アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第2章麗しき翡翠の都編9話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー48ー9話ー確執。

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院

 

七耀暦1204年5月22日・朝・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・1年Ⅶ組。

 

シアゲさんのお手伝いをしてから、約2週間が経ちましたわ。あの時はセントアークから共和国のイーディスへ赴き、タナトスの足取りを追ったり、シアゲさんが借りていらっしゃるアパートに一泊したり……。

 

別にやましいことなんてありませんわね。ただ、シアゲさんがわたくしをチラチラ見ていらっしゃるのは、視線で分かっていましたけど。翌日、シアゲさんはサナダさんからのロアアーム社家宅捜索の呼び出しでそちらへ向かわれ、わたくしはイーディス市内を観光していると、アラミス高等学校の生徒さんたちがガラの悪い連中に絡まれているところに遭遇しましたの。

 

助けに入ったところ、その生徒さんたちはなんとスミレ先輩のご親友・アリスさんをはじめとする方々でしたわ。アリスさんとスミレ先輩は本当に仲良しなのですね。

 

共和国から戻ってからスミレ先輩にさりげなく聞いてみたら、「共和国のある学校で生徒会長をやってるのよ」とおっしゃっていました。

 

その学校こそアラミス高等学校のことですわ。以前、スミレ先輩はオリビエお兄様に誘われてトールズ士官学院に入学なさったとおっしゃっていましたが、それ以外にも何か理由があるのではないかと、わたくしは密かに思っていますの。おそらくは……あ、いけませんわ。ナイトハルト教官の授業中ですのに、ぼんやりしていては失礼ですわね。

 

ただでさえ武術訓練に加え、高等教育の一般科目も本格的に始まっていますし、アラミスの皆さんが受けないような士官学院ならではの専門授業も増えてきましたわ。そう、軍事学という授業です。

 

ナイトハルト「50年前の導力革命以降、戦場の常識は根本から変わっていった。変化をもたらした代表的なものは4つある。まずは導力銃、導力砲に代表される『導力兵器』の発明だ。それ以前も火薬式のものは存在したが、生産性、命中精度、整備性の面で導力式に取って代わられた」

 

大賢者【告、学園都市やカズヤさんたちは火薬式の方も使用し、導力式と同じように進化させています】

 

アルフィン【そうですわね……わたくしが知らないような火薬式のものも開発されていますし】

 

大賢者【解、全てが導力式が優れているというわけではありません】

 

アルフィン【大賢者、それはそうですが、このゼムリア大陸には、あの世界のように石油が豊富にあるわけではありません。枯渇したエネルギーをどうするかという問題から生まれたのが、導力エネルギーなのですから】

 

導力革命をあの世界に置き換えれば、まさに産業革命のようなものですわね。

 

ナイトハルト「2つ目は、それと関連する『軍の機甲化』だ。戦車や装甲車に代表される導力車両で構成された『機甲師団』。高い機動力、攻撃力、防御力を三拍子揃えたこの戦術単位は、まさに戦場に『革命』をもたらした」

 

あの世界でも戦車の登場で戦争の様相が大きく変わり、魔法が加わってさらに戦い方が進化したものですわ。

 

ナイトハルト「3つ目は『飛行船』。飛翔機関による重力制御で空を翔ける艦艇の発明だ。これにより、空中をも視野に入れた立体的な戦術・戦略が可能になった」

 

あの世界でも戦闘機や爆撃機の開発で、制空権の重要性が決定的になりましたわ。もちろん、魔法師が空を飛ぶための魔法も開発されましたの。わたくしや達也さんたちと一緒に……。

 

ナイトハルト「そして4つ目。導力技術の進歩によって戦場に大きな変革をもたらした新たな分野が存在する」

 

ナイトハルト教官がキョロキョロと教室を見回していらっしゃいます。なんだか当てられそうな予感が……。

 

ナイトハルト「リィン・シュバルツァー。それが何であるかわかるか?」

 

リィンさんが指名されましたわ。皆の視線が一気にリィンさんに向けられています。この質問の正解は「導力通信」ですわね。

 

リィン「導力通信です」

 

ナイトハルト「正解だ。答えは導力通信。導力波を使った無線通信技術だ。これによって指揮官は戦場において正確な情報を得ることが可能になり、的確に部隊を動かせるようになった。もちろん通信傍受や通信妨害などの対抗技術も生み出されたが……」

 

あの世界でも電波による通信網が張り巡らされ、全てが格段に向上しましたわ。対抗処置も生まれましたが、裏方では魔法や魔術による通信も続けられていましたの。

 

なんだかんだ言っても、このゼムリア大陸の技術はまだまだわたくしの知らないことがたくさんありますわ。大賢者の助けがなければ分からないものも多いですし、ちゃんと勉強してついていかないといけませんわね。

 

抜け出した時に分身に覚えさせた知識もありましたが、後から理解するのも大変でしたので、授業を抜け出すのはもうやめようと思いますわ。

 

この後もナイトハルト教官の軍事学の授業を真剣に聞き、ノートに書き込んでいきました。午後の授業は男子と女子に分かれ、男子は導力パソコンの授業、女子は家庭科室で調理実習ですわ。ただ、貴族クラスのⅠ組との合同授業になっています。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院

