アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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初めての特別実習編4話です。


第1章ー初めての特別実習編ー11ー4話ースハルトの過去とアルフィン、水泳部に入部する。

 

トールズ士官学院・本校舎・1ーⅦ組→トールズ士官学院・本校舎・屋上

 

七燿暦1204・4月17日・午後・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・屋上。

 

《Ⅶ組》の教室をいち早く後にしたスハルトは、本校舎の屋上にやってきた。北の空を眺めながら、呟く。

 

スハルト「春だっていうのに、北風が冷てえな……」

 

スハルトは懐から何かを取り出した。それは導力写真

――スハルトと、黒髪ロングの女性が写っているものだ。

 

彼は独り言のように話し始める。

 

スハルト「シズカ、なんでお前が……」

 

スハルトは崩れるように屋上の床に座り込んだ。

 

黒髪ロングの女性、シズカ・ヒラツカ。スハルトの恋人で、年上の女性だった。戦うことしか知らなかったスハルトに生きる意味や戦う理由を教えてくれた人だ。彼女はノーザンブリア出身で、学園都市に移住後、遊撃士として活動していた。

 

スハルト「……赤い星座の連隊長時代、何度も敵として立ちはだかってきたよな……。猟兵団の非交戦地帯、クレイユ村で戦場以外で出会って、色々話したりして……。俺はシズカに惹かれてたんだ」

 

シズカは、戦いで罪のない弱者が故郷を追われ、不幸になる姿を見たくないと語っていた。それが彼女が遊撃士になった理由だと、スハルトは聞いていた。

 

民間人の保護を優先する遊撃士と、戦いのスペシャリストである猟兵団――しかも赤い星座の連隊長。本来なら交わるはずのない二人だったが、運命は二人を引き合わせた。

 

だが、幸せな時間は長くは続かなかった。

 

赤い星座が共和国に本格進出を始め、黒月との抗争が激化した際、シズカは民間人を守るために赤い星座によって殺された。

 

別動隊として戦っていたスハルトは、その訃報を聞き、単身で赤い星座の本隊に強襲をかけた。しかし、自身の父親に敗北し、妹にすら打ち負かされた。

 

彼らは瀕死のスハルトにとどめを刺さず、「弱者などいらぬ、進むは強者のみ」とばかりに去っていった。

 

スハルト「その後、クロスベルの聖ウルスラ病院のベッドで目が覚めたっけな。半年も寝ちまってたわけだが」

 

敗北後、スハルトはクロスベルの聖ウルスラ病院に運ばれ、優秀な医師たちの治療で一命を取り留めた。だが、意識を取り戻すまで半年もかかった。

 

スハルト「瀕死の俺を運んだのは、クロスベル警察のカズナリって男とクロコって女だったはずだ」

 

スハルトは自分を助けてくれたカズナリとクロコに礼を言うため、クロスベル警察署を訪ねたが、二人とも別件で国外に出ており、会えなかった。

 

 

行く当てのないスハルトは東方へ流れ、傭兵として生計を立てていた。東ゼムリアの日本、東ゼムリア共和国、南中華国、台湾を除けば、国家が機能しておらず、治安はどこも悪い。西方とは異なる弱肉強食の世界で、スハルトは生き抜いてきた。

 

そんな時、サラ教官と出会い、トールズ士官学院への入学を勧められたのだ。

 

過去を回想していると、屋上に別の来客が現れた。銀髪にバンダナを巻き、緑の制服を着た男子生徒がスハルトに声をかける。

 

???「うーん、先客がいたか?」

 

スハルト「あ、アンタは2年の変態大魔王先輩だな?」

 

???「誰が変態大魔王だ! 誰だよ、そんな噂流してる奴は……って、新入生の赤い髪か?」

 

スハルト「新入生の赤い髪って……俺にはスハルト・オルランドって名前があんだよ。で、アンタ何やってんだ?」

 

???「それはな、屋上に女子がいねえかなって。夕方の屋上って北風が強くなって、スカートがめくれ上がって……な!」

 

スハルト「そんな目的でここに来たのかよ……」

 

スハルトは呆れながらも、どこかこの先輩に自分と同じ匂いを感じていた。

 

???「おっと、自己紹介がまだだったな。俺はクロウ・アームブラストだ」

 

スハルトは名乗ったクロウに、あまり良い印象を持てなかった。こういう軽薄な人間ほど、腹の底で何を考えているかわからない――それは赤い星座の連隊長時代に培った勘だ。それだけでなく、クロウからは何か裏を抱えている気配すら感じ、警戒心を強めた。

