アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第3章鉄路を越えて編7話です。


第3章ー鉄路を越えて編ー83ー7話ーシャロンとアリサ。

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮

 

七燿暦1204年6月20日・朝 帝国・トリスタ・第3学生寮・広間。

 

今日の朝から自炊しなくてよくなったのは、本当に助かりました。ついに第3学生寮にシャロンさんが来てくださったのです。

 

入学式から一昨日まで料理ができる者だけでなんとか回していましたが、かなり大変でしたから。シャロンさんは、中間テストの前日に本校舎前でお会いしたあのメイドさんでした。

 

あの時はどなたかの貴族のお抱えだと思っていましたが、まさかアリサさんのラインフォルト社のメイドさんだったとは……。

 

でも、あの時アリサさんが少し気になることをおっしゃっていたので、なんとなくそんな気はしていました。どうやら、わたくしやフィー、ガイウスさん、ラウラさんを除いたみんなが昨日帰ってきたタイミングでシャロンさんと鉢合わせたらしく、その場でアリサさんの素性がバレてしまったようです。

 

アリサさんはシャロンさんに色々と仰っていたらしく、わたくしとラウラさんが帰ってきた時にはアリサさんの怒った声が聞こえていました。ガイウスさんによると、外まで聞こえていたそうです。興奮するアリサさんを、みんなでなんとか宥めてその日は終わりましたが、次の日もアリサさんの機嫌はあまり良くありませんでした……。

 

そして今に至るのですが。

 

わたくしたちが座るテーブルの上には、朝からとても豪華な料理がたくさん並んでいます。わたくしだけでなく、みんなも驚いている様子です。

 

ガイウス「これは見事だな」

 

ハチマン「こんなの俺たちには真似できねえだろ……」

 

スハルト「当たり前だろ、高級そうなとこで出る料理じゃねえかよ」

 

マキアス「い、一体何種類あるんだ……?」

 

フィー「どれも美味しそう」

 

エマ「帝国風朝食(ブレックファースト)……こういうスタイルでしたよね」

 

シャロン「はい、伝統的な朝食のスタイルでございます」

 

バルフレイム宮にいた頃は毎日食べていましたが、たまには違う人が作るものもいいものですわね。

 

シャロン「厨房にまだ慣れていないため、間に合わせになってしまい申し訳ありませんが……」

 

ラウラ「いや、謙遜することはない。私の実家で出されるより、よほど彩りも豪華だ」

 

ハチマン「そこらの料理店より豪華なのは間違いないな」

 

スハルト「それは言えてるかもな」

 

ユーシス「ふむ、公爵家の料理人にも引けを取らないかもしれないな」

 

シャロン「ふふっ、ありがとうございます。コーヒーも紅茶も揃えておりますので、遠慮なくおっしゃってくださいね」

 

アルフィン【ありがとうございます】

 

わたくしはシャロンさんにお礼を言い、アリサさんの方を向きました。すると、まだかなり機嫌が悪そうです。

 

アルフィン【アリサさん……?】

 

アリサ「………」

 

ダメですわ。返事すらいただけません。これはかなり本気で怒っていらっしゃるようです。昨日はお母様のことで随分と色々おっしゃっていましたが……

 

アリサさんとお母様の間には、何か確執があるのでしょうか。プライベートなことを聞き出すわけにはいきませんし……

 

どうしたものでしょう。

 

ラインフォルト社のご令嬢であることを隠していらしたのも、お母様との関係が原因なのでしょうか。

 

アリサ「とにかく、アルフィンやみんなが賛成でも、私は反対だから。母様もタツヤも忙しいでしょうし、シャロンが付いていた方が……」

 

シャロン「ふふっ、さすがアリサお嬢様。離れていてもお母様やタツヤ様のことを気にかけていらっしゃるんですね。それでこそ、わたくしが心よりお仕えしたい大切な方々ですわ」

 

アリサ「べ、別に……気にかけてなんか……」

 

シャロン「あ、お嬢様。大好きなおアプリコットジャムをたくさん作ってまいりましたわ。せっかくですので、シャロンがトーストにお塗りしましょうか?」

 

アリサ「え、ホント!?」

 

あらら? アリサさん、アプリコットジャムがお好きなんですね。

 

ふふっ、実家ではトーストに塗り塗りされていたのですね。

 

シャロンさん、明らかにアリサさんをからかっていますわ。

 

アリサ「だ、だから子供扱いしないでってば! ……その、ジャムはいただくけど」

 

わたくしたちみんな、アリサさんとシャロンさんのやり取りを微笑ましく見守っていました。

 

完璧な朝食をいただいた後、みんなはそれぞれ出かけていき、わたくしとリィンさんはいつものように郵便ポストのところに集まりました。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮

 

七燿暦1204年6月20日・朝 帝国・トリスタ・第3学生寮・玄関。

 

わたくしとリィンさんは玄関で郵便ポストを確認しました。今回はわたくしのポストに入っていましたので、一緒に見ることに。

 

 

課外活動の封筒(6月)】の中身は以下の通りですわ。

 

旧校舎地下の調査③】【必須

 

導力バイクの能力テスト】【必須

 

まだ見ぬ差出人

 

 

件 名旧校舎地下の調査③必須

 

依頼者ヴァンダイク学院長

 

先月に引き続き、旧校舎の地下の調査を特科クラス《Ⅶ組》に依頼する。

 

かの場所で起きている多くの不可思議な現象について調べを進めてほしい。

 

万全に準備を整えた上で、諸君らの判断で取りかかってくれたまえ。

 

────ヴァンダイク学院長

 

件 名導力バイクの能力テスト必須

 

依頼者ジョルジュ&アンゼリカ

 

近くの街道を使って、《導力バイク》の性能テストを行いたい。

詳しくは、技術棟まで。

 

────ジョルジュ&アンゼリカ

 

件 名まだ見ぬ差出人

 

依頼者ヴィンセント

 

この私にラヴレターをくれた人物の正体を突き止め、できれば目の前に連れてきてほしい。

 

詳しいことは体育倉庫裏で話させてもらう。

 

────2年Ⅰ組・ヴィンセント・フロラルド

 

ジョルジュ先輩とアンゼリカ先輩の導力バイクに乗れるなんて、少し心が躍りますわ!

