アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第3章ー鉄路を越えて編17話です。


第3章ー鉄路を越えて編ー93ー17話ー列車の中の語らい。

 

エレボニア帝国・帝都・帝都ヘイムダル中央駅

 

七燿暦1204年6月26日・朝 帝国・帝都ヘイムダル中央駅。

 

アルフィンたちA班とリィンたちB班がそれぞれの路線へ歩いていくのを、チラリと見た者たちがいた。アストライア女学院の制服を着た黒髪の少女である。

 

エリゼ「え? あれは……」

 

黒髪の少女の後ろから、3人の女性が歩いてきた。1人はアルフィンを大人びた印象にしたような女性、もう一人はメイド服を着た、活発そうな容姿の女性。そしてもう一人はロングのミント色の髪の女性だった。

 

リーゼ「あら? どうかしましたの、エリゼさん?」

 

フレンダ「エリゼ、何か発見したの? あ、もしかしてかっこいい男でも見つけたってわけ?」

 

ミルディーヌ「フレンダさん、違いますよ。このヘイムダル中央駅で、愛しのお兄様かお姉様のお姿が見えたとか?」

 

リーゼ「そうなの? エリゼ?」

 

エリゼ「フレンダさん、そんな……その、知り合いに似た人を見かけただけです。朝早く帝都にいるわけないので、見間違いだと思うのですが……」

 

フレンダ「見間違いね……私もさっき、アルフィンにそっくりな人を見たわよ」

 

リーゼ「そうなの、二人とも。フレンダがアルフィンを見かけたのなら、エリゼのお兄さんを見かけたとしてもおかしくはないですわね」

 

ミルディーヌ「リーゼ様、どうしてそのようなことがわかるんでしょうか?」

 

リーゼ「この間あの子が送ってきた手紙の中に、6月に特別実習に行くと書かれていましたから」

 

フレンダ「あ、アルフィンからの手紙にそう書いてあったね。どこに行くとは書かれていなかったけど、帝都を経由してどこかに行くってわけよ。ところでエリゼのお兄さんってかっこいいの?」

 

ミルディーヌ「それはもちろんですわ。文面を見ても優しくてかっこよくて……」

 

エリゼ「ミルディーヌ、それ以上は言わないで」

 

リーゼ「3人とも、おしゃべりはここまでにして。クレア大尉がお見えになっていますわ」

 

フレンダ、エリゼ、ミルディーヌは声のした方を見た。クレアはニコニコしながら3人を見つめていた。

 

クレア「まもなく離宮行きの特別列車が到着いたします。今日一日お供させていただきますので、どうかよろしくお願いします」

 

リーゼ「ふふっ、こちらこそお願いしますわ」

 

エリゼ「よろしくお願いいたします」

 

ミルディーヌ「よろしくお願いしますね」

 

 

エレボニア帝国・ノルド高原

 

七燿暦1204年6月26日・昼前 帝国・ノルド高原・ノルド遊牧民キャンプへ道。

 

イチカとマコトは帝国側のノルド高原へと入っていた。共和国側に比べて自然が豊かに残るこの地域には、特有の魔獣が数多く生息していた。彼らの中には襲いかかってくる者もいたが、こちらが敵意を見せなければ向こうも積極的には襲ってこない。魔獣もまた、自然の中で生きる者たちだった。

 

随分と下の方へ降りてきたので、朝よりは少し暖かくなっている。早朝に出発したものの、すでに昼前になっていた。

 

イチカ「早く出発したけど、もう昼前になってるわね」

 

マコト「そうだね。夕方までにノルドの遊牧民キャンプに着ければいいんだけど」

 

イチカ「こんなところで野宿はさすがにね」

 

マコト「野宿するようなキャンプ道具は持ってきていない。だから遊牧民キャンプに着く必要がある」

 

イチカ「そうね、心地よい風の中に何か手がかりがあればいいのだけど」

 

マコト「風の中に手がかり……」

 

2人は自然の風を体に浴びながら感じ取ろうとした。この辺りに遊牧民のキャンプがあれば、生活の匂いが漂ってくるはずだ。

 

イチカ「……これってお昼ご飯の匂いかしら?」

 

マコト「……確かに匂いはする。近くに集落があるってことかな」

 

イチカ「遊牧民って言うのだから、移動しながら暮らしているってことよね。それこそ❝モンゴル民族❞みたいな」

 

