龍娘々伝   作:苦心惨憺

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やべえ、こんなに読んでくれる人が増えるとは!?





第15話

 第23回天下一武道会でカノンと悟空、悟空とピッコロが死闘を演じてから4年の歳月がたった。

 悟空達親子は、牛魔王のフライパン山の城から東エリアにある山や森に囲まれた小さな村の近くに居を構えた。牛魔王の城から引っ越しする際、牛魔王はカノンに泣いてすがったが、チチの「お嫁に行くってことはこういうことだべ」という言葉にしぶしぶ従った。お土産を持ってしょっちゅう遊びに来るが。

 とはいえ、ようやく家族3人が揃った生活ができるようになった。カノンは当初父親である悟空との生活に緊張していたが、大らかな性格の悟空にすぐに緊張が解け毎日楽しく過ごしていた。そして今も。

 

「はあああぁぁぁーーー!!」

 

「でやああぁぁぁーーー!!」

 

 森の中を2つの黒い影が交差する。そのたびに周囲の木々の葉が揺れる。黒い影、カノンと悟空の拳がぶつかり合いそれを中心に風が巻き起こり地面の草が円状に曲がる。そしてカノンと悟空は拳を収め、ニッと笑いあう。

 

「ひああ!全く、カノンはどんどん強くなるな~!」

 

 先ほどの戦いで実感したカノンの強さに悟空は嬉しそうにする。それに謙遜するカノン。

 

「いえ、まだまだです!父様こそますます腕を上げられて付いて行くのがやっとです!」

 

 カノンと悟空は暮らし始めてから、ほぼ毎日一緒に修行をしている。

 

「よし!それじゃあそろそろ今晩の飯の獲物を取りに行くか!」

 

「はい!」

 

 悟空は、カノンを伴って森の奥に入っていく。そしてそこで鹿やイノシシ、川で巨大な魚を取りまた山菜、果物を取る。

 

「さ~て!次はお料理です!」

 

「ははっカノンの作る飯はうまいからな~。楽しみだぞ!」

 

 夕食の準備に気合を入れるカノンに口元から少し涎を垂らす悟空が、先ほど収穫した大きい食材を笑いながら運び、チチが待つ家に帰っていく。

 

 カノンの毎日の生活は、朝早く起き悟空と共に森や山を駆けずり回り、終わればチチの作った朝飯を食べる。そのあと正午近くまで基礎的な修行やそれを兼ねた亀仙流でやった素手で畑を耕す等をし、その後カノンはチチと一緒に昼飯を作る。

 午後からは本格的な修行に入る。地上での組手、空中戦、互いの気をぶつけ合う気当たりで気の地力を上げる修行、流石に気功波を伴う組手は家の周りではできないので何もない荒野まで飛んで行きそこで実践的な試合をする等々、そして獲物を取って家に帰りカノンとチチが夕食を作り食べて風呂に入り早めに寝る。という生活を送っている。悟空とカノンからしたら修行三昧の夢のような毎日を送っていた。

 

 勿論それだけでなく、家族で(勿論、牛魔王も)大きな町に行ってショッピングをしたり(取った獲物や耕した作物を近くの村で現金に換えている)、ピクニックをしたり、遊園地に行ったりと前世では考えられない満ち足りた毎日を送っていた。そして今カノンがもっとも執着しているのは。

 

「けえったぞ~!」

 

「ただいまです!」

 

 

 獲物を床に置きながらただいまと言うと台所の方からチチが出てくる。

 

「おけえり!んま~、今日も大量だな!カノンちゃん、それじゃあ夕飯の準備するべ」

 

「は、はい!えっと、それで」

 

 カノンはそわそわし辺りを見回す。すると奥の方から3歳ぐらいの子供が出てくる。

 

「あ、お父さん!お姉ちゃん!お帰りなさい!」

 

「おう!ただいま、悟飯」

 

 悟空の横を神速のスピードで駆け抜け悟飯と呼ばれた子供を抱き寄せ頬ずりするカノン。

 

「ああん。悟飯君!ただいま!いい子にしていましたか?ちゅっちゅっ!ごめんね?あんまり遊んであげられなくて、ホントは四六時中一緒にいてあげたいんですけど」

 

 カノンは悟飯を抱きしめ、ちゅっちゅっと頬をついばむ。そんなカノンに照れた笑顔を見せ。 

 

