アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

70 / 94
第2章麗しき翡翠の都編27話です。


第2章ー麗しき翡翠の都編ー66ー27話ーこの国の現状。

 

エレボニア帝国・バリアハート・職人街・宝飾店ターナー→北クロイツェン街道

 

七耀暦1204年5月29日・昼・帝国・北クロイツェン街道・その途中。

 

わたくしたちは、クルスさんのおっしゃった通り、街道の近くを目を凝らしながらみんなで樹精の涙(ドリアード・ティア)を探しています。

 

もちろん大賢者にも探索を手伝ってもらっています。本来なら双龍橋とオーロックス砦を見張ってて欲しかったですが、樹精の涙(ドリアード・ティア)探索をお願いしました。時間が限られている上、依頼主様が旅行客のベントさんであるため、今の時間帯が見つけられなければ、依頼は達成できませんから。

 

大賢者【告、マスター、街道から上がったちょっと小山になったところの木に樹精の涙(ドリアード・ティア)があります】

 

アルフィン【ちょっと小山になった場所?】

 

わたくしは、第3の眼でもう一度その辺りを見てみます。するとそこには樹精の涙(ドリアード・ティア)が輝きを放っています。

 

以前見つけた樹精の涙(ドリアード・ティア)よりも輝いているようにも見えますね。わたくしはみなさんに偶然見つけたように説明し、そこへ案内します。

 

リィン「これが樹精の涙(ドリアード・ティア)……すごく綺麗だな」

 

エマ「この輝き、間違いないと思います。それにしてもアルフィンさん、よく見つけられましたね」

 

アルフィン【ふふっ、ベントさんの婚約者さんが樹精の涙(ドリアード・ティア)の指輪で喜んで欲しいですからね】

 

エマ「確かにそうですね」

 

リィン「よし、じゃあ傷つけないように幹から剥がすとするか」

 

わたくしたちは、慎重に樹精の涙(ドリアード・ティア)を幹から取り出しました。

 

フィー「向こう側が透けて見えるね」

 

ユーシス「七耀石に勝るとも劣らない輝き……確かにその通りらしいな」

 

エマ「はい、これで指輪が作ったらきっと素晴らしいものになりますよ」

 

アルフィン【ええ、素晴らしいものになりますわ】

 

マキアス「フフ、ベントさんの喜ぶ顔が目に浮かぶな。それにしてもあの男、嘘は言っていなかったようだな」

 

リィン「そうだな…何が目的なのかいまいちわからないが…まあ細かいことは考えないでおこう」

 

フィー「賛成、早く帰ろ」

 

エマ「ふふっ、では戻りましょうか」

 

わたくしたちは、バリアハートに戻るために来た道を戻ろうとした時、わたくしの脳裏にある光景が広がりました。

 

それは……とある貴族が樹精の涙(ドリアード・ティア)を飲み込む光景でした。

 

え?何、この光景はっ!?ベントさんのために取ってきました

樹精の涙(ドリアード・ティア)が何故、貴族の殿方に?

 

大賢者【告、マスター、落ち着いてください】

 

アルフィン【大賢者、これは一体何なの?】

 

大賢者【解、マスター、これはマスター自身が前世身につけていたスキル、未来予知、危険探知が発動したと思われます。おそらく宝飾店《ターナー》に戻った後の光景だと思われます】

 

アルフィン【……つまり、わたくしたちが《宝飾店ターナー》に戻ればこのようなことに?】

 

大賢者【解、未来予知のスキルが見せたということはそういうことではないでしょうか】

 

アルフィン【……わたくしたちと入れ替えで貴族の殿方がやってきて…】

 

これじゃベントさんのために採取した樹精の涙(ドリアード・ティア)が何も苦労していない貴族の殿方に奪われることになりますわ。

 

でもどうしたら?2つ目の樹精の涙(ドリアード・ティア)なんて見つけられる時間はもう無いわ。

 

大賢者【告、マスター、ご安心を。樹精の涙(ドリアード・ティア)をもう1つ見つけておきましたので】

 

