アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第3章鉄路を越えて編20話です。


第3章ー鉄路を越えて編ー96ー20話ーガイウスの故郷。

 

エレボニア帝国・ゼンダー門→ノルド高原→ノルドの集落

 

七燿暦1204年6月26日・夕方 帝国・ノルド高原・ノルドの集落。

 

わたくしたちはガイウスさんの案内でノルドの集落へやってきました。共和国側のノルドの集落と同じで、モンゴル民族のような遊牧民らしい佇まいですね。確か冬になる前に北方の方に移動されるんでしたね。

 

夕日は地平線の向こうへ沈みかけていますわね。なんとか日没前につけたことは喜ばしいことですけどね。

 

それにしても、いつぶりでしょうか。こんなに気持ちが解放されるのは。みなさんも感極まっていらっしゃいますね。

 

アリサ「これが……」

 

ハチマン「ここがガイウスの故郷か」

 

エマ「なんだか新鮮なような、懐かしいような……」

 

ユーシス「……不思議と郷愁に誘われるような光景だな」

 

アルフィン【色々と感極まりますわ】

 

ハチマン「それは大げさだろうと言いたいところだが、お前の言う通り、確かにそう思える」

 

ガイウス「まあ、この場に定住しているわけではないが。夏から秋にかけては北へ移動するのが常だ」

 

アリサ「なるほど、遊牧民だもんね」

 

ハチマン「だから解体しやすい住居なんだろ」

 

ガイウス「ああ、厚手の布でできた移動式の住居でな。さて、まずはオレの実家に案内しよう。長老などは改めて紹介するとして」

 

ガイウスさんがそうおっしゃいかけた途端、小さな女の子の声が響きました。

 

???「あんちゃあああん!」

 

エマ「わぁ……!」

 

アリサ「か、かわいいっ!」

 

アルフィン【本当ですわね】

 

3人のお子さんたちがわたくしたちの方へ駆け寄ってきました。

 

この3人がガイウスさんのご弟妹なのでしょうか?

 

???「あんちゃん! ガイウスあんちゃん!」

 

???「ガイウスお兄ちゃん……! おかえりなさいっ!」

 

ガイウス「ただいま。リリ、シーダ。トーマも、元気そうだな」

 

トーマ「ヘヘ、あんちゃんこそ。おかえり、ガイウスあんちゃん」

 

ガイウス「ああ、ただいまだ」

 

アルフィン【ご弟妹の再会、なんだか焼けちゃいますわね】

 

ハチマン「妬けるって、お前はいつでもアイツと一緒に行動していただろうが……」

 

アルフィン【それはそうですけど。ガイウスさん、本当に慕われているんですね】

 

ハチマン「だな……」

 

アリサ「ふふっ……私もなんだかタツヤに会いたくなったわね」

 

エマ「……」

 

ユーシス「……」

 

ハチマン「……」

 

ガイウスさんの弟さんのトーマ君がわたくしたちの方を見て

 

トーマ「あ、ひょっとして手紙に書いてあった……?」

 

ガイウス「ああ、オレと同じクラスの仲間たちになる」

 

トーマ「えっと、初めまして。ガイウスあんちゃんの……じゃなくて、ガイウスの弟のトーマって言います。こちらは妹のシーダとリリ」

 

シーダ「は、初めまして」

 

リリ「あんちゃんのお友達〜?」

 

アルフィン【トーマ君、シーダちゃん、リリちゃん、初めまして。わたくしはアルフィンです】

 

アリサ「アリサよ、よろしくね」

 

エマ「エマです。ふふっ、みんな可愛いですね」

 

ハチマン「ハチマンだ、よろしくな」

 

ユーシス「ユーシスだ、よろしく頼む」

 

トーマ「うわ〜帝国のヒトって感じだなぁ。共和国のヒトと雰囲気が違うなぁ〜」

 

 

共和国の人? 確か以前共和国側のノルドの人たちに聞いたことがありますが、帝国側のノルドの民はあまり共和国側と接触はないと聞いていましたけど。

 

