この話数からオリジナル技、独自解釈、オリジナル設定が少し入ります。
無事、予選一回戦を通過したカノン。その歓声は悟空達の元まで響いていた。
「お、おい天津飯。あの子勝っちまったぞ」
「あ、ああ」
ヤムチャと天津飯は驚いた顔でカノンがいる3ブロックを見ていた。
「なっ、言った通りだろ。あいつはつええって」
カノンの強さを見抜いていた悟空はさも当然という顔でみんなの顔を見る。
「でもよ。このままあの子が勝ちあがってきちまったら桃白白と戦うことになるんだぜ」
カノンが酷い目に合うことを心配するクリリン。だがやはり悟空の言うことは変わらない。
「でえじょうぶだって。そんなに心配なら早く予選を終わらせて見に行こうぜ」
悟空はクリリンたちを促し、それぞれのブロックに散っていった。悟空達は危なげなく予選を勝ち抜いていく。
そしてそれはカノンも同じだ。すべての試合を軽く拳で打ち抜いて対戦相手を気絶させていく。そのまま順調に勝ち抜いていき、あと1回勝てば本選出場が決まるまで来た。
「では、44番と51番の試合を行います」
審判に呼ばれ、舞台に上がるカノン。すでに準備ができている桃白白は後ろ手に佇みながら、カノンを完全に見下していた。
「ほう、まさかこんなガキが予選を勝ち上がってくるとは、この大会のレベルもたかが知れているな」
その言葉を無視しカノンは開始前の礼をする。
「くっくっく、安心しろ。殺しはせん、だがそんなチビでは力加減を間違えて殺してしまうかもしれん。なるべく死なないようにしてくれよ」
またもや挑発してくる桃白白に一応自分も返しておこうと返答をする。
「はい、でもあなたの攻撃は当たらないと思うので大丈夫です」
桃白白は一瞬絶句し、カノンを怒りの表情で見る。そして審判の開始の合図も聞かずカノンに突撃してくる。
「44番!!まだ開始の合図は」
「いえ、このまま開始していただいて結構です」
カノンは審判にそう言い桃白白を迎え撃つ。
「このクソガキがーーーーー!!!」
完全に頭に来ている桃白白の攻撃は、確かに中々早かったが単調なためカノンはすいすい避けていく。それがまた桃白白の怒りを誘う。
いち早く予選を決めカノンの戦いを見に来た悟空、クリリン、ヤムチャそしてそこに遅れてやってきた天津飯が合流する。
「すまん、遅れた。どうだ試合の様子は」
「やるよ、あのカノンって子」
「ああ、全くあの桃白白に触れさせない」
クリリンとヤムチャは危なげなく桃白白の攻撃を避けているカノンを見ながら答える。天津飯も舞台の上で戦っている二人を見て気づく。桃白白の動きは今の自分なら危なげなく倒せるレベルだ。しかしカノンの動きは。
「このガキ!!少々避けるのがうまくても攻撃してこないと勝つことはできんぞ!!」
「では、攻撃させてもらいますね」
一連の攻撃で動きを見切ったカノンは無造作に右の蹴りを放ってくる桃白白の足に左手をかけてそれを軸に体を浮かす。そして左の頬に蹴りを一閃させる、今度は返す刀でかかとを左の頬に打ち込む。
そのまま桃白白は吹っ飛んでダウンする。その動きに周りで見ていた選手は、おーと歓声を上げる。
「さ、もう降参してください。後はあなたと因縁のある天津飯さんに任せます」
カノンは天津飯を見る。それに天津飯は頷き返す。確かにこれは自分がやらなければならない問題だ。しかし桃白白には屈辱の言葉だ。
「こ、降参~~~。この桃白白様が降参だと~~~!!このクソガキがーーー!!!」
怒鳴り声をあげガシャンと左手首が外れる。そこから仕込み刀が伸びてくる。
「44番!!反則です!!武器の使用は禁じられています!!」
「うるさいな!!もう試合などどうでもいい!!そうだ!!このガキを殺して次は天津飯、そして孫悟空を殺せばいいんだからな!!!」
見境がなくなっている桃白白、そこに天津飯が舞台に手をかける。
「カノン!!下がっていてくれ!!ここは俺がけりをつける!!」
桃白白が反則負けになったためカノンの本選出場が決定している。なのでここで自分が出てきても問題ないはずだ。しかしさっきは任すといったカノンは首を振る。
「いえ、まだ相手は参ったと言っていません。ならば私が相手をします」
「なっ、桃白白様は反則負けになっているんだぞ!!」
それを聞いてもカノンは頑なに拒否する。
「お願いします。天津飯さんにお任せするのは桃白白さんを完全に負かしてからにしてください。これは武道家としてお願いです」
カノンとしても折角戦っていた相手が、反則負けで終わるのは本意ではない。まあ結局は戦いたいだけなのだが。それを聞いて天津飯は下がる。
「わかった。戦っているのはお前だ、だが桃白白様を絶対にたおしてくれよ」
「はい、任せてください!」
このやり取りを見ていた桃白白は発狂するぐらい怒り心頭になり、歯をギリギリさせる。
「い・・いい加減にしろーーーこの桃白白様を倒す!!!!やれるものならやってみろーーー!!!」
左の剣を片手に襲い掛かる桃白白。だがこのような相手には慣れている、なにせ前世で散々やってきたからだ。
振りかぶってくる剣の腹を右手の甲でたたき割る。そしてこのまま腹に一撃をと思ったところでふとこのまま攻撃して殺してしまわないかしら?と思ったカノン。
前世では力の限りの一撃を加えて相手を絶命させてきたし、こちらの世界ではあのピッコロ大魔王が産み出した化け物と戦った時も手加減と言いつつ別に殺してしまってもよかったので一応死なないようにしていただけだ。
そしてここまで戦ってきた予選選手は、弱すぎた。なので全く力を出していなくとも倒せた。要するに桃白白の強さはカノンにとって中途半端な強さなのだ。強いものには全力で攻撃できるし、弱い者には力を抜けばいい。まだまだこの世界での経験値が少ないカノンは手加減が苦手だった。
なので本来なら腹に加える一撃を避け、左の手は桃白白の左手首を掴み、体を屈み腕の下を通り抜け、右掌で左の肘を叩き割りそのまま体重を掛ける。
バギャという音が響き渡る。
「ぐぎゃあああああああああ!!!!!!!!!」
桃白白の左腕は本来曲がる方の反対側に曲がっている。周りで見ている選手は顔色を蒼くしている。
「あ、あの子容赦ないな」
「あ、ああ」
クリリンとヤムチャがそういうが、前大会の時そのヤムチャの足を折った天津飯はヤムチャから目線をそらす。
「はあ、はあ、ぐぐぐ」
膝をつき口から涎を垂らして息も絶え絶えな桃白白に再度カノンは言う。
「さあ、桃白白さん。降参してください。これではもう戦えないでしょう?降参しなければ次は右腕を破壊します」
全く躊躇しないカノンの言葉に言われている桃白白より周りがゾッとしている。カノンは絶対に降参しなければ折るだろう。そんな声色だ。
しかしこれでもカノンにすればかなり優しくしているのだ。前世では相手が命乞いをしてきても容赦なくその命を奪ってきた。それなのに殺してはいけないルールで降参しない相手に腕を折るだけで負けを認めることを促しているのだ。本当ならば両手両足を折っているところだ。
「はあ、はあ、だ、誰がお前みたいなガキ相手に降参するか!!」
桃白白は大きく跳躍し舞台の隅の方に着地する。そして今度は右手首を外す。そこから現れたのは何もない、いや違う。砲身が出てきた。桃白白はやっと優位にたったと思ったのだろう、脂汗を流しながらニヤニヤ笑う。
「はあ、はあ、、、くっくっくっく。ガキここまでだぞ、調子に乗っていられるのは。このスーパーどどん波は貴様をアッと言う間に地獄に送ってくれる」
「スーパー・・・どどん・・波?」
どどん波を知らないカノンは首を傾げる。しかしそれを聞いた天津飯たちは慌てる。何故なら天津飯、餃子が使う技でにわか仕込みのかめはめ波では勝てないほどの気功波なのだ。
しかもスーパーとついていることから普通のどどん波などよりも威力は上だろう。
「やめてください!!桃白白様!!」
「これは流石に黙ってる訳には行かないな」
「そうですね、ここは我々があいつを取り押さえないと」
天津飯、ヤムチャ、クリリンが言う。そして悟空が無言で舞台に上がろうとしたとき、それを見て桃白白はニヤリと笑う。
「おっと、動かない方がいい。このスーパーどどん波を打つ前に私を取り押さえたり、気絶させたりしても体に埋め込まれたAIが自動で周りにスーパーどどん波を撃つことになる。それとも私を一瞬で塵も残さず消し飛ばすか?それなら助かるかもしれんな。だが、そんな力を使えば周りにどれだけの被害が出るかな?」
それを聞いて踏みとどまる悟空達、確かに桃白白を一瞬で消し飛ばせるかもしれない、しかしそれには高出力の気功波を使う必要がある。それをこんな四方に囲まれた建物の中で使えばどんな被害が出るか分からない。それならと天津飯が一歩前に出る。
「それなら俺から殺してください!!どうせその子を殺した後、俺を殺すんでしょう!!」
天津飯には自信があった。スーパーどどん波を自分に撃たせ掻き消すことができる自信が。しかしカノンにコケにされた桃白白はまずはカノンを殺すと決めていた。
「俺に命令するな!!!天津飯!!!あのガキを殺した後、お前もきっちり殺してやる!!」
もはや聞く耳をもたない桃白白はカノンの方に向き直る。
「さあて、またせたな?ガキ」
「くっ、やめてください!!こんな密閉された空間でそんな技を使ったら大惨事になりますよ!!」
こんなことになるなら殺すことを躊躇するんじゃなかったと最低限被害が出にくい場所を探す。カノンは上を見る。やはり上に気功波のエネルギーを逃がすしかない。気功波を受け止めて上に逃がす、これだ。万が一、失敗した時の為に自分の後ろにいるものに避難をするように言う為に後ろを向く。
「皆さん、私の後ろから離れてください!!」
「くっくっく。無駄だぞ。今、逃がしたとしてもお前を殺した後ここにいるもの全員を殺すと決めた。その前にスーパーどどん波が貴様を貫き外にいるものが大量に死ぬことになるがな。そうだ!!その中にお前の家族がいるかもしれんな。来ているんだろう家族が、感謝してほしいな。家族一緒に殺してやるんだからな!!!」
はっはっはと笑う桃白白にピクリと肩を震わすカノン。カノンが後ろに向けている顔を見てしまった選手たちはがくがくと足が震え腰を抜かしてしまった。空気が凍る。殺気が溢れる。そして振り返るカノン。
「・・・・あ゛」
無表情な顔、そして凍るような目。先ほどとは別人だ。
「おまえ、今なんてった?私の家族を殺す?母様を殺すと言ったのか?」
カノンの殺気に後ずさる桃白白。しかし虚勢を張って笑う
「そ、そうだ!!嬉しいだろう。母親と死ねて!!さあ、殺してやるぞ!!!」
『スーパーどどん波だーーーーー!!!!!』
桃白白の右腕から気功波が撃ちだされる。だがこの程度の気功波はカノンには余裕で掻き消せることがわかった。しかし、
(こいつは殺すと言った。母様を殺すと言ったんだ!!!)
カノンは両腕の掌を体の前にまっすぐ伸ばす。
「受け止めるつもりか!!!無駄だぞ!!!」
勿論、カノンに受け止める気持ちなんて欠片もない。カノンはこちらに近づいてくる気功波の質、波を読み取り、それと反対の作用を持つ気を掌に集中させる。そして掌に当たる寸前。
「死んだーーーーー!!!」
桃白白は勝利を確信するが、カノンの掌に触れたスーパーどどん波は反発する気に刹那の間、掌に止まりカノンはそれに自分の気を叩きつける。そして完全にコントロール化に置く。カノンは叫ぶ。
『気功反射砲ーーーーー!!!!!』
カノンの気を上乗せしたスーパーどどん波が桃白白にはじき返される。これには悟空達も驚愕する。
「何!!!バカな!!!ひいいいい!!!」
桃白白はこれが直撃すれば死ぬであろうことが理解できた。そして勿論カノンには止める気はない。
(この気功反射砲をこの屑にぶち当てて上に逃がすようにコントロールする!!!)
そして、桃白白に直撃する寸前。
「カノーーーーーーーーーン!!!!!」
悟空の声が聞こえ、慌ててギリギリのところで上に逃がしコントロールして爆発しないよう破裂させる。気が花火のように降りかかってくる。
死ぬ寸前だった桃白白は髭や髪が白くなり崩れるように気絶する。そしてこの瞬間、カノンの本選出場が決定するのだった。
なんか意味の分からない恥ずかしい技、独自解釈、桃白白にAIが埋め込まれているなどオリジナルの設定が出てきましたけど、気に入らない、面白くないと思う方は(できれば目を通していただきたいですが)、見ない方がいいと思います。
技の解釈はこのまま話が続いて行けば主人公が喋ってくれる予定です。
これからこういうことが、多々起こりサイヤ人編から少しおかしくなってきます。