アルフィン【な、なんですって!すぐに取りに行かなければ!】

 

わたくしはその場所へ向かおうと大賢者に言おうとしたら

 

大賢者【解、マスター、もう1つの樹精の涙(ドリアード・ティア)は制服のポケットに入っていますよ。座標移動で密かに入れましたから】

 

大賢者にそう言われて、上着のポケットを探ってみると、そこには樹精の涙(ドリアード・ティア)の塊がありました。

 

大賢者【解、探知で探していましたところ、奥の方にも1つあったので、念のために採取してましたが、よかったっていうことですね】

 

アルフィン【…ええ、ブルックさんやベントさんを悲しませたくはありませんし、何より婚約者さんが悲しむようなことあってはならないですから】

 

するとフィーとエマさんの声が聞こえてきました。

 

フィー「アルフィン、どしたの?」

 

エマ「アルフィンさん、具合が悪くなったんですか?」

 

アルフィン【う、ううん…()()()()()に感謝してたのですわ】

 

エマ「樹精の涙(ドリアード・ティア)は自然の産物ですからね」

 

こうして、わたくしたちはバリアハート職人街の《宝飾店ターナー》へ向かうことに。未来予知のスキルが見せてくれた通りだとしたら…すでにあの貴族の殿方は…

 

バリアハートに戻る途中にクロイツェン州の領邦軍の戦闘車部隊が、バリアハートに向かってました。あれはおそらくオーロックス砦方面へ向かう戦闘車部隊か何かでしょう。

 

やってきた方面はケルディック方面ですか…

 

ユーシス「さっきのはケルディック方面からバリアハートの本隊に戻るとこだったんだろう」

 

リィン「なるほどな…さっきの車両は初めて見たけど」

 

フィー「ラインフォルトの新型装甲機動車みたい。戦車には火力で劣る分、機動力で勝る最新戦闘車両」

 

フィーのそういうミリタリーの知識には驚かされますわね。

 

マキアス「フン、かなりのミラがかかっていそうだな」

 

エマ「フィーちゃん…詳しいんですね」

 

フィー「ま…ね」

 

ユーシス「……とにかく、街道の用は済んだ。俺たちも街に戻るぞ」

 

リィン「ああ、そうしよう」

 

わたくしたちは、宝飾店《ターナー》に向かうことにしました。

 

 

エレボニア帝国・バリアハート・北クロイツェン街道→バリアハート・《宝飾店ターナー》

 

七耀暦1204年5月29日・昼・帝国・バリアハート・職人街・宝飾店《ターナー》

 

わたくしたちは、早くブルックさんとベントさんにご報告がしたくて、足取りはやや速めに来てみたのですが、店の雰囲気がなぜかどんよりと言うか、何か負のオーラが漂うような感じになっていました。やはり、未来予知で見せてくれた貴族の殿方……が。

 

ブルック「あ、みなさん……」

 

ベント「……」

 

リィン「えっと、どうかしましたか?」

 

ブルック「その……とりあえず約束の品をいただけますか?」

 

リィン「……??…はい、では、お渡しします」

 

リィンさんはブルックさんに樹精の涙(ドリアード・ティア)をお渡しになりました。あの表情の暗さはすでにとある貴族の殿方が何かされたのでしょう。

 

ブルック「さてと……」

 

???「おい、店員、何をしている!品が手に入ったのなら、さっさとよこさんか」

 

貴族の殿方、メイドまで連れてすでにここにいらっしゃいましたか。なるほど、横暴な態度で樹精の涙(ドリアード・ティア)をブルックさんたちから奪い取ったのでしょう。

 

この国では貴族に平民が逆らえるわけではありませんからね。帝都ならいざ知らず、バリアハートならなおさらですが。未来予知で見せてくれたとはいえ、腸が煮えくり返るということはこのようなことですわ。わたくしは誰にもわからないように拳を作っていました。

 

エマ「え……どういうことですか?」

 

ゴルディ伯爵「全く……ぐずぐずしよってからに。これだから平民の連中はなっていないのだ」

 

ブルック「あの、お持ちしました」

 

