アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第1章初めての特別実習編26話です。


第1章ー初めての特別実習編ー33ー26話ー大市での事件。

 

ケルディック・風見亭付近→ケルディック・大市

 

七燿暦1204・4月25日・朝・帝国・ケルディック・大市入り口。

 

わたくしたちが大市の入り口を訪れましたら、商人のギブソンさんから大市の中に入れないと他の観光客のみなさんに説明をされていました。

 

でもわたくしたちの姿を見ると、ギブソンさんは、大市で盗難事件が起きたことをおっしゃいました。被害者のハインツさんとマルコさんたちが互いが犯人ではないかと言い争っているそうです。

 

〘この野郎!!〙

 

〘……絶対に許さんぞ!!〙

 

そんな中、怒りに満ちた罵声が大市に響き渡りました。

 

アルフィン【今のは…】

 

アリサ「あの2人の罵声!?」

 

ギブソン「元締めが仲裁に来ていましたが……どうも抑えきれていないようですな。流血沙汰なんかにならなきゃいいんですが…」

 

オットー元締めさんが、仲裁に入っても止められないってことは、ハインツさんもマルコさんも怒りが自身を支配して、冷静な判断ができなくなっているんですわ。これは止めないと、ギブソンさんがおっしゃる通りに流血沙汰になりませんわ。

 

アルフィン【わたくしたちがあの2人のもとへ行くしかありませんわ】

 

リィン「……アルフィン……そうだな。あの俺たちに行かせてもらえませんか?」

 

ギブソン「…そうですな、あなた方なら元締めの助けになるかもしれません。すみませんが、行ってやってもらえますかな?」

 

アルフィン【はい、わたくしたちにお任せください】

 

アリサ「それじゃ、急ぎましょ!」

 

ケルディック・風見亭付近→ケルディック・大市

 

七燿暦1204・4月25日・朝・帝国・ケルディック・大市内。

 

わたくしが、ギブソンさんにオットー元締めさんのお力になってほしいとお願いされ、大市内に罵声が響きわたる原因のお2人のもとへやって来ました。周りには、喧嘩をしているお2人のおかげで、迷惑そうな商人さんもいらっしゃいますね。それだけではなく、封鎖前に大市の中に入られた観光客の方々も物珍しそうに見ていらっしゃいます。

 

オットー元締めさんがお2人の中に入って仲裁されていますが、お2人ともオットー元締めさんの声がすでに届いていないことが見てわかります。

 

ハインツ「よくも、私の屋台をめちゃくちゃにしてくれたな、この卑しい田舎商人め!!どうせ君がやったんだろう!?正直に白状したまえ!!」

 

マルコ「んだと、帝都の成金があ!そっちこそ、俺の場所も独り占めしようとしたんだろうが!?」

 

オットー元締め「ええい、2人とも落ち着くのじゃ!」

 

マルコ「しらばっくれた上に俺のせいにしよってか!?ふざけんなよ、コラアッ!!」

 

ハインツ「フン、やるのか!?望むとこだ!!」

 

これ以上見てられないですわ。わたくしはリィンさんに目配せをして、あのお2人の間に入るように

 

アルフィン【いい加減にしてください!大の大人が公衆の面前でこれ以上醜態を晒さないでください】

 

リィン「一旦落ち着いて、何があったのか教えてくれませんか?」

 

オットー元締め「おお、お前さんたち……」

 

ハインツさんもマルコさんもわたくしたちも睨むように

 

ハインツ「ま、またお前たちか!?」

 

マルコ「ええい、口出しするな!屋台の仇を討つんだ!」

 

エリオット「仇って…」

 

スハルト「すぐに商売ができないように屋台そのものが壊されてるな」

 

スハルトさんたちは、壊され粉々になった屋台を観察してるみたいです。

 

エリオット「この壊され方、嫌がらせにしては度が過ぎてるような気がする…」

 

アリサ「ひどいわね…」

 

ラウラ「だが、相手を殴っても壊れたものが元通りになるわけではあるまい」

 

マルコ「こ、こうでもしねえと気が収まらないんだよ!商品まで盗まれて、完全に商売上がったりなんだからな!」

 

ハインツ「何を抜け抜けと…!それも君がやったことだろう?私の屋台と商品を元通りにしたまえ!」

 

ハインツさんもマルコさんも怒りと興奮していて、こちらの言い分は全く聞いてくれませんわね。

 

大賢者【告、マスター、この2人をおとなしくさせますか?】

 

アルフィン【話を聞いてくれないのあれば、やむを得ないですわ……】

 

わたくしが大賢者におとなしくさせるように伝えようとした時、背後から2人を止める声がしました。わたくしたちがそちらへ振り向くと、なんと領邦軍の兵士のみなさんが参られたのです。確か訴えを取り下げない限りは、領邦軍はこういういざこざには不介入だったはずでは?

