ケルディック・礼拝堂→ケルディック・大市
七燿暦1204・4月25日・昼・帝国・ケルディック・大市内。
わたくしたちは、まず大市の入り口に近いところに屋台を出していたハインツさんにお話しを伺うことにしました。彼はまだ自分の壊された屋台を呆然と見つめていらっしゃいます。
そんな哀愁漂うハインツさんに事件のこと伺うのは正直心苦しいですが、真実に近づくためには仕方がないことですわ。
ハインツ「……噂に名高い、ケルディックの大市にようやく参加できたのに……はぁぁぁ〜〜どうしてこんなことに…」
アルフィン【あの、ハインツさん、ちょっと伺いたいのですが】
ハインツさんはわたくしの声に反応されてこちらを向いてくれました。
ハインツ「き、君たちは…?あ…いや、すまない。先ほどは見苦しいところをお見せした。この通りだ。どうか許してくれたまえ」
アルフィン【えーと、わたくしたちは別に気にしてませんわ。ちょっとハインツさんに伺いたいことがありまして】
ハインツ「私に伺いたいこと?」
リィン「実は、俺たち屋台が壊された件で調査することになったんです」
ハインツ「君たちが…事件の調査を!?」
アルフィン【はい、そうですわ。ですから、もう少しお話を伺いたくてこちらの方へ来た次第です】
リィン「もしかしたら、犯人に繋がる手がかりになるかもしれません」
ハインツさん、明らかに疑問形な表情をされています。確かにわたくしたちは、エステルさんたちのような遊撃士でも無ければ、ヴァンさんのように解決屋でもありませんわ。一介の士官学生しかありません。でもわたくしたちは、今回の事件を解決する気持ちは誰よりも負けませんわ。
ため息を吐きながらハインツさんは話を始められました。
ハインツ「……まあ、いいか。気休めにはなりそうだし」
アリサ「ちょ、ちょっとちょっと。露骨にがっかりしたでしょ、今」
ハインツ「いや、だってなあ…士官学院の生徒と言っても、どう見ても素人だし」
エリオット「し、素人なのが確かですけど…事件を解決したい気持ちは本当です!」
スハルト「安心しろ、俺は遊撃士と一緒にこの手の手伝いをしたことある。だから必ず真犯人を見つけてやるよ」
アルフィン【ハインツさん、あなたの商品を取り戻せるかもしれません。話をしていただかないと、取り戻せるかもしれない商品を2度と取り戻せないことになりますわ】
ハインツ「わ、わかっているよ。協力しないとは言っていないだろう?とはいえ、私も何も目撃していないんだ」
リィン「そうなんですか?」
ハインツさんは、昨日開店準備をされただけでその後商品を置きっぱなしにして帰ったみたいですね。確かにこれだと犯人を目撃する可能性は低いですわ。
ハインツ「この辺りの商人に聞いてくれれば、それが確かということもわかるだろう」
屋台から目を離したことが失敗だとハインツさんは下を向きながらそうおっしゃいました。
目を離さなかったら壊されなかったってことをハインツさんはおっしゃってるのでしょうが、それだと犯人と鉢合わせになっていた可能性が高いでしょうね。そうなると怪我をされていた可能性も十分に考えられますわ。
スハルト「それで、盗まれた商品というのはどんなものだったんだ?」
ハインツ「ああ、一応サンプルが1つ手元に残っているんだが……」
ハインツさんは、自分の上着のポケットからサンプルのものを見せてくれました。
スハルト「これは……」
これって確か?
大賢者【告、帝都で最近流行っているブランド品だと思われます】
アルフィン【ええ、あれと同じものを帝都のお店で売られていたものを見たことがありますわ】
大賢者【解、その流行っているブランド品を外国人も目にする大市で売りさばいて利益にしようということなんでしょう。しかしこのような事件が起こって目論見が潰えたのを間違いないでしょう】
利益を求めてこの大市で大量のブランド品を売りさばこうとしていたなら、それが商売できなくなったとしたら、かなりの大損害を被ることになってしまいますわね。
ただ、ハインツさんは、マルコさんをまだ疑っているみたいですね。
ラウラ「そのその物言いはどうかと思うが…」
スハルト「そうだぜ、おっさん。あいつがやったという確証がないんだぞ」
ハインツ「いいや、やっぱり一番安いのはあの男だ!この場所で私と順番に商売するのが気に入らなくて、犯行に及んだに違いない」
ハインツさん、それはもう彼を犯人にしたいというこじつけにしかありませんわ。場所のことで揉めたとはいえ、マルコさんがこんなことをやったとは到底思いませんわ。そんなことをして一番先に疑われるのは彼なんですから。自分に疑いのかかるようなことを普通するのでしょうか?
