アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第3章鉄路を越えて編16話です。


第3章ー鉄路を越えて編ー92ー16話ーそれぞれの実習地へ。

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・第3学生寮

 

七燿暦1204年6月26日・朝 帝国・トリスタ・トールズ士官学院・第3学生寮・玄関前。

 

アルフィンたちが出発した後、サラが自分の部屋から出てきた。

 

サラ「ふわ〜、A班も行ったわね」

 

シャロン「サラ様、おはようございます。起きていらっしゃったのならお見送りされればよろしいのに」

 

サラ「ま、《特別実習》は当日の朝から始まってるからね。B班はユウが同行するけど、手助けするわけじゃないし。指導・評価する側としては、色々と気を使っているわけよ」

 

シャロン「なるほど、道理でございますね」

 

サラ「それより一つ質問。《アナタの方》はいつ戻ってくるわけ?」

 

シャロン「ふふっ、サラ様はお鋭くて困ってしまいます。そうでございますね……お嬢様方の実習が終わる頃までには、とだけ」

 

サラ「なるほどね」

 

アルフィンたちⅦ組がいない第3学生寮で、そんなやり取りが交わされていた。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・第3学生寮・玄関前→トリスタ駅

 

七燿暦1204年6月26日・朝 帝国・トリスタ・トールズ士官学院・トリスタ駅。

 

わたくしたちがトリスタ駅に着くと、B班のリィンさんたちがすでに乗車切符を買って待機していました。ただ、ラウラさんとフィーさんの間には、言葉にできないような微妙な空気が流れているように見えます。

 

ユウ「A班も来たか」

 

リィン「アルフィンたちも来たか!」

 

マキアス「そっちも出発か」

 

アルフィン【ええ、そうですね……それにしても……】

 

アリサ「えっと……」

 

わたくしたちの視線を感じたのか、フィーとラウラさんが同時にこちらを向きました。

 

フィー「何?」

 

ラウラ「そちらは乗車券は購入しなくていいのか?」

 

アルフィン【それは買わないといけませんけど……】

 

ハチマン「ラウラ、何かあったのか?」

 

ラウラ「ハチマン、何を心配することはない。別に何もないのだから」

 

スハルト「気にするなと言われると、かえって気になるもんだろうな」

 

ラウラ「スハルト、何か言ったか?」

 

スハルト「いや、何も……」

 

エマ「あはは……今回、帝都までは同じ列車ですし」

 

ユーシス「とっとと購入するぞ」

 

アルフィン【そ、そうですわね……】

 

わたくしたちは駅員さんから乗車切符を購入しました。帝都行きの列車がすぐに来るそうなので、ホームへと向かいました。

 

アナウンス【まもなく2番ホームに帝都行き旅客列車が到着します。ご利用の方は連絡階段を渡ったホームにてお待ちください

 

アリサ「えっと、タイミングが良かったわね」

 

エマ「ふふっ、そうですね」

 

ラウラ「そうだな」

 

フィー「……ん」

 

アルフィン【あはは……】

 

ユウ「あの二人はずっとああなのか?」

 

リィン「先月の特別実習先から帰ってから……色々と」

 

ユウ「フィーが猟兵団出身であることは話した時からか……」

 

スハルト「ラウラ、俺も猟兵団出身って知っても普通に話してくれるんだが、なぜかフィーには風当たりが強いというか……」

 

ハチマン「ラウラにも色々あるんだよ」

 

ユウ「何にせよ、あの2人が自分たちの力で乗り越える必要がある。おせっかいを焼くのもいいが、最終的には自分たちがどうしたいか、なんだよな」

 

リィン「自分たちがどうしたいのか……」

 

エリオット「僕たちが背中を押してあげることぐらいはできるよね?」

 

ハチマン「ユーシスやマキアスのようにか?」

 

ユーシス「ハチマン、お前は何を言っている」

 

マキアス「べ、別に背中なんか押された覚えはないぞ!」

 

スハルト「そうか? 話を聞いた時には背中を押されたっぽく聞こえたんだがな?」

 

リィン「……ともかく、ハチマン、ユーシス、ガイウス、こっちのことは心配しなくていい。俺たちも俺たちなりにやるつもりだから」

 

ハチマン「まあ、お前なら安心だな。おせっかいの塊みたいなヤツだから」

 

リィン「おせっかいの塊って……これって褒められているのか?」

 

スハルト「アイツなりの褒め言葉と受け取っとけ」

 

リィン「そうなのか」

 

帝都行きの旅客列車がホームに入ってきたので、わたくしたちは乗り込みました。今回はわたくしとリィンさんが二手に分かれての特別実習です。過去2回は同じ班だったので手助けできましたが、今回は離れ離れになってしまいます。