「いえ、お姉ちゃんが忙しいのは知ってます。なので気にしないで」

 

 その言葉を聞いたカノンは顔を赤らめ、ブバッと鼻血を流しさらにギュと悟飯を抱きしめる。

 

「はあ~。なんていい子なの悟飯くんって!お姉ちゃんは!お姉ちゃんは!!」

 

 どんどんテンションが上がっていくカノンに流石にこのままでは夕飯を作るどころではないとチチがカノンの襟首を掴み悟飯から離す。

 

「ほれ!カノンちゃん!早くしないと夕飯が遅くなるべ。それにそんな汚れた格好で悟飯ちゃんに触れて!」

 

 ハッと気づいたカノンは、体を見回し修行で所々破れ汗と砂で汚れた道着を見て、悟飯に謝る。そして悟空の腕を引っ張る。

 

「ほら!父様。早くお風呂に入りましょう。そして今日もみんなに美味しい料理を作るんです!」

 

「カノン。おめえ毎日同じことやってんなあ」

 

 悟空とチチは困った顔を見合わせ笑うのだった。孫空詩(かのん)御年9歳、弟の孫悟飯に執着するブラコンと化していた。

 そんな充実した毎日を送っていたある日、悟空とカノンはいつものように修行をし家への道を歩いていた。

 

「は~。ちょ、ちょっと今日は張り切りすぎただな」

 

 カノンを支え足を引きずりながらボロボロの悟空が疲れた声でカノンに話しかける。そしてこちらも悟空に支えられないと歩けないカノンが疲れた顔をしている。

 

「はひ、それにしてもよかったです。今日の分の夕食の材料の備蓄があって、こんな体じゃ狩りどころではないですからね」

 

 苦労してもう少しで家に着くというところで2人は邪悪な気を感じた。あまりにも消耗していたためこんな近くまでこないと分からなかったのだ。

 

「父様!この気は!」

 

「ああ!家の方だ!急ぐぞ、カノン!!」

 

 疲労した体にむち打って急ぐカノンと悟空果たしてそこには、チチと今日遊びに来ると言っていた牛魔王が倒れていた。そして悟飯を囲っている、奇妙な者たち。おそらくこの者たちがチチたちを襲ったのだろう。

 カノンは沸々と湧いてくる怒りを感じながら、チチと牛魔王の安否を確認し気絶しているだけと安堵し悟空を見て頷く。悟空も安心しそしてキッと悟飯を取り囲んでいる3人を見る。

 

「おめえらか!!チチと牛魔王のおっちゃんをひでえめに合わしたのは!!」

 

「おとうさーん!おねえちゃーん!」

 

 悟飯は泣きながら悟空の元に行こうとするがそれを白い髪が逆立ち肌が水色の男がオカマっぽい喋り方をし悟飯を掴む。

 

「おっと、だめよ。貴方には興味ないけどその離してくれないドラゴンボールに用があるのよ」

 

 そう言いながら悟飯の帽子についているドラゴンボール、四星球を見る。泣いている悟飯を見たカノンは顔を伏せズンズンと肩を怒らせながら無造作に近づく。しかしその前に小柄で頭が後ろに突き出ている濃い緑の肌を持つ男と大柄で灰色の肌を持ち、顔の横から赤い髪を垂らした男が立ちふさがる。

 

「おい、小娘。どこへ行く気だ。」

 

「ぐっふっふっふ、ここから先は通行止めっす」

 

 顔を伏せていたカノンは、目に怒りを灯し問答無用で襲い掛かる。

 

「悟飯君を離せーーーーー!!!」

 

「カノン!はあああーーー!!」

 

 カノンが戦いに入ったのを見て悟空も加わる。カノンは緑の肌を持つ男にパンチを食らわせようとするが簡単に避けられる、逆に左頬に拳が突き刺さる。そんなもの効かないとばかりに突撃するが今度は空中に避けられ背中に蹴りを入れられ地面に叩き付けられる。

 そして悟空も灰色の肌の男に左右の連続の突き、そこから空中に飛び相手の顔に蹴りを食らわせるがすべて弾かれてしまう。そして腹に頭突きを食らい吹き飛ばされる。

 

「ち、ちっきしょう。こんなやつらリキさえ戻れば」

 

