ケインズ書房→トールズ士官学院・教官室
七耀暦1204年5月23日・朝・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・教官室
わたくしとリィンさんは、教官室へ入りましたわ。ここに来る前に、わたくしたちは『分析・マクロ経済』という図書に目をつけました。このような本を読まれる方は、1人しか思い浮かびませんわ。ええ、サラ教官が一番嫌っていらっしゃる人物……そう、ハインリッヒ教頭です。
ハインリッヒ教頭は政治経済学の教官でもいらっしゃいますから、『分析・マクロ経済』を読まれていてもおかしくありませんわ。
リィンさんがハインリッヒ教頭に話しかけました。
リィン「ハインリッヒ教頭、少しお時間よろしいでしょうか?」
ハインリッヒ「君は……それに……!!……君たちはこの私に何か用かね?」
ハインリッヒ教頭は、わたくしの顔を見て驚きの表情を浮かべていらっしゃいます。
別にそんなに驚かなくてもよろしいのに……ヴァンダイク学院長のように普通にしてくださればいいのですけれど。
リィン「あの、こちらの方をご存知でしょうか?」
リィンさんは、ハインリッヒ教頭に『分析・マクロ経済』の本を見せました。
ハインリッヒ「ふむ、それは私が書店に頼んでおいた図書だが? なぜ君たちが……それを持っているのかね?」
なんだか、わたくしたちが泥棒だと間違えられているような気がしますわね。
ここは少し意地悪に言って差し上げましょうか。
アルフィン【ハインリッヒ教頭、まさかと思いますが、わたくしたちがトールズ士官学院に届いた荷物を勝手に開けたのではないかとお疑いになられているということでしょうか?】
ハインリッヒ「い、いや……そのようなことは申していませんですし……それはその……」
アルフィン【わたくしたちは、生徒会の依頼でケインズ書房さんから、誤送された図書を回収して本来届けられるはずだった図書を届ける依頼ですわ】
ハインリッヒ「……ふむ、そういうことだったのか。事情も知らずに疑ってしまって悪かったね……」
ハインリッヒ教頭は何かブツブツとおっしゃっていますけれど、わたくしの耳には聞こえていますわ。
リィンさんのご実家が男爵家だとか、殿下がこのようなことを……などとおっしゃっているようです。貴族の務め、皇族の務め……確かにそれは大事なことですわ。
ですが、それ以上に誰かが困っているのなら手を差し伸べるのが、貴族や皇族の最も大切な務めだとわたくしは思いますの。ハインリッヒ教頭のお考えが改められるよう、わたくしは祈っていますわ。
トールズ士官学院・教官室→トールズ士官学院・音楽室
七耀暦1204年5月23日・朝・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・音楽室。
わたくしたちが持っている図書の中で、次に近くにいらっしゃると思われる教官は『近代美術全集』を注文された方でしょうね。おそらくメアリー教官ですわ。
芸術学の他に家庭科の教官でもいらっしゃいますし。
リィンさんにも相談した上、音楽室を訪れることにしました。
メアリー「あなたたちは、1年Ⅶ組のリィンさんとアルフィンさん。私に何かご用ですか?」
アルフィン【メアリー教官に伺いたいことがあるのですけど、最近こういうタイトルの本をケインズ書房さんに注文しませんでしたか?】
わたくしは『近代美術全集』をメアリー教官に見せました。
メアリー「はい、確かに注文させてもらいましたが……どうして2人がその本を?」
リィン「はい、実はですね」
わたくしたちはこれまでの事情を説明しながら、メアリー教官に本を手渡しました。
メアリー「なるほど、書店の方に頼まれて2人とも立派ですね」
リィン「いえ、別に大したことでは」
アルフィン【自分たちが好きでやらせていただいているので】
メアリー「ふふっ、謙遜されないでください。それから遅れましたが、わざわざ本を届けてくださってありがとうございます。お2人のおかげで、これからますます授業に励むことができますわ」
リィン「はは、そこまで言ってもらえると俺も嬉しいです」
アルフィン【わたくしもですわ】
芸術学の授業が楽しみになってきましたわ。もちろん家庭科の方もですが。
次に届けられそうなのは『新鮮サイエンス』という本ですわね。これはすぐに誰が注文したのか分かってしまいました。マカロフ教官ですわ。わたくしたちは、マカロフ教官がどこにいらっしゃるのか、通りすがりのマユミ教官に訊きました。
マユミ「マカロフ教官? 彼なら確か屋上にいるわ」
リィン「ありがとうございます」
マユミ「今日も2人で頑張ってるのね」
アルフィン【はい】マユミ「でもあまり無茶をしないことよ」
マユミ教官に一礼して、わたくしたちはマカロフ教官がいらっしゃる屋上へ向かいました。
トールズ士官学院・音楽室→トールズ士官学院・屋上