 

マルコ「領邦軍!?」

 

リィン「え?」

 

領邦軍隊長「こんな早朝から何事だ!騒ぎを止めて、即刻解散しろ」

 

ハインツ「ぐっ、しかし……」

 

領邦軍隊長「老人、あなたは大市の元締めだったな。説明してもらおう。一体何があったのだ?」

 

オットー元締め「う、うむ、それがですな……」

 

オットー元締めさんは、領邦軍の隊長さんに夜の内に起こった事件について説明されました。屋台を壊された件や品が全て盗まれていることなどを、事細かに話されたのです。

 

領邦軍隊長「ふむ、なるほどな…ならば話は簡単だ。おい、2人とも引っ立てろ」

 

領邦軍兵士「はっ!」

 

領邦軍の隊長さん、それはあまりにも強引すぎはしませんか?というよりも推理なんかされていませんね。めんどくさいから2人とも連行すればいいみたいな感じにしか見えませんわ。そのようなことを申されては、ハインツさんもマルコさんも困惑されています。

 

領邦軍隊長「互いの屋台が破壊され、商品までは盗まれた。歪み合う2人の商人が同じ事件を同時に起こした……そう考えれば、辻褄が合うだろう」

 

領邦軍の隊長さんは、ちゃんと調査もせずにこのような判断をされるなんて……そもそも同時にそのようなことをしていては、お互いに気づくはずでしょう。そんなことは誰が考えたって分かりそうなものなんですが。

 

ラウラ「調査もしないうちから、さすがに強引ではないか?」

 

領邦軍隊長「フン、領邦軍にはこんな小言に手間を割く余裕などないのだよ」

 

スハルト「小事か…それって、領邦軍は正規軍と張り合う方が忙しいって言ってるようなもんだよな?」

 

領邦軍隊長「な、なんだと…?」

 

スハルトさんのおっしゃる通りなんですが。

 

今、領邦軍と対立するのは得策ではありませんわ。

 

アルフィン【スハルトさん、落ち着いてください。それで領邦軍としては、これ以上は何もしないと?】

 

領邦軍隊長「ああ、そうだ。もし騒ぎを続けるとあれば、2人を引っ立てるだけだ。さて、どうする?」

 

領邦軍は、この事件…ハインツさん、マルコさんの屋台損壊事件と盗難事件を最初からなかったことにするつもりなんですわ。それはリィンさんたちも分かってらっしゃっています。今のわたくしがどうこうできる立場にありませんし。

 

マルコ「くぅ…」

 

ハインツ「……」

 

お2人とも領邦軍の隊長さんにおっしゃった通りに従うざるを得ないと判断されました。ここで逆らって連行でもされましたらそれこそ、後々大変ですからね。

 

領邦軍隊長「フン、それでいい。我々も余計な仕事を増やしたくない。今後はあまりトラブルを起こさぬよう気をつけたまえ。フフ、それでは失礼する。我々も忙しいのでな」

 

領邦軍の隊長さんは、それだけをおっしゃられると颯爽とこの場所から去って行かれました。外国から来られた観光客の人の目には嫌なものに映ったのでしょうね。

 

これが帝国の今の現状です。

 

オットー元締め「行ってしもうたか」

 

アリサ「騒ぎは何とか収まったけど…」

 

エリオット「こ、こんなのめちゃくちゃだよ!?」

 

ラウラ「あれが領邦軍のやり方というわけか……」

 

スハルト「領邦軍の連中は、どこもかしこもあんな奴らばかりだ。なぁ、あんなの見て少しはマキアスの気持ちが分かっただろ?あいつがどうして貴族が嫌いなのかよ…」

 

エリオット「そ、それは…」

 