 

だが、クロウは急にニヤニヤしながらスハルトに話しかけてくる。

 

スハルト「な、なんだよ、クロウ先輩?」

 

クロウ「《Ⅶ組》って、女子のレベル高いだろ。他のクラスの連中が羨ましがってたぜ」

 

スハルト「確かにレベルは高いと思うぜ。だが、それだけだろ?」

 

クロウは「お前は何もわかってねえ」とばかりに呆れた表情でスハルトを見る。

 

クロウ「はぁ~、それだからおこちゃまなんだよ」

 

スハルト「はぁ? 俺がおこちゃまだと!? じゃあ、アンタはどうなんだよ?」

 

クロウ「俺か? 《Ⅶ組》の女子は他のクラスよりレベル高いと思うぜ。貧乳から巨乳、色とりどりの下着……」

 

スハルト「は? 巨乳はともかく、なんで下着の色までわかんだよ? まさかアンタ!?」

 

クロウ「誰がそんな幼稚なことするかよ!」

 

スハルト「幼稚って自覚してんのかよ」

 

クロウは馴れ馴れしくスハルトの肩を組み、

 

クロウ「そうイジけんなよ。そんなお前に、とっておきのネタを教えてやる。耳貸せ」

 

スハルト「な、なんだよ。馴れ馴れしい奴だな」

 

スハルトはため息をつき、渋々クロウの話に耳を傾けた。クロウは本校舎の階段下のエリア、トールズ士官学院を東西に流れる川の橋、学生会館の階段下など、女子のスカートが見えそうな「スポット」を教えた。

 

スハルト「アンタ、よっぽど暇だったのかよ」

 

クロウ「暇って言うな! ところで、お前のクラスに金髪の女子いるだろ?」

 

スハルト「金髪? アリサのことか? それともアルフィンのことか?」

 

クロウ「あ、そのアルフィンって女子の方だ」

 

スハルト「ふーん。名前はアルフィン・レンハイム。平民出身らしいが、雰囲気や喋り方がどうも貴族っぽい感じがするんだよな」

 

クロウ「なるほどな。アルフィンって名前か。そっか、そっか」

 

スハルトはニヤつくクロウを見て、少し引いた。

 

スハルト「アンタ、まさかアルフィンをナンパでもすんのか?」

 

クロウ「さーな。お前は《Ⅶ組》で頑張りな!」

 

クロウはそう言うと、屋上を去っていった。

 

スハルト「……あの先輩、一体何だったんだ?」

 

茜色に染まる空の下、スハルトは複雑な気持ちで屋上に佇んでいた。

 

 

トールズ士官学院・ギムナジウム→トールズ士官学院・学生会館

 

七燿暦1204・4月17日・午後・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・学生会館。

 

わたくしたちは部活動の見学に奔走しています。

まず本校舎の調理部と吹奏楽部を見学し、その後グラウンドへ。ラクロス部が練習中で、アリサさんはしばらく見学した後、入部を決めました。

 

ここでアリサさんと別れ、わたくし、エマさん、ラウラさんは修練場(ギムナジウム)へ向かいました。

修練場(ギムナジウム)では、フェンシング部と水泳部の2つの部活が活動しています。

 

ラウラさんは水泳部に入部することを決めました。「剣を振るう者にとって、水泳は良い鍛錬になる」と仰っていました。

 

わたくしとエマさんは修練場(ギムナジウム)|を後にし、学生会館へ。文化系の部活がいくつかあると聞いたからです。

 

学生会館の文化系部活は、新聞部、写真部、釣り部、占い部、文芸部の5つ。エマさんと一つ一つ見て回っていると、エマさんが文芸部に入部を決めたようです。

 

エマ「私は文芸部に入ろうと思います。アルフィンさんはどうしますか?」

 

アルフィン【わたくしですか? まだ決めかねていますわ。エマさん、自分に合う部活が見つかってよかったですわね】

 

エマ「ええ、正直、運動系は苦手なので、文化系で興味のあるものが見つかってホッとしています」

 

エマさんは頭脳派で、運動はあまり得意ではなさそうです。でも、彼女からは何か特別な雰囲気を感じますわ……。

 

エマ「アルフィンさんはこれからどうしますか?」

 

アルフィン【もう一度、運動系の部活を見てから決めますわ。わたくし、体を動かす方が好きなので】

 

エマ「体育の授業で張り切ってましたものね」

 

エマさんと少し話した後、わたくしは一人で運動系の部活を再び見学することにしました。

 

春の北風は冷たいけれど、ひんやりして気持ちいいですわね。

 

さて、どの部活にしましょうか。ラクロス部? フェンシング部? 水泳部?

