アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第1章初めての特別実習編3話です。


第1章ー初めての特別実習編ー10ー3話ー程遠い仲直りとサラ教官からの頼まれ事。

 

第3学生寮・アルフィンの部屋→第3学生寮・1階・玄関前

 

七燿暦1204年4月17日・午前・エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮・1階・玄関前

 

準備を終えたわたくしは、1階の玄関前へ向かいました。そこには、約束通りアリサさんとエマさんが待っていました。

 

アルフィン【アリサさん、エマさん、お待たせしましたわ】

 

エマ「いえ、そんなに待ってませんよ」

 

アリサ「まったく、アルフィンったら、昨日一緒に登校するって約束したのに、忘れて妄想にふけってたんでしょ?」

 

アルフィン【妄想じゃなくて、その……何と言いますか】

 

エマ「妄想、ですか?」

 

アルフィン【忘れていたのはごめんなさいですわ。でも、名誉のために言っておきますけど、妄想なんかしてませんから!】

 

アリサ「はいはい、そういうことにしておくわ」

 

そんな話をしながら、わたくしたちは学院へ向かおうとしました。すると、リィンさんたちが1階に降りてきました。アリサさんの態度が急に変わります。

 

アルフィン【皆さん、おはようございます】

 

エマ「リィンさん、エリオットさん、ハチマンさん、おはようございます」

 

リィン「あ、ああ……おはよう」

 

エリオット「おはよう、アリサ、アルフィン、委員長!」

 

ハチマン「お、おはよう。アルフィン、アリサ、委員長、これから登校か?」

 

アルフィン【そうですわ。せっかくですから、皆さんとご一緒――】

 

わたくしが皆さんと一緒に登校しようと言いかけた瞬間、アリサさんに腕をガッシリ掴まれ、そそくさと出発することになりました。

 

リィンさんとアリサさんの間には、まだわだかまりがあるようです。わたくしもエマさんもなんとかしたいと思っているのですが、アリサさんが素直になれなくて……。嫌いじゃない、謝りたいけど踏み出せない――その気持ち、わからなくはありませんけど。

 

アリサさんに引っ張られながら登校するわたくし。エマさんはリィンさんたちに断りを入れて、少し遅れて追いかけてきました。

 

エマさん曰く、リィンさんとアリサさんが仲直りするには、何かきっかけが必要だそうです。

 

確かに、吊り橋効果のような劇的な出来事があればいいのでしょうけど、この二人の場合は逆効果になりそうですわね。

 

そんなことを考えながら、わたくしは学院へ向かいました。

 

トールズ士官学院・本校舎・1−Ⅶ組

 

七燿暦1204年4月17日・午前・エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・1-Ⅶ組

 

《Ⅶ組》の授業は、一般教養も実技も他のクラスよりハードです。

 

この時間は、トマス教官の帝国史の授業。今日のテーマは()()()()です。

 

わたくしは幼い頃から、皇帝であるお父様、皇妃であるお母様、オリヴァルトお兄様、第一皇女のリーゼお姉様、そして大賢者からこの話を聞いて育ちました。ですから、まるで復習のような気分ですわ。

 

トマス「――ある一人の流浪の皇子が、辺境の地で立ち上がったのです。ドライケルス・ライゼ・アルノール、第73代エレボニア皇帝にして()()()()()と呼ばれる中興の祖です」

 

ドライケルス皇子の軍は当初、少数でした。しかし、帝国各地で人心を掴み、心ある有力者の支持を得て、一大勢力へと成長しました。

 

わたくしは大帝を尊敬しています。幼少期には、大帝のようになりたいと本気で思っていました。お父様やお兄様、お姉様には【『アルフィンはやんちゃだな』】【『やんちゃですわ』】と言われたものです。

 

トマス「そのドライケルス皇子が最初に挙兵した辺境の地ですが――リィン・シュバルツァー君、その地はどこかご存知ですか?」

 

リィンさんが指名され、席から立ち上がります。

 

リィン「帝国東北部の高原地帯、ノルド高原です」

トマス「おお、よく知っていましたね。当時、ドライケルス皇子は放浪の末、異郷の地ノルドで遊牧民たちと暮らしていました。そして、帝国本土の内戦を聞き、遊牧民の協力を得て挙兵したのです」

 

リィンさん、正解ですわ。それにしても、アリサさんがそわそわしていたのは何だったのかしら? 気になりますが、今は授業に集中しなければ。

 

