アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第2章麗しき翡翠の都編17話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー56ー17話ー家庭教師とガイウスの絵。

 

エレボニア帝国・トリスタ・川沿いの邸宅前

 

七耀暦1204年5月23日・昼過ぎ・帝国・トリスタ・川沿いの邸宅前。

 

わたくしたちは図書館で導力学を復習した後、川沿いの邸宅を訪れ、メリッサさんにご挨拶を済ませ、エミール君の家庭教師を2人で務めました。

 

エミール君は素直でいい子で、わたくしたちのお話をちゃんと聞いてくださって、本当に良かったですわ。教え方が悪いとおっしゃられると、わたくしたちを紹介してくださったクレイン部長の評価まで下がってしまいますもの。

 

それにしてもエミール君、導力学に詳しかったですわ。まあ、誰しも興味のあるものはすぐに覚えてしまうものですわね。家庭教師の時間、2時間はあっという間に過ぎました。最後にメリッサさんから、エミール君に『教え方が上手い』と褒めていただき、報酬の2000ミラをいただきました。

 

リィンさんは驚いてお返ししようとなさいましたが、わたくしがお話しして受け取ることにいたしましたわ。遊撃士なら受け取れないかもしれませんけれど、あくまでもクレイン部長のアルバイトの代理ですもの。お仕事の対価をいただくのは、何も間違ってはいませんわね。

 

 

クエスト・『代理教師の要請』は無事完了ですわ。

 

わたくしたちは、お二人にお礼を申し上げて、川沿いの邸宅を後にしました。すでに昼過ぎになっていましたので、互いに昼食の休憩を取るため、リィンさんとは一旦別れることにいたしました。

 

旧校舎の探索は、現地集合ということにしてありますわ。探索のメンバーも、旧校舎前で連絡を取った方がよろしいですわね。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・川沿いの邸宅前→喫茶・宿泊・キルシェ

 

七耀暦1204年5月23日・昼過ぎ・

帝国・トリスタ・喫茶・宿泊・キルシェ。

 

わたくしは軽く軽食でもいただこうと、キルシェを訪れました。すると、そこにはあの先輩、クロウ先輩が子供たちとカードゲームを楽しんでいるように見えますわ。……というか、あれはブレードでしょうか。

 

意外と街の子供たちの面倒を見る、いい人なのでしょうか?わたくしに気づいたクロウ先輩が、話しかけてきました。

 

クロウ「よお〜今日もお勤めをしてるのか?」

 

アルフィン【おっしゃる通り、先ほどまでお勤めしておりましたわ】

 

クロウ「そうか、それで一段落したから飯でも食いに来たのか?」

 

アルフィン【そうですわ。午後からは旧校舎の探索もありますし、軽く食事をしようと思ってここを訪れたんですの】

 

クロウ「なるほどな」

 

アルフィン【クロウ先輩、意外と面倒見のいい人なんですね】

 

クロウ「くくくっ、そりゃどうも」

 

クロウ先輩は、街の子供たちと白熱したブレードバトルを繰り広げていらっしゃいますわ。そういえば、ケルディックに向かう途中にリィンさんたちとブレード勝負を致しましたわね。あの時は勝敗は言いませんでしたが、意外にアリサさんが強かったですわ。わたくしは2位でしたけれど。

 

クロウ「よかったらお前もやっていくか? 賭け金が3からだぜ」

 

は? 子供たち相手に賭け事してるんですの!? 先ほどの褒め言葉、撤回しますわ。

 

アルフィン【子供たち相手に賭け事しているんですか!?】

 

クロウ「そんなに怒るなよ、アルフィン。可愛い顔が台無しだぞ?」

 

アルフィン【なっ!?】

 

わたくしは身体が熱くなるのがわかりましたわ。急に真顔でそんなことをおっしゃるなんて、卑怯ですわ。ううん、何を喜んでるんですの。子供たちと賭け事をするなんて、そんなのダメですわ。

 

クロウ「賭けてるっても……飴玉とかなんだけどな。アルフィン、お前さんが心配しているミラの賭け事じゃねえから」

 

アルフィン【……飴玉を賭けてるのですか?】

 

クロウ「そうだぜ」

 