七耀暦1204年5月23日・朝
・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・屋上。
今日の屋上は穏やかな風が吹き、日差しもちょうどいい温度ですわ。ベンチに横になったら眠くなってしまいそうですわね。
……って、わたくしは何の話をしているのよ。マカロフ教官はあそこにいらっしゃいました。わたくしとリィンさんは、マカロフ教官の前までやってきました。
マカロフ「よう、確かリィンとアルフィンだったか。俺に何か用事か?」
アルフィン【はい、少しよろしいでしょうか?】
リィン「教官に伺いたいのですが……最近こういう本をケインズ書房に注文しませんでしたか?」
わたくしたちは『新鮮サイエンス』の本を見せました。
マカロフ「ふむ、そいつは俺が定期購読をしている科学雑誌の最新号だな。確かに頼んだが……一体どういうことだ?」
マカロフ教官にも事情を説明しながら、本を渡しました。
マカロフ「おお、ありがとさん。しかし、生徒会を通した依頼ねぇ……お前さんたちもなかなか忙しい連中だな」
リィン「ええ……まあ」
アルフィン【まあ、忙しくはありますわね】
リィン「えーと、ちなみに教官はここで何をされているんですか?」
リィンさん、それ聞いちゃうんですか!?
先ほどマユミ教官以外に教えてくださった女子生徒さんのお一人が、世話好きの姪っ子(ミントさん)から逃げるために屋上に逃げてきたんだとおっしゃっていましたわ。それってデリケートな問題ですので、言わないようにしてたんですけど……。
マカロフ「……見てわからないか? サボりに決まってんだろ」
リィン「え?」
マカロフ「……ま、心配されるともクビにならない程度には働いているから問題はねえよ。余計なお世話だが……逆にお前たちはもう少し肩の力を抜いた方がいいんじゃないか? 今日だって自由行動日なんだ。そんな風に気張ってばっかいると身が持たねえぜ?」
リィン「え、ええ、確かにそうかもしれません」
アルフィン【確かに気張ってるように見えるかもしれませんけど、わたくしはちゃんと息抜きはしてますから安心してくださいませ】
マカロフ教官、適当なことばかりおっしゃってるように見えますけど、人のことをちゃんと観察なさっていらっしゃいますわね。
どっかの誰かさんみたいですわ。
マカロフ「まあいい。とにかく雑誌の方は助かった。そんじゃあな」
リィン「は、はい。それでは失礼します」
アルフィン【失礼いたしました】
残りは考えるとも大体誰なのかすぐに分かりますわね。サラ教官とトマス教官でしょうね。
サラ教官はまだ第3学生寮にこもっていらっしゃるはずですわ。
なら先に届けるのは、図書館にいらっしゃる可能性の高いトマス教官ですわ。
リィンさんにもそれを伝えて、図書館へ向かいましょうか。
トールズ士官学院・屋上→トールズ士官学院・図書館
七耀暦1204年5月23日・朝・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・図書館。
図書館を訪れると、独特の紙とインクの匂いがしてきますわ。
勉強に集中しやすい場所ですよね。トマス教官は、やっぱりいらっしゃいました。
あれ? ハチマンさんが一緒じゃないみたいですね。
トマス「おや、リィン君にアルフィンさん。何か私に用事ですか〜? 帝国の歴史について語り合いたいなら、いつでも付き合いますけど〜」
アハハ、トマス教官、帝国の歴史がここまでお好きな方なんて、今まで見たことがありませんわ。
自慢げに帝国史を語る方はいますし、周辺諸国よりも優れているとおっしゃる方もいます。
でもトマス教官は中立的な意見を述べてくださいますし、面白おかしく話してくださいますから、聞きやすいのですわ。
アルフィン【アハハ、トマス教官のお話は聞きたいのはありますが、わたくしたちは今、生徒会の依頼をこなしていまして。ちなみにお伺いしたいんですけど、最近こういう本をケインズ書房さんに注文されませんでしたか?】
『獅子戦役の謎』の本をトマス教官に見せました。
トマス「おお〜これは『獅子戦役の謎』……確かに注文しましたが、どうして君たちがこの本を?」
わたくしたちはこれまでの事情を説明しながら、本を渡しました。
トマス「なるほど〜、そんな事情があったんですかぁ。それはともかく、わざわざ届けてくれてどうもありがとうございます」
リィン「いえ、こちらこそ無事にお渡しできてよかったです」
トマス「ちなみにこの本、その名の通り獅子戦役の様々な謎に迫っていましてねぇ。またいずれ、授業でお取り上げさせてもらうつもりですが、興味があれば喜んでお貸しするので、いつでも言ってくださいね〜」
リィン「アハハ、では機会があれば」
アルフィン【トマス教官が読み終えられたら、是非読みたいですわ】
獅子戦役の謎……どのような内容か、読んでみたくなりましたわ。