彼、マルコさんも商品は盗まれ、屋台も粉々に壊されているんです。
ハインツ「何としてもあの男から商品だけでも取り戻さなければ……」
リィン「あ、あの、落ち着いてください!」
わたくしは、そっとハインツさんの前に立ち
アルフィン【
ハインツさんは、興奮して怒りそうになっていましたけど、急におとなしくなってしまいました。
一体何をしたかと言いますと、ハインツさんに暗示をかけました。
彼の頭の中には、わたくしのある言葉が響いたはずですわ。
ある言葉とは
もしここでまた暴れたりされましたら、❝今度こそ領邦軍に連行されかねない❞って彼の頭の中に響いたはずです。
大賢者【告、マスター、ドイツの魔術師から教わった暗示魔術を使ったのですね】
アルフィン【そうね、これくらいならその魔術でもと思ったんですけど、効果的面ですわね】
大賢者【解、てっきり❝第5位❞の超能力を使われるかと思いましたが?】
アルフィン【食蜂さんのあの能力は、強力ですわ。そのようなものをリィンさんたちの前でお見せするわけにはいきませんわ】
今はこれよりもハインツさんの話を伺いませんと。
ただ、ハインツさんが大人しくなられても自分の商品のことを諦めきれないような気持ちでおっしゃっています。
ハインツ「……頼む、私の商品を取り戻してくれ」
リィン「任せてください。とまでは言い切れませんが、精一杯力を尽くさせてもらいます」
ハインツさんから聞き出される情報はここまででしょうね。あとはもう一人の当事者、マルコさんの屋台の方でお話を伺うとしましょうか。
わたくしがマルコさんの屋台があります方向に向きを変えるとスハルトさんが
スハルト「お前なんかおっさんにしたのか?」
アルフィン【へ?な、何かするって何のことですの?】
スハルト「あんだけ興奮してた。あのおっさんが急におとなしくなったんだぜ?」
アリサ「あ、そうよ。急におとなしくなったからびっくりしちゃったけど?」
アルフィン【何をしてませんわ。何と言うか目力で❝大人しくしてください❞って目で訴えた感じですね】
アリサ「目力で?」
アルフィン【アリサさん、こんな風な感じで】
わたくしはアリサさんを目力で見つめました。
アリサ「分かったから、アルフィン。だからその目力でこっちを見ないで」
アルフィン【目力ですよ】
そんな馬鹿話しで、みんなで笑います。なんとかおまかせたかなと思いつつマルコさんの屋台の方へ向かいました。
マルコさんの屋台の場所までやって来ましたら、彼もハインツさんと同じような哀愁漂う背中をしていました。
マルコ「はぁ〜あ、やってられるかってんだ、ちきしょう!」
アルフィン【マルコさん、少しよろしいでしょうか?】
マルコ「ん、君らは…確か士官学院の生徒とかいう。……へっ、何しに来たんだ?ここにはもう売り物はないぜ?いいや、商売をする屋台すら何もかもな。領邦軍の奴らもあの帝都の商人もみんな俺を犯人扱いしやがって……ちきしょう」
マルコさん、完全にふてくされた感じになっていらっしゃいます。この気持ちがわからなくもないですけどね。
大賢者【告、マスターお話はちゃんと聞かなければなりませんよ】
アルフィン【大賢者、わかってるわ】
わたくしたちは、ハインツさんと同じように屋台の壊された件について調査していること説明しました。
マルコ「……へえ、君らが調査をね」
マルコさん、わたくしたちをじろじろ見てらっしゃいますけど、先ほどのハインツさんと同じような反応と見た方がよろしいですわね。
マルコ「そうなんだ〜……ふ〜ん……」
エリオット「え、えっと協力していただけますか?」
マルコ「ああ、いいよ。これで犯人が見つかりゃ万々歳、ダメで元々だしな」
まあ、士官学院の生徒が調査をして解決するなんて、最初からできる思われていないんでしょうね。それに関しては遊撃士も見習いのうちはそのような感じだってエステルさんたちもおっしゃっていましたっけ。
わたくしたちは、みなさんと目配せをやりましてからマルコさんに事件の時のことを伺います。
アルフィン【それでは、昨夜の事件があった時間のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?】
マルコ「事件があった時間ねえ。っつっても、あの帝都の商人との揉め事が終わった後はさっさと帰っちまったんだよな。商売仲間の家に転がり込んで、朝まで愚痴りながらやけ酒かっくらってたのさ」
ラウラ「ふむ、それは確かなのか?」
マルコ「確かだぜ。その商売仲間ってのが証人だ。その後2日酔いの頭でふらふらここに来てみたら屋台がバラバラに壊されていたんだ。俺の店で扱ってたたくさんの加工食品たちもすっかり盗まれちまって」
