アルフィンの軌跡〜トールズ士官学院編〜   作:龍造寺

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第3章鉄路を越えて編19話です


第3章ー鉄路を越えて編ー95ー19話ーゼンダー門とゼクス中将。

 

エレボニア帝国・鋼都ルーレ駅→ノルド高原へ向かう途中→ゼンダー門

 

七燿暦1204年6月26日・夕方 帝国・ノルド高原・ゼンダー門。

 

陽が随分と西の方に傾き、その日差しはもうすぐ沈むと思わせるほどでした。遮蔽物のない高原では、夕焼けがとても綺麗に見えますわね。そんなことを思いながら、わたくしは貨物列車から降り、ゼンダー門に立っていました。荷物を持ちながらキョロキョロしていると、聞き覚えのある声が響きました。

 

ゼクス「おお、やっと到着したか」

 

やはり、ゼクス中将閣下ですわ。ゼクス・ヴァンダール――オリビエお兄様の護衛兼友人であるミュラーさんの叔父様でもいらっしゃいます。

 

リベールの異変の際の色々な出来事でゼンダー門に飛ばされたというのは本当だったようですね。ガイウスさんがゼクス中将の前に進み出ました。

 

ガイウス「中将、ご無沙汰しています」

 

ゼクス「うむ、数ヶ月ぶりになるか。士官学院の制服もなかなか新鮮ではあるな。《トールズ士官学院》……深紅の制服は初めて見るが」

 

ガイウス「これが自分たち《Ⅶ組》の象徴である色だそうです」

 

ガイウスさん、ゼクス中将閣下とお知り合いだったのですね。ゼクス中将閣下ほどの腕を持つ方をこんな辺境に左遷させるようなきっかけを作ったのは自分たちでもあります。別にゼンダー門が悪いというわけではありませんが、帝国正規軍の中で指折りの実力者ですから、中央にいてもらう方が安心できるはずですわ。

 

ゼクス中将がこちらに視線を向けていらっしゃいますが、わたくしを見られた瞬間に密かに首を二度縦に振られた気がしました。

 

ゼクス「……なるほど。そちらが」

 

ガイウス「ええ、オレの親友で《Ⅶ組》の仲間になります」

 

ゼクス「そうか。(アルフィン皇女殿下と仲良くなったんだな。皇子殿下がおっしゃっていたことがなんとなくわかってきた)」

 

ゼクス中将が何か小さな声でおっしゃっていましたが、一体何だったのでしょうか。一応自己紹介をしておきませんとね。

 

アルフィン【士官学院Ⅶ組、アルフィン・レンハイムですわ】

 

アリサ「初めまして。アリサ・ラインフォルトです」

 

ハチマン「……ハチマン・ヒキガヤだ」

 

エマ「エマ・ミルスティンです。よろしくお願いします」

 

ユーシス「ユーシス・アルバレア。お初にお目にかかる」

 

ゼクス「フフ、噂には聞いていたが、面白い顔ぶれが集まっているようだ。帝国軍、第三機甲師団長、ゼクス・ヴァンダールだ。以後、よろしく頼む」

 

ハチマン「隻眼のゼクス、まさかこんなとこにいるとはな」

 

ユーシス「隻眼のゼクス、アルノール家の守護者か」

 

ゼクス「ほう、その方と会うのは約2年ぶりか、ハチマン・ヒキガヤ。その方もトールズ士官学院に入学しているとは正直驚いたぞ」

 

ハチマン「まあ、俺にも色々あるんだよ」

 

ガイウス「ハチマン、お前も中将を知っていたのか?」

 

ハチマン「俺は()()()()()()()()()()からな。リベールにいた時にリベールの異変に巻き込まれたわけだ。その時に色々とな」

 

ゼクス「……そうだったな」

 

ハチマンさんのお話にゼクス中将がうまく合わせてくれたようですけどね。ここで本当のことを言うわけにはいきませんし。

 

ハチマン「俺のことはともかく、ユーシス、《ヴァンダール家》って皇族、アルノール家を守護する武門の一族なんだろ?」

 

ユーシス「ああ、その通りだ。そして《隻眼》のゼクスといえば、帝国正規軍の5本の指に入る名将と聞き及んでいる」

 

ハチマン「……ラウラの実家のアルゼイド家と並ぶ帝国における武の双璧だったな」

 

ゼクス「ハハ、そう持ち上げられるほど大層な人間ではないのだが。お主たちの話も聞きたいが、さすがに時間も時間だ。今日中に帰るつもりならすぐに出発した方がいいだろう」

 

ガイウス「ええ、そのつもりです。すいません。お願いしていた件は?」

 

ゼクス「うむ、用意してあるぞ」

 

アルフィン【馬のことですよね。ここからは移動するにも馬が必要ですし】

 

ハチマン「ノルド高原を歩いていたら日が暮れるぞ」

 

ガイウス「そういや、アルフィンには話していたな。みんなにも言うが、ここから先は俺の実家まで馬で移動することになる」

 

ゼクス「フフ、ついてくるがいい」

 

エレボニア帝国・ゼンダー門→ゼンダー門の外

 

七燿暦1204年6月26日・夕方 帝国・ノルド高原・ゼンダー門の外。

 

ゼンダー門の外に出ると、西の方に夕日が沈む前の、なんとも言えない黄昏色の陽がわたくしたちを照らしていました。これが夕日に染まるノルド高原……帝国側の風景もとても綺麗ですわ。共和国側でのノルド高原の夕日は見たことがありますが、それに劣らない美しさです。みなさんも言葉にならない驚きに満ちていらっしゃいます。

 

アリサ「……」エマ「なんて……なんて雄大な……」

 

ユーシス「鉄路の果て、遥かなる蒼穹の大地……いや、言葉は不要か」

 

ハチマン「ノルド高原、何度見ても心が洗われるな」

 

アルフィン【本当に素晴らしい場所ですわ】

 

ガイウス「フッ、気に入ってくれたようで何よりだ」

 

わたくしたちがノルド高原に見とれているうちに、ゼクス中将の部下の方々が馬を連れて来てくださいました。

 

ガイウス「高原の移動は馬でないと始まらない。馬術部のユーシスはもちろん、アルフィン、アリサ、ハチマンも乗れると聞いていたからな」

 

アルフィン【ええ、別に問題はありませんわ】

 

アリサ「あ、うん。多分大丈夫だと思うわ」

 

ハチマン「まあ、それなりに乗れるがな」

 

エマ「えっと、私は馬に乗ったことないですけど……」

 

ガイウス「委員長は誰かの後ろに乗ってほしいと言いたいところだが、馬の負担を考えると、アルフィンかアリサの後ろが良さそうだが」

 

アルフィン【確かにそうですわね。エマさん、どちらにしますか?】

 

エマ「えっと、私はどちらでも構いませんが……」

 

アリサ「エマ、私の方でいい? 荷物の方はアルフィンが持ってくれる?」

 

アルフィン【はい、構いませんわ】

 

エマ「ちょっと緊張しますが、よろしくお願いします」

 

ユーシス「よし……早速乗らせてもらおうか」

 

わたくしたちは馬に乗って軽く試運転をした後、ガイウスさんの故郷に向けて馬を走らせました。

 

エレボニア帝国・ゼンダー門→ゼンダー門の外→ノルド高原

 

七燿暦1204年6月26日・夕方 帝国・ノルド高原。

 

さすがノルド産の馬だけはありますわ。気品が高く、それでいておとなしいですわね。

 

ゼクス中将閣下曰く、約1時間もすれば集落に着くとおっしゃっていました。それとノルド高原の地図も渡してくださり、感謝しています。地図には隅々の地形や名前などが丁寧に書かれていますね。大賢者にサーチをしてもらう必要がなくなりましたわ。一応、共和国につながる道の方も記載されています。

 

ハチマン「さすが高原を馬で駆け抜けてる感があるな」

 

アリサ「ええ、まるで風になったみたい!」

 

エマ「そ、そうですね。ちょっと怖いですけど」

 

アルフィン【エマさんは、まずは馬に慣れることが先決でしょうね。慣れてきたら本当に風になった気がしますよ】

 

ユーシス「まあ、じきに慣れる。しかし、馬術部の連中に羨ましがられそうな体験だな」

 

ハチマン「B班の連中にも羨ましがられるんじゃねえか。ノルド高原で馬で駆け抜けるんだからな」

 

アルフィン【それもそうですわね。でも向こうは向こうで船でブリオニア島に行くんですもの。ノルド高原とは別の楽しみがありますし】

 

ハチマン「まあ、そうだな」

 

ガイウス「フフ……オレの故郷は北東に向かった先にある。日没までになんとかたどり着くとしよう」

 

アルフィン【そうですわね】

 

アリサ「行きましょう!」

 

ガイウスさんの故郷に向かう途中、分かれ道の場所に来て、不思議な遺跡群が目に入りました。気になったので、遺跡群の側を回ることにしました。こういう遺跡群は共和国側にもありますが、このような円形をかたどったものは初めて見る気がしますわ。

 

ガイウスさん曰く、ノルド高原は道に迷う可能性が高いそうです。だから目印になるものを決めておくのも大事だと。わたくしたちの背後に見えるのがゼンダー門、そして右側に見えているのが《三角岩》。この一体の中心になっているみたいですね。

 

そして向こうに見える人工物が帝国側の監視塔だとガイウスさんはおっしゃっています。共和国にも帝国側を監視する共和国軍基地がありますからね。

 

ガイウス「ノルド高原の南東、共和国方面を監視するための施設と聞いている」

 

エマ「帝国の東に位置する大国、《カルバード共和国》ですか」

 

ハチマン「……クロスベルだけではなく、ノルド高原でも共和国と繋がっているんだよな」

 

アルフィン【………】

 

係争地、そう簡単に解決しない問題ですわね。

 

ガイウス「そして、あちらの山脈の方角に俺の故郷である集落がある」

 

アルフィン【あちらの方にガイウスさんの故郷があるのですね】

 

アリサ「えっと、地図で確認すると……」

 

アリサさんがゼクス中将からもらったノルド高原の地図を広げると、それぞれの位置がちゃんと記載されていますね。ゼンダー門、帝国軍監視塔、石切場、共和国へ続く道、ガイウスさんの故郷の集落、不思議な遺跡群……これだけ詳しく書かれているのはありがたいですわ。

 

今のノルド高原は夕日に照らされて、絵を描いたとしたら素晴らしいものが描けそうですわ。わたくし、夕日に照らされた風景が何よりも好きなんですよね。

 

エマ「そういえば、遺跡群の中であちらの不思議な石柱がありますよね?」

 

アリサ「あ、本当だ」

 

ハチマン「あ、あの石柱か……いかにも人の手が入ったようなものだよな」

 

ユーシス「確かに、明らかに人の手で建てられているようだが」

 

ガイウス「さっきも説明した通り、この高原にはああいったものがあちこちに点在している。どうやら1000年以上前にあった巨石文明の遺跡らしい」

 

先ほど見た円形のものよりもさらに大きい円形なものですわね。それにどことなくあの世界のイギリスにあったストーンヘンジを連想させるような感じもしますわ。石柱の大きさは全然違いますけどね。それにしても、1000年以上前にそのようなものがあったということが驚きですわ。

 

ユーシス「ふむ、帝国にも残っている精霊信仰の遺跡のようなものか」

 

エマ「……そうかもしれませんね」

 

ハチマン「おそらくそうかもな」

 

ガイウス「色々興味はあるだろうが、今日は後回しだ。なんとか日没までに集落にたどり着かなくてはな」

 

アルフィン【ええ、そうですわね】

 

アリサ「それじゃあ、行きましょうか」

 

わたくしたちは、ガイウスさんの案内のもと集落の方へ馬を走らせました。

 

ユウのヒロインは誰が良いでしょうか?

  • 1ーエマ
  • 2ーフィー
  • 3ートワ
  • 4ーサラ
  • 5ースミレ
  • 6ーそれ以外(アリサとラウラは除く)
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