アルフィン【それでも子供たち相手に本気を出して、大人気ないと思わないのですか?】

 

クロウ「あまちゃんだな、アルフィンは。賭け事に大人も子供も関係ねえ。こいつは真剣勝負なんだからよ」

 

わたくしはため息をつきながら、勝負の行く末を見守りました。すると押しているのはクロウ先輩ではなく、子供たちの方でした。そしてまもなく、子供たちが勝利し、クロウ先輩が惨敗した結果となりました。

 

子供たちはクロウ先輩が賭け事に負けて『おやつに苦労はしない』と公言していましたわ。これはこれでどうなんでしょうと、わたくしは思いますけれど。明らかにクロウ先輩が子供たちの手のひらで踊らされているだけですわね。

 

この後、クロウ先輩がわたくしにブレード勝負を持ちかけてきましたけれど、可哀想だったので、勝負をして差し上げましたわ。ただ、勝負の行く末は全てわたくしの全勝ということになりました。そして残りの飴玉をいただくことになりましたわ。

 

それでもこういう賭け事なら、いいのかもしれませんね。

 

あ、わたくしはお昼ご飯を食べに来たんでしたわ。この後すぐにキルシェで軽く昼食をいただくことにいたしました。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・喫茶・宿泊・キルシェ→川沿いの邸宅付近の釣り場

 

七耀暦1204年5月23日・昼過ぎ・帝国・トリスタ・川沿い邸宅付近・釣り場。

 

わたくしはキルシェを出て、士官学院へ歩いていると、エミール君とメリッサさんの川沿いの邸宅付近にある釣り場に、見慣れない男性が釣竿を持って魚釣りをしているのが目に入りましたわ。ケネスさんではないことはすぐにわかりました。その人物はわたくしに気づくと、穏やかに話しかけてきました。

 

ユウ「魚釣りがそんなに珍しいかい?」

 

アルフィン【いえ、決してそんなことはありませんわ】

 

ユウ「学院長や釣り部のケネス君から、いい釣り場所を知らないかと聞いたら、ここだと言われたからね」

 

アルフィン【あ、はあ、そうなんですね】

 

ユウ「あ、自己紹介がまだだったな。俺は今日、士官学院の用務員として赴任してきたユウ・ナルカミだ。よろしくな」

 

アルフィン【ユウさんは用務員さんですか。わたくしは1年Ⅶ組、アルフィン・レンハイムですわ】

 

ユウ「Ⅶ組……」

 

アルフィン【Ⅶ組は特殊なクラスでして……】

 

ユウ「特殊なクラス……」

 

アルフィン【今年できたばかりのクラスでして、あまり認知はされていないかと。それで用務員さんであるユウさんは、なぜここで魚釣りを?】

 

ユウ「なぜって、そりゃ第2学生寮の晩御飯のおかずにしようと思ってね」

 

夜ご飯を用務員さんのユウさんが作るってことですの?

 

確かに第2学生寮は、第1学生寮と違ってメイドや執事がいるわけではありませんし。第3学生寮と同じで、自炊をするか、キルシェか学生会館の食堂で食べるかのどちらかしかありませんわ。

 

アルフィン【ユウさんはお料理の方はできるんですか?】

 

ユウ「まあな。学生時代に料理の方は鍛えられたかな。自分で料理をしないといけない環境になったからさ」

 

アルフィン【なるほど】

 

ユウ「まあ、そういうことだ。これからよろしく頼むよ」

 

アルフィン【こちらこそ、お願いしますわ】

 

魚釣りに真剣な表情の用務員さんのユウさんに一礼をして、わたくしは士官学院の方へ足を向けるのでした。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・川沿いの邸宅付近の釣り場

 

七耀暦1204年5月23日・昼過ぎ・帝国・トリスタ・川沿い邸宅付近・釣り場。

 

アルフィンが士官学院の方へ歩いて行くのを、ユウは静かに見送った。

 

再び水面に視線を戻す。

 

共和国にいた頃はよく釣りをしていたが、帝国ではまだ未知数な部分が多く、どんな魚が釣れるのかわからない。

 