マコト「モンゴル民族?」

 

イチカ「あ、ごめん、ごめん。何でもない」

 

イチカはつい前世の記憶を口にしてしまい、慌てて謝った。彼女は前世の記憶を持っているが、それはただの情報源でしかない。

 

イチカ「それにしても、こんな大自然でグラビア写真を撮るのもいいかもね」

 

マコト「そういえば、イチカさんは女優兼グラビアアイドルでしたね。仕事の方は大丈夫なの?」

 

イチカ「今仕事の話をする? まあ、そうね。休みを取るためにまとめて仕事をする方だから、今はちょうどオフって感じかな」

 

マコト「僕のアラミス時代の同級生のユカリ・タケバもアクション女優になってるんだ。イチカさんは知ってるかな?」

 

イチカ「知ってるわよ。ユカリ、アクション女優で活躍してるし、後輩にも素晴らしい子たちがどんどん出てきてる。私だって負けちゃいられないからね。ユカリと共演した時に、あなたのことを聞いたわよ」

 

マコト「聞いたって、何のことを?」

 

イチカ「色々とね。リーダーとしてあの戦いをみんなで乗り越えるために奮闘したんだって」

 

マコト「僕はリーダーとしてやっただけさ」

 

話しながら歩いていると、ノルドの民のキャンプらしきものが見えてきた。

 

イチカ「あれがこちら側のノルドの民のキャンプかしら?」

 

マコト「おそらくそうだろうね。あれ以外にキャンプ地をこちら側では見ていないから」

 

イチカ「こちら側は固まって行動しているみたいね」

 

マコト「すんなり僕たちを入れてくれるのかな?」

 

イチカ「ノルドの民は帝国側についている人たちが多いと向こう側で聞いたけどね。とにかく話してみないと分からないわ」

 

マコト「そうだね、まずはやってみないと」

 

イチカ「まずはあのキャンプ地に行って、偉い人と話してみましょう」

 

マコト「そうだね」

 

こうしてイチカとマコトは、ガイウスの両親が住むキャンプ地へと歩いていった。

 

キャンプ地に着いた二人は、族長と話し合い、滞在の許可を得たのだった。そして、トールズ士官学院Ⅶ組のA班がここに特別実習でやってくることも知らされた。

 

エレボニア帝国・帝都ヘイムダル中央駅→鋼都ルーレへ向かう途中

 

七燿暦1204年6月26日・昼前 帝国・鋼都ルーレへ向かう途中の列車内。帝都ヘイムダル中央駅から鋼都ルーレ行きの旅客列車に乗り込んでしばらくすると、ガイウスさんがノルド高原について説明をしてくれました。

 

ガイウス「それでは、実習地である《ノルド高原》について説明しよう。《ノルド高原》はエレボニアの北東方面にある高原地帯だ。ルーレ市の北に広がる《アイゼンガルド連峰》を越えた先にある」

 

アリサ「《アイゼンガルド連峰》はかなり大きな山岳地帯よね。列車だと、いくつものトンネルを抜ける必要がありそう」

 

ガイウス「ああ、帝国に来る途中、何度もトンネルを通ったものだ。それを超えると一転して、遥かなる北の山々に囲まれた広大な高地が広がっている」

 

ガイウスさんのおっしゃる通りですわね。本当に素晴らしい場所ですわ。何もかもが洗い流されるような開放感があります。あの世界のモンゴルに似た場所ですね。

 

ガイウス「帝国軍の拠点などを除いて、人が住んでいるのは俺の故郷である《ノルドの民》の集落のみ。人より羊の方が多いくらいだ」

 

ふふっ、人より羊の方が多い。確かに以前訪れた時にそんな印象を受けましたわ。

 

ハチマン「静かでのどかな場所ってことだな。そういうとこ、俺は好きだぜ」

 

エマ「ふふっ、絵本で見たような光景が広がっていそうですね」

 

ユーシス「あと、ノルドといえば《軍馬》の生産と育成でも知られているな」

 

ノルド産の馬、皇室への献上品の中にも白い馬がいましたわね。あの馬はお父様が乗っていらっしゃいますし、オリビエお兄様もノルドから仕入れたとおっしゃっていました。わたくしも馬には乗れますけど、やはりバイクの方が性に合っていますわ。別に馬が嫌いというわけではありませんよ。