共和国側の人間が来るようになったのか、帝国側のノルドの人たちが共和国側と付き合うようになったのか、そこはわかりませんが。すると落ち着いた声と聞き覚えのある声が聞こえてきました。

 

???「フフ、良き友に恵まれたようだな」

 

???「Ⅶ組のみんなも長旅お疲れ様」

 

???「帝都近郊からここまでの長旅、お疲れ様」

 

この声ってイチカさんとマコトさん!? トーマ君がおっしゃっていた共和国のヒトってお二人のことなの!? それとあのお二人がガイウスさんのお父様とお母様なのでしょうね。

 

エマ「え? イチカさん!? なぜノルド高原に?」

 

ハチマン「……アンタ、また厄介ごとに首でも突っ込んでるのか?」

 

イチカ「ハチマン君、ちょっとそれひどくない?」

 

マコト「別に僕たちは厄介事に首を突っ込んでいないよ」

 

アルフィン【………マコトさん、お手紙で色々と分かっていましたけど、こんなに遠出してよろしいんですか?】

 

マコト「手紙にも書いていた通りに、僕は僕なりにできることをしているだけさ」

 

イチカ「お姉さんもお姉さんなりにやれることをしているだけよ」

 

イチカさんとマコトさんは、なぜ自分たちがここにいるのかを説明してくれました。帝国と共和国が互いに自分たちの領土だと主張するノルド高原。

 

そんな危うい火薬庫に見知らぬ猟兵団が出入りしているとのことです。大賢者も言っていた未知なる勢力とは、おそらく猟兵団のことなのでしょう。帝国より先に共和国が動くのは、先の共和国軍基地の問題もあるからでしょうけど。

 

イチカ「というわけで、しばらく滞在しようと思ってるわけ」

 

マコト「猟兵団のことは僕たちに任せて、君たちは君たちの学院からの特別実習に精を出してくれ」

 

アルフィン【……まあ、お2人がそうおっしゃるのならそちらの方は任せますが……何かあったら報告してくださいね】

 

イチカ「あはは……何かあったらね」

 

ラカン「お客人方、盛り上がっているところすまないが、そろそろ我々も話したいのだが」

 

イチカ「あ、すいません、ラカンさん」

 

イチカさんとマコトさんは一歩下がってお二人の後ろへ。

 

ファトマ「皆さんも初めまして、ガイウスの母、フォトマです」

 

アリサ「お、お母さんっ!?」

 

エマ「ぜ、全然見えませんね」

 

アルフィン【そうですわ、ガイウスさんのお姉様っぽいです】

 

ファトマ「ふふっ、お上手ね」

 

ラカン「ガイウスの父、ラカン・ウォーゼルだ。よろしく頼む、士官学院の諸君」

 

アルフィン【こちらこそよろしくお願いしますわ】

 

ユーシス「よろしくお願いする」

 

ハチマン「よろしく頼む」

 

ラカン「さて、イチカ殿たちとは別に客人用の住居を離れに用意しておいた。積もる話もあるだろうが、ひとまず荷物を置くといい。じきに日も暮れる。我が家で夕餉としよう」

 

 

エレボニア帝国・ノルドの集落

 

七燿暦1204年6月26日・夜 帝国・ノルド高原・ノルドの集落・ウォーゼル家。

 

わたくしたちは、ガイウスさんのお宅で最大限のおもてなしを受けました。ノルド料理がたくさんのお皿に並んでいます。このようなおもてなしは共和国側のノルドの民の方でも経験しましたが、わたくし一人ではとても食べきれる量ではありませんわ。

 

エマ「……お、美味しい……」

 

アリサ「これ、どんな風に味付けしているんですか!?」

 

モンゴル料理とはまた違うノルド料理。共和国側ではレシピを聞くのを忘れていましたが、ちょうどいい機会ですわ。アリサさんも聞いていらっしゃいますし。

 

アルフィン【わたくしも気になりますわ】

 

ファトマ「キジ肉を岩塩と香草で包んで焼き上げているの。帝国の方の口には合わないかもしれないけど」

 

アルフィン【いえいえ、全然大丈夫ですわ】

 

