アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第2章麗しき翡翠の都編22話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー61ー22話ー不仲の中で。

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮・アルフィンの部屋(307号室)

 

七耀暦1204年5月29日・朝・帝国・トリスタ・第3学生寮・アルフィンの部屋(307号室)。

 

朝からずっとため息が出ます。

 

いつもの鍛錬の時も、シャワーを浴びている時も、特別実習に持っていく荷物の最終確認をしている時も、ため息がずっと出てしまいます。

 

その悩みの種は、マキアスさんとユーシスさんです。実技テストの班分けに異議を唱えられましたが、スミレ先輩に圧倒的な力の差を見せつけられました。

 

お2人はショックをお受けになったかと思いましたけど、それはありませんでした。むしろ対抗心に火がついて、お2人とも別々に鍛錬されています。

 

アルフィン【実習地はバリアハート、貴族派の居城の1つ……】

 

いわば、わたくしにとって敵地視察のような感じでもあります。もちろんマキアスさんも同じようなものですけど。

 

大賢者から、ここ数日間の報告もありました。双龍橋にタナトスの贈り物であるシャドウと魔獣の合成物があります。どこかに運び出されたという動きはないそうです。それでもアルバレア公爵やクロイツェン州領邦軍のお偉い方々は頻繁に来ていたようですが。

 

正式配備が中々決まらないのは、合成魔獣というものの安全性がまだ取れていないのが実情かもしれませんね。大賢者には、ずっと警戒をしてもらっています。バリアハートに向かうわけですし、何かあってからでは遅いですから。

 

大賢者【告、マスター、もうそろそろ部屋を出た方がよろしいかと】

 

アルフィン【分かってるわ、大賢者。引き続き、お願いね】

 

大賢者【了】

 

姿見の鏡で最終確認(身だしなみチェック)を済ませ、Ⅶ組専用のバックと籠手ケースを持って部屋を出ました。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮

 

七耀暦1204年5月29日・朝・

帝国・トリスタ・第3学生寮・1階の玄関前

 

第3学生寮の3階も2階も静けさが広がっていますね。おそらくみなさんはとっくに部屋を出ていらっしゃいますわ。

 

わたくしは急いで階段を降りて行きます。

 

すると玄関のところに、わたくしたちA班のみなさんがいらっしゃいました。相変わらずマキアスさんとユーシスさんは、互いに顔も合わせず反対の方向を見ていらっしゃいます。リィンさんもエマさんも苦笑いをしていらっしゃいます。フィーは鬱陶しそうな表情をされていますね。

 

アルフィン【みなさん、おはようございます】

 

リィン「おはよ、アルフィン」

 

エマ「アルフィンさん、おはようございます」

 

フィー「おはよ、アルフィン」マキアスさんがリィンさんに向かって

 

マキアス「先ほどは言い忘れたが、君のことだって仲間と認めたわけじゃない。同じ班になったからと言って、馴れ馴れしくしないでもらえるか?」

 

リィン「マキアス……」

 

ユーシス「フッ……副委員長殿は随分と粘着質なことだ」マキアス「なんだと……!?」

 

アルフィン【いい加減にしてください!!出発前からこんなところで争いをして……みっともないですよ!】

 

わたくしは、マキアスさんとユーシスさんの間に入って諫めました。お二人ともひるんだ表情になっていますけど、不服はあるようですね。それを見たリィンさんが

 

リィン「……みんな揃ったことだし、時間はまだあるけど、駅の方に行こうか」

 

ユーシス「別に構わん」

 

マキアス「僕も異存はない」

 

そうおっしゃってお二人はバラバラに第3学生寮から出て行かれました。わたくしはまたため息が出てしまいました。

 

エマ「あはは……」

 

アルフィン【これじゃあ先が思いやられますわ】

 

フィー「……それじゃあ、レッツゴー」

 

なぜだかトリスタ駅に向かうだけですのに、足取りが重いのはあのお二人のせいでしょうか。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮→トリスタ駅内

 

七耀暦1204年5月29日・朝・帝国・トリスタ・トリスタ駅・駅内。

 

わたくしたちがトリスタ駅へやって来ますと、待合室にはB班のアリサさんたちがいらっしゃいました。アリサさんたちは切符も買われていて、セントアークに行く列車を待っている状態ですね。アリサさんたちがわたくしたちに気づかれて

 

ハチマン「そっちも来たか」

 

アリサ「あら、貴方たち」

 

エリオット「おはよう、そっちももう出発なんだ?」

 

リィン「ああ、昼前には到着しておきたいからな」

 

アルフィン【B班のみなさんは切符はもう購入されているんですね】

 

スハルト「まあな。帝都方面に向かう列車が頃合いよく来る頃だからな」

 

ラウラ「我らが向かうセントアークとそちらのバリアハートは大体同じくらいの距離か」

 

エマ「ええ、どちらも特急を使えば5時間くらいだったと思います」

 

エリオット「うーん、そんなに長い間列車に乗ったことなんてないからちょっと楽しみなんだけど……」

 

スハルト「長距離の列車移動なんてケツが痛いだけだぞ」

 

アルフィン【あはは……そうですわね】

 

アリサさんたちは、マキアスさんとユーシスさんが気になっているようで、そちらの方に視線を向けていらっしゃいます。そして呆れのような感じでおっしゃっていますわ。わたくしたちも何とかしたい思いはあるんですけど、なかなかうまくいかないのが現実ですよね。

 

貴族と平民……

 

この問題はそう簡単に解決しないものですから。

 