 

ガイウス「ああ、ノルドの民は馬と共に生きているからな。今でも帝国人向けの馬を育てることを生業としている」

 

ハチマン「そうなんだな。それで皇室の方に馬を献上品として送ったりするんだろ?」

 

アルフィン【ハ、ハチマンさん、何を聞いていらっしゃるんですか!?】

 

ハチマンさんはわたくしを見て、にやりと笑いました。ハチマン「いや、気になってな」

 

ガイウス「ああ、ノルドの馬を皇室への献上品にすることはある」

 

ハチマン「獅子心皇帝への忠義の意味でもあるのかな」

 

ユーシス「ハチマン、そんなに知りたければ、この俺が教えてやってもいいぞ?」

 

ハチマン「ユーシスが教えてくれるのか?」

 

ユーシス「そうだが? 何か不満でもあるのか?」

 

ハチマン「いや、ユーシスに教えてもらうのは光栄なんだが、ちょっと遠慮しときます」

 

アルフィン【ふふっ、ユーシスさん、そういえば馬術部の馬もノルド産ではなかったですか?】

 

ユーシス「ああ、全てそうだ。エレボニア帝国の紋章である《黄金の軍馬》……あれもノルドの軍馬がモチーフとなっているらしい」

 

エマ「ノルド高原で挙兵したというドライケルス帝の逸話もありますし……帝国とは歴史的にも縁が深い土地みたいですね」

 

ガイウス「ああ、高原の南には《ゼンダー門》と呼ばれる帝国軍の拠点の一つがある」

 

そうでしたわね。ノルド高原の南端にそびえ立つ帝国軍の拠点の一つである《ゼンダー門》。もちろん共和国に対する備えでもあります。ここに確かあの将軍が飛ばされたという噂を聞いたことがありますが、本当なのでしょうか。

 

ちなみに列車で行けるのもゼンダー門までですわね。

 

ガイウス「ちなみに列車で行けるのは、ゼンダー門までだな」

 

アルフィン【ガイウスさん、確かそこから馬で移動するんでしたよね?】

 

ガイウス「ああ、そうだ」

 

アルフィン【今は昼前ですが、到着予定時刻は確か午後の4時頃でしたよね】

 

アリサ「ええ、そうね。あと30分もすればルーレ市に着くわね。そこから貨物列車に乗り換えて4時間くらいになるわね」

 

ユーシス「やれやれ。思った以上の長旅だな」

 

ハチマン「貨物列車に乗れるだけマシだと思うんだよな。列車に乗らずに歩いて行くような()()()()もいるんだからな」

 

ハチマンさんが、やけに『もの好き』の部分に力を入れてわたくしを見ながらそうおっしゃいました。確かに歩いて行くのは好きですけど、みなさんと一緒ならそんなことはいたしませんわ。

 

エマ「まあ、めったにない機会ですし、のんびりと行きましょう」

 

ハチマン「そうだな」

 

わたくしたちは、ルーレ市に着くまで色々とお話をしていました。特別実習でどのようなことをするのか、ガイウスさんがおっしゃったノルド料理についてなどです。共和国側のノルド料理は食べたことがありますが、帝国側のものはまだ食べたことがありませんので楽しみですわ。それにしても、妙な胸騒ぎがします。大賢者に確かめてみましょうか。

 

アルフィン【大賢者、わたくし何か胸騒ぎがするのですが、やはりノルド高原の方で何かあるのかもしれませんね。ちょっと調べてもらえませんか?】

 

大賢者【解、マスターが感じ取られた通り、ノルド高原の方に不特定多数の未確認の人間を確認しています】

 

アルフィン【ノルドの民以外にそういう勢力が入り込んでいるということですか?】

 

大賢者【解、はい、私のデータベースにない勢力かもしれません】

 

アルフィン【ノルド高原は、帝国と共和国の係争地ですわ。互いに軍の基地がありますし、下手なことはできないはずですわ。そうなると……猟兵団の可能性があるわけですか】

 

大賢者【解、まだ確たる証拠があるわけでもありませんが、マスターの命令であればすぐに探知いたします】

 

アルフィン【よろしくね、大賢者】

 

大賢者【了】

 

わたくしが大賢者と話している間に、鋼都ルーレ市が見えてきました。もうすぐ着くようです。わたくしたちは、乗り換えの準備を始めました。

 

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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