イチカ「共和国の方では、ノルド料理を扱っているレストランもあるからね」

 

マコト「確かに。それでも本場で食べるものはレストランとは違うね」

 

イチカ「そうね。この炙った串焼きも味が深くて美味しいし」

 

トーマ「あ、それはカバブという羊肉を串焼きにした料理です」

 

ユーシス「どの品もとても美味しく頂いている」

 

ハチマン「いろんなところでいろんな料理を食べてきたけど、ノルド料理は美味いな。こんな美味しい料理を食べられないリィンたちB班の連中には悪いがな」

 

アルフィン【そうですわね】

 

リィンさんたちB班はおそらく海で取れる海産物料理になると思われますけどね。それでもユウさんが料理をされると思うので、それはそれで美味しそうですけど、やはりノルド料理は特別ですわね。

 

ファトマ「ふふっ、よかった」

 

ガイウス「……口に合って何よりだ」

 

リリ「えへへ、おかーさんのゴハン、だいにんきだねー」

 

ラカン「長旅で疲れているのもあるのだろう。ノルド料理は疲労に効く滋養の高いものが多いからな」

 

アルフィン【あ……確かに体の芯から効いてくる感じがしますね】

 

アリサ「後でレシピを聞いてシャロンにも教えてあげようかしら」

 

アルフィン【ノルド料理のレシピ、わたくしも聞かないとですわ】

 

アリサ「……シャロンが来て忘れていたけど、アルフィンも料理するんだったわね」

 

アルフィン【アリサさん、わたくしがお料理ができることを忘れてたんですか!?】

 

こんなたわいもない話をしながら楽しい時間を過ごしました。

 

シーダ「あのあの、こちらのお茶も召し上がってくださいっ。ノルドハーブを使った消化にいいお茶で……」

 

わたくしたちはシーダさんからノルドハーブの入ったマグカップを受け取りました。

 

アルフィン【シーダさん、ありがとうございますわ】

 

アリサ「ふふっ、ありがとう」

 

イチカ「シーダちゃん、ありがとう。お姉さん、色々と気がつけないといけないからね」

 

エマ「ほっとするような、優しい味ですね」

 

ノルドハーブのお茶を飲みながら、色々と世間話やノルドの話を聞いたりして、時間が流れていきました。フォトマさんやリリちゃん、シーダさんは食器のお片付けに行かれました。もちろんわたくしたちも手伝うと申し出ましたが、あくまでもお客人の立場ですので、気を使わなくていいとおっしゃいました。

 

ラカン「――先ほども申したが、このノルドの地は、ある意味、とても自由な場所だ。帝国人や共和国人である君たちには新鮮であり、不便もあるだろう。だが、そんな場所であっても、特に帝国人である君たちと関係がないわけではない」

 

エマ「士官学院を創設したドライケルス大帝……ですね」

 

アルフィン【ドライケルス大帝が、《獅子戦役》においてノルド高原で仲間とともに挙兵したという逸話ですね】

 

マコト「ドライケルス大帝、帝国における中興の祖に当たる人物か。エレボニア史に重要な人物の一人……」

 

イチカ「学園都市の世界史の授業で出てきたわね……」

 

ラカン「ああ、その通りだ。ノルドの民の間でも伝承として語り継がれている。そして戦役が終わった後、ノルドの民は彼の継いだ帝国と長きに渡る友情を誓い合った。その良き関係が今日に至るまで続いているというわけだ」

 

ユーシス「なるほど、ノルドの地は正確には帝国領ではない」

 

ハチマン「もちろん共和国領でもないがな」

 

イチカ「ハチマン君、いちいちこちらを見て言わなくていいからね」

 

マコト「ノルドはどちらにも属さない自由な地って解釈でいいのかな」

 

アルフィン【……ドライケルス大帝とノルドの民との友情が、国という概念を飛び越えてのなせる業ってことなんでしょうね】

 

ラカン「共和国のお二人には申し訳ないが、共和国が昨今、高原の南東に進出してきた。東に住む一族とは交流を深めているようだが……」

 

イチカ「東のノルドの方々は共和国と交流されていますね。そんな彼らからここのことを聞きましたから」

 

