アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第2章麗しき翡翠の都編20話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー59ー20話ーアルフィンの葛藤。

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・本校舎・学院長室→本校舎・2階の休憩所

 

七耀暦1204年5月23日・夕方・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・2階の休憩所。

 

みなさんと別れたわたくしは、屋上で深呼吸をしてからギムナジウムへ向かうことにしました。

 

その途中でフィーちゃんと出会いましたので、何かお話でもしようと声をかけてみましたわ。

 

アルフィン【フィーちゃん、ここで何をしていらっしゃるんですか?】

 

フィー「アルフィンか。強いて言うなら昼寝場所探し?」

 

アルフィン【アハハ、お昼寝場所をお探しになられているんですね】

 

わたくしにおっしゃられても、どこがいいのかすぐには答えられませんわね。保健室のベッドでしょうか、それとも学生寮のベッドでしょうか……?そういえば、フィーちゃんのことはあまり知りませんわね。この際だからお話をして、知るきっかけになればいいのですが。

 

アルフィン【フィーちゃん、少しお話ししませんか?】

 

フィー「いいよ」

 

わたくしとフィーちゃんは、向かい合ってソファーに座りました。

 

アルフィン【フィーちゃんは、いつもこの時間ここにいらっしゃるのですか?】

 

フィー「……フィーで構わない。私もアルフィンと呼んでるし」

 

アルフィン【アハハ、そうでしたわね。それじゃあお言葉に甘えて、フィーと呼ばせてもらいますね】

 

フィー「うん。それといつもこの時間にここにいるかって聞いたよね?」

 

アルフィン【ええ】

 

フィー「たまに、来る。どこか適当な場所で寝てることが多いけど」

 

アルフィン【適当な場所って……。フィー、女の子なんですから寝る場所は決められた方がよろしいですわ】

 

フィー「……メンドくさい…それに何もないし。ただ寝ているだけだから」何もないって……士官学院の青春をただ寝て過ごすのももったいない気がしますけどね。

 

確かに人それぞれですから強制はできませんが、フィーにも楽しい思い出を作ってほしいとわたくしは思いますわ。

 

アルフィン【せっかく士官学院に来たのですから、もっと色々とやってみられてはどうです?】

 

フィー「色々って?」

 

アルフィン【そうですわね、勉強や部活、お友達と遊んだり……とか……】

 

フィー「部活ならやってる。これでも園芸部」

 

フィー、園芸部だったんですね。ちょっと意外ですわ。

 

アルフィン【園芸部に入部されていたんですね。ちなみに何の植物を育てていますの?】

 

フィー「まだ自分では……」

 

アルフィン【あ、ごめんなさいね。あ、そうですわ、もし自分で育てられたら見せてくれませんか?】

 

フィー「……ん。アルフィンってなんだか保護者っぽいね。やたらおせっかいというか」

 

アハハ、おせっかいですか。そういえば弟のセドリックにもそう言われたことがありますわ。

 

アルフィン【フィー、ごめんなさいね。ついつい弟のように接してしまって。気分を害しましたら……謝りますわ】

 

フィー「……別にいい。そんなに悪い気はしない」

 

フィーはそうおっしゃると、ソファーから立ち上がり

 

フィー「部活に行くの忘れてた」

 

アルフィン【え!? 忘れていたんですか!?】

 

フィー「園芸部だから割と時間は自由。そんじゃーね」

 

それだけおっしゃると、フィーは窓の方に向かって歩き、窓を開けておもむろに足をかけました。

 

アルフィン【え? そこから飛び降りるんですの!?】

 

フィー「やっ」

 

そのまま中庭へ飛び降りて行きました。

 

わたくしは慌てて窓から中庭を覗き込みました。

 

フィーは見事な着地を決め、そのまま園芸部が活動している花壇の方へ歩いて行ってしまいました。

 

アルフィン【……フィー、やっぱりただものじゃないですわね……】

 