樹精の涙(ドリアード・ティア)は、ブルックさんから貴族の殿方に渡されました。

 

ゴルディ伯爵「ほう、これが……」

 

ノーラ「はい、正真正銘樹精の涙(ドリアード・ティア)で間違いありません。少々硬いと思われますが……元は樹液なので、直接摂取して問題ないかと」

 

未来予知で見てた光景とはいえ、わたくしの我慢の堪忍袋が破れそうですわ。ベントさんが婚約者のために指輪を作るために、女の子の夢のために……それをお世辞でもイケメンと言えず、イケおじとも言えずな中年の殿方が!!

 

大賢者【告、マスター、落ち着いてください。マスターが暴れて何か解決になるので?それとも正体明かしてあの貴族を黙らせるおつもりなのでしょうか?】

 

アルフィン【………こんなところで正体を明らかにするつもりはありませんわ】

 

大賢者【解、なら大人しく成り行きを見るしかありませんよ。それに何のために2つ目の樹精の涙(ドリアード・ティア)を手にしたんですか?】

 

アルフィン【……言われなくてもわかってるわ】

 

フィー「(今、摂取って言った?)」

 

アルフィン【(ええ、言いましたわ)】

 

リィン「(アルフィン!?なんかの聞き間違いじゃ?)」

 

ゴルディ伯爵「ふむ、なるほどな」

 

この貴族の殿方は、口を大きく開くと樹精の涙(ドリアード・ティア)を口の中に入れました。

 

リィン「え?」

 

エマ「え……!」

 

マキアス「何てことを……!」

 

聞きたくもない咀嚼音を鳴らして、気持ちよく食べている貴族の殿方。飲み込んだ後に最高みたいなことを口にしていましたが、わたくしたちからしてみれば、不快でしかありませんから。

 

マキアスさんがたまらずに

 

マキアス「貴様!自分が一体何を!」

 

ゴルディ伯爵「今、わしに向かって❝貴様❞と言ったか?」

 

マキアスさんが貴族の殿方に標的にされますわ。なんとかしないと。

 

アルフィン【……❝貴様❞って口を滑らせたのは、わたくしですわ】

 

マキアス「……!アルフィン!?」

 

わたくしはマキアスさんの前に立ち

 

アルフィン【……貴族だからって、何をしても許されるわけではありませんよ?】

 

わたくしは、貴族の殿方を睨みつけました。本来なら目立つ行為は控えなければならないのですが、この場合は致し方ないですわ。

 

ゴルディ伯爵「……平民の小娘が何を……あが……」

 

貴族の殿方が何かおっしゃりそうになりかけましたので、心理掌握(メンタルアウト)でさっさと帰らせようと思いましたが、ユーシスさんを見た貴族の殿方がそれまたびっくりするような態度でペコペコされていましたので、それはそれで滑稽な姿でしたわ。

 

ユーシスさんがなぜこういうことになったのか説明を求めたので、渋々と貴族の殿方とメイドの方が話してくれました。

 

樹精の涙(ドリアード・ティア)は、ブルックさんとベントさんとで、正式な契約を結んだと主張、対価にミラを払ったみたいです。

 

そう言われると、これ以上は論理することはできませんね。なぜ食べたのかと言われて、今度はメイドさんが話してくれました。

 

ノーラ「樹精の涙(ドリアード・ティア)が東方では、漢方薬として利用されているからです」

 

アルフィン【……東ゼムリアや東方移民街では、漢方薬として流通しているというわけですね】

 

フィー「で、何に効くの?」

 

ノーラ「はい、主な効果は滋養強壮剤となりますが……一説には若返りの効果すらあると言われています」

 

エマ「わ、若返り……」

 

若返り、そのような薬を巡っていた人たちはいろんな世界にいましたわね。あの世界の学園都市でもそのような薬を作ろうとしていた輩がいましたね。

 

ユーシス「フン、くだらんな」

 

ゴルディ伯爵「と、ともかく……この場は失礼させていただきます。ユーシス様もこのことは何卒」

 