 

ラウラさんが仰っていたように、水泳は鍛錬に良さそうですわ。

 

大賢者が割り込んできました。

 

大賢者「告。この世界の剣の使い手は、水泳で鍛錬すると言われていますね」

 

アルフィン【剣を得物にしなくても、そういう鍛錬をされている方々がいらっしゃいますよね】

 

大賢者「解。そういえば、そういう方々もいましたね」

 

アルフィン【武道に携わるなら、水練も自分を鍛える一つの手段かもしれませんわね】

 

わたくし、決めました。水泳部に入部しますわ!

 

早速、修練場(ギムナジウム)へ戻りました。

 

 

トールズ士官学院・学生会館→トールズ士官学院・ギムナジウム

 

七燿暦1204・4月17日・午後・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・ギムナジウム。

 

水泳部の活動場所へ行き、プールサイドにいた部長のクラインさんに意志を伝えました。

 

アルフィン【1年《Ⅶ組》、アルフィン・レンハイムです。皆さん、よろしくお願いしますわ】

 

クライン「俺は水泳部部長のクラインだ。アルフィン、他の新入部員はゆっくり見学してる。君も見学してみるといい」

 

マイン「私は副部長のマインよ。アルフィンさん、よろしくね」

 

アルフィン【こちらこそ、よろしくお願いしますわ】

クライン部長とマイン副部長の紹介を受け、水泳部の現状を聞きました。部員は部長と副部長の2人だけで、後は新入部員ばかり。わたくしとラウラさん、そして男子生徒を合わせて5人とのことです。

 

ラウラ「ふむ、そなたもやはり来たか」

 

アルフィン【ええ、ラウラさんの仰る通り、良い鍛錬になりそうですわ】

 

水泳部の施設を見学させてもらうことに。といっても、修練場(ギムナジウム)内の更衣室、シャワールーム、2階の休憩ルームくらいですが。

 

見学中、ARCUS(アークス)の着信が鳴りました。人目のない場所に移動して応答します。

 

サラ「よかった、出たわね、アルフィン!」

 

アルフィン【サラ教官? わたくし、水泳部の見学中なんですけど、何かご用ですか?】

 

サラ「そんなのわかってるわよ! 大事な話があるからARCUS(アークス)で連絡したんでしょ!」

 

アルフィン【大事な話? 一体何ですの?】

サラ「とにかく、学生会館の2階の奥の部屋に行きなさい。絶対よ、アルフィン! 行くのよ!」

 

学生会館の2階の奥の部屋――先ほどエマさんと近くまで行った場所です。確かに部屋があるのを確認しましたわ。今度はそこへ行けと?

 

アルフィン【わ、わかりましたわ。行きますから、通信越しに大声出さないでください!】

 

サラ「じゃあね!」

 

サラ教官はそれだけ言うと、通信を切ってしまいました。

 

ラウラさんが心配そうに近づいてきます。

 

ラウラ「アルフィン、どうしたのだ?」

 

アルフィン【サラ教官に、学生会館の2階の奥の部屋に行けと言われましたわ】

 

ラウラ「学生会館か。まだ行ったことのない場所だな」

 

アルフィン【わたくし、先ほど訪れましたわ。食堂や購買部、文化系の部室があって、4階は貴族専用サロンになってました】

 

ラウラ「ふむ……」

 

クライン部長とマイン副部長もやってきました。

 

クライン「サラ教官に呼ばれたのか?」

 

アルフィン【はい、学生会館の2階の奥の部屋に、ですわ】

 

クライン「2階の奥の部屋って……そりゃ生徒会室だな」

 

マイン「アルフィンさん、生徒会室に呼ばれたの?」

 

アルフィン【はい】

 

クライン「とにかく行ってみな。今日、部活は活動しないから安心しろ」

 

マイン「活動は明日からだからね」

 

ラウラ「水泳部の今後のことは私が聞いておく。アルフィン、気にせず行ってくれ」

 

アルフィン【ラウラさん、クライン部長、マイン副部長、すみませんでした。では、失礼いたしますわ】

 

皆さんに一礼し、わたくしは修練場(ギムナジウム)を後にし、学生会館へと向かいました。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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