 

この先を占うような、正念場なのかもしれませんね。

 

 

エレボニア帝国・トリスタ・トールズ士官学院・第3学生寮・玄関前→トリスタ駅

 

七燿暦1204年6月26日・朝 帝国・帝都行き旅客列車内。

 

わたくしたちは、シャロンさんが作ってくださったサンドイッチを列車内でいただいていました。朝食を食べずに急いできたので、本当にありがたいですわ。

 

美味しく頂いていると、B班のリィンさんたちが少しバツの悪そうな顔で朝食を食べていらっしゃいます。

 

明らかにA班とは空気が違っています。原因は間違いなくラウラさんとフィーさんの間にある微妙な壁ですわ。マキアスさんとユーシスさんのような激しいいがみ合いではないだけに、かえってタチが悪い感じがします。

 

リィンさんもお手上げの様子ですね。特別実習先で解決できればいいのですが、わたくしが関われることではないので、B班のみなさんがなんとかするしかありませんわね。

 

それにしても、このサンドイッチは本当に美味しいですわ。

 

アルフィン【アリサさん、このサンドイッチ、本当に美味しいですわ】

 

ガイウス「ハム、レタス、チーズ……それにピクルスも挟んでいるのか」

 

ハチマン「これなら毎日食べても飽きないぜ」

 

エマ「ふふっ、シンプルな素材を下ごしらえが引き立てていますね。塗っているバターにも一工夫しているのかしら?」

 

ユーシス「紅茶の入れ方も完璧だ。レモンの風味と甘さのバランスがいい。なかなか大したメイドを雇っているじゃないか?」

 

アリサ「雇っているのは母だけどね。ま、実際メイドとしては大したものだと思うわ。火事全般に各種接待はもちろん、母のスケジュール管理もしてたから」

 

エマ「そ、それって……」

 

アルフィン【既にメイドさんとしての役目を超えている気もしますけどね】

 

アリサ「まあ、今はタツヤと役割分担してるみたいだけど……あれだけ優秀なのにどうして私のところに来るんだか……どう考えても母様と一緒に何か企んでるとしか……まさかタツヤも関わってるのかしら?」

 

ガイウス「まあ、好意は素直に受け取っておくべきだろう」

 

エマ「そうですね、こうして朝早くに用意するのも大変だったでしょうし」

 

ハチマン「だよな、俺たちはあの人が来るまでは交代で料理を作っていたからな。朝早く起きるのがどれだけ辛いかわかるぜ」

 

アリサ「わ、分かってるってば」

 

そういえば、みなさんアリサさんが❝タツヤ❞という名前を何度かおっしゃっていますけど、誰もそこには触れませんね。

 

大賢者【告、みなさんそこには触れないようにしているのではないでしょうか。アリサさんのプライベートのことを聞き出すのはどうかと思われているのでは。マスターは気になっているみたいですけど】

 

アルフィン【それは、そうなんですけど……】

 

大賢者【解、マスターもそういうことを聞かれたら答えるんですか?】

 

アルフィン【それは……聞かれた内容にもよりますけど……】

 

大賢者【解、本人が答えるまでは聞くべきではないかと】

 

アルフィン【分かってるわ】

 

アリサ「そんなことより、ねえ、あっちの方なんだけど」

 

アリサさんが視線を向けた先はB班の方でした。先ほど見た時と状況はあまり変わっていないようです。

 

マキアス「しかし、《ブリオニア島》…古代文明の遺跡があるらしいが、どういった場所なんだろうな?」

 

ユウ「大崩壊前の遺跡だと思われるものがたくさんあると聞いたことがある」

 

スハルト「ああ、確かにそれらしい遺跡が結構あったな」

 

リィン「古代遺跡か、ちょっと見てみたいものだな」

 

エリオット「へえ〜そうなんだ。そういえば僕、海って見るの初めてなんだよね、みんなはどうなの?」

 

ラウラ「ふむ。私も見たことがないな」

 

リィン「俺もないな」

 

スハルト「俺は見たことあるけどな」

 

ユウ「俺は、映像の中の海は見たことあるが、実際には見たことが無いな」

 

フィー「私はあるけど」

 

ラウラ「ほう、そうなのか?」

 

フィー「ん、団の上陸作戦について行った時に」

 

スハルト「ば、フィー後半のは余計だ」

 

フィー「本当の話だし」

 

ラウラ「………」

 

ユウ「そ、そうだな、そういえばラウラ

。君の故郷の《レグラム》にも遺跡があると聞いたが?」

 

エリオット「確か、❝聖女のお城❞だったっけ?」

 