それでも釣りのやり方は変わらない。最近は釣りをしていなかったが、腕が鈍っているわけではない。なんとかなるだろうと、ユウは思っていた。誰もいないことを確認し、ユウは独り言のように呟いた。

 

ユウ「アルフィン・レンハイム……彼女がオリビエ殿下の妹か。なんとなくだが、雰囲気が似ている気がする」

 

ユウはこれまでアルフィンに直接会ったことはなかったが、彼女の噂はかねがね聞いていた。

 

優雅さと謙虚さを兼ね備えた立ち振る舞い、ただものではないという印象は、遠目に見ただけでも伝わってくる。オリヴァルトから聞いた話によれば、彼女が身分を隠してトールズ士官学院に通っている理由は、兄の理念のためだという。

 

共和国のアラミス高等学校やリベールのジェニス王立学園のように、身分に関係ないクラスを作るための架け橋として、妹であるアルフィンを入学させたのだ。

 

ユウ「帝国は、共和国やリベールよりも古いしきたりが生きているようだからな」

 

ユウも、西ゼムリア――いや、ゼムリア大陸全体が激動の時代に向かっていることを肌で感じていた。

 

探偵として表の違和感はもちろん、裏からの不穏な気配も察知している。

 

トオル・アダチを倒した時のような問題とは違う。一個人や数十人が集まったところで、止められるものではない。かつての仲間たちは、それぞれの道を歩み、成功して家庭を築いている者もいる。そんな彼らを再び戦いの世界に引きずり込むのは、ユウの心が痛む。

 

彼らはユウが助けを求めれば必ず来てくれるだろう。

 

だが、ユウは頼らないと決めていた。その分、独り身の自分が頑張ればいい。

 

ユウ「あいつらの家庭を壊すわけにはいかない。ヨウスケやカンジは、水臭いことはいいっこなしって言いそうだが……」

 

真剣に水面を眺めながら、さっきのことを思い出す。

 

ユウ「……そういえば赤だったな……それも薔薇の刺繍が入っていた……ハイカラなパンツだったな……」

 

ユウはさきほど、アルフィンのスカートの中が偶然見えてしまっていた。

 

表情一つ変えずに彼女と話していたため、アルフィン自身も気づいていない。

 

彼は内心で『ラッキーだったな』と思いながらも、第2学生寮の生徒たちのために食料調達を頑張るのであった。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・美術室

 

七耀暦1204年5月23日・昼過ぎ・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・美術室。

 

まだ休憩時間に余裕があったので、わたくしは本校舎をブラブラと歩いていましたら、美術室にガイウスさんが入っていかれるのを見かけましたわ。

 

気になって美術室を訪れることにいたしました。美術室特有の絵の具と紙の匂いが漂っています。みなさんとても真剣に一点を見つめていて、わたくしの来訪にも気づかないほどでしたわ。

 

ガイウスさんは一体何の絵を描いていらっしゃるのでしょう?

 

そう思ったわたくしは、彼の画用紙をそっと覗いてみました。ガイウスさんはわたくしの気配に気づき、穏やかに声をかけました。

 

ガイウス「アルフィンか?」

 

アルフィン【あ、ごめんなさい。お邪魔しました?】

 

ガイウス「気にするな。今、部長の指示でデッサンをやっていてな。枚数をこなして少々疲れて休んでいたところだ」

 

アルフィン【そうだったんですか】

 

美術のことはあまり詳しくありませんけれど、画家さんが枚数を描いて基礎を身につけていくというのは当たり前のことなのでしょうね。あ、そうですわ。ガイウスさんが絵を描いているところを、隣で見てみたい気がしましたわ。

 

アルフィン【あ、そうだ、ガイウスさん、絵を描くところ、隣で見ててもよろしいでしょうか?】

 

ガイウス「なんだ、そういうことか。全然構わないぞ」

 

アルフィン【ありがとう、ガイウスさん】

 

ガイウス「よかったら色々とアドバイスでもしてくれ」

 

アルフィン【アハハ、素人意見なら述べられるかもしれませんわ】

 

わたくしはガイウスさんが描いていく絵を見て、ただただ驚いて声を上げるだけでした。

 

素人のわたくしが口に出せるようなものではないことは、すぐにわかりましたわ。

 