ユーシス「ああ、分かったからさっさと行くがいい」

 

ゴルディ伯爵「ご配慮痛み入ります。では」

 

ノーラ「失礼いたします」

 

貴族の殿方とメイドの方は、そそくさと帰ってきました。2度と見たくない面でしたわ。

 

マキアス「お騒がせしてすいませんでした。アルフィン、あの時は」

 

アルフィン【別に気にしていませんわ。わたくしもぶん殴ってやりたい気持ちでしたから】

 

マキアス「アルフィン……」

 

ユーシス「フン、お前たちの気持ちもわからないではないが、ここでは大人しくしているのが一番ということだ。前にも言った通りに連行されたくなければな」

 

ベント「……ああ、いや……それより何の説明もなしにあんなものを見せてしまってすまない。君たちがせっかく手に入れてくれたのに……」

 

アルフィン【ちょっとよろしいですか?】

 

ベント「何だい?」

 

アルフィン【樹精の涙(ドリアード・ティア)がもう1つあったとしたらどうします?】

 

ベント「へ?」

 

エマ「アルフィンさん?何をおっしゃってるんです?」

 

マキアス「僕たちは1つしか見つけてないだろ?周りにももう1つなんてなかったぞ?」

 

フィー「……あの時、どこか見てた時に?」

 

アルフィン【フィー、正解ですわ、みなさんがバリアハートに戻りかけた時に街道から見えないところに隠れてあったんですの】

 

わたくしは、樹精の涙(ドリアード・ティア)をハンカチに包んでみなさんに見せました。

 

エマ「先ほどの樹精の涙(ドリアード・ティア)と輝きが全く違いますね」

 

フィー「うん、透き通る透明さも全然違う」

 

リィン「よく見つけられたな」

 

アルフィン【ふとした時に一瞬何か輝いたように見えましたからね】

 

マキアス「観察力か……」

 

アルフィン【ブルックさん、ベントさん、樹精の涙(ドリアード・ティア)です。お受け取りください】

 

ブルック「……確かに樹精の涙(ドリアード・ティア)……それも今までのを見たことがない輝きを放っている」

 

ベント「しかし、それに対しての対価が払うことができない、そうか、あの貴族からもらったミラで!」

 

アルフィン【わたくしたちは、対価をもらうためにやったんじゃありませんわ。あくまでも特別実習の過程でやったんですわ】

 

ベント「それじゃあ、自分の気持ちが」

 

アルフィン【それでしたら1つ約束してください。樹精の涙(ドリアード・ティア)で作った指輪で、婚約者の彼女を絶対に幸せにしてあげること、これがわたくしが求める対価ですわ】

 

ベント「ああ、必ず幸せにする!」

 

ベントさんから新たなる決意が語られ、ブルックさんも彼と彼の婚約者のために最高の指輪を作ることを約束してくれましたわ。ブルックさんから依頼の報酬をいただきました。

 

これ以上はわたくしたちが何かできるわけでもありませんし、宝飾店《ターナー》から出ようとしましたら、先ほどのボサボサの眼鏡の男性がまだいらっしゃったのか、話しかけられてきました。

 

アキラ(レン)「どんな結末になるかと思ったが、まさか最後にどんでん返しがあるとは思ってもいなかった」

 

リィン「まだいらしたんですね」

 

アキラ(レン)「そうだな、店員に聞いたのだが、君たちは士官学院の生徒でこの町へ実習に来ているそうだな。人生とはなかなかうまくいかないものだが、だからこそ面白いものでもある。貴族の茶番はひどいものだったが、最後にいいものを見せてもらった」

 

アルフィン【それはどうも】

 

アキラ(レン)「まだまだ君たちと喋っていたいと思ったが、そろそろ俺も次の町へ行かないといけないからな。まだどこかで会うこともあるだろう」

 

クルスと名乗ったその男性は、そうおっしゃって宝飾店《ターナー》から出て行かれました。わたくしたちも次の依頼をこなすために宝飾店《ターナー》を出ることにしました。

 

 

クエスト・『穢れなき半貴石』依頼を達成しましたわ。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。