そしてガイウスさんとハチマンさんがわたくしとリィンさんの前にやって来られて

 

ガイウス「(リィン、アルフィン。お前たちならやれるはずだ)」

 

ハチマン「(そうだな、ガイウス。お前たちは似たようなもんだ。あの2人の仲立ち……俺やガイウスには無理だったが、お前たち2人ならやれると思う)」

 

リィン「(ハチマン、それってどういう?)」

 

ハチマン「(……)」

 

ハチマンさんが何かおっしゃったと同時に駅のアナウンスが鳴りました。

 

まもなく2番ホームに帝都行き、旅客列車が到着します。ご利用の方は連絡階段を渡ったホームにてお待ちください

 

スハルト「来たな、ほら、俺たちは列車に乗り込むぞ」

 

エリオット「あ、うん」

 

アリサ「えっと、それじゃあ行くわね」

 

ラウラ「女神の加護を。お互い頑張るとしよう」

 

リィン「ああ、そうだな」

 

アルフィン【お互いに女神の加護を】

 

エマ「そちらこそ気をつけて」

 

フィー「じゃね」

 

B班のアリサさんたちは、そうおっしゃると到着した帝都行きの旅客列車に乗って行かれ、すぐに列車は出発して行ってしまいました。

 

しかし、ハチマンさんもガイウスさんも、あれって何をおっしゃろうとしたんでしょうか?あれは、わたくしとリィンさんに向けての言葉でもあったのでしょうか。

 

わたくしたちもバリアハート行きの列車の切符を購入して、列車が来るのを待ちました。アリサさんたちが出発してから15分程度でバリアハート行きの列車が到着し、わたくしたちは列車に乗り込みました。待ってる間の雰囲気は最悪というものでしたわ。列車に揺られた約5時間、前回より重くなるのは間違いないでしょうね。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ付近

 

七耀暦1204年5月29日・朝・帝国・トリスタ・東トリスタ街道付近上空。

 

アルフィンたちA班がバリアハート行きの旅客列車が出発した後、トリスタ上空から気配と姿を消してそれを見ていた人物がいた。その人物はコトネ・シオミである。彼女はほうきに跨がった状態で、アルフィンたちの行き先を見守っていた。

 

コトネ「トールズ士官学院特科クラスⅦ組、特別実習先に両班とも向かいましたね。私はバリアハート行きのA班を見守ることでしたっけ」

 

バリアハート——コトネはその名前を心の中で繰り返した後、真剣な表情になった。

 

バリアハートから、彼女の方へと嫌な空気が流れ込んでくるからだ。

 

コトネ「……トヴァルさんはセントアークでしたね。バリアハートと比べても、全然嫌な空気が違う……」

 

コトネはトールズ士官学院の旧校舎の方を見た。

 

こないだ来た時と気配は変わっていないことを確認し、それから士官学院の方へ視線を移す。

 

彼女の目に、二人の人物の姿が映った。

 

まず一人目。それは、第2学生寮の前で掃除をしている人物——ステイルだった。

 

コトネ「あの人って確か……」

 

コトネは、修行の旅をしていた頃、アルテリアで見かけたことがあった。直接会ったことはないが、彼のことは後々知ることになったのだ。

 

コトネ「やはり、七耀教会もあの旧校舎に着目してるってこと?」

 

二人目。

 

キルシェから箱に入った食材を持って第2学生寮へ戻ろうとしている人物——ユウ・ナルカミだった。

 

コトネ「彼は、共和国で探偵をしているナルカミ探偵!? なんで彼が士官学院に?」

 

コトネは七耀教会の人間がいるのだから、共和国の人間がいてもおかしくないと思い始めた。

 

そして、いろんな機関があの旧校舎を調べようとしているのではないかと考えた。

 

彼女自身も、あの旧校舎にますます興味が出てきたのだ。

 

コトネ「あの旧校舎のことは一旦置いといて、今は……」

 

コトネはバリアハートの方角を見ながらそう呟いた。

 

今は与えられた依頼を淡々とこなすだけ。旧校舎のことは後からでも調べられるのだから。そして彼女はバリアハートの方へ飛び去っていった。

 

しかし、陰ながらそんな彼女を見ていた人物が一人いた。それはスミレである。

 

スミレ「さっきの女性、魔女?」

 

スミレは帝国の魔女伝説は聞いたことがあったが、実際に見たことはないので、それが帝国の魔女なのかわからない。

 

手がかりはほうきに跨がっていたというところで、魔女なんじゃないかと推測はできる。

 

そして不思議な力を使って姿や気配を消していたところを見ても、魔女ではないかと推測できる。

 

スミレも最初からコトネを捉えていたわけではない。何か違和感を感じて、仮面をつけてヴァイオレットになって分かったことだからだ。

 

スミレ「向こうも私に気がついていなかった。うまく姿と気配を消せてるってことよね」

 

相手に悟られないような鍛錬を積んでいた。姿だけではなく、気配も消せるような鍛錬をここ最近はそればかりやっていたのだ。もちろん新体操の練習とは別にだが。

 

スミレ「今回は帝国にいる遊撃士の方々がⅦ組を今から守ってくれる手はずになっているはず」

 

前回のように共和国やリベールの遊撃士でなく、帝国の遊撃士がⅦ組を陰から見ることになっている。彼らも自分たちの仕事を持っているため、今回は来れなかったようだ。

 

スミレ「さっきの女性、帝国の遊撃士なんでしょうか?」

 

スミレは、後からサラ教官に確かめてみることにして、急いで第2学生寮へ戻ることにしたのだった。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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