アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第2章麗しき翡翠の都編11話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー50ー11話ーアンゼリカと導力バイク。

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院

 

七耀暦1204年5月22日・夕方・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・正門。

 

わたくし、すっかり今日の水泳部活動を忘れていて、ラウラさんにすれ違った際に教えていただきましたの。

 

急いで第3学生寮まで水着を取りに戻り、ギムナジウムへ向かうために走っていたら、正門でリィンさんと鉢合わせしてしまいましたわ。

 

リィン「うん? どうしたんだ、アルフィン。そんなに急いで」

 

アルフィン【水泳部の活動があることを忘れて、水着を持ってくるのをすっかり失念しておりましたの】

 

リィン「そうなのか。いつも準備万端なアルフィンにしては珍しいな」

 

アルフィン【たまに色々と考え込んでいると、つい忘れてしまうんですわ】

 

リィン「そうだよな。5月の実技テスト、特別実習、それにその先の中間試験もあるしな」

 

確かにその通りですわ。でも、タナトスのことやそれ以外にも頭がいっぱいで、水着を忘れるなんて失態を犯してしまいましたの……。

 

リィン「一通り校内を見回ったけど、特別何かあるわけじゃなかったな」

 

アルフィン【リィンさん、ごめんなさいね。わたくしもしっかりやらなければいけなかったのに】

 

リィン「アルフィンは水泳部の活動があるんだろ。俺は別に部活動もやってないし、これぐらいやっておくさ」

 

リィンさんもきっと、マキアスさんのことで悩んでいらっしゃるのでしょうね。

 

なんとか仲直りの糸口が見つかればいいのですが、アリサさんの時とは訳が違いますから、どうなることやら……。

 

リィン「あのさ、アルフィン」

 

アルフィン【はい?】

 

リィンさんがわたくしに話しかけようとしたその時、別の方向から声が掛かりましたわ。

 

クロウ「よう、後輩君共」

 

アルフィン【クロウ先輩……】

 

リィン「あの時の!」

 

わたくしはクロウ先輩の前に出て

 

アルフィン【わたくしたちは、ギャンブルには付き合いませんわよ?】

 

クロウ「ハハ、別に騙し取るつもりじゃなかったんだがな」

 

アルフィン【へぇ〜そうなんですか?】

 

わたくしはジト目で先輩を睨みましたわ。

 

いつも金欠に陥っているようですし、まさかあの時のかすめ取った50ミラで……!

 

ううん、リィンさんからの50ミラも!?クロウ先輩は苦し紛れにこないだの手品の種明かしをされましたが、わたくしは化かされた後に気づいて、悔しかったのですから。

 

答えは巾着袋に落としていただけですしね。

 

クロウ「アルフィン、そんなに怒るなよ。50ミラぐらいすぐに返してもいいんだが……あ、わりぃ、手持ちが10ミラしか入ってねーわ」

 

わたくしは思いっきりため息をついてしまいましたわ。

自分のお財布事情も把握していないなんて、どれだけギャンブルにつぎ込んでいるんですの……?

 

アルフィン【……最初から期待しておりませんわ】

 

リィン「はぁ……まあいいですよ。50ミラくらい大した額でもありませんし」

 

アルフィン【リィンさん、そんなことおっしゃると!】

 

クロウ「お、そうか? だったらありがたく——」

 

クロウ先輩がミラをくすねる発言をしたその瞬間、別の方向から女性の声が響きました。

 

アンゼリカ「こらこら、幼気な後輩たちに厚かましく、たかろうとするんじゃない」

 

シェルファニール「そうですわよ、クロウさん。あなた、同級生からもそうやってたかっているんでしょう?」

 

クロウ「……おっと。現れやがったな、というかシェル、俺はたかってねえぞ」

 

リィン「え?」

 

アルフィン【あれは……】

 

ライダースーツの女性はアンゼリカさん、そして隣にいるのがシェルファニールさんですわ。

 

アンゼリカさんが押して持ってこられているのは……あれはバイクですわね。あ〜あ、わたくし、バイクの血が騒ぎますわ〜!

 

大賢者【告、マスターのバイク愛は分かりますが、あれは導力エンジンで動いている導力バイクといったところでしょうか】

 

アルフィン【導力バイク……確か共和国でもどこかの企業で開発されているという噂がありましたわね】

 

大賢者【解、ただ導力車より需要があるかどうかと言われており、なかなか開発に向けた動きがないとされていますね】

 

アルフィン【需要があるかどうか、わたくしが色々と……】

 

大賢者【解、マスター、会話に入らないでよろしいので?】

 

そうでしたわ。リィンさんたちと話していたんですのね。

 

アンゼリカ「リィン君と、それとアルフィン。トワとジョルジュ、スミレから色々話は聞いているよ。先月の《特別実習》でも見事活躍したそうじゃないか」

 

シェルファニール「そうですわ、ケルディック、パルムの事件をⅦ組のみなさんだけで解決しちゃうなんて、すごいなと思っていましたわ」

 

アルフィン【いえいえ、決してわたくしたちだけで解決したのではありませんわ。皆さんの助力あってのことですから】

 

リィン「アルフィンの言う通りです。えっと今更ですが、自己紹介を。リィン・シュバルツァーです。よろしくお願いします、先輩方」

 

アルフィン【わたくしも。アルフィン・レンハイムです。よろしくお願いしますわ】

 

リィンさんが自己紹介された流れで、わたくしもつい自己紹介してしまいましたわ。

 

