エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・グラウンド
七耀暦1204年5月26日・午前・帝国・トリスタ・トールズ士官学院・グラウンド。
よく晴れた日の2時間目、実技テスト。
わたくしたちは体操服に着替え、4月同様にグラウンドにⅦ組全員で集合していました。
今回の実技テストもまた、あの❝動くカカシ❞でしょうか?
サラ教官がニコニコしていらっしゃるのが気になりますわ……
サラ「さあ、先月に続いて《実技テスト》のお時間よ。もう説明は不要でしょうから、とっとと言っちゃいましょうか」
サラ教官が指をパチンと鳴らすと、4月の時の実技テストと同じ、
でもよく見ると何かが違って見えるのは気のせいでしょうか?それでも見慣れないみなさんは驚いていらっしゃいます。
エリオット「あ、相変わらず摩訶不思議っていうか……」
スハルト「おいおい、サラ、先月となんか形が変わっていないか?」
フィー「だね、形が変わっている」
やはり、スハルトさんとフィーは形が変わっていることに気づいていらっしゃいますね。
ハチマン「形が変わってる?……うん?確かに変わっているな。見慣れてる人間が見ればこれは気づくな」
サラ「いちいち言わなくていいの。色々といじるとこんな風に変えられるみたいなのよね〜仕組みの方はさっぱりわかんないけど。マユミならわかるみたいだけどね」
リィン「マユミ教官がわかるのはわかる気がします」
エリオット「確かに……
マユミ教官が確かにわたくしたちにそうおっしゃっていましたし、あのカズヤさんの奥様ですし……わたくしがいたあの世界の真由美もある程度は整備もできていましたしね。それでも最終的なメンテナンスはわたくしがやってましたが。
サラ「さてー始めるわよ。リィン、アルフィン、アリサ、ハチマン、ガイウス、前へ!」
わたくし、また一番手に呼ばれましたわ。まあ、一番手で実技テストを終わらせれば、後はみなさんの実技テストをゆっくり見れるわけですけど。
ガイウス「先鋒か」
ハチマン「しょっぱなからかよ……」
ラウラ「ふふっ、腕が鳴るな、そうだろ、ハチマン?」
ハチマン「……それは、ラウラだけだろ……」
アリサ「ええ、このメンバーなら!」
リィン「安全な態勢で挑めそうだ……!」
アルフィン【先月の特別実習、今月の旧校舎探索で一段と連携プレーに磨きがかかりましたからね】
サラ教官にご指名されましたわたくしたち6人は前に出ました。
わたくしたち6人は、❝動くカカシ❞と対峙します。
今回の与えられた課題は、それぞれの得物と
でもわたくしたち6人なら、先月の特別実習、旧校舎探索で色々と試してきましたから、戦術リンクを駆使しながら見事、以前よりも強く設定された❝動くカカシ❞も簡単に機能停止状態になりましたわね。
わたくしたち6人は、ハイタッチを交わしました。
サラ「うんうん、あんたたち6人、先月よりも格段に上達してるじゃない!特別実習の成果と旧校舎探索の賜物かしら?」
リィン「はは、そうかもしれません」
アルフィン【それは言えてるかもしれませんね】
ハチマン「特別実習はともかく、旧校舎探索では息を合わせられているからな」
ガイウス「いい連携だった」
ラウラ「うむ、もう1戦くらいしてもいいくらいだな」
ハチマン「もう1戦って……そんなの望んでんのは、ラウラとアルフィンだけだろ!?」
アリサ「そ、そうよ、私たちは勘弁してほしいわね」
確かに物足りない気もしますが、ハチマンさん、わたくしたちを戦闘狂みたいに言わないでください!