スハルト「俺だって貴族の全員を言ってるわけじゃねえ。貴族だって、ラウラや低姿勢なヤツもいるからな」

 

ラウラ「スハルト…」

 

貴族=あんな連中ばかり、ではありません。平民の方々の中にも傲慢な方々はいらっしゃいますから。オットー元締めさんが、ハインツさんとマルコさんに一旦頭を冷やして落ち着くように諭すようにおっしゃっていました。オットー元締めさんもあれでよしとは思っていらっしゃらない表情されています。

 

そして、大市を開くために壊された屋台を片付ける必要があるので、わたくしたちもお手伝いを買って出て、急いで片付けるのでした。予定より遅れましたが、大市を開くことが出来て、オットー元締めやわたくしたちは安堵しました。

 

そしてわたくしたちは、再びオットー元締めのお宅へ招かれました。

 

ケルディック・大市→ケルディック・オットー元締めのお宅

 

七燿暦1204・4月25日・朝・帝国・ケルディック・オットー元締め宅。

 

オットー元締めさんから改めてお礼をおっしゃいました。

 

オットー元締め「何度も言うようじゃが、お前さんたちのおかげで、無事に大市を開くことができた」

 

エリオット「あはは、そんな大したことはしていませんし」

 

スハルト「壊された屋台を片付けるのは大変だったからな。思った以上に粉々にされていたし」

 

アリサ「そうね、困らせようっての壊し方じゃなかったわ」

 

リィン「ああ、あれは1人や2人じゃないな、複数人でやってる可能性はある」

 

オットー元締め「複数人か…」

 

アリサ「それにしても、あの喧嘩で怪我人なんかが出なくてよかったよね」

 

オットー元締め「うむ、それについても重ねて礼を言わせていただこう。商人にとって店とは命とも言うべきもの。彼らの怒りもわかるのじゃがな」

 

商人のお店が無くなるってことは、剣術に携わってる人間にとっての❝剣❞が無くなったり、折られたりするようなものですよね。

 

ラウラ「しかし御老人…ケルディックの抱える問題は思った以上に根が深いようだな。領邦軍が駆けつけてきたとはいえ、結局何の解決にもならぬとは…」

 

スハルト「領邦軍なんざ、あんなもんさ。最初から解決するなんてねえ」

 

オットー元締め「…うむ、やはり大市のトラブルにはまともに取り合う気がないようじゃ。ワシらが増税への陳情を取り消さん限り、その姿勢を貫くつもりなんじゃろう」

 

アリサ「そうは言っても、まさかあそこまで露骨なんて…このままじゃ、商人の2人も収まりがつかないだろうし……」

 

オットー元締め「そうじゃな……噂が広まれば、最悪、利用者の足が遠のくことも考えられよう。このままではいかんと、わしも思うてはおるのじゃが」

 

領邦軍は、増税の陳情を取り消したら問題解決をするとおっしゃっています。なぜ増税をしなければいけないのか、そういう理由が全く説明されていません。

 

増税の理由は1つしかありません。それは領邦軍の軍拡、正規軍をしのぐ力を持つためでもあります。

 

オズボーン宰相率いる革新派は、正規軍を増強してます。四大名門の貴族派は、領邦軍の増強しているのが、帝国の今の現状、その両者がどこかでぶつかるのではないかと言われているの事実ですね。

 

エリオット「リィンとアルフィン、どうしたの?さっきからずっと黙っているけど?」

 

オットー元締め「ふむ、具合では悪いのかの?」

 

リィンさんはわたくしも方を見てきて、目配せをされました。彼のあの目は『今回の事件は俺たちで調べてみないか』っておっしゃってるように見えました。だからわたくしも

 

アルフィン【オットー元締めさん、わたくしたちからのお願いがあります。今回のこの事件、どうかわたくしたちに調べさせてもらえませんでしょうか?】

 

リィン「俺からもお願いします。今回の事件、俺たちに調べさせてもらえませんか?」

 

わたくしとリィンさんで、今回の事件のことを調べることをオットー元締めさんに改めてお願いしました。オットー元締めさんが特別実習中のわたくしたちの責任者でもあります。

 

それに今回の事件、思った以上にもっと目が深いとこにあるようですから。

 

アリサさんたちは、わたくしとリィンさんが事件の調査に名乗りあげたことに驚いてるみたいですけど。

 