 修行の疲れと攻撃を受けた影響でふらふらしながら何とか立つ悟空。そしてカノンもふらつきながら起き出し、よろよろと歩きながら敵に向かいだす。

 

「カノン!無理すんな!オラが前に出る!!」

 

 悟空は体に着用している重りを外そうとし、それを見たカノンもそういえば自分も重りを着ているのだと思い出す。

 カノンの服装は黒いチャイナ風の道着を着て、その上に肩当がある胸元までの白いベスト、両腕に付けている白い小手。足には白いストッキング、それら白い部分が重りとなっている。カノンもそれを外そうとするがそれを許す相手ではない。

 

「さあ!くたばれーーー!!」

 

 二条の気功波がカノン、悟空に当たり後ろにあった巨木に叩き付けられる。完全に立てなくなった二人はそれでも顔を上げて相手を睨む。

 

「くっ、はあ、はあ、貴方たちはいったい!?」

 

 ここで動けなくなったことで頭が冷えたカノンが問いただす。

 

「ふっふっふ、まあいいだろう。冥途の土産に教えてやる。我らガーリック三人衆、ジンジャー!」

 

 小柄の緑の肌を持つ男がそう言う。そして悟飯を掴んでいる水色の肌の男が前に出てくる。

 

「ニッキー!」

 

 そして最後に大柄で灰色の肌を持つ男が答える。

 

「サンショ!」

 

「ガ、ガーリック?」

 

 そう答えた三人は悟空とカノンに掌を向け気を高めていく。その時ニッキーに捕まれている悟飯の様子がおかしくなる。

 

「ぐ、ぐ、ぐううう。お父さんとお姉ちゃんをいじめるな~~~!!!」

 

 悟飯を中心に突風が吹き悟空とカノンが森の奥に飛ばされる。

 

「ごはーーん!!」「悟飯くーーん!!」

 

 そしてそのエネルギーがジンジャーたちに向かうが上空から飛んできた気功波が悟飯の足元に直撃し吹き飛ばされ目を回してしまう。

 気功波を放った人物が地に降りてくる。それを見て三人は胸に手を当て頭を下げる。

 

「何をしている。ドラゴンボールはあったのかね」

 

 小柄な体躯でマントで素顔を隠した人物が3人の前に立つ。

 

「は、ガーリックJr様、ここに」

 

 ジンジャーはドラゴンボールを差し出す。それを受け取る小柄な男、ガーリックJr

 

「くくくくっ、これであと2つあれば私に永遠の命が!それとその子供も連れてきなさい」

 

 目を回し倒れている悟飯を見る。

 

「し、しかし。危険では」

 

 先ほど見せたパワーは普通ではなかった。だがガーリックJrは笑う。その強さを世界の支配者になる私が使ってやると。そして、悟空とカノンが消えた森には一瞥もくれず飛んでいくガーリックJr達だった。

 

 

 

 

 

 最初に気が付いたのは牛魔王だった。牛魔王も悟飯のパワーで飛ばされたが、もともと大した怪我をしていなかったのが幸いだった。

 

「ここは?そうだ!おら、気絶しちまって!・・・!?チチ!しっかりしろ!!」

 

 近くにいたチチを抱き起こす。

 

「う?う~ん。あれ?おら、どうして?あ!そうだ!悟飯ちゃん!おっとう!!悟飯ちゃんは!?」

 

 牛魔王は周りを見回すが、周囲の風景が気絶する前とすっかり変わってしまっている。木々は折れ、地面の一部が盛り上がっている。

 

「悟空さとカノンちゃんは!帰って来てるはずだ!」

 

「そ、そうだな!おーい!ムコ殿~~!!カノンちゃ~~ん!!」

 

 チチと牛魔王は辺りを探し回り森の中に入っていく。そこに大怪我をして気絶している悟空とカノンを発見する。

 

「きゃ~~!!カノンちゃん!!悟空さ!!」

 

 血の気が引くチチに牛魔王は、落ち着くように言いすぐに二人を家に運ぶ。落ち着いたチチは思い出した。

 

 「そうだ!!確か、仙豆があと2粒残っていたはずだ!!」

 

 ベットに眠る悟空とカノンに仙豆を飲み込ませ、カノンたちは目を覚ますことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 まだだ!まだサイヤ人編には行きません!!





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