ラカン「……どうやら、それが少しばかり緊張をもたらせているようだな」

 

マコト「東の方のノルドの民の方も言っていました。『帝国との友情の証は捨てるつもりはない、しかし時代が変わり、色々と状況も変わってきた。自分たちが生きていくためには、友情の証だけでは生きていけない』と」

 

ハチマン「誇りと生きていくための板挟みってことだろ」

 

アリサ「……帝国と共和国は昔ながらの宿敵同士ですから」

 

アルフィン【……】

 

エマ「ここ数年、直接的な戦争こそ起きていませんけど……」

 

イチカ「……アルフィンたちと私たちはこうやって仲良く話しているんだけど、大多数の人間はそうじゃないからね。帝国のことを憎んでいる人たちも多いし」

 

ハチマン「それは帝国でも同じだ。共和国のことを悪く言うような奴が多いからな」

 

マコト「直接戦争は起こってなくても、政治・経済的な対立は、むしろ深まっていると見た方がいいね」

 

イチカ「帝国や共和国だけではなく、クロスベルでも騒乱が起きてしまったけど……」

 

ユーシス「その背景にも帝国派と共和国派の対立関係があったと聞いている」

 

ハチマン「そうみたいだな、そっちはそっちで《あいつら》が解決したみたいだが」

 

アルフィン【……帝国派と共和国派の対立の延長線上にルバーチェ商会というマフィア組織から、D∴G教団の生き残りであるヨアヒム・ギュンターがクロスベルで騒乱を引き起こしましたが、クロスベルの特務支援課と遊撃士のおかげで解決できたと新聞で見ましたわ】

 

ガイウス「………」

 

イチカ「騒乱時、私は別件でリベールに行ってたんだ。だから詳しいことは知らないけどね」

 

マコト「騒乱時、クロスベル全域で戦闘が行われていたと聞いたことがある」

 

みなさん、暗い表情になってしまい、重苦しい空気が流れました。

 

ラカン「まあ、気になる件もあるが、とはいえ、ノルドは双方にとっても辺境の地だ。猟兵団の出入りや監視塔なども立ってはいるが、そちらの方はイチカ殿とマコト殿に任せるとして、君たちはさほど心配する必要はないだろう」

 

イチカ「猟兵団のことは、お姉さんたちに任せて、《特別実習》に集中してね」

 

マコト「君たちは君たちのできることをやればいい」

 

アルフィン【わかりました。わたくしたちはわたくしたちのやれることを精一杯頑張るだけですわ】

 

アリサ「何でも実習の課題は用意してくださったとか?」

 

ラカン「ああ、一通り用意してある。今日はもう遅いから明日の朝、改めて渡すつもりだ。それと《実習》の範囲だが……少なくとも午前の間は南西部に限るのがいいだろう」

 

ユーシス「南西部というと……」

 

ハチマン「俺たちが馬で走ってきたところだな」

 

ガイウス「ああ、ノルドの地は広い。北にも高原は広がっているが、まずは南西を回ることにしよう」

 

アルフィン【なるほど、わかりましたわ】

 

アリサ「そうなると、朝の課題はその範囲のものになるんですね?」

 

ラカン「ああ、その通りだ。――ガイウス、昼頃には戻ってくるようにしておけ。昼餉の後に残りの課題を渡すとしよう」

 

ガイウス「分かった、父さん」

 

ラカン「それでは、今日のところはこのくらいで休むといいだろう。遊牧民の朝は早い。ゆっくりと休んで疲れを取るといい」

 

お片付けが終わったファトマさんたちは、わたくしたちにフォトマ「離れの方に寝具を敷いているわ。ガイウス、案内してあげて」

 

ガイウス「分かった」

 

リリ「リリも案内するー」

 

シーダ「わ、わたしも……」

 

トーマ「こら、あんちゃんは困らせるんじゃないって」

 

アルフィン【ふふっ】

 

アリサ「ふふっ、ごちそうさまでした」

 

エマ「おやすみなさい」

 

イチカ「私たちもそろそろ御暇しましょうか」

 

マコト「そうだね」

 

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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