オットー元締め「ふむ……昨日も言ったが、大市でのことはワシら商人の問題じゃ。心配はありがたいが、お前さんたちが気にすることではないぞ?」

 

アルフィン【わたくしが目指してる❝あの人❞なら……目の前で理不尽なことが起きて、頼るべき存在である領邦軍が当てにはならない。そんな時、❝あの人❞なら……こうおっしゃいます。『目の前で、助けを求めてる人がいるなら俺は迷わず手を差し伸べる。人を助けるのに理由なんかいらない』って。わたくしの志もトールズの理念も同じで、士官学院のわたくしたちが見過ごすわけにはいかないのですわ】

 

リィン「ははっ、言いたいことは大体アルフィンに言われてしまったな…」

 

エリオット「た、確かにそうかもだけど…事件の調査なんて僕たちにできるのかな?」

 

アリサ「うーん、そうよね……私たちだって素人には違いないし」

 

スハルト「アルフィン、お前の目指してる❝あの人❞ってヤツは、相当のお人好しのバカだろ」

 

アリサ「スハルト、あなたね、バカはないでしょ!?」

 

アルフィン【そうですね、そんな感じですわ。『自分の不幸のおかげで、他人を救うことができる』って笑顔でおっしゃっていましたし】

 

スハルト「は?それはお人好しを越えてるな…でも、そういうの俺は嫌いじゃねえぜ。俺も事件調査には賛成だ。それに俺はあいつと一緒に事件調査を手伝ったことはあるからな」

 

アリサ「スハルトまで!?せめて、サラ教官の指示を待った方がいいんじゃないかしら?」

 

リィン「サラ教官は言ってた。❝せいぜい悩んで、何をすべきか、自分たち自身で考えてみろ❞って。だったら、今が❝その時❞じゃないのか?」

 

アルフィン【これは、わたくしたちの判断力と決断力を問われられてると思います】

 

スハルト「まあな、戦いともなれば常に状況は変わる。だから責任者ともなれば、冷静に状況を判断できるなければならないし、物事に対しても決断力も必要となるわけだからな。軍の責任者ともなれば、そういうことはずっとつきまとうわけだ。俺たちも今その状況に置かれているって考えればいい」

 

エリオット「……あ」

 

アリサ「あっ!」

 

ラウラ「ふむ」

 

アリサ「確かに、これは特別実習のうちになのかもしれない。スハルト、たまにはためになること言うのね」

 

スハルト「たまには余計だ」

 

エリオット「ちょっと不安だけど…僕たちだけでやるしかない、よね?」

 

ラウラ「義を見てせざるは勇無きなり…か。ふふっ、いいだろう。私もそなたらに乗らせてもらう」

 

スハルト「❝人を助けるのに理由なんかいらない❞ってのも名言だな。この言葉って、俺たちが今失いつつある行為なのかもしれないな」

 

オットー元締め「❝人を助けるのに理由なんかいらない❞か、確かにお前さんが言うように、今の世の中には失いつつある行為かもしれないじゃろう。じゃが、まだお前さんたちのような若者がおるのじゃ。その灯火は消えちゃおらん。事件の調査はお前さんたちに任せるとしよう」

 

アルフィン【ありがとうございます。大市に来てくださる商人の方々、国内外から来てくださる観光客のみなさんが笑顔でいられるようにわたくしたちはやるだけですわ】

 

オットー元締め「ただ、深入りだけはせんようにな。何せ?夜間に紛れてことを起こすような。犯人じゃ。どんな危険な人物かわからん。お前さんたちは預かる身として、何かあったらヴァンダイク殿にも申し訳が立たぬからのう」

 

エリオット「は、はい…気をつけます!」

 

スハルト「引き際のことなら俺には任せろ」

 

リィン「スハルト、そっちの方は任せる」

 

スハルト「任された!」

 

アリサ「それってどういうノリ?」

 

ラウラ「さて、そうと決まれば善は急げだな」

 

アリサ「ええ、早速事件は調べに行きましょう!」

 

アルフィン【必ず事件を解決致しますので】

 

わたくしたちは、オットー元締めさんにそう言ってから、表に出ました。そして事件現場である大市の方へ歩みを進めるのでした。すでに時刻は風見亭から出て、2時間が経過していたのでした。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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