トマス教官は帝国東北部を指しながら説明を続けます。

 

ノルド高原――ガイウスさんの故郷です。わたくしは、共和国へ向かう際にノルド高原を通過したことが何度かあります。もちろん、4()s()p()g()の依頼やヴァンさんへの報告のためですけど。

 

大賢者が茶々を入れてきます。

 

大賢者「解。マスター、ごまかす必要はありませんよ。アークライド解決事務所に顔を出していたんでしょう?」

 

アルフィン【帝国内の4()s()p()g()をこなしていただけですわ。それをヴァンさんに報告しに行っただけです】

 

大賢者「解。報告ならENIGMA(エニグマ)|で十分だったはず。共和国のクレイユ村で一息つきたかっただけでは?」

 

共和国西部のクレイユ村は、のどかで地球のオランダを思わせる風景の村です。温泉があり、食べ物も空気も美味しい。わたくしは秘密の旅行として、よく訪れていました。大賢者の言う通り、ヴァンさんに報告するついでに立ち寄っていたんですけどね。

 

話が脱線してしまいました。トマス教官はまだノルド高原について話しています。

 

アルノール家と帝国の民、ノルドの民は絆で繋がっている――トマス教官は力強く語ります。

 

お父様やお兄様、お姉様にも言われたことがあります。

 

【『ノルドの民と知り合いになれば、その縁を大切にしなさい』】と。

 

わたくしは、ガイウスさんとの出会いを大切にしようと心に誓いました。

 

 

トールズ士官学院・本校舎・1−Ⅶ組

 

七燿暦1204年4月17日・エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・1-Ⅶ組

 

今日の授業が終わり、ホームルームの時間です。

 

サラ「お疲れ様。今日の授業も一通り終わったわ。前に伝えたと思うけど、明日は()()()()()よ。厳密には休日じゃないけど、授業はないし、何をするかは生徒の自由に任せてるわ」

 

トールズ士官学院の教育方針は、生徒の自主性を育むこと。とはいえ、サラ教官の例は誰も参考にしないと《Ⅶ組》全員が思っています。

 

学院の施設は開放されるので、部活動も自由行動日に活動しているようです。

 

わたくしも何か部活動をやってみようかしら。アストライア女学院では剣術や運動系の部活は少なく、ほとんどの生徒が文化系を選びます。貴族や富裕層のお嬢様が多いですからね。

 

武闘派の貴族のお嬢様は、トールズ士官学院に来る――まあ、わたくしの偏見かもしれませんけど。

 

サラ「それと、来週の水曜日に()()()()()があるから」

 

アリサ「それって、一体……?」

 

アリサさんが疑問を口にします。

 

サラ「ま、戦闘訓練の一貫ってところね。評価対象のテストだから、体調管理はしっかりしなさい。なまらない程度に体を動かしておくのもいいかもよ」

 

ユーシス「フン、面白いな」

 

スハルト「めんどくせーことやるのかよ!」

 

エリオット「うう、なんか嫌な予感が……」

 

ハチマン「こういう場合、嫌な予感って当たるもんだぞ、エリオット」

 

エリオット「ハチマン、そんなの当たってほしくないよ~」

 

フィー「ふぁぁ……」

 

サラ教官の話を聞いて、ユーシスさんは興味津々、スハルトさんは面倒くさがり、エリオットさんとハチマンさんは不安そう、フィーさんはいつものマイペースですわね。

 

サラ教官の話は続きます。

 

サラ「それと――実力テストの後だけど、改めて《Ⅶ組》ならではの重要なカリキュラムを説明するわ」

 

エマ「そ、それは……?」

 

重要なカリキュラム――わたくしが一番楽しみにしているものですわ。

 

何が来ても、わたくしに不安はありません!