ラウラ「ああ、《ローエングリン城》だな。レグラムの街から見える湖に面した壮麗な古城でな。霧の晴れた雛のあまりの美しさに溜息が出るくらいだ」

 

エリオット「へぇ~」

 

ユウ「それは、是非この目で見てみたいものだな」

 

マキアス「僕も一度、見てみたいな」

 

スハルト「確かに何かロマンにそそられるな」

 

フィー「んー…腕のいい狙撃手に陣取られたら厄介そうな場所だね」

 

スハルト「フィー…お前は…はぁ〜確かにそうかもしれないがな。ここはな話は合わせることも大事だぞ」

 

フィー「……」

 

うーん、リィンさん達、なんとか会話は盛り上げようと努力なされてるみたいですけど、肝心なフィーがちょっと…

 

ハチマン「あれは…かなり時間がかかるんじゃねえのか」

 

アリサ「はぁ〜フィーにも悪気はないんでしょうけど」

 

エマ「ラウラさんも何時になく反応していると言うか…」

 

ハチマン「まあな、アイツらしくないんだよな」

 

ガイウス「確かに、いつも泰然としている彼女らしくないな」

 

アルフィン【わたくしたちは、今は見守ることしかできませんわ】

 

そんな中でも列車は順調に走り続け、帝都ヘイムダル中央駅に到着しました。

 

エレボニア帝国・トリスタ・トリスタ駅→帝都・帝都ヘイムダル中央駅

 

七燿暦1204年6月26日・朝 帝国・帝都ヘイムダル中央駅。

 

わたくしたちは帝都ヘイムダル中央駅に降り立ちました。わたくしにとっては見慣れた風景ですが、他のみなさん(マキアスさんやエリオットさんを除く)は驚かれています。

 

ハチマン「相変わらず、でかくて騒がしい駅だな」

 

スハルト「当たり前だろ、帝都ヘイムダルの玄関口だぜ」

 

ユーシス「帝国どころか、大陸最大の駅と聞く」

 

ハチマン「そうだな、ここより大きい駅なんか見たことねえからな」

 

ユーシス「大小合わせて10の路線が集まる場所は他にないだろう」

 

あはは、前世のあの世界の東京の駅はもっとすごいんですけどね。まあ、この世界に当てはめてはいけませんね。

 

ガイウス「初めてここで乗り換えた時は人の多さに唖然としたが……流石に早朝は人が少ないな」

 

リィン「……なんだか自信をなくした……」

 

マキアス「り、リィン、諦めるのは早いんじゃないか?」

 

エリオット「リィン、ち、ちょっと諦めるの早すぎない?」

 

スハルト「おいおい、しっかりしてくれよ、リィン」

 

ユーシス「不甲斐ないぞ、リィン」

 

アルフィン【リィンさん、そんなに自信を無くさないでください。時間をかけてゆっくりとやっていけばいいんですから】

 

ガイウス「A班、B班共に全員無事に戻ってくること……それが何よりも重要だろう」

 

リィン「そうだな、ありがとう、アルフィン、ガイウス」

 

エリオット「危険な状況に陥らないよう、それだけは気をつけておくよ」

 

わたくしたちA班はノルド方面に向かう列車、B班は海都オルディス方面へ向かう列車にそれぞれ乗り換えなければなりません。両班が一緒にいられるのもここ帝都ヘイムダル中央駅までですわね。わたくしたちはA班とB班に分かれて別れの挨拶をしました。

 

リィン「A班のみんな、それじゃあここでお別れだな」

 

アルフィン【ええ、リィンさんたちB班が向かうのは海都オルディス方面の列車ですね】

 

ユーシス「俺たちA班は北東……鋼都ルーレ方面の路線になるな」

 

エリオット「ガイウスの故郷かぁ……お土産話楽しみにしてるから!」

 

ガイウス「ああ、そちらこそくれぐれも気をつけてくれ」

 

ユウ「B班のことは、何かあれば俺が守る。ただ、実習には俺は協力しないけどな」

 

エマ「あはは、フィーちゃん、ラウラさん、どうかお気をつけて」

 

アリサ「その、お互い元気な顔で再会できるようにしましょ」

 

アルフィン【わたくしたちの方も気をつけますので、フィー、ラウラさんも気をつけてくださいね】

 

ラウラ「そうだな」

 

フィー「ん」

 

スハルト「お前たちも頑張れよ」

 

ハチマン「そっちこそな」

 

マキアス「そっちも無理はしないようにな」

 

アルフィン【分かってますよ、マキアスさん】

 

こうして、わたくしたちはそれぞれの路線の方へ歩いていきました。この先、いろんなことが起こるとはこの時にはまだ思っていませんでしたわ。

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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