アンゼリカさんもわたくしの気持ちを察してくださったのでしょうか、初対面のふりをなさってくださいます。

 

アンゼリカ「アンゼリカ、アンゼリカ・ログナーだ」

 

シェルファニール「私は特別実習日の朝に自己紹介しましたが、改めてシェルファニール・フォン・オルコットですわ」

 

アンゼリカ「よろしく頼むよ、お二人さん」

 

シェルファニール「改めてよろしくお願いしますわ」

 

リィン「ログナーというと!」

 

アンゼリカ「ハハ、さすがに知っていたかい。その当主である侯爵の不肖の娘と言ったところかな。まあこんな格好で好き勝手させてもらっているから、とっくに勘当されていそうだけど」

 

シェルファニール「まあ、普通ならそうですわね。でもそんなところのアンが私は好きですわ」

 

クロウ「お前の場合、格好というより風紀上の問題な気がするんだが」

 

シェルファニール「……風紀上? それはあなたが言いますか? あなたがしでかしたことをスミレがいろんなところに謝罪して回っているというのに」

 

クロウ「うっ、それはだな……そんなことはどうでもいいだろ。ところでゼリカにシェルはこんな時間から遠乗りかよ?」

 

アンゼリカ「ああ、導力エンジンの強化がやっと終わってくれたからね。帝都あたりまで、シェルと二人でひとっ走りランデブーしてくるかな」

 

クロウ「やれやれ、お前はともかく、貴族のお嬢様のシェルを勝手気ままの戯言に付き合わせるとはな」

 

シェルファニール「別に私はいやいやで付き合っているわけではありませんわ。導力バイクが、乗馬とどのように違うのか、感じたいからですわ」

 

アンゼリカ「シェルも君だけには言われたくないだろうけどね」

 

シェルファニール「そうですわ」

 

アンゼリカさんとシェルファニールさんは導力バイクに跨り、アンゼリカさんがエンジンをかけましたわ。

 

アンゼリカさんはともかく、シェルファニールさんはスカートの方は大丈夫なのでしょうか……?

 

アンゼリカさんの背中にぴったりと密着し、前に手を回していらっしゃいます。

 

わたくしも導力バイクに乗りたいという気持ちが、熱くたぎってきましたわ。

 

アンゼリカ「フフッ、それじゃあ。アルフィン、目を輝かせてるみたいだね。いずれ私も依頼を出すから、是非応じてくれると嬉しいな」

 

シェルファニール「私もそのうち依頼を出すかもしれませんわ。もし出した時はよろしくお願いしますね」

 

アンゼリカさんが運転する導力バイクは、エンジンを吹かせながらスピードを上げ、トリスタの方へ走り抜けていきました。

 

アルフィン【……わたくしも導力バイク、運転したいですわ】

 

リィン「……」

 

クロウ「ってアルフィンが導力バイクを運転するのかよっ?」

 

アルフィン【わたくしが運転してはいけないという法律はありませんわ】

 

クロウ「まさか、《導力バイク》に目を輝かせる女子がゼリカたち以外にこんな近くにいるとはな。あれはジョルジュが組み上げたものだ。なかなかロックだろ」

 

リィン「ええ、鉄の馬みたいだ。一般に普及している乗り物じゃないですよね?」

 

クロウ「《ルーレ工科大学》で試作されていたものをジョルジュが完成させてな。パーツの資金はゼリカとシェルが提供して、俺とトワとスミレが製作を手伝ったんだぜ?……あ、スミレは資金と製作の両方を手伝ったんだった」

 

リィン「へぇ〜、やっぱり随分と手がかかっているんですね」

 

アルフィン【みんなで作り上げた導力バイク……なんだか熱いものがきますわ】

 

クロウ「まあ、そういうものだな。熱いものが来るかどうか。さておき、アルフィン、よくそういう言葉が次々出てくるな」

 

アルフィン【そうですか?】

 

クロウ「男に言われるよりかましだかな」

 

リィン「アハハ、そういえば、トワ会長やジョルジュ部長と親しいんですか? アンゼリカ先輩たちも二人から話を聞いたと言っていましたけど」

 

クロウ「ま、全員クラスは違うが1年の時からの腐れ縁でな。っと……アルフィンには自己紹介してたが、お前さんにはまだだったな。2年Ⅴ組所属、クロウ・アームブラストだ。よろしくな、リィン後輩、アルフィン後輩もな。そんじゃ、お先に〜」

 

クロウ先輩はそうおっしゃって、第2学生寮の方へ歩いていかれました。

 

リィン「アンゼリカ先輩、シェルファニール先輩、クロウ先輩か……トワ会長やジョルジュ部長も大した人だったし、士官学院の2年は、やっぱり大物揃いみたいだな」

 

アルフィン【そうですわね。貴族生徒、平民の生徒、共に大粒揃いのようですしね】

 

リィン「そうなんだな。話が変わるけど、アルフィンは水泳部に向かう途中じゃなかったのか?」

 

リィンさんは、わたくしが持っている水着の入った袋を指さしてそうおっしゃいました。あ、アンゼリカさんたちの話に夢中になりすぎて、ついつい忘れていましたわ。

 

アルフィン【あ、話を夢中になりすぎて忘れていましたわ。リィンさん、また後で】

 

リィン「ああ、また後で」

 

こうしてわたくしとリィンさんは、正門前で別れました。

 

ギムナジウムを目指すわたくしと、第3学生寮へ帰るリィンさん、それぞれの道を歩いていくことになりましたわ。




今日は昼投稿です。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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