マルコさんの屋台は加工食品が商品のようです。
ハインツのグランド商品とは違って、いくら保存がきく加工食品だと言ってもブライト品と違ってずっと持つわけではありません。
加工食品が腐れでもしたら商品の価値は一気になくなります。ハインツさんの商品は闇に流せば、いくらかの稼ぎにはなりますが、加工食品の方はならないでしょう。一体真犯人は何の目的でこんなことをしているのか。
こんなことをして、一番誰が得をするのか。それはもう…
マルコ「俺の商品は加工食品。この辺りの食材を使ったナッツやチーズ、それにベーコン…保存がきくやつさ。それはなくなったのを見て、一気に酔いが醒めちまってな。そのままあの商人のとこに殴り込んだわけよ」
リィン「……どうしてすぐにあの商人のところを向かうことにしたんですか?」
マルコ「そりゃあ、あいつが犯人に間違いねえからだよ!!あの、ハインツって野郎、出店場所を完全に奪うために俺の屋台を壊しやがったんだ!」
スハルト「アンタもあのおっさんもすぐに犯人がどっちかで決めつけるよな」
エリオット「そうだよ、ちゃんと調査をせずに何でそれがわかるんですか?ハインツさんもあなたと同じ被害にあってるのに」
マルコ「……い、いや!当然それもあいつらやったのさ!!自分が犯人だと思われないよ。自分の役にもぶっ壊しておいたんだ!ああ、そうに違いねえ!」
アリサ「うーん、さすがに強引すぎると思うんですけど…」
アルフィン【マルコさんもあのハインツさんも今は冷静さを欠いてます。怒りが前面に出てきて、物事を正常に見ることができなくなっています。今一度冷静になって考えてください。後先考えずに突っ走ったらもっと痛い目に遭うかもしれませんわよ?】
ラウラ「アルフィンの言うとおりだな。根拠のない言いがかりは品を落とすぞ?」
マルコ「う、それは………だってよ、悔しいじゃねえか。今回の被害下手したら店を畳まなくちゃいけねえくらいなんだ……」
リィン「そ、そんなにですか?」
マルコさんの財政規模とハインツさんの財政規模が違うのは明白になりましたね。ハインツさんは、今回の損害が出ても、そこは帝都の商人、なんとか建て直すことができるのでしょう。しかしマルコさんは地元の商人、彼が売ろうとしていたものは、地元の食材を使った加工食品。利益の方も全然違います。物を売れなければ、それだけで倒産の危機に陥るのは明白です。
マルコ「せめて、商品だけでも戻ってきてくれればなんとかなるんだけどよ…承認。仲間は誰も犯人を見ていないっつうし、領邦軍もあんな感じだし…はぁ…もう終わりだよ。地元で必死こいて商売やってきて、こんな目に遭うなんて…」
リィン「俺たちにどこまでできるか分かりませんが、なんとか手がかりくらいは掴んで見せるつもりです」
スハルト「運が良ければ、今日中に商品は戻ってくるかもしれねえ。だから気を落とすな」
マルコ「ああ、期待せずに待ってるとするぜ」
アルフィン【そこは期待して待っててくださいね】
わたくしたちは、2人から聞いた情報を整理するために大市の誰も邪魔にならないところに来て、話し合うことにしました。
リィン「被害にあった2人の商人。彼らの話を聞いてみたけど…みんな、どう思う?」
エリオット「僕にはやっぱりあの2人のどっちかが犯人なんて思えないよ」
スハルト「だな、あの2人が犯人なわけねえ。あいつらの仕草や色々と見てはみたが、疑うとこはねえな」
ラウラ「店を開く場所で揉めていたという動機があるにはあるが…同じハンコを思い立ち、同じ被害を与え合ったというのは確かに出すぎに思えるな」
アリサ「商品を盗むのが目的だったという可能性もあるにはあるけど…うーん、それはあまり現実的とは言えないのよね」
アルフィン【ハインツさんもマルコさんも犯行時刻に現場になかったアリバイがちゃんとありますしね】
このことは大賢者があらかじめ調べておいてくれて、助かりましたわ。ハインツさんもマルコさんもちゃんと証言通りでしたし。
リィン「……そうだな。俺の考えも大体同じだよ。やはりあの2人はどちらとも犯人とは思えない」
アルフィン【真犯人は別にいますわ】
エリオット「それって一体誰なんだろう?」
わたくしたちは、真犯人の手がかりが掴めていないので、これ以上の議論は進展しませんでした。そんな時大賢者が
大賢者【告、マスター、あの荷台の下に何か手がかりが!】
荷台?確かに大賢者が言った壁際に荷台が置かれています。あの荷台の下に何か手がかりが落ちているとそういうことですか?