 

七耀暦1204年5月22日・昼・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・家庭科室。

 

Ⅰ組とⅦ組の女子に分かれ、それぞれお菓子作りの準備に取り掛かっていますわ。これも栄養学や調理技術の授業の一環ですの。わたくしはお菓子作りの準備をしながら、大賢者と話していました。

 

大賢者【告、共和国のアラミスでは男女共に導力パソコン、家庭科の授業があるようです】

 

アルフィン【そればかりはどうにもなりませんわ。導力パソコンの授業も帝国ではやっと本格的に始まったばかりですもの】

 

大賢者【解、Ⅰ組女子の面々は、ラウラさんが貴族クラスにいないことを嘆いているようですが】

 

アルフィン【それは……】

 

大賢者【解、ラウラさんは自身を高められる場所ではないと思われているようです】

 

アルフィン【入学式のオリエンテーション時にもおっしゃっていましたし、ケルディックの実習でもその意識をお持ちでしたわね】

 

大賢者【解、それにしてもⅠ組女子の面々は口を動かしても手は動かさないようです】

 

アルフィン【まあ、それは……貴族の娘ともなると、お抱えの料理人がいらっしゃいますから、料理をする機会がほとんどないというか……】

 

大賢者【解、貴族の娘というものはそういうものでしょう。ちゃんとした料理人が作ったものを食べるだけですから】

 

アルフィン【大賢者、全ての貴族の娘がそんなわけではありませんわ】

 

大賢者【……解、そうでしたね。貴族どころか皇族の娘が自らの手で料理を振る舞うマスターがそばにいるのに、自分としたことが】

 

アルフィン【わたくしがイレギュラーだと言いたいんでしょう?】

 

大賢者【解、そこまでは言っていませんが、アリサさんたちが何かおっしゃりたいようです】

 

わたくしは振り向くと、アリサさんがこちらを見ていました。

 

アリサ「全くヒソヒソ感じが悪いわね。そう思わない、アルフィン?」

 

アルフィン【アリサさん、気にしないのが一番ですわ】

 

ラウラ「まあ、我らのことが気になって仕方ないのだろう」

 

わたくしたちはⅠ組女子の視線を感じつつも、栄養学と調理技術を学び続けました。もちろん、実践である料理を通じてですわ。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院

 

七耀暦1204年5月22日・夕方

・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・1年Ⅶ組

 

この日の授業を全て終え、ホームルームの時間になりました。今日も色々と学びましたわ。

 

サラ教官が重要な話を始めます。4月の流れから考えると、おそらく……。

 

サラ「今日もお疲れ様。明日は『自由行動日』だから、充分にリフレッシュするといいわ」

 

やはり自由行動日でしたか。ということは、その先に実技テスト、そして特別実習があるということですわね。2回目の特別実習はどこに行くのか、今から楽しみですわ。

 

サラ「ただし、来週の水曜日には《実技テスト》があるんだけど」

 

アリサ「はあ、そろそろかとは思ってましたけど」

 

スハルト「先月のことから考えれば、そろそろだと思ってたが」

 

ハチマン「めんどくせえな。実技テストの後は特別実習じゃねえのかよ」

 

エマ「アハハ、えっと……次の《特別実習》に関する発表もあるんですか?」

 

サラ「ハチマン、嫌がらないの。エマの言う通りで、来週末には実習先に行ってもらうわ。楽しみにしてらっしゃい」

 

ハチマン「サラ教官、その笑みがなんだか不気味だぜ」

 

スハルト「だな」

 

マキアス「ふう……」

 

ユーシス「……フン……」

 

ラウラ「ふふ、楽しみではあるな」

 

ハチマン「ラウラ、なんだか楽しそうでいいな」

 

ラウラ「ハチマン、そなたにはそう見えたのか?」

 

ハチマン「まあな」

 

サラ「まだ話は終わっていないわ。それと来月の半ばだけど……各種高等教育授業の《中間試験》ってのがあるから」

 

エリオット「そ、それもあったっけ」

 

フィー「中間試験……めんどくそうな響き」

 

スハルト「人を《ただの試験》で判断するのはどうなんだろうな」

 

ハチマン「それに関しては同感だな」

 

ガイウス「日々の学習の成果が試されるというわけか」

 

サラ「ま、大変だとは思うけど、せいぜい学業も頑張りなさい。あたしがハインリッヒ教頭にイヤミを言われない程度にはね」

 

サラ教官、前半はいいことをおっしゃっていたのに、後半で台無しですわね。確かにあのハインリッヒ教頭なら言いそうですけど……。

 

リィン「そっちですか」

 

アリサ「その、分からないところを教えてくれたりとは……?」

 

サラ「あー無理無理。そういうのは専門外だから。どうしても教えて欲しかったらマユミの時に行きなさい。彼女ならわからないところは何でも教えてくれるわ」

 

アルフィン【サラ教官、それだとどっちが担任教官だかわからないような……】

 

サラ「うるさいわよ、アルフィン。とにかくHRは以上。マキアス、挨拶して」

 

マキアス「……はい。起立、礼」

 

こうしてこの日の授業とホームルームは終わり、あとは学生寮に帰るだけになりましたが、ENIGMA(エニグマ)に着信が入っていましたわ。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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