アルフィン【ガ、ガイウスさん、こんなに精巧に描かれていて、すごいですわ】

 

ガイウス「少しは上達していると嬉しいんだが……おかしなところがあったら遠慮なく指摘してくれ」

 

アルフィン【……そうしてあげたいのは山々なのですが……わたくしの目から見れば、今でも十分にすごいことなのですけど……確か、ガイウスさん、故郷の方でも描いていたのですよね?】

 

ガイウス「ああ、独学で風景画などを描いていた。ここの部長には一蹴されてしまったが」

 

アルフィン【え? それはまたどうして?】

 

ガイウス「部長が言うには、オレは『感覚だけで描いていて基本がなっていない』らしい」

 

なるほど、そういうことですね。

 

ガイウス「『見たままを自分のものにしろ』とアドバイスされて、先月からひたすらデッサンを続けている。この間、全部で100枚くらいに到達したところだったか」

 

アルフィン【アハハ、すごいですわね。それを黙々とこなせるガイウスさんもすごいですけど】

 

思えばわたくしも、ひたすら木刀や格闘術の型の稽古をしていましたわね。あの人は口で教えてくれるわけではなく、体で覚えるのが当たり前でしたから。わたくしも我流が多すぎると怒られたことがありますわ。

 

強くなるために自分で試行錯誤して覚えたものも多いですもの。それこそ血がにじむような絶え間ない努力でなし得たことですけど。

 

アルフィン【ガイウスさん、大変じゃありませんか?】

 

ガイウス「ああ、苦はならない。『見たままを自分のものにする』……それはまさに、この国でオレがやりたいことでもあるからな」

 

ガイウスさんの故郷は、わたくしが大好きなノルド高原。帝国側の方はあまりうろうろしていませんけれど、共和国側の方は結構うろうろしていましたわ。観光のつもりでいたのですが、猟兵崩れの方々に絡まれることがありましたからね。

 

共和国側のノルドの方々がよくおっしゃっていましたわ。

 

『ノルドは帝国と共和国の野心が膨らんでいる場所』だと。

 

お互いに軍事基地を設けているぐらい、緊張した場所になってしまいました。

 

アルフィン【ガイウスさんの故郷はノルド高原でしたよね……】

 

ガイウス「そうだな。そういえば、アルフィンはノルド高原の事が大好きだと言っていたな?」

 

アルフィン【ええ、言っていましたわ。あののどかな風景は、心も体も癒してくれますしね】

 

ガイウス「……アルフィン、ノルド高原に来たことあるのか?」

 

アルフィン【え?】

 

ガイウス「集落の誰かが言っていたんだが、『金髪ツインの女の子』に助けてもらったと話していたのを思い出してな。もしかしたら……」

 

アルフィン【……人違いじゃありませんの? わたくしに似た方がいらっしゃるって聞いたことありますし…旅行でノルド高原を訪れたのは、共和国側のクレイユ村ですわ】

 

ガイウス「……そうか、すまない。今のは忘れてくれ」

 

アルフィン【いえいえ、別に気にしませんわ。これ以上邪魔になるわけにはいけませんし、わたくしは行きますね。あ、そうだわ、いつか絵が描けましたらわたくしにも見せてくださいませ】

 

ガイウス「フフ、分かった。いいものを描き上げると約束しよう」

 

アルフィン【ふふっ、楽しみにしてますわ】

 

わたくしはそう言うと、美術室から出ることにしました。❝金髪ツインの女の子❞、実はわたくしなんですよね。あの時は確か、ヴァンさんの4spgのお手伝いでノルド高原の薬草を集めていて、偶然にも魔物に襲われている人を助けました。その時、是非お礼をしたいとおっしゃいましたけど、ノルドの民のみなさんに正体がバレるわけにはいかなかったので、丁重に断って共和国側に急いで戻ったという経緯ですわ。

 

その後、ヴァンさんにそのことを伝えると、『お礼は受け取っておけよ』っておっしゃいましたっけ。それにしてもガイウスさんの絵、どんなものが描かれるのか、今から楽しみですわ。そろそろ休憩時間も終わりそうですし、旧校舎の方へ向かうとしましょうか。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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