アルフィン【あの荷台下に何かあるの?】
大賢者【解、おそらく犯人に繋がる可能性は高いかと】
わたくしは荷台のそばまでやってきて、しゃがんで下の方に手を伸ばしました。するとわたくしの手に何かが触れました。そのまま掴んで引き出しました。
アリサさんたちは、何か見つけたのとおっしゃられてましたので、何かが見つけて拾ったとわたくしは言いました。そして、その拾ったものをみんなの前で持ってきました。
スハルト「……なんだこれ?」
アリサ「何かの文字?」
エリオット「この紙が、真犯人に繋がって言うの?」
リィン「わからない…」
みなさんはこの紙が何なのかわからないような表情されています。でもわたくしはこの紙を存じ上げていますわ。
大賢者【告、この紙とこの文字を調べたところ、紙はこの世界のものでしたが、この文字はあの世界の文字…マスターをよくご存知のものです】
アルフィン【ルーン文字、わたくしもルーンで、❝サラマンダーやイフリート❞を呼び出したものですわ】
サラマンダーもイフリートもこの世界では呼び出すことはできませんが、彼らのちからである焔の力は使えます。彼らを呼び出すためには、召喚するための詠唱が必要ですが。でもこのルーン文字の書き方、どこかで見たことあるような……。
大賢者【……解、これはそのような召喚魔術に使われたものではなく、人払いのルーンだと推測します】
アルフィン【人払いのルーン、ふふっ、まさかカズヤさんたち以外にも使える方がいるなんて………真犯人は❝あの世界の転生者❞かもしれませんわね】
フランスの硬貨、人払いのルーン…あの世界から転生してきた者がわたくし以外にいると考えた方がもう良さそうですわ。転生者か……まさかね……ううん、彼女がこの世界にいるなんて聞いたことないですから。
リィン「アルフィン、どうした?先ほどからぼーっとしてるが?」
アリサ「この子ね、たまにぼーっとしてる時あるのよ」
アルフィン【わたくし、ぼーっとしてました?】
アリサ「してたわよ、というか話聞いてた?」
アルフィン【え?】
アリサ「聞いてなかったの!?」
リィン「大市ではもうこれ以上話は聞けそうにないから、調査範囲をケルディック内に広げるってことなんだけど」
アルフィン【確かに、大市内ではこれ以上は証言は取れませんよね。だから調査範囲をケルディック内に広げるんですよね?】
リィン「そうなんだが、俺はちょっと気になることがあるんだ」
アルフィン【気になることですか?】
リィン「ああ、この紙のことも気になるけど、ここまで、どうにも行動の説明のつかない人たちがいるんだ。なんで彼らがそんな行動を取ったのか。そこに何らかの意図があるような気がする」
人払いルーンは今は一旦置いといて。
行動の説明がつかない人たち、それはもちろん領邦軍ですわ。あの方たちはこのような問題が起こっているのに全然捜査をする様子もない。なぜそんなことをするのかといえば、オットー元締めさんたちが提出した『増税取り下げの陳情』が原因で、領邦軍は何が起きても不干渉を貫いていましたわ。
でも、今朝の2人の騒動の時にはなぜか不干渉を貫いている領邦軍が仲裁にやってきましたわ。かなり強引のやり方であの騒動を取り繕ったのは確かですわね。不干渉を貫き通すわけでもなく、いきなり干渉をしてきました……。
スハルト「領邦軍の奴ら、何か意図があってやってんだろうが」
リィン「意図……そこまではまだわからない。だが何か不自然なのは事実だ。こうなったら、思い切って領邦軍の詰所を訪れてみないか?」
アルフィン【リィンさん、結構大胆なことおっしゃるのね】
リィン「ああ、もうこれしかないと思ってね。それに兵士たちにから直接話を聞ければ、何かしらの調査を発展することができるかもしれない」
ラウラ「ふむ……行ってみる価値は充分あるか」
アリサ「詰所は、大市からそんなに離れてなかったはずよね」
スハルト「あんまり行く気はしねーが、それしかなさそうだからな」
わたくしたちは、ケルディックの領邦軍の詰所に向かうことになりました。
ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?
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1ーエマ
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2ーフィー
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3ートワ
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4ーサラ
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5ースミレ
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6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)