サラ「さあ、続けて行くわよ!スハルト、エマ、フィー、エリオット、マキアス、ユーシス、前へ!」
スハルト「リィンたちと違って、苦労しそうだな、フィー?」
フィー「うん……」
エリオット「なんだか不安だよ〜」
エマ「ええ……ちょっと不安です」
マキアス「……くっ、とっとと終わらせるぞ!」
ユーシス「フン……貴様が指図をするな」
マキアス「な、なんだと!?」
スハルト「はぁ〜いい加減にして欲しいんだけどな……」
フィー「やれやれ……」
スハルトさんたち6人は前に出られまして、❝動くカカシ❞と対峙されます。
サラ「はいはい、準備はいいわね?始め!!」
6人の実技テストが始まりましたが、わたくしたちとは違い、個人プレイが目立つ戦いでした。
スハルトさんとフィーはお互いに連携攻撃を繰り広げて❝動くカカシ❞を翻弄させていました。
エリオットさんとエマさんは、なんとかマキアスさんとユーシスさんと連携しようとされていましたが、お2人は個人プレイをされていました。
苦肉の策でエリオットさんとエマさんのお2人は、後衛同士で戦術リンクを繋げて、❝動くカカシ❞を苦労の末に倒されました。
辛口評価になりますが、わたくしたち6人のチームプレイからしたら、お話にならないでしょうね。
それでもスハルトさんとフィー、エリオットさん、エマさんの4人は、なんとか戦っていらっしゃいましたから。
サラ「……分かってたけど……ちょっと酷すぎるわねぇ……4人はともかく、マキアスとユーシス、あんたたちはせいぜい反省しなさい。このチームがチームとして力を発揮できなかったのは、2人の責任よ」
マキアス「………くっ……」
ユーシス「………(ギリッ)」
やはり、その評価になりますわね。これが戦場ならその部隊はもう全滅してますから。
リィン「(いつもになく厳しいな)」
アルフィン【(……仕方がありませんわ、あれでは評価されませんわ)】
アリサ「(そうね、今回ばかりは仕方ないかもしれないわね)」
ハチマン「(あいつらがちゃんとやってれば、チームとして機能してたのにな…)」
サラ「今回の《実技テスト》は以上。続けて今週末に行う《特別実習》の発表をするわよ。さ、受け取ってちょうだい」
わたくしたちは、特別実習先が書かれた紙を受け取りました。
『5月の特別実習』
【A班 リィン、アルフィン、エマ、フィー、マキアス、ユーシス《実習地:公都バリアハート》】
【B班 アリサ、ハチマン、スハルト、ラウラ、エリオット、ガイウス《実習地:旧都セントアーク》】
リィン「これは……」
アルフィン【わたくしはA班のバリアハートですか……】
メンバーはほとんど旧B班のメンバー気味ですけど。わたくしとリィンさん、ハチマンさんとガイウスさんを入れ替えただけにしか見えませんわ。まさか厄介事をわたくしたちに押し付けられているような気はしてきましたわ。
今回のB班は、問題なく特別実習に挑めるわけです。
先月のわたくしたち以上に好成績を残される可能性は十分にありますわね。わたくしとリィンさんで、今回のA班を引っ張っていく必要がありますわ。
それでもセントアークの方は、シアゲさんと訪れていますし、先の事件のことがどうなっているのか気になりますが、今はバリアハートの方も十分に気になりますから。
特にタナトス関連で、アルバレア公爵や公爵家、バリアハートの現状がどのようになっているのか、この目で確かめる必要がありますしね。
ガイウス「バリアハートとセントアーク…どちらともよく聞く地名だな」
エリオット「バリアハートは東部にあるクロイツェン州の州都だね……」
アリサ「セントアークは南部にあるサザーラント州の州都になるわ」
ラウラ「そういう意味では双方で釣り合いは取れているはずだが……」
ハチマン「まあ、それはそうだが、まあ別の問題があるよな……」
スハルト「それを言ってしまったら終わりだろうが……触らぬ神に祟りなしだ」
フィー「………それが言えるのは、そっちは悩みがないから……」
マキアスさんがついに堪忍袋の緒が切れたように怒り出しました。
マキアス「冗談じゃない!!サラ教官!いい加減にしてください!!何か僕たちに恨みでもあるんですか!?」
ユーシス「……茶番だな。こんな班分けは認めない。再検討してもらおうか」
お2人は、今の班分けを納得していないようです。お2人とも同じ班なのが嫌なのでしょう。
サラ「うーん、あたし的にはこれがベストなんだけどな。特に君は故郷ってことで、A班からは外せないのよね〜」
ユーシス「っ……」
マキアス「だったら僕を外せばいいでしょう!!セントアークも気は進まないが、誰かさんの故郷よりは遥かにマシだ!《翡翠の公都》……貴族主義に凝り固まった連中の巣窟っていう話じゃないですか!?」
サラ「確かにそう言えるかもね。だからこそ君もA班に入れてるんじゃない」
マキアス「…………」
サラ「ま、あたしは軍人じゃないし、命令が絶対なんて言わない。ただ、Ⅶ組の担任として君たちを適切に導く使命がある。それに意義があるなら……」
サラ教官がそうおっしゃりかけたその時、
スミレ「互いの意見の対立ならまだしも……そのような理由だけで特別実習先を拒むなんて情けないですよ?」
グラウンドの入り口の階段のところから誰かがこちらに向かって叫んでいらっしゃいます。叫んだ後、こちらの方へ走って来られました。赤毛の髪にポニーテールをされていて、そのリボンが赤いです。緑の制服を着ていらっしゃいますから平民の方ですわね。
サラ「スミレ、やっぱり来てくれたのね。まあ来るのは遅かったけど」
リィン「スミレ先輩!?」
スミレ「本当は様子を見るだけで帰ろうと思ったけど、行きたくないから一緒になりたくないからって、駄々をこねてるそこの2人に腹が立ったの。だからここへ来たわけ」
エリオット「リィンもスミレ先輩を知ってたんだ」
リィン「ああ、こないだ知り合ったばかりだけど、エリオットも知ってたんだな」
エリオット「うん、スミレ先輩、たまに僕たち一緒に音楽を演奏したり、ソロで歌ってくれたりしてくれるんだ」
リィン「うん?スミレ先輩は新体操部だよな?」
エリオット「そだね、でも部員が先輩しかいないから1人でずっと練習してるみたい」
リィン「そうなのか」
リィンさんとエリオットさんは、あのスミレ先輩の話をしてらっしゃるようです。それにしてもあの先輩から、カズヤさんやミカさんのような感じがしてくるんですけど、なぜでしょうかね?