思えば、オリエンテーションの時も、実技テストの時も、フィーはわたくしたちよりも年下にもかかわらず、身体能力がずば抜けていることは分かっていました。

 

生まれ持った能力なのか? それとも……ここから先はあまり言いたくありませんわね。ただ今は、フィーの身体能力の高さに驚いて声を上げるしかありませんでしたわ。

 

それにしてもフィー、下着の方は大人顔負けの黒を身に着けているんですもの……先ほど足を上げた時にちらっと見えたのです。

 

洗濯物で黒の下着が結構干されていることがあったので、てっきりエマさんやサラ教官のものだと思っていましたが、フィーのもあったんですね。わたくしも、黒は似合うでしょうか?そんなことを考えながら、わたくしも水泳部で活動するため、ギムナジウムを目指すのでした。

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮・アルフィンの部屋(307号室)

 

 

七耀暦1204年5月23日・夜・

帝国・トリスタ・第3学生寮・アルフィンの部屋(307号室)

 

水泳部、夜ご飯、お風呂と済ませたわたくしは、パジャマ姿でベッドに腰を下ろしました。そして、ずっと双龍橋の様子を探ってくれていた大賢者に問いかけました。

 

アルフィン【大賢者、首尾はどうでしたか?】

 

大賢者【解、マスター、今日一日双龍橋を探知し続けましたが、頻繁に領邦軍の人間と双龍橋のお偉方が会談していたようです。その会談の場にアルバレア公爵の姿もありました】

 

アルフィン【やはり……アルバレア公爵もその場に……大賢者、会談の内容までわかったのかしら?】

 

大賢者【解、やはり双龍橋に運ばれてきたシャドウと魔獣の合成物を領邦軍の兵器として配備するかどうかで議論をしていたようです】

 

アルフィン【……そのようなモノを領邦軍の戦力にしてはいけませんわ!】

 

大賢者【解、マスター、落ち着いてください。まだアルバレア公爵が双龍橋に滞在しております。それにマスター1人では……私の補佐だけでは守り切れるかわかりません!莫大な力を持つ人物が2〜3人確認できました。一人は死神のエイトです】

 

わたくしは思わずベッドに拳を振り下ろしてしまいました。

 

危険なものが近くにあるとわかっていても、何もできないことが一番腹立たしいですわ!死神のエイト……あの時の彼は本気を出していなかったですわ。そんな彼にわたくしは簡単に翻弄されてしまいました……。

 

彼クラスの人物があと1人か2人いるとなると、全力で戦ったとしてもわたくしに勝ち目はありませんわ。前世で培ってきた力の3割も満たない力で今を戦っています。だからこそ、いろんな戦う術を学んで今に至るわけですけど。

 

大賢者【告、マスター、前にも言いましたが、私自身も全ての力を解放したわけではありません。マスターと一緒で何かしらの力が封じられているようです。前世の力がなくても、この世界で培った力でマスターはこれまで乗り越えてきたじゃないですか】

 

アルフィン【……それはそうですけど、マコトさんを助けるために一度きりの力は使ってしまいましたから】

 

タカヤ司祭の呼び出したニュクスを、自らの命と引き換えに倒した。

 

特別課外活動部の面々が泣き崩れる中、幼きわたくしが一度きりの奇跡の力を使い、ニュクスを自らの大いなる力で冥府の扉の向こうに封じ込め、マコトさんの魂を彼の体に戻したのですわ。

 

それでも彼は衰弱していたことには変わりなく、その後はレミフェミアに運ばれて長期入院を余儀なくされました。

 

しばらくは寝たきりの状態でしたから。

 

そして、2年くらい前から復帰に向けてリハビリをしていて、今年、レミフェミアの学校に再編入されたと、風の噂で聞きましたわ。だって、彼は高校2年生で休学したような形になっていましたから。

 

大賢者【告、マコト氏はレミフェミアの高校でのんびりと学校生活を送られているようですね。向こうで新しい友達もできているようですね】

 

アルフィン【そう、それは良かったわ】

 