 

サラ「ま、そういう意味でも、明日の自由行動日は有意義に過ごすことを勧めるわ。HRは以上。副委員長、挨拶して」

 

マキアス「は、はい。起立――礼!」

 

ホームルームが終わると、《Ⅶ組》のメンバーは部活動の見学に向かうようです。わたくしはアリサさんたちと一緒に見学に行くことにしました。

 

身体を動かす部活がいいかしら。一通り見て回ってから決めましょう。アリサさん、エマさん、ラウラさんもそのつもりのようです。

 

 

トールズ士官学院・本校舎・1−Ⅶ組

 

 

七燿暦1204年4月17日・午後・エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・1-Ⅶ組

 

他のクラスの生徒が教室を後にする中、リィン、エリオット、ハチマン、ガイウスはリィンの机の周りで話をしていた。

 

エリオット「()()()()()かぁ……ちょっと憂鬱だな」

 

ハチマン「エリオットの言う通り、テストってだけで憂鬱だな。テストってのが全てだろ」

 

エリオットは下を向いて呟く。

 

エリオット「ハチマンはいいよ……意外と頭いいし、実技だってできるし。僕なんて、魔導杖まだちゃんと使いこなせてないのに……」

 

リィン「そんなに心配なら、一緒に稽古でもするか? 修練場(ギムナジウム)|もあるみたいだし、よかったら付き合うぞ」

 

リィンが提案するが、エリオットは部活動の見学に行くつもりのようだ。

 

リィン「なんだ、もう決めたのか。どのクラブにしたんだ?」

 

エリオット「うん、吹奏楽部だよ。といっても、担当するのはバイオリンになりそうだけど」

 

ハチマン「吹奏楽部でバイオリンってどんなんだよ。普通、フルートとかだろ?」

 

リィン「へぇ、バイオリン弾けるのか。趣味でやってたのか?」

 

エリオット「普通はそうなんだけどね。バイオリンは趣味でやってたんだ。それでさ、ガイウスやハチマンはどの部活に入るか決めた?」

 

ガイウスは美術部に入ると言い、ハチマンはまだ決めていない様子。

 

ハチマン「ガイウスって絵とか描くのか?」

リィン「へぇ、意外だな」

 

ガイウス「故郷にいた頃、たまに趣味で描いてたんだ。ほぼ我流だから、きちんとした技術を学べるのはありがたいと思ってる」

 

ハチマン「我流ってだけですげえと思うけどな」

エリオット「そっかぁ……」

 

リィン「ちょっと見たい気がするな」

 

ガイウスの絵の話で盛り上がっていると、教室の扉が勢いよく開き、サラ教官が入ってきた。ハチマンは嫌そうな顔、リィンたちは「何だろう?」という表情だ。

サラ教官は4人に近づいてくる。

 

サラ「よかった、まだ残ってたわね」

 

ハチマン「なんか用すか、サラ教官?」

 

エリオット「どうしたんですか?」

 

サラ教官は苦笑しながら切り出した。

サラ「いや~、実は誰かに頼みたいことがあってね」

 

ハチマン「うわ、案の定、面倒な話か……」

 

サラ「この学院の『生徒会』で、受け取ってほしいものがあるのよ」

 

エリオット「受け取ってほしいもの?」

 

ガイウス「それは一体?」

 

ハチマン「面倒事を押し付ける気かよ?」

 

サラ「ふふっ、学生生活に欠かせないアイテムってところかな。ハチマン、やってくれる? 全員分を今日中に受け取ってきてほしいの」

 

ハチマン「なんで俺が!? それに、俺、部活の見学に行くつもりなんで、丁重にお断りします」

 

サラ「アンタが部活に? めんどくさがりのアンタが?」

 

ハチマン「べ、別にいいだろ」

 

サラ教官はハチマンを生徒会に押し付けようとしている。リィンは少し悩んだ後、決断した。

 

リィン「ハチマンは部活の見学に行くみたいだし、俺が引き受けますよ。『生徒会』って、この後行けばいいんですよね?」

 

ハチマン「リィン、お前!? マジでいいのか?」

 

エリオット「でも……」

 

ガイウス「いいのか?」

 

リィン「二人ともこれから部活の見学だろ? ハチマンもまだ決めてないみたいだし、俺が見学がてら受け取ってくるよ」

 

エリオットとガイウスはリィンに感謝し、ハチマンは「学生会館の飯を奢る」と約束した。

 

リィンはサラ教官から生徒会室の場所を教えてもらう。生徒会室は本校舎隣の学生会館2階にあり、学生会館自体は遅くまで開いているので食事にも困らない。

 

つまり、リィンはサラ教官の遠回しな罠に引っかかったようなものだ。

 

だが、この出来事がリィンの成長や新たな出会いに繋がるのだから、彼にとってプラスだったことは間違いない。

 

リィンはエリオット、ガイウス、ハチマンと別れ、部活の見学をしながら生徒会室へ向かうことにした。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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