スミレ「サラ教官、あの2人は私が直々に教育的指導をしてあげますわ」
サラ「あらっ、やってくれるの?」
スミレ「はい、私はこのⅦ組の前身から関わっていた、トワたちと一緒に築き上げてきたの。それこそ色々あったわ。だからこそ、なめた感じでⅦ組にいるのが許せないの…あなた達の言うことを聞かせたかったら、私を倒してみなさい!」
スミレ先輩から溢れ出るこの力、わたくしの失った力に似ている気がしますわ。思わず大賢者を呼び出していました。
大賢者【解、マスター、この力はなんだかマスターの力に酷似しています。サーチの結果、98%以上マスターと同じ人物だと判明……平行世界のマスターの生まれ変わりの可能性が高いかと】
アルフィン【……つまりミカさんと同じってわけね】
大賢者【解、そうなります】
スミレ先輩をよく見てみると、赤毛に赤いリボン、オーラ、魔力の流れ等でもわたくしと同じですから。
それにあの棒状のもの、おそらくあれは太刀が隠されている可能性が……。
今そんなことは置いといて、スミレ先輩にそうおっしゃられて、マキアスさんとユーシスさんは、彼女の前へ歩いて出てきました。
サラ「女子のスミレにそう言われたら、男の子なら引き下がれないか。そういうのが嫌いじゃないわ。本来ならあたしがやりたかったけど、スミレ、あんたがどこまで成長したのか見てあげましょうか」
スミレ「サラ教官、私のわがままを聞いてくださってありがとうございます」
スミレ先輩は、棒状なものに何かスイッチがあったみたいで、そこをカチッとされましたら、棒状なものが太刀そのものに変わりました。わたくしも思わず驚いてしまいました。
アルフィン【!?】
リィン「え?棒状が太刀に!?」
ラウラ「!!まさか、八葉のモノか!?」
ハチマン「マジかよっ……アイツ以外にもそういう芸当ができるやつがいたのかよ……」
マキアス「…!?」
ユーシス「な……!」
アリサ「リィンと同じ太刀に!?」
スハルト「……まさかな?」
フィー「スハルト、まさかって?」
スハルトさんとフィーは何やらこそこそと話していらっしゃいますけど、あのお2人は何か知っていらっしゃるのでしょうか?
フィー「だとしたら、あの2人は一瞬でやられる」
スハルト「そうだろうな」
お2人がおっしゃってる通りに、わたくしもマキアスさんとユーシスさんが手も足も出せずに倒されることはわかります。すでにスミレ先輩が溢れ出る闘気そのものも全然お2人と違いますわ。
わたくしもそれなりの修羅場をくぐってきましたが、スミレ先輩も同じようにくぐってきた感じがヒシヒシと肌を介して感じています。スミレ先輩は、太刀を鞘から抜き構えに入られました。
マキアスさんとユーシスも互いに構えて、対峙されます。
スミレ「リィン君、八葉のモノ同士でやってみたいから、入ってもらえないかな?」
リィン「スミレ先輩、り、了解です!」
リィンさん、スミレ先輩にご指名を受けて、先輩と戦うことになりましたね。リィンさんが加入したところで、勝率はそんなに上がるわけではありませんね。あの2人よりは戦っていけるでしょうけど、それでもわずかな時間しか……
そして1分にも満たない戦いとなり、マキアスさん、ユーシスさんは天を仰ぐ格好になり、善戦していたリィンさんも片足の膝を地面につけた状態で息を切らしていらっしゃいます。
それに比べてスミレ先輩は、制服姿で戦っているというのに、息ひとつ切らすこともなく制服にちり一つない状態で立っていらっしゃいます。
リィン「はぁ…はぁ…はぁ…スミレ先輩の太刀筋…全然見えなかった」
マキアス「くぅぅっ……」
ユーシス「……馬鹿な…」
エリオット「だ、大丈夫!?」
アリサ「と、とんでもないわね、スミレ先輩」
ガイウス「…あれでも、一応手加減したみたいだな」
スハルト「ああ、手加減どころじゃねえぞ。あの先輩、半分もいや3割も出してないぞ」
フィー「だね、相当手加減されたみたいだね」
ハチマン「とんでもねえ力だが…あの力どこかで感じ見たような……」
ラウラ「あれが八葉一刀流の一端ということか……」
エマ「でも、これで……」
アルフィン【これでマキアスさんもユーシスさんも文句は無いですわよね?】
スミレ「私の勝ちですね。それじゃサラ教官に言われた通りに、A班B班共に週末は頑張って下さいね」
スミレ先輩の笑顔、笑ってるように見えますけど、目が全然笑っていらっしゃらないのが怖いですわ。完全に圧をかけてらっしゃいます。
スミレ先輩は、怒らせてはいけない人物の1人ですわ。
そうわたくしの脳裏に焼き付きましたわ。
ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?
-
1ーエマ
-
2ーフィー
-
3ートワ
-
4ーサラ
-
5ースミレ
-
6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)