あの時、奇跡の力を使ったことは後悔していませんわ。

 

目の前で変わっている人たちがいるなら、わたくしはその力を二度と使えなくなるとしたとしても、困っている人たちに使うことにためらいはありませんわ。

 

それに座標移動(ムーブポイント)未元物資(ダークマター)心理掌握(メンタルアウト)などの、あの世界の学園都市製の超能力は普通に使えますしね。

 

別枠で困ってはいませんし、大賢者も神々や魔王級を倒せる力を失っていても、補助系や回復系、探索系の魔法や魔術は失っていませんし、普通の攻撃魔法や魔術は健在ですしね。

 

普通に格闘術はわたくしの十八番ですが、刀剣術だって一応は使いますしね。

 

アルフィン【それに切磋琢磨していく仲間もいることですし、一緒に強くなっていければいいのですわ】

 

大賢者【解、マスター、その意気です。私は引き続き、双龍橋付近と死神のエイトたちの動向も探っておきます】

 

アルフィン【お願いしますわ】

 

もし何かあれば、匿名であの人たちに流すしかありませんわね。

わたくしよりも強いあの人なら、ちゃんとやってくれるでしょうから。

 

わたくしは、士官学院生として鍛錬と勉学に励まないといけませんわ。

 

それにしてもマキアスさんとユーシスさん、そしてリィンさん……

 

平民と貴族という壁がどうしても障害になってしまいますわね。

 

アリサさんの時のようにお互いが悪いと思って謝るタイミングを逃しているのとは、訳が違いますから。深いため息をつきました。

 

何も策が浮かんでこないですわ。

 

一息つかないと何にもなりませんわ。

 

わたくしは、時間を見てミスティさんのラジオがもうすぐ始まることを確認すると、導力ラジオを机の上に持ってきてスイッチを入れました。

 

 

《アーベントタイム》、先月お聞きした時からすっかりファンになってしまいましたし、絶対に見逃せませんわ。

 

ミスティ【さて、5月は半ばを過ぎて、新緑も盛りとなりましたね。新緑の季節と定番といえば、やっぱりハイキングでしょうか?帝都在住のリスナーさんなら、ガラス張りの植物園でおなじみの《マーテル公園》、もしくは鉄道で足を伸ばして《ルナリア自然公園》というのも私のお勧めですね。《ルナリア自然公園》は管理のためしばらく閉鎖されていたんですが、今月ようやく再開されたそうです

 

ルナリア自然公園、先月の特別実習の最終決戦場所でもあったですわね。設立したての猟兵団が、とある黒幕から命じられて、大市の2人の商人さんの品々を盗み出して《ルナリア自然公園》に隠していたんですわ。領邦軍と猟兵団がグルだったわけですし、クレア大尉とアックア副師団長が来てくれませんでしたら、わたくしたちが捕まっていましたわ。

 

先月のことは、結局のところ猟兵団が勝手にやったことで片付けられてしまっていましたしね。

 

ミスティ【のどかな田園風景を楽しみながら奥深く、神秘の森に足を踏み入れ、帰りはビールで喉を潤す……そんな大人の週末を過ごすのも贅沢でいいかもしれませんね……っていけない。学生のリスナーの皆さんは新鮮なミルクや果物ジュースをどうか楽しんでくださいね

 

わたくしもそのような休日を過ごしてみたいですわ。

 

そもそも前世でアルコール飲料を飲んだことありませんでしたわ。

 

だからこの世界で、絶対に飲んでやる〜って心に決めていますし。

 

わたくしはミスティさんの放送を聞きながら、籠手の手入れをしています。

 

以前なら結構手入れをしていたんですが、今は学業が忙しくてなかなかできませんでしたし、自分の身を守るための得物ですし、ちゃんとしないといけませんわ。

 

ミスティ【さてさて、それでは各地のお便りを紹介させていただきます。まずはバリアハート在住、RN《未来の三ツ星シェフ》さんからー




今日は昼投稿です。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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