では決して知り得なかった色が、この先の友情を示す何よりもの証明だったから
"この先も、ずっと共に見ていたい"
そう思えた事など、互いに分かりきっていたから
とある魔族の研究ノート
伝説の魔族"月光のシース"
仮にも、人との共存をなした魔族。ならば俺はその軌跡を、そして共存できた理由を知りたい…それは可能性になるかもしれないのだから
様々な村や街から、彼についての文献を手に入れることができた。それらを読み比べて情報を精査したところ、向かうべき場所が分かった
一つ目はここだ。
語る者は遥か昔に消え、文献だけがその名を残す国
黄金の国 ウーラシール
最早忘れ去られた亡国だが、それが眠る地が判明したのだ。調べ上げた情報によれば、彼はここで…人間の騎士、そしてエルフと共に深淵を祓い強大な竜を倒したのだという
きっと、何かがある
ここまで読んで頂きありがとうございます
アニメが凄かった記念なので、少し粗が多いかもしれません。後、暫くは神話の時代のフロム増し増しストーリーが続きます
続きは原作をもっと読んでから