 

リィンさんも導力バイクの方が気になるみたいです。旧校舎探索はみんなと一緒にやるとして、後回しになりそうです。まずはどの依頼から取りかかるか、リィンさんと相談しなければ。

 

アルフィン【リィンさん、今回の依頼、どちらからしますか?】

 

リィン「そうだな……導力バイクのテストは時間がかかりそうだし、ラヴレターの差出人探しもそれなりにかかるだろうけど……まずはラヴレターの方からかな」

 

アルフィン【そうですわね。手がかりさえあれば何とかなりそうですし】

 

リィン「それじゃあ、早速始めようか」

 

わたくしとリィンさんは、ヴィンセント先輩が待っている体育倉庫裏へと向かいました。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・第3学生寮→トールズ士官学院・体育倉庫裏

 

七燿暦1204年6月20日・朝 帝国・トリスタ・トールズ士官学院・体育倉庫裏。

 

ヴィンセント先輩はそわそわしながら待っていらっしゃいました。

 

いつも一緒にいるメイドさんのサリファさんの姿はありませんね。

 

アルフィン【すみません、ヴィンセント先輩。生徒会に依頼を出していらっしゃいましたよね】

 

ヴィンセント「ああ、愛とパトスの貴公子、ヴィンセント・フロラルドとは、いかにも私のことだ。そういえば君たちは、生徒会が遣わした恋のキューピットだな?」

 

アルフィン【わたくしたちが恋のキューピットに慣れるかどうかはわかりませんが……生徒会の使いであることには間違いありませんわ】

 

ヴィンセント「ふふっ、そうか。今日はよく来てくれたな」

 

リィン「ちなみに依頼の内容なんですが……要するに人探しでしょうか?」

 

ヴィンセント「まあ、そのようなものだ。では早速依頼について話したいのだが、時間は大丈夫かな?」

 

アルフィン【別に構いませんわ。早速伺ってもよろしいですか?】

 

ヴィンセント「ふふっ、いい返事だ。だが、その前に」

 

ヴィンセント先輩は周りをキョロキョロと見回しました。

 

ヴィンセント「ふぅ~どうやらサリファの影はないようだな」

 

リィン「そういえば、場所も場所ですけど、誰かに知られるとまずい依頼なんですか?」

 

ヴィンセント「いや、まずいというより野暮な介入を避けたいのだ。特にメイドのサリファは、父親が遣わした目付け役でもあるのでね」

 

なるほど……今回のラヴレターの件がお父様の耳に入らないよう、自分だけで解決しようとされているのですね。

 

ヴィンセント「彼女の視線があると窮屈で仕方がないのだよ」

 

リィン「は、はあ……」

 

ヴィンセント「フフ、まあそれはさておき。実は最近、私のもとに同じ人物から熱烈なラヴレターが立て続けに3通も届いたのだが……しおらしいことに、それらにはニックネームしか書かれていなくてね。君たちには、その差出人を探し出してきてもらいたいのだ」

 

リィン「なるほど……でもそんなことしていいんですかね?」

 

アルフィン【リィンさん、匿名ではないので調べても構わないと思いますわ】

 

ヴィンセント「君は女性だからわかっているようだな。ニックネームを載せるのは、揺れる乙女のサインだ。むしろ向こうも早く見つけ出してほしいと願っているはずだ」

 

リィン「そういうものですかね……」

 

ヴィンセント「あとはそう、3通目の手紙にクッキーが添えられていてね。これは是非とも礼を言わなくてはならないだろう?」

 

リィン「ま、まあ……そこまでおっしゃるなら止めませんけど。それで、差出人を特定するための情報は何かありますか?」

 

アルフィン【クッキーから特定するのは難しいかもしれませんね】

 

ヴィンセント「おそらく差出人は1年生だ。手紙の中で私のことを『先輩』と呼んでいることからわかる。あとは、文末に添えられた《グランローズ》の押し花がヒントになるだろう」

 

アルフィン【グランローズですの!?】

 

殿方が好きな女性に対してプロポーズや告白をする際に渡される花……それを押し花にできる女性となると、トリスタのお花屋さんから仕入れるしかないでしょうね。

 

アルフィン【トリスタのお花屋さんの店員さんに、グランローズを購入した女性を聞けばよろしいんですね?】

 

ヴィンセント「ああ、よろしく頼めるか?」

 

アルフィン【はい、なんとかやってみますわ】

 

ヴィンセント「フフ、感謝する。だが、グランローズの押し花といい、そのニックネームといい、随分奥ゆかしい子女もいたものだ」

 

リィン「そういえば、どんなニックネームなんですか?」

 

ヴィンセント「ああ、まだ言っていなかったな。その名も――『グランローゼ』だ」

 

グランローゼ!?

 

お母様から聞いたことがありますわ。かつてアルノール家に嫁いだ男爵家の子女につけられた愛称で、時の皇帝陛下から無数のグランローズを受け取ったことでそう呼ばれるようになったと。

 

リィン「……なるほど……そんな逸話があるんですね」

 

アルフィン【お花屋さんで手がかりを見つけて、差出人を探してみますわ。それまでお待ちになってください】

 

ヴィンセント「ああ、よろしく頼んだ」

 

クエスト・『まだ見ぬ差出人』依頼を始めますわ。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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