元々から獅子戦役は大好きなところでしたから。最後はサラ教官に『嗚呼、帝国旅情』を渡せば、ケインズさんからの依頼は完了ですわ。トマス教官に一礼して、わたくしたちはトリスタにある第3学生寮へ向かいます。
トールズ士官学院・図書館→トリスタ・第3学生寮
七耀暦1204年5月23日・朝
・帝国・トリスタ・第3学生寮・サラ教官の部屋(301号室)
サラ教官のお部屋に入ってみると、まず目に飛び込んできたのは、そこら中に置かれたアルコール飲料の瓶ですわ。サラ教官が大のお酒好きだというのは分かっていましたけれど、ここまでとは正直思いませんでしたわ……。
とにかく、最後の本をサラ教官に届けないと。
サラ「おっーす、少年少女たち。精が出るわね〜」
アルフィン【サラ教官、まさかと思いますが、朝から飲んでいらっしゃったんですか?】
わたくしとリィンさんは、サラ教官をジト目で見つめました。
言い逃れなんかできませんわね。何と言ってもこの部屋からアルコールの匂いがプンプンしますもの。
サラ「なによう別にいいじゃない、あんたあたしの母親なの?」
アルフィン【母親じゃありませんわ、というか、酒癖の悪い娘なんか嫌ですわ】
サラ「何よ、酒癖が悪くて悪かったね、あ〜もう、あたしの部屋で、あたしのビールを飲んで一体全体何が悪いって〜のよう」
リィン「サラ教官、駄々をこねないでください。この本はサラ教官の本ですよね?」
リィンさんは、最後の本『嗚呼、帝国旅情』を見せました。
サラ「あ、それは、私が学院の経費で注文してる?雑誌じゃない。へぇ〜あんたたちも読むんだ?」
アルフィン【まあ、確かに興味をそそる本であることは間違いないですわね】
わたくしたちはこれまでの説明をしながら、サラ教官にも事情をお話ししました。
サラ「ああ、ありがとう。しっかしなるほど〜生徒会の仕事も色々ねーじゃあせっかくだし、さっそく中身を拝見と」
まだわたくしたちがいる時から読み出さなくても……。
リィン「ちなみにサラ教官、それって帝国の旅行雑誌ですよね? 教官用図書というより、プライベート用なのでは?」
あ、それはわたくしも思いましたわ。
アルフィン【まさか、サラ教官……】
サラ「アホみたいなこと言ってないの。これは特別実習のためよ。あんたたちが特別実習に向かう先のことを調べてるのよ、下調べね」
アルフィン【そうだったんですね、ごめんなさい、てっきりわたくしは……】
サラ「わかればよろしい、ふ〜ん、あ、ここの店お酒がおいしそ〜ケルディックで紹介してた地ビールといい、この雑誌は大人向けで親切ね〜」
わたくし信じかけていたのに、やっぱりそういうことだったんですね。
さっきの気持ちは撤回しますわ。特別実習先を調べるというよりも、自分が行きたいところを調べているプライベート用ですわ。わたくしとリィンさんは、ため息をつきながらケインズ書房さんへ報告に戻るのでした。
トリスタ・第3学生寮→トリスタ・ケインズ書房
七耀暦1204年5月23日・朝・帝国・トリスタ・ケインズ書房。
ケインズ「どうやら5冊全部配達し終えたみたいだね。おかげで助かったよ、今日は本当にありがとう」
アルフィン【いえ、お役に立てたのなら何よりですわ】
ケインズ「そうそう、これは私からのせめての気持ちだ。持っていて困るものじゃないし、是非受け取ってもらえるかい」
わたくしたちは、〔撒き餌〕をいただきましたわ。これは釣りに使う時の〔撒き餌〕ですわね。
釣りはやりたいと思っていましたし、ちょうど良かったですわ。
リィン「すいません。ではありがたくいただいておきます」
ケインズ「それじゃあ、改めて今日は本当にありがとう。何かあったら今後ともよろしく頼むよ」
アルフィン【はい、喜んで】
リィン「はい、それではまた」
クエスト・『教官用図書の配達』依頼を完了致しましたわ。
ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?
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1ーエマ
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2ーフィー
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3ートワ
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4ーサラ
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5ースミレ
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6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)