この14話で主人公が技の解釈をしていますが、あくまで私がそう解釈しているだけです。しかも途中で何が言いたいか分からなくなってしまいました。原作では詳しく書いていないので、良ければ皆さんがどう考えているか教えてください。
そしていつもの倍の文章量になってしまった。
鳥肌が沸き立つ、天津飯は試合前のカノンの言葉を思い出していた。カノンはこう言ったはずだ。
「天津飯さん、あの空を飛ぶ技はいったい?」っと。
ということはこの試合が始まる前、カノンは『舞空術』を使えなかったはず。確かに先ほどの『舞空術』は拙かった、しかしそれでも成功させていた。
「な、なんという戦闘センス、奴はまさしく天才だ!」
天津飯の目には拳をぶつけ合い気合十分のカノンが凄まじく大きく見えた。
衝撃波を放った悟空は別にカノンの場外負けを狙った訳ではなかった。この程度の攻撃を食らい負けるはずがないというある意味、信頼があった。おかしな話だ、今日初めて会った子供にこんな感情を抱くなんて。だがこの短い時間で幾百の拳をぶつけ合い、そのたびに言葉以上に心に響く感情の震えを感じた。それが何故かやっと出会えた自分の片割れのように思うのだ。
「へへっ、やっぱおめえすげえな!オラこんなにワクワクしたのは初めてだ!」
悟空は構えを解かず警戒しているが、それでも笑わずにはいられない。しかしカノンは不機嫌だ。
「悟空さん、そろそろその重りを脱いでください。これで私が貴方と真に戦えることが示されたはずです」
「!?・・・おめえ、気づいていたのか」
悟空は驚くが、周りの者は何を言っているかわからない。そして悟空は何故か道着の下に着ていた黒いシャツを脱ぎだした。
「あーちょっとここで息をつくようです。孫選手道着を脱ぎ始めました。無理もありません。この暑さであれだけ動き回れば」
「なんだあ、なんで、、!?はっ、もしかしてあのカズーセみたいに悟空も!」
「ンなわけあるか!」
パチーンとクリリンの頭を叩くヤムチャだが、天津飯は異常な音を聞いた、悟空が脱ぎ終えたシャツの落ちる音が普通でなく、しかも石畳に罅が入っている。そしてリストバンド、靴までも脱ぐが同じ現象が起きる。
「天津飯さん、クリリンさん、ヤムチャさん、片づけてもらっていいですか?いいですよね?」
審判の方を見て確認を取る。
「ええ、邪魔になりますしね。」
天津飯たちは脱いだ悟空の服をひょいっと持とうとするが、その異常な重さに驚く。
「なに!バカな!この重さは!」
「リストバンドも!」
「靴もそうです!こんなの履いてどうやって歩くんだよ!」
「だろ、もう足がだるくってだるくって」
悟空はこんなものを着てあれ程の動きでカノンと戦っていた。戦慄を隠せない三人。
「ぜ、全部で100kgぐらいある」
その言葉を聞き、ざわっと会場中が騒めく。
「ははっ、軽くなった!軽くなった!」
軽く動き回る悟空の速さは先ほどとは雲泥の差だ。それにしても、
「おめえ、よくわかったな。オラが重り着てるって?」
「悟空さんの動きに少し違和感を感じていました。攻撃の命中率、動きの敏捷性、私の動きは感じているはずなのにほんの少しずれていました」
「はあ~。おめえ、よく見てるな~」
カノンは構えを取り、さらに力を増したであろう悟空の攻撃に備える。
「見せてもらいます、悟空さんの本当の真価を!!」
バンっと自分が出せる最高の踏み込みで一瞬にしてトップスピードに乗る。そのまま先ほどの焼き増しのように攻防が続く。しかし最後の悟空の攻撃、カノンには見えていたがあまりの速さに体が付いていかない。三つ編みに結んでいたリボンを取られ髪がばさりと解かれる。
「は、早い!!」
「へっへ~。どうだ!」
子供のように自慢する悟空。しかしカノンにしたら笑えない速さだ。
「ま、まったく見えなかったこの俺の目を持ってしても!」
天津飯の驚きの声がもれる。ましてやその前の攻防もよくわからなかった観客達には何が起きたのかもわからないだろう。
「ほれ。どうする?どうやらおめえにはオラの動きは見えていたようだけど、体の動きが付いていけてないようだかんな」
カノンはリボンを受け取り、無造作に髪をポニーテールに結ぶ。カノンが悟空の動きが見えていることに天津飯たちは驚くが、カノンにしてみればそのスピードに付いて行けなければ戦いようがない。
考える。どうすればもっと悟空と戦えるのか、天津飯にやったように逃げ場のない『地空双竜掌』を食らわせる?ダメだ、技を出す工程ができていない。今の自分では即座にこの技は使えない、そんなことをしている間にやられてしまう。
(どうする?どうする!・・・そうだ!!)
