エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・旧校舎
七耀暦1204年5月23日・夕方・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・旧校舎前旧校舎付近。
アルフィンたちが去った後、シッポに青いリボンをつけた黒猫がしばらく様子を見ていたが、すぐにどこかへ去ってしまった。
しかし、もう一人、彼女たちを見守っていた人物が木の影にいた。明るい茶色のくせ毛をポニーテールにまとめ、ヘアピンがローマ数字のⅩⅩⅡの形をしている少女。背中には薙刀を背負い、月光館学園を思わせる制服を着ている。彼女の名前はコトネ・シオミ。
帝国の日本人街出身。両親は他界し、借金の形に奴隷商に売られそうになっていたところをトヴァルに救われ、借金も彼が肩代わりしてくれた。それ以来、トヴァルに恩義を感じ、彼のために遊撃士の道を選び、修行のため帝国を離れて遠い地で腕を磨いていた。
去年の終わり頃に帝国に戻り、不思議な能力――ペルソナを身につけた。
遊撃士協会の支部がなくなった帝国でも、ちょくちょくと依頼が舞い込み、帝国中を飛び回っている。もちろんサラの分も含めて。
コトネ「あれがトヴァルさんがサラさんから聞いたって言ってた旧校舎……何だか不思議な力を感じるわね……」
コトネは木の上からでも、旧校舎から放たれる謎の力を感じ取っていた。
コトネ「さっきの生徒さんたちが何か調べていたみたいだけど、中に入ってみないと分からないのかな?」
コトネは木から軽やかに降り、旧校舎の扉に触れてみた。
しかし鍵はしっかり閉まっており、扉は開かない。
コトネ「鍵は閉まってるよね、それが当たり前だし」
それでも扉の向こうから、ただならぬ力が感じられる。何か触れてはいけないような……そんな気さえしてくる。
コトネ「部外者の私が触れていいものではないよね……」
そうは言っても、旧校舎への興味は募る一方だった。
ただ、強行突破は使えない。緊急事態でもない限り使用は禁じられているし、何より近くに知り合いがいるから、派手な真似はできないのが一番の理由だった。そうこうしているうちに、彼女のENIGMAに通信が入った。
コトネ「はい、トヴァルさん!……はい、はい……わかりました。ラクウェルの地下の魔物退治ですね……今から行きます!」
コトネはそう言うと
すると、そこに魔女のほうきのようなものが現れる。
彼女はそれに跨がり、旧校舎の周りを2、3回飛んでから、トリスタから西の方へと飛び去っていった。
エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・旧校舎→本校舎・学院長室
七耀暦1204年5月23日・夕方・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・学院長室。
わたくしたちは、ヴァンダイク学院長、サラ教官、マユミ教官に今回の調査の結果を報告いたしました。
起きたことを洗いざらいにお話しし、もちろんステイルさんも一緒に説明してくださいます。
ヴァンダイク「さらなる地下へと降りる昇降機……まさかそんなものまで現れるとはのう……」
サラ「あたしとマユミが1週間ほど前に調べた時は、確かにそんなものはなかったのに」
マユミ「ええ、私が隅々まで調べましたが、昇降機などはなかったですわ。私たちが調べた後に何か変化が起こったってことなのかしら?」
サラ「むむむ、なんだか狐につままれた感じだわ」
ハチマン「狐って……」
リィン「それに、旧校舎はまだまだ地下に続いているようでした」
ステイル「それに関しても俺もこの目で見たから本当のことだ」
アルフィン【それでも今行ける範囲は第2層まででした。それより下はまだ行けないようですが……】
アリサ「それも結局のところ謎よね……ロックを解除する仕掛けがあったわけではないし」
エリオット「結局、あの旧校舎って地下何層くらいまで続いているんですか?」
ヴァンダイク「いや、そもそも更なる地下が存在するなど、ここ数十年で聞いたことがない。先月までは、確かにオリエンテーションを行った階層しかなかったはずじゃ」
スハルト「それだと存在しないものが突然現れたってことになるんだが……」
ラウラ「しかも❝昇降機❞なんてあからさまな移動手段が用意された上でだ。いくら《暗黒時代》の遺跡とはいえ、どうにも不可解すぎるな」
アルフィン【何かしらの原因は必ずあると思いますが……】
ステイル「ヴァンダイク学院長、そちらは何か心当たりはないのですか?」
ステイルさんがそうおっしゃると、ヴァンダイク学院長は一呼吸置いてから、ある可能性をお話しになりました。
それはドライケルス大帝に関係あるかもしれないということでした。
確かにトールズ士官学院は、ドライケルス大帝が設立した学校ですもの。何かあってもおかしくはないのですけど。
ヴァンダイク「学院が設立されてから、代々の学院長には大帝からの❝ある言葉❞が伝えられておる。あの建物、旧校舎を、❝来たる日❞まで、しかと保存するようにとな」
『来たる日』……一体何のことでしょう?
そのようなことは、お父様からもお兄様からも聞いたことはありませんわね。やはり、トールズ士官学院の学院長にしか伝えられていないのでしょうか。
エリオット「き、❝来たる日❞って何なんですか?」
ヴァンダイク「その言葉の意味するところは未だにわかっておらん。250年前の《獅子戦役》、そして《聖女サンドロット》にまつわる話だという説があるがのう」
アリサ「《聖女サンドロット》……!」
ラウラ「《槍の聖女》リアンヌ・サンドロット……」
ステイル「…………」
ハチマン「…………」
スハルト「確か、《獅子戦役》の時代に大帝と共に『鉄騎隊』を率いて戦場を駆け抜けていた有名な女性だろ」
ラウラ「ああ、それに七耀教会にも聖女として認定されていると聞く。帝国人なら誰もが知っている。歴史上の著名人だな」
ガイウス「辺境にある俺の故郷にもその名前は伝わっているな」
スハルト「帝国のリアンヌ・サンドロット、共和国のシーナ・ディルク、リベールのアリシア2世……西ゼムリアで最も世界に影響を与えた女性って有名な話だしな」
アルフィン【そのお三方に負けないように、わたくしたちも頑張らないといけませんわね】
アリサ「アルフィン、勝手に頑張るのはいいのだけど、他のお二人はともかく《聖女》には、確かに様々な伝承やミステリアスなエピソードがありますけど……それも、あの旧校舎に関係があるということですか?」
ヴァンダイク「確かなことは言えんがのう。だが、最近になって起き始めた異変……かの大帝の言葉が全くの無関係とも思えんじゃろう」
リィン「そうですね……」
アルフィン【大帝の言葉、わたくしも無関係ではないと思いますわ】
獅子戦役やリアンヌ・サンドロットのことを指しているのなら、❝来たる日❞まで保管するように後世の方々に伝えていくものでしょうか?
来たる日……一体何のことを指しているのでしょう?
わたくしたちが色々と考えていますと、サラ教官が明るく言いました。
サラ「ま、憶測の段階だし、気にしすぎることはないでしょ。今後も追々探って行けばいいわ」
マユミ「そうね、憶測で色々決めつけるのは早計だし、もっと調査して色々わかってから判断するのがいいわ」
ヴァンダイク「本当にご苦労だったのう、Ⅶ組の諸君とステイル君……話が長くなってしまったが、心より感謝させてもらうぞ」
エリオット「い、いえいえ! お役に立てたら嬉しいです!」
ステイル「俺の方こそお役に立てたのなら光栄です」
リィン「また何かわかったら、すぐに報告させていただきます」
ヴァンダイク「うむ、期待しておる。しかし、無理はせんようにな」
わたくしたちは、ヴァンダイク学院長、サラ教官、マユミ教官、ステイルさんに一礼して学院長室を後にしました。
エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・学院長室→学院長室前
七耀暦1204年5月23日・夕方・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・学院長室前。
わたくしたちは、学院長室の前で一度集まりました。
アルフィン【みなさん、今日は本当にお疲れ様でした。おかげで助かりましたわ】
リィン「俺からも言うよ。本当にお疲れ様」
アリサ「ふふっ、気にしないで。それにここまで関わったからには、何とか謎を突き止めてみたいわよ」
ラウラ「そうだな……いい修練にもなりそうだ」
スハルト「アリサじゃないが、乗りかかった船だ。最後まで謎を突き止めてやるさ」
アリサ「スハルト、私じゃないがって何よ?」
スハルト「いや、褒めてんだぞ! 俺は」
スハルトさんとアリサさんが言い争っているのを尻目に
ハチマン「俺も調べなきゃいけないしな……どうせお前も調べるんだろ?」
ステイル「もちろんだな」
ラウラ「アルフィン、リィン、これから旧校舎を探索するときは、構わず呼んでくれ。すぐに駆けつける」
エリオット「2人だけに押し付けられないしね。依頼の手伝いとかを遠慮なく言ってね」
アルフィン【みなさん、ありがとうございます】
リィン「ああ、必要になったら頼ませてもらうよ」
ガイウス「それじゃあ、また寮でな」
アルフィン【ええ、今日は本当にみなさんお疲れ様でした】
クエスト・『旧校舎の地下の調査②』は完了致しましたわ。
報酬として、治癒のクオーツを貰いましたわ。
エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・美術室→トリスタ・トリスタ内の道
七耀暦1204年5月23日・夕方・帝国・トリスタ・トリスタ内の道。
アルフィンたちと別れたリィンは、第3学生寮へ帰ろうとしたその時、美術部のリンデから依頼を頼まれ、色々と巻き込まれることになった。
結局、依頼は双子の姉妹、リンデとヴィヴィによるものだった。リンデの依頼にヴィヴィがなりすまして追加依頼を出していたのだ。本人に悪気はないようだったが、リンデはいつも巻き込まれているらしい。そんな二人の依頼をなんとかこなして疲れたリィンは、今度こそ第3学生寮へ帰ろうとした。
しかし、またしても不運というか幸運というか……ラッキースケベのような出来事が転がり込んできた。西トリスタ街道の方からスミレが走ってきて、リィンとぶつかってしまったのだ。
リィン「いたたっ、大丈夫ですか?」
スミレ「わ、私は大丈夫です。ちょっとよそ見をしてたもので……」
リィンは、尻もちをついたスミレのスカートの中が偶然見えてしまい、慌てて目をそらした。
それに気づいたスミレは真っ赤になって足を閉じ、すぐに立ち上がった。
スミレ「み、見ました?」
リィン「いや、あれは不可抗力と言うか……なんというか……」スミレ「あれはよそ見をしてた私が悪いので……」
スミレはアハハと笑いながらも顔を真っ赤にしていた。
リィンはアリサのような反応になるのではないかと身構えていたので、スミレの言い分に少し驚いてしまった。
スミレ「下着が見えるとか、そういうのはもう慣れてますし……」
リィン「な、慣れる? それってどういう……」
スミレ「私、新体操という競技をやっているので、いやらしい目線とか慣れてるんですよね。あ、別にあなたがいやらしいとか、そういうものじゃないですよ」
リィン「あはは……新体操って、貴族の前とかでリボンとか輪っかとかを使って見せる競技のことですよね?」
スミレ「帝国ではそうですよね。共和国では普通に平民の競技でもあるんですよ。あ、ペラペラとお話ばかりしてましたけど、自己紹介がまだでしたね。2ーⅣ組所属、スミレ・ヨシザワです」
リィン「1年Ⅶ組、リィン・シュバルツァーです」
リィンはスミレが共和国からの留学生だと言うことにびっくりはしたが、Ⅶ組の中にも留学生であるガイウスやスハルトやハチマンもいるので、さほど驚きはない。むしろ普通に接しているのだ。
スミレ「噂はかねがね聞いてますよ。リィンさんたちが活躍してくれると、私たちも去年頑張ったかいがありますから」
リィン「去年? ひょっとしてスミレ先輩もトワ会長たちと?」
スミレ「ええ、去年トワたちと色々と頑張りましたから」
リィン「そうだったんですか」
スミレ「みんなが頑張ってる姿、私は見てるから。無理はしないで、自分のできるスピードでやれればいいのよ」
リィン「そう言っていただけるとなんだか気持ちが楽になりますね」
リィンとスミレが会話に盛り上がっていると、後ろから声が掛かった。
クロウ「おっ、スミレが後輩君をナンパか?」
スミレ「ナンパ? 私はあなたじゃないのだからそんなことしないわよ」
クロウ「ほぉ〜リィンをナンパとは……隅に置けないな〜」
スミレ「だから、ナンパじゃないって言ってるでしょ!」
スミレはクロウに足蹴りを入れるが、避けられてパンツをクロウに見られてしまった。
クロウ「スカートでその蹴りはないな。それとも俺に見せてくれてるのか?」
スミレ「そんなわけないでしょ!」
スミレが足を振り上げ、クロウが避ける構図になっていて、それを普通に見ているリィンであった。
リィン「アハハ……スミレ先輩とクロウ先輩って仲がいいんですね」
クロウ「これが仲がいいように見えるのかよ?」
スミレ「私だって、クロウと勘違いされたくないわよ」
リィン「ぴったりですね」
クロウとスミレのやり取りを眺めているリィンであった。しばらくして、二人は第2学生寮の方へ、リィンは第3学生寮の方へ帰るのであった。
ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?
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1ーエマ
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2ーフィー
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3ートワ
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4ーサラ
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5ースミレ
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6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)