笑みを浮かべ悟空を見る。
「どうやら、なにか思い付いたみてえだな」
「はい。思い付きですがこの方法しか悟空さんの動きに付いていけないでしょう」
そういうと前傾姿勢になり、足に気を集中させる。そしてそのままロケットのように足の裏から気を放出させ、突っ込む。
「バカが!いくらスピードが上がってもただ真っ直ぐ突っ込むだけではいい的だ!」
ピッコロが言うようにかなりのスピードがでているのは確かだ。これなら悟空の速さに追いつくだろう。だが結局は直線的な動きでしかない、これではカウンターを打ってくれと言っているものだ。事実、悟空はカウンターを打とうとしている。
だがここからが違う。そしてピッコロは驚愕の声を上げる。
「な、なにーー!」
(全身の気をコントロールする!)
カノンは悟空のパンチを空中で横に捻って躱すそして懐に入り空中に浮かんだまま目の前にある悟空の顎に肘から気を噴出し加速した拳を打ち出す。完全に虚を付かれた悟空はその一撃を受け吹き飛ぶ。それを追い再び足から気を放出し悟空に追いつく。
「くっ!はあ!!」
吹き飛んだ悟空はカノンを振り切る為、再び天津飯の目でさえ見えないほどの速さをみせる。それに対してカノンは自分の速さにプラスして体のあちこちから気を噴射させ加速させる。
「見えん!!カノンの動きも全く見えん!!」
「あのガキ!地上で『舞空術』を使い、コントロールしている全身の一部から気を放出し無理やり加速していやがる!!」
ピッコロには見えていた、攻撃する時、肘から気を噴出し加速させ、蹴りを打ち込むときはふくらはぎから噴出する。腰から頭から体のありとあらゆるところから気を放出する。
(・・・・・・・)
そして何時しか悟空もカノンも無心になっていく。ただその顔に獰猛な笑いを張り付けながら。
現れては消え、消えては現れるを繰り返すたびカノンの動きは洗練されてゆく、果たして先ほど『舞空術』を覚えたばかりの動きには見えない、そしてそれは悟空も同じだ。この会場の中で二人の動きについていけるただ一人のピッコロはその顔に汗を滲ませる。
「やつら、この試合が始まる前より強くなっていやがる!」
カノンが悟空を、悟空がカノンを高めあっている。あるいはそれは戦えば戦うほど強くなる悟空とカノンに流れている血がそうさせているのかもしれない。
しかしそれはいつまでも続くものではない。
「ぐっ!!」
カノンがいきなり失速し、悟空の前蹴りが防御した上に当たり後ろに吹き飛ばされる。
「はあ、はあ、はあ」
カノンが息切れをし、大量の汗を流している。これは天津飯と戦った時の演技ではない。
「無理もねえ、そんだけ動き回って、しかも常に気を放出していたんだ。それじゃあ、ばてるのも早くなる」
もともと地力の差があるのだ。それを無理やり悟空に追いつく為戦っていたが、ついに限界を超えてしまった。体中が痛い。筋肉はパンパンで、足はがくがく震えている。 だがやはり目はぎらついている。カノンは両足を肩口まで開き、そして胸の前でパアンと手を合わせる。それはまるで神に拝礼するかのようだ。
「悟空さん。貴方は私の想像以上に強かった。この勝負、私の勝利する確率はほぼゼロでしょう」
そう言いながらもカノンは勝負を捨ててはいない。
「ところで悟空さん。気って何ですかね?」
「?」
いきなり関係ない話をしてくるカノンにどう答えればいいかわからない悟空。
「気。生命エネルギー、誰でも持っているもの。それは植物も例外ではなく生きとし生けるものすべてが持っている」
「その気を私たちは増幅し爆発させ身体能力を上げたり、気功波を放ったりといろいろな技を使っています」
「では技とは何でしょう?なんでいろいろな技があるのでしょうか?悟空さんはかめはめ波を使えるでしょう?どのように使っていますか?」
質問してくるカノンに悟空はしどろもどろに答える。
「えっ、えっと。なんちゅうか、こうぐっと気をためてばっと出す?」
悟空の答えに苦笑いする。
「ま、まあ間違えていませんね。もっと言うなら、かめはめ波とは気を高め増幅凝縮し放つ技です。つまり気をそのように加工していると思うんです。」
「たとえば、3回戦で見せたクリリンさんの『追跡エネルギー弾』は相手に自動で追尾する機能を気に持たせ、4回戦で見せたヤムチャさんの『操気弾』は手の動きとエネルギー弾を連動させ動かし、更に多分威力が落ちないように気をエネルギー弾に送り込み続けてましたよね」
ヤムチャの方を見るとヤムチャは頷く。今度は天津飯の方を見て
「そして天津飯さんの『四身の拳』これは気で体のがわを作りそのがわの中に気を込め、更に生命エネルギーの中にある自分の経験値とでもいうべきものを分割することによって発動する技だと思うんです。これほど複雑な技だけに自分のパワーの大半を使わなければならなかった」
「そして、私が使っていた『気功反射砲』この技は相手が放ってきた技の質、または気の波、特性を読み取り、その逆の質の気で受け止め自分の気を相手の放ってきた気に侵入させコントロールを奪う技です。なので反射と言っていますが厳密には違うんです。」
「つまり私が思う技の解釈は、気を増幅したり、凝縮したり、変化させたり、機能を持たせたり、力の強弱、発する波の強弱、反発力、その他多くの特性等々、まあ要するに質を変えて技を組み立てていくものだと思うんです」
「長々と喋ってすいません。つまり私が何を言いたいのかというと今から放つ技はそれらを高度に使うということです!」
カノンは胸の前に合わせた手に気を集中、増幅凝縮させる。そして徐々に手を開きそこには紫電走る淡い光球が浮かんでいる。
さらに光球を挟み込んでいる両の掌に攻撃的な気を通わせる、それはまるで龍玉を掴んでいる龍の爪のように変化させる。その手でもって光球を左右から押しつぶしていく。しかしまったく違う特性を持つ二つの気が反発しあい外に出よう出ようとする。それを両の掌の外に丸い檻を作り抑え込む。
「ぐうううう、な、なんて気だ!!」
カノンを中心にパラパラと石畳の破片が舞い上がる、再びカノンがパアンと手を合わせ気を押し潰した瞬間、辺りを暴風が襲う。観客席にいる者の荷物が吹き飛ぶ、近くにいる悟空達も踏ん張らなくては飛ばされる勢いだ。そして唐突に暴風が止む。悟空がカノンを見ると初めに見た手を合わせた状態で立っていたが、手からブウゥゥゥンという音が鳴り響き手を覆うように気が包み光っている。
「はあ、はあ、悟空さん、正直言いましてこの技は今の私では完全に制御できる技ではないのです。ですから、この武舞台上では周りに被害が出て使えません。なのでやめろと言うなら私はこのまま降参します、ですがもし、もし!決着を付けたいと思ってくださるならば」
カノンは空を見る。
「私についてきてください!!」
卑怯な言い方だとカノンは思った、こういう言い方をしたら悟空はおそらく着いてくるだろう。しかし地上で使えないということは本当のことなのだ。この技は簡単に言えば異なる気を反発しあい、その反発力でもって気を何倍にも増幅する技だ。なのでその膨大な気は今のカノンの手に余る。
そして悟空は予想した通り頷く。カノンは少し頭を下げ、空に飛ぶ。それを追うように悟空も飛び上がってくる。そして、
『か』
聞こえる、今大会初めて放つその技を。
『め』
気がどんどん膨らむのを感じる。
『は』
カノンの横、数十m離れたところに並ぶ。
『め』
空中で止まり、互いの目が合う。そして開放する、いつか見たあの龍を模したこの技を
『神龍咆哮波
『波ーーーーーー!!!』
カノンと悟空全く同じ構えだが、カノンの手から漏れる気がまるで龍の咢だ。また口から咆哮を放つ龍のように見える。
そしてカノンの気功波が矢の形に、悟空の気功波が光球の形になりそのまま中央でぶつかり合う。その瞬間途轍もない閃光が走り、突風が巻き起こる。
「うあーーー!!!」
必死に柱に捕まり飛ばされないようにするクリリン。
「なんて奴らだ、次元が違いすぎる!!」
こちらも必死になり捕まるヤムチャ。
「ま、全くの互角か!?」
光輝いている上空を見つめる天津飯。
「な、なんと!!あの二人すでに神の私を越えている!!」
シェン、いや神が二人のぶつかり合いを見て言う。
「いや、悟空が押されておる!!」
亀仙人が上空を見れば少しずつ少しずつ悟空の方に光球が近づいている。だが、
「違う!小娘が押され始めやがった!!」
ピッコロの言う通り次はカノンの方に光球が近づいていく。
「はあ!はあ!!はあ!!」
体力だ、今のカノンでは押し返す体力がない。このままでは消し飛んでしまう。
「カノーーーーン!!!聞こえるか!!上だ!オラが合図したら、上空に飛ばすんだ!!」
こくこくと頷くカノン、もはや話す気力も湧かない。
「行くぞ!いち、にの、さん!!」
カノンと悟空の気功波が上空に飛んでいく、コントロール不足のカノンの気功波は斜め上に飛ぶが悟空の気功波が支えて飛ばす。
そして力を使い果たしたカノンは地上に落下していく。だがその落下速度が落ちる。
(温かい。何?この包み込むような力強さは?)
そっと目を開ける。そこにはカノンを抱え微笑みかける悟空がいた。カノンを抱えそのまま武舞台に降りる。
「カノン。おめえホントにつええな、オラびっくりしちまった!」
(負けだ。強かった。負けたけど戦えて本当によかった。)「悟空さん、私の負けです」
カノンが負けを宣言する。それと同時に観客がどっと歓声を送る。ポカーンと見ていた審判は、ハッとし悟空の勝利宣言をするのを思い出す。
「この試合!孫悟空選手の勝ちでむぎゅ!!」
「カノンちゃーーん!!」
審判の頭を飛び越えチチが悟空に抱えられているカノンに向かう。それを疲れてぼんやりと見つめるカノン
「あ・・」
「カノンちゃん!大丈夫だか!?怪我してねえか?」
カノンの体を見て大きい怪我がないのを確認したチチはほっとし、キッと悟空を睨む。
「悟空さ!いくら試合上のこととはいえ、ここまでやることねえべ!!」
ガミガミ言うチチに、困った悟空は後ずさる。
「な、なんだ?だれだおめえ?」
「・・・!?ほ、ほんとうにおらがわからないだか?」
頷く悟空に顔を赤くし怒り心頭になる。
「おら、悟空さの邪魔になったらダメだと思って会いに行くのを我慢してたってのに、それでもいつか迎えに来てくれると思ってたのに!」
怒りのあまり涙目になるチチにクリリンも違う意味で悟空に怒り心頭になる。
「悟空!!おまえこんな可愛い子を待たしていたなんて!うらやま、じゃない!ひどい奴だ!くっそー!おまえ本当に神様のところで修行してきたのかよ!!」
「ほ、本当だって!!な、なあ、オラおめえに会ったことがあるのか!?」
本当にわからない悟空にムッとしながらチチが答える。
「ある!!そんで約束してくれた!オラのことお嫁に貰ってくれるって!!」
『いいぃぃぃーーーーー!!!』
クリリンたちが驚きの声を上げる。まさかあの恋愛とかに興味がなさそうな悟空に結婚の約束までしている女性がいるとは信じられなかった。
「・・・・?クリリン、お嫁ってなんだ?」
全く意味のわかっていない悟空にズルッとコケる。
「ちっくしょーーーー!!!お嫁に貰うってことは結婚するってことだよ!くそ!くそ!」
ダンダンと地面をたたくクリリン。そのクリリンを押しのけヤムチャが詳しく説明する。
「悟空!結婚するってのは夫婦になって、ずっと一緒に暮らすってことだよ!」
「えええーー!!一緒に暮らすっておめえと!?な、なあホントにおめえ誰だ?名前もわからない奴とずっと暮らすことになんのか?」
ホントにわかってない悟空に溜息をつき教えることにする。
「本当にわからないのけ。おら、牛魔王の娘のチチだ」
「チチーー!!!」
チチを知っている亀仙人たちもこの乱入してきた娘の名前に驚く。そして悟空は思い出した、確かに昔そんな約束をしたと。
「あ~~~!!言った!オラ確かに言ったぞ!は~、でもオラお嫁ってずっと食いもんのことだとばっかり思ってた」
ズコ~と再びずっこける。
「じゃあ、あの約束は」
悲しそうな顔をするチチに、まいっかと楽天的な悟空は約束を守ることにした。
「じゃあ、結婚すっか」
「んだ!!」
いきなりの天下一武道会でのプロポーズに観客からの拍手と歓声が響き渡る。
「おーっと!孫選手いきなり結婚してしまいました!!」
悟空のいきなりの結婚に呆然となるクリリンたちだったが、あれ?と疑問に思った。じゃあ、あのチチが心配したカノンはいったい。お前が聞けと目線を向けてくるヤムチャに仕方なくクリリンがチチに聞く。
「あ、あのチチさん?チチさんとカノンの関係ってなんなんですか?」
抱きかかえていた悟空から降り、ふらつくカノンを支えながら何でもない風に
「ん?カノンちゃんはおらの子供だべ」
「はあ~そうですか。子供さんですか。ヤムチャさーん、カノンはチチさんの子供・・さ・・ん!?」
『えええぇぇぇーーーーー!!!』
今度は会場中が驚く。
「あれ?でも待って?カノンちゃんって5歳よね?そしてチチさんって確か孫君と同い年だから・・・12、3歳で産んだってことになるわよね?と言うことは養子?」
ブルマの発言にちょっと怒ってカノンを抱き寄せる。
「失礼な!カノンちゃんはおらがお腹を痛めて産んだ、血を分けた子供だべ!」
次は会場中がシンと静まり返る。確かにチチがそんな幼いころに子供を産んだことは驚きだが、チチは悟空のことを待っていたと言ったのだ。なのに他の男との子供を産んだことになる。これは修羅場になるかと戦々恐々と悟空とチチ、カノンを見る。そんな空気に気づかないチチ。そしてカノンを悟空の方に一歩押し出す。
「ほれ!じゃあ改めて挨拶するだ!」
どうせ、あの聖地カリンのところにいたボラとウパのようにすぐに信じてくれないと思ったカノンは、帯を取りその下に隠していた尻尾を動かしながら悟空に挨拶する。
「あの、紹介が遅れました。私、カノン!孫 空詩
『ぎええええええええええええ!!!!!!!?』
クリリンが、ヤムチャが、天津飯が、亀仙人が、ブルマが、ウーロンが、プーアルが、ランチが、そして会場中の人達の目が驚きのあまり飛び出る。
「はあ~~!カノンはオラの子かーーー、いや~道理で他人とは思えなかった訳だ!!」
カノンを抱き上げて全く動じない悟空に会場中にいる者すべてが、え~?そんなリアクション!?と思い、クリリンは壁を壊す勢いで殴っていた。
もっと詳しい事情を聞こうと悟空達の周りに近づいていく亀仙人たちを他所にカノンの意識はどんどん薄れていった。最後に感じたのは父の支えてくれる力強さと母の心配する声だった。
(私が気の使いすぎて倒れた後、次の準決勝で戦ったピッコロさんとシェンさんの試合はピッコロさんが勝ったそうです。そしてなんとシェンさんは神様なのだと父様に聞かされました。そして決勝戦!会場どころか周辺を吹き飛ばすほどの戦いが行われ辛くも父様が勝利を収めたらしいです。(そんなことが起こっても私は目を覚まさなかった!)その後仙豆の効力で回復した父様はピッコロさんにも仙豆を食べさせたらしい。皆さんは驚いていたらしいですが私にはわかる。父様はピッコロさんともっと、もっと戦いたいんだろう。そして・・・)
「う、ううん?」
「お、目が覚めたか?カノン!」
「大丈夫だか?カノンちゃん!」
筋斗雲に乗っている悟空は膝の上にカノンを置き、背にチチが抱き付いている。初めて乗る筋斗雲に驚くカノンに笑いあい筋斗雲のことを説明する。そしてやっと落ち着きを取り戻すカノン。
「あ!そうだ!!私あのまま気を失って・・、そうだ!試合は!天下一武道会は!!」
「へへっ!オラが優勝したぞ!!」
嬉しそうに言う悟空に抱き付きカノンも喜ぶが試合を見れず残念な顔をする。
「でえ丈夫だ!あとでオラが詳しく教えてやっから!」
「そうだぞ!カノンちゃん!今はおっとうのところに帰って早速、結婚式をするだ!」
「なんか夫婦になるには結婚式ってのをやらなきゃなんないらしいぞ?」
なんか随分純粋な人だな~、良く私が産まれたもんだと悟空の顔を見る。
「よーし!飛ばすぞ!!しっかりつかまってろ!チチ!カノン!」
「んだ!」「はい!」
悟空がそう言うと筋斗雲が急加速しアッという間に飛んでいくのだった。
完
「いや、まだまだ続きますよ」
ということでアニメで言うドラゴンボールは終わりました。この後牛魔王の城が燃え上がり、消えない炎を悟空達が解決するというアニメオリジナルの展開がありますが結局同じ結末になる為しません。
まあこの天下一武道会でも原作と同じ結末と言えば同じですが、それにしても日間ランキングに入って一気に見てくれる人が増えました